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2006年01月17日

燐光群『スタッフ・ハプンズ』01/14-25ザ・スズナリ

 坂手洋二さんが前作に続いてデイヴィッド・ヘアーの戯曲を演出されます。イギリスでご覧になった方のレビューを読んで楽しみにしていたのですが、残念ながら期待どおりの出来ではなかったです。でも装置と演出については、すごく工夫と冒険をされているのがわかりました。

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 ≪作品紹介≫ 公式サイトよりそのまま引用。改行を変更。
 ブッシュ、ブレア、パウエル、ラムズフェルド…………、実在する政治家たちを登場人物に描く「ハイパー演劇」。世界に衝撃を与えた、ドキュメンタリードラマ最新作!
 イラク戦争は、なぜ起きたか。2003年夏、大量破壊兵器は見つからなかった。ワシントン、ヨーロッパ、国連で、各国首脳の思惑が交錯する。
 真実は、誰の手にあるのか。「大義なき開戦」の裏面を明らかにする、鮮烈のポリティカル・フィクション。『パーマネント・ウェイ』に続いておおくりする、待望の第二弾。
 ≪ここまで≫ 

 イラク戦争が起こるまでを、実在の政治家が実際にしゃべった言葉を使って書いた戯曲です。実際に話された言葉のインパクトって凄いですね。
 最初の内は引き込まれていたのですが、誰が誰の役だとか、どういう進み方をするのかがわかってくると、徐々に役者さんの演技が気になるようになりました。「こういうテンポで、こういう感情で、こんな風な動きをして、話せ」という指示どおりに、必死で演技をしようとしているように見えてしまい、痛々しくて、次第に舞台を観られなくなってしまいました。前作よりはずっとましでしたけど、中盤はほとんど声だけを聞いていました。あと、セリフを間違うのが多かったですしね。

 終盤でサダム(イラク)が大量破壊兵器がなかった(もしくは、あったけど処分した)という書類をちゃんと提出しなかったことで、ブレア首相が非情に困ったことになるあたりから、面白くなりました。ただの朗読のようなスタイルだったら、おそらく意味が分からなかったと思います。
 それにしても、政治って本当に・・・気持ち悪いなって思いました。すみません、私はこういう、取引とか駆け引きとかがすごく苦手なんです。苦手だからって逃げちゃだめだとは思うんですけど。外交って大変ですね(あぁ他人行儀ですみません)。

 最後のイラク国民のセリフがすごく良かったです。「イラクが自国の国民の中からリーダーを選ばない限り、イラク国民の不幸は続くだろう。」「頼る相手を間違っている。アメリカは何もやってくれないよ。自分のことは自分でやらなきゃ。」※セリフは正確ではありません。私が取った意味で書きました。

 装置はタイヤや樽、木箱などが積み上げられている狭い倉庫のような空間で、舞台正面奥が大きな出入り口になっています。ブレア首相が下手面側のロッカーの中にずっと居るのが面白かったです。

 ≪ポストパフォーマンストーク≫
 坂手洋二さんと松岡和子さん(翻訳家・演劇評論家)のお話が聞けました。私は坂手さんのことも松岡さんのことも大好きなので、この日にしたようなものです。

 今作がイギリスのナショナルシアターで上演された時は、抽象舞台で一人の役者が一役ずつ演じ(出演者は約50人)、しゃべる人にスポットが当たるという朗読劇のようなシンプルなものだったそうです。
 坂手:そういうのではとても無理だから、こういう(具体的な)装置を作って、役者を減らして、上演時間を3時間半から2時間半にして・・・。
 坂手:美術は映画『レザボア・ドッグス』のように倉庫の中で男達がぐちゃぐちゃやってるようなイメージ(笑)。
 松岡:この作品をナショナルシアター(国立劇場)でやるっていうのが凄い。イギリスを尊敬する。政治家も観に来ますよね?
 坂手:実際、たくさんの政治家が観に来たそうです。会議の中の会話はヘアーの創作なのですが、ハンス・ブリクス(劇中にも登場する国連監視検証査察委員会委員長)が観に来て「だいたいあの通りの会話だった。もしくはもっとひどかったかも」と言ってたそうです。

≪東京、名古屋、大阪≫
DAVID HARE'S "STUFF HAPPENS" 「ろくでもないことは、おきるものだ」
出演=中山マリ/鴨川てんし/川中健次郎/猪熊恒和/大西孝洋/江口敦子/内海常葉/裴優宇/久保島隆/杉山英之/工藤清美/江口恵美(桃園会)/吉村直(青年劇場)
作=デイヴィッド・ヘアー 訳=常田景子 演出=坂手洋二 美術=二村周作 照明=竹林功(龍前正夫舞台照明研究所) 音響=島猛・鈴木三枝子(ステージオフィス) 衣裳=大野典子 舞台監督=森下紀彦 演出補=吉田智久 文芸助手=久保志乃ぶ・清水弥生 宣伝意匠=高崎勝也 制作=古元道広・近藤順子 制作助手=小池陽子 Company Staff=桐畑理佳 樋尾麻衣子 向井孝成 宮島千栄 小金井篤 協力=桃園会 青年劇場 コーディネーター=マーティン・ネイラー イラスト=石坂啓
ポストパフォーマンストーク 16(月):西堂行人(演劇評論家・近畿大学教員)/17(火):松岡和子(翻訳家・演劇評論家)/18(水):常田景子(翻訳家)/19(木):谷岡健彦(東京工業大学助教授)/20(金):高辻ひろみ(世田谷区文化生活情報センター館長)/22(日):保坂展人(衆議院議員)
前売開始=12月11日(日) <指定席>前売¥3,300 当日¥3,600 ペア¥6,000(前売・予約のみ)大学・専門学校生¥3,000 高校生以下¥2,000 ※学生券は前売・当日共通料金 劇団扱いのみ
燐光群=http://www.alles.or.jp/~rinkogun/

