佐藤佐吉演劇祭2006の9公演目、トリを飾るのは、ブラジリィー・アン・山田さんが作・演出されるブラジルです。私は2003年からたぶん欠かさず通っています(過去レビュー⇒1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)。
ブラジルの新作、そして小劇場的にはかなりの豪華キャストですので期待して初日に伺いました。残念ながら期待どおりの仕上がりは観られなかったのですが、2日目以降のうわさを聞く限りでは好評のようです。
上演時間は約2時間。私は前の方の席をお勧めしたいですね、臨場感とスリルがたっぷりなので(笑)。
※佐藤佐吉演劇祭2006レビューブログに公式レビュアー3人(私を含む)、公募モニター4人のレビューが上がっています。こまめにチェックして観劇の参考になさってください!
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≪あらすじ≫
六畳の和室と小さなキッチンのみの古いアパートの一室。同棲している久保(辰巳智秋)と洋子(桑原裕子)は心中の準備をしている。ここぞという時に、意外な来訪者がぞくぞくと現れ・・・。
≪ここまで≫
ブラジル作品の最近の特徴は、生々しいハプニング(役者さんが口からどろどろの液体を吐き出したり、激しくとっくみ合ったり、ダンボール箱がどかどかと上から落ちてきたり)と、緊張感みなぎる対立状態での対話だと思います。今回はその2本柱があらためて強調されていたように思いました。
通り一遍ではない「恋人たち」の捨て身でわがままな主張の交差が面白く、登場人物の背景も信憑性がないわけではないし、物語として十分に楽しめるものだったと思います。
ただ、ハプニングを多く起こすことを目的とした段取りや、一対一の対話シーンにするためにわざと舞台上に2人しかいない状態を作るなど、装飾部分の仕込みがバレてしまっているのが残念でした。作品の本質を伝えることにもっと重点を置いても良かったのではと思います。
また、役者さんがセリフを話す際に自分の持ち時間を味わってしまっているように感じることが多く、対話というよりあからさまな見せ場になってしまっていました。笑わせようとしているのがわかってしまって、笑えなかったりも。これは初日の硬さが大きな原因だろうと思います。達者な役者さんが勢ぞろいですので、2日目以降は大幅に改善されたことでしょう。
私は期待が大きかった分、辛口にならざるを得ないのかもしれません。同じ回を観ていた知り合いの方々には、おおむね好評だったようです。
ここからネタバレします。
洋子(桑原裕子)と川原(櫻井智也)には数年間の結婚生活があり、小さな子供も(かつて)いて、夫の浮気がショックで妻が突然家を飛び出てしまうぐらいのアツアツ・カップルだったんですね。それがわかった時に一気に世界が分厚くなりました。
久保(辰巳智秋)が洋子の体を窒息しそうになるぐらい抱きしめるところで、ハプニングとドラマとが一体になり、密度の濃い時間が生まれていました。
初日の段階では川原役の櫻井智也さんが、勢いや臨場感の面でとびぬけて生き生きした存在感だったように思います。
出演=辰巳智秋/桑原裕子(KAKUTA)/櫻井智也(MCR)/瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ)/中川智明/ミギタ明日香(東京タンバリン)/本井博之(コマツ企画)/重実百合(クロムモリブデン)/異儀田夏葉
作・演出=ブラジリィー・アン・山田 音響=島貫聡 照明=シバタユキエ 照明オペ=今西理恵 舞台監督=主侍知恵(HOZO) 舞台美術=仁平祐也(HOZO+Oi-SCALE) 衣装=中西瑞美 宣伝美術=川本裕之 チラシ写真=427FOTO 舞台写真=名鹿祥史 演出助手=西山聡 票券管理=杉山葉(制作集団QuarterNote) 制作=恒川稔英/池田智哉(feblabo)/ブラジル事務局
前売2600円 当日2800円 11/29(水)&30(木)は前売・当日2300円
公式=http://www.medianetjapan.com/10/drama_art/brazil/
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