2006年01月14日
山の手事情社・Yamanote Fair2006『牡丹燈籠』01/13-22吉祥寺シアター
山の手事情社の3本立て公演です。各4ステージで計12回。1本目は新人役者さん達が出演する『牡丹燈籠(ぼたんどうろう)』。5年前に初演された作品で、キャストも演出も一新されているそうです。
複雑な人間関係がものすごくわかりやすく構成されており、エロティックなのだけれど、さわやかさもある空間でした。衣裳が素晴らしかったです。
『牡丹燈籠』の前売り券は完売ですが当日券は出ています。続いて上演される『ぴん』と『タイタス・アンドロニカス』は残席のあるステージもあります。お問い合わせは⇒山の手事情社オフィス TEL:03-5760-7044(平日12時~18時)
『牡丹燈籠』は三遊亭円朝・原作の怪談です。映画化もされていますね。
2つのエピソードが絡み合う、非情に込み入った物語でした。まず一つは、飯島平座衛門(川村岳)の娘・お露(森谷悦子)とその乳母のお米(本名貴子)が、幽霊になってお露の想い人である新三郎(名久井守)のもとに毎晩通ってくるという、いわゆる怪談話。もう一つは、飯島平座衛門(川村岳)の妾のお国(山口笑美)が、情夫の源次郎(野々下孝)と組んで平座衛門を殺そうとするのを、下男の孝助(野口卓磨)が嗅ぎ付けてそれを防ごうとする人情話。全く別々に進行していた2つのエピソードが、徐々に絡み合いながら最後にはがっしりとぶつかり、つながります。
美術はごくシンプルで、吉祥寺シアターの高さがうまく使われていました。人物相関図が大きく描かれた紗幕が、舞台の面側上部にビシっと貼り付けられているのです。さらに舞台上にいる人物の名前を照明で明るく照らしてくれるので、今、舞台に出ているのが誰と誰なのかが一目瞭然。これはわかりやすい!!
山の手事情社独自の身体表現“ルパム”が、観ていてグっと緊張しちゃうぐらいエロティックでした。男優が女優を、頭と足を逆さにして抱き上げ、女優が男優の股の間から顔を出すなんて、ちょっと目を疑いましたよ(笑)。動きだけだと、アクロバティックな組み体操のように見えると思います。それに衣裳、照明、表情が加わって、男女のなまめかしい情事を思わせる身体表現になるんですね。
今回は若手の役者さんばかりが出演されているそうで、それもあって清新な仕上がりだったのかしら。皆さん、すごくお稽古されているのがわかります。言葉も丁寧だし、動きもほぼ振付どおりに決まっているようですし。ただ、そのような形式美の中から、溢れ出てしまう感情やにじみ出してくる個性をもっと味わえたら、より感動できたような気がします。
福崎英隆さん(LiMLEE)による衣裳が面白いし、美しかったです。舞台衣装をやってらっしゃる方じゃないそうです(新進デザイナー?)。人物ごとのデザインと色の区別もくっきり鮮やかでしたし、スウェット生地(かな?)や毛皮など、素材の使い方がすごくかっこ良かったです。
野口卓磨さん。平座衛門の敵を討つ孝助役。はつらつとしていて可愛い気のある若い男優さんでした。大きな目と一途な視線が良かったです。
*3本立て公演。各4ステージ・計12回。1/17(火)休演。
出演=川村岳/斉木和洋/山口笑美/岩淵吉能/野々下孝/森谷悦子/鴫島隆文/名久井守/久保村牧子/野口卓磨/本名貴子/後藤かつら/植田麻里絵/根本美希/三井穂高/江原大介/柿本亜紀/宗吉和幸/渡邉武彦/越谷真美/高橋智子/
構成・演出=安田雅弘 原作=三遊亭円朝 照明・舞台美術=関口裕二(balance,inc.) 音響=斎見浩平 舞台監督=本弘 衣装=福崎英隆(LiMLEE) ヘアーメイク=尚照矢 宣伝美術=福島治 演出助手=小笠原くみこ 制作=福冨はつみ 製作=劇団山の手事情社 有限会社アップタウンプロダクション UPTOWN Production Ltd.
公式=http://www.yamanote-j.org/
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