『シラノ・ド・ベルジュラック』は1897年にパリで初演されたエドモン・ロスタンの戯曲です。文学座では1951年に初演され、1983年の上演以来23年ぶりに江守徹さんがシラノを演じられるそうです(公式サイトのイントロダクションより)。
実は私、先月から『シラノ』続きなんですよね~(レビュー⇒1、2)。でも、戯曲に忠実に上演されるのを観るのは今作が初めてかも。上演時間は3時間20分(15分の休憩を含む)。
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あらすじは公式サイトでどうぞ。
主な配役:シラノ=江守徹 ロクサーヌ=高橋礼恵 クリスチャン=浅野雅博
衣裳は軍服もドレスも映画で観たような豪奢なもので、特に男優さんがお召しになる羽付きの帽子が素敵でした。美術もどんどんと大きな装置が転換して豪勢です。伝統ある大手新劇劇団らしい、いわゆる正統派の舞台でした。
主人公の名前がそのままタイトルですから、とにかくシラノ、シラノ、シラノ、です。シラノがしゃべりまくるし、シラノがシーンを作るし、シラノ一人がこの作品を背負っていると言っても過言ではありません。だから、江守徹さんのシラノが好きな人は満足できるかもしれませんが、私のように特に“江守ファン”ではない観客にはちょっと・・・。何しろ江守節(というものがあるとすると)炸裂ですから。
あと、これは老舗の劇団では頻繁に感じられることなのですが(てゆーか演劇界の常識?)、舞台上で年配の役者さんに若手の役者さんが遠慮しているように見えるのが残念すぎます。これって・・・どうにかしてもらえないのかしら・・・。文学座のお客様(支持会?)はこういうことを望んでいらっしゃるんでしょうかね。私にはわかりませんが。
演出については全体的に波風をたてないように、無難に仕上げているように思いました。つまり私には退屈・・・。そして表層の笑いが多い気がしました。たぶんわざと軽く演出されているのだと思いますが、私はもっと深い悲しみや洞察力から生まれる笑いや愛を感じたかったですね。特にロクサーヌ役についての解釈は受け入れづらかったです。私が女性だからかもしれませんが、なんだか今作でのロクサーヌはぎすぎすしていてあまり魅力的には見えませんでした。
浅野雅博さんはクリスチャン役なのに三枚目風で意外でした。初めて登場したシーンでのロクサーヌ(客席後方にいる設定)への一途な恋のまなざしは本物でしたね。戦場でロクサーヌの愛が自分にではなくシラノへと向いたことに気づいたシーンで、ロクサーヌに抱きつかれて愕然とした表情も切なくて良かったです。
高橋礼恵さんはやっぱり美しい方でした。透き通るように白い肌はマシュマロのよう。赤い口紅が映えます。でも、役としては深いところまで演じていらっしゃらないように思いました。演出かもしれませんが。声がよく裏返るのが気になりました。こんなお声だったかしら・・・。修道院に入ってからの方がセクシーだと思いました。
クリスチャンが美青年らしからぬおトボケさんで、ロクサーヌがインテリっぽい香りを出しつつ浅はかなので、この二人がお似合いカップルに見えませんでした。シラノがロクサーヌを愛する根拠も見えづらかったです。そういう演出意図だったとすると、私の好みには合わなかったということでしょう。
≪兵庫、東京≫
出演=江守徹/三木敏彦/菅生隆之/早坂直家/石川武/高瀬哲朗/今村俊一/沢田冬樹/鈴木弘秋/浅野雅博/櫻井章喜/石橋徹郎/鍛治直人/神野崇/城全能成/星智也/清水圭吾/上川路啓志/玉井碧/高橋礼恵/太刀川亞希/瀧田陶子/頼経明子
作:エドモン・ロスタン 訳:辰野隆・鈴木信太郎 演出:鵜山仁 装置:倉本政典 照明:金英秀 音楽:池辺晋一郎 音響効果:望月勲 衣裳:宮本宣子 アクション:渥美博 舞台監督:寺田修 演出補:北則昭 制作:伊藤正道(東京) 三崎力(兵庫) 票券:松田みず穂(東京)
前売・予約開始2006年10月7日(土) S席6500円 A席4000円 ユースチケット3800円 千住席1010円
公式=http://www.bungakuza.com/
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