野木萌葱さんが作・演出されるパラドックス定数(過去レビュー⇒1、2、3、4)。硬質な男芝居が観られます。
今回のモチーフはチェス。planBという空間が内容にドンピシャでしたね。
ご参考に⇒fringe blog
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≪あらすじ≫ 公式サイトより一部引用。
その部屋には美しいチェスがある。
第二次世界大戦末期、囚人の虐殺が繰り広げられる強制収容所の一室。
そこにチェスボードを挟んで向かい合う二人の男がいる。
彼等は将校と数学者であり、同時に監守と囚人でもある。
処刑寸前に将校から命を救われた数学者は、信じられない言葉を耳にする。
「私とチェスをしましょう」
≪ここまで≫
ある特定の劇団・ユニットの公演を続けて拝見していると、その団体に対して何らかの予想や期待をしてしまうもので、さらにその期待を良い意味で裏切ってほしいというわがままな気持ちも出てきます。パラドックス定数に私が期待しているのは、密度の濃い対話・空間とハードボイルドな男の世界、というようなものかもしれません。
今回の作品については会場選びの時点でまたもや唸らせられ、俳優への脚本&演出面での負荷の高さとそれを受けて立つ2人の男優に感服。「ここまでやるのは凄い」と素直に言えます。
ただ、描かれた世界が現代ではなく日本でもなかったため、いつものリアリティには及ばなかったですね。また、会場の外の音が舞台にまで響いてしまうのは、この劇団にとっては致命的なんですよね・・・惜しい!!と思いました。
チェスって駒やボードなどの品物がかっこいい上に、対戦する人の手の動きもしなやかでセクシーに見えますよね。私はチェスについて全くの無知なんですが、軽やかに舞う駒とその運命を決める男たちの指にうっとり見とれてしまいました。
ここからネタバレします。
将校(十枝大介)が、目隠しをされて怯える数学者(小野ゆたか)を連れてくるところから始まります。収容所では毎朝50人の捕虜が射殺されており、数学者がその50人に選ばれ、打たれる直前に助けられたということでした。でも絶体絶命だった様子が感じられなかったため、状況を飲み込むまでにかなりの時間がかかってしまいました。ハーケンクロイツの腕章やユダヤの星など、衣装はきちんとこだわって作られているようでしたが、役者さんが着こなせていなかったように思います。
ナチス人将校(十枝大介)とユダヤ人捕虜(小野ゆたか)がチェスで戦うところから、数学者のスパイ同士の裏切り合い、家族・兄弟の愛憎にまで深まっていくとは思いませんでした。面白かったです。
コンクリートの壁に数式を書いていくというアイデアは、会場の個性を利用する点で素晴らしいと思いました。
出演=十枝大介/小野ゆたか
作・演出=野木萌葱 照明=木藤歩 小道具=栗山佳代子 舞台監督=渡辺陽一 写真=渡辺竜太 宣伝美術=山菜春菜 WEB製作=手塚俊輔 ドラマターグ=中田顕史郎 チェス協力=本田一郎 制作=パラドックス定数研究所
前売り2000円・当日2500円 全席自由
公式=http://www.paradoxconstant.com/labo/
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