2006年春にシアターΧ俳優養成学校(当初の名称。現在はΧ〔カイ〕レパートリー劇場付属演劇研究所)に1期生として入学し、3年間の課程を修了した役者さんが、Χ(カイ)レパートリー劇場のメンバーとして出演される第1回公演です。上演時間は前半70分、後半40分(途中休憩の時間は失念)。
『かもめのジョナサン』は映画化もされたリチャード・バックの小説で、我が家の本棚にもあったのですが、私は読んだことがありませんでした(映画はなんと本物のかもめが出演)。⇒新潮社 ⇒Amazon
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舞台は昇降ステージが部分的に上げられて台になっている程度で、いわゆる素舞台。舞台奥は全面がホリゾント幕で、照明で色が変わります。音響は全くなく、3人の役者さんの身体と膨大なセリフだけで見せていく、ごくシンプルなお芝居でした。
演出はシアターΧレパートリー劇場付属演劇研究所の芸術監督・専任講師でもある西村洋一さん。ロシア国立サンクトペテルブルグ演劇大学を卒業されています。私がこの夏にワークショップを見学させていただいた、チェルカスキイさんがいらっしゃる大学ですね。
役者さんの演技は「役柄として生きる」ということを、舞台上でできているように思いました。だから長い独白も無理なく聞いていられたし、場面転換にもすんなり付いていけたんだと思います。でも、全体が超地味であることを乗り越えられる、輝きや躍動などは感じられませんでした。役者さん個人の魅力もあんまり感じられず・・・。前半は集中できずに眠たくなっちゃいました。何しろ役者さんだけしか居ないんでね、舞台上には。音もないし、照明の変化も空間全体を変質させてくれるほどの効果ではありませんでした。
でも後半になって、かもめのジョナサンが弟子から師匠となっていってからは、原作の言葉に圧倒され、面白く拝見することが出来ました。いやー、すごい小説だな~。読んでみたくなりました。
ジョナサンに教えるかもめ「離れ、許し、学び、再び戻って(彼等が)知りたいのを助ける」「発見し、公開する。」
ジョナサン「理念による飛行。」「肉体からも時には放たれる。」
ジョナサン「ありのままの自分でいること。」「自由があること、それがかもめの本質だ。」
ジョナサン「君は自由なのだ。飛べるんだよ。」(羽が折れたメイナードに向かって)
ジョナサン「飛ぶことは権利である。自由こそが本質である。」「唯一のおきては自由であること。」
ジョナサン「身体というものは思考そのものに他ならない」
ジョナサン「あなたは自由だと教えることが、こんなに難しいことだとは・・・。」
ジョナサン「目に見えるものを信じてはならない。目が見せるものは限界だけだ。」
フレッチャー「限界なんてないんだね、ジョナサン。こうして俺は学びの道を歩み始めた。」
かもめになって2人で飛ぶところなどは、息がぴったり合っていて、身体でお互いを感じあっているのがわかりました。
人間が真面目にかもめになりきるのって、実はそれ自体が可笑しなことですよね。もちろん観客としては物語の中に真剣に入っていきたいですけど、素になって笑えるところなど、もっと色んな演出的工夫ができたのではないでしょうか。役者さんももっと自由にのびのびとされるところがあるといいなと思います。
3人の卒業生の発表会だと思えば立派な公演だと思いますが、これがレパートリーだというのはすごく物足りないです。美術も音響も欲しいし、できれば「これがシアターXなのか!」って感動するような何かが欲しいですね。
あと、卒業生が3人っていうのは寂しいですね。3人だと授業では少人数で得かもしれないけど、カラーが固まっちゃうんじゃないでしょうか。皆さん、ちょっと地味で色気が少ない気がしました。
演目の変更:『罪と罰』→『かもめのジョナサン』出演者の人数が変更になったからだそうです。
出演=佐藤学二/中島幸雄/壱岐照美
原作=リチャード・バック 演出=西村洋一
一般1,500円 高校生以下、シニア1,000円
劇場=http://www.theaterx.jp/
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