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Posted by shinobu at 23:45 | TrackBack

【オーディション】InnocentSphere『ミライキ』出演者募集!!

 InnocentSphere(イノセント・スフィア)の方からオーディション情報をいただきました。
 InnocentSphereは西森英行さんが作・演出する劇団です。2003年のパルテノン多摩演劇フェスティバルでグランプリを獲得し、去年は青山円形劇場が若手有望劇団を後援するAOYAMA FIRST ACTに出場しました(その他の作品のレビュー→)。西森さんは外部での作・演出脚本提供出演もされていますね。
 InnocentSphereは今年シアタートラムに初進出するそうで、その公演の出演者を募集しています。

 オーディションにご興味ある方は「→この記事の続きを読む」をクリック!
 ※1月31日(火)が応募締切です。

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InnocentSphere 次回公演
『ミライキ』 出演者募集!!

2006年6月にシアタートラムで行われる、
InncentSphere本公演『ミライキ』で
キャストとしていくつかの役割を演じながら
作品を一緒に創りあげていただける方を若干名募集します。

私たちと一緒に作品を創り、シアタートラムの舞台に立ちませんか?
ご応募、お待ちしています!


■■日程■■

【一次選考】(二回セット)
Aクラス 2006.2.10(金) 18:00~21:00 / 2.11(土) 18:00~21:00
Bクラス 2006.2.11(土) 13:00~16:00 / 2.12(日) 13:00~16:00

※応募多数の場合は一次選考の前に書類審査を行う場合があります。
A.Bクラスとも、内容は同じです。

※ 基本的にクラスは選べませんが、特に時間的に希望がある場合のみ、
応募書類にその旨を記載してください。

【二次選考】
2006.2.12(日) 18:00~21:00 
※一次選考終了後に合格者を発表します


■■応募資格■■

18歳~50歳の方で4月中旬からの稽古に参加できる方


■■応募方法■■

●プロフィール
 (必須項目:郵便番号、住所、氏名、生年月日、性別、携帯電話番号、メールアドレス、芸歴)
●写真一枚(バストアップ)
●80円切手 1枚

以上3点を同封してください。
※応募書類は返却いたしませんのでご了承ください。


■■応募〆切■■

2006.1.31 必着

■■応募先■■

〒181-0013 東京都三鷹市下連雀 3-37-12-505
InnocentSphere オーディション係宛

■■お問合せ■■

info@innocentsphere.com
※お問い合わせはメールでのみ受付ます。

お申し込みお待ちしております。

有限会社ライドアウト
URL:http://www.rideout-inc.com
E-mail:info@rideout-inc.com

Posted by shinobu at 10:24 | TrackBack

ラッパ屋『あしたのニュース』01/12-02/05THEATER/TOPS

 メルマガでも何度もご紹介させていただいておりました、鈴木聡さん作・演出のラッパ屋の新作です。やっぱり涙ボロボロ~・・・。メルマガ号外を発行いたしました!
 2/5(日)までです。チケットぴあでもイープラスでも予定枚数は終了。当日券は毎公演用意されていますが(開演の1時間前より販売開始)、終盤に近づくに従って争奪戦が激しくなるのは必須!『ダークマスター』と同じです!

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 ≪あらすじ≫
 舞台は茨城県取手市のとある町の豆腐屋“万年豆腐”。裏には取手市民新聞社があり、記者たちが気軽に出入りしている。店主の西島一朗(おかやまはじめ)は豆腐作りしか能のないほがらかな男だが、最近はキャバクラ通いも趣味になってきた。娘2人は仕事に就いているし、アルバイト(中野順一朗)を雇って仕事も安定しており、豆腐作り以外のことにも興味が出てきたからだ。
 ある日、妻の響子(大草理乙子)が話があると言って一朗を呼び出した。取手市をあげてのエコ・プロジェクトに、本格的に参加したいというのだ。彼女もまた“豆腐屋の女房”以外の人生に目を向けたらしい。「あなたが今のままなら離婚も辞さない」という響子の強気の態度に、一朗はグラグラ、おろおろ。そこに飛びついたのが新聞記者の横澤(福本伸一)だった。熟年離婚についての情報がのどから手が出るほど欲しかったのだ。
 一朗と響子の記事が新聞に載ると、名を挙げた響子はプロジェクトのリーダーに抜擢される。どんどん活発に、美しくなっていく妻を見ながら、一朗はどうにかして妻を振り向かせたいと思うようになり・・・。
 ≪ここまで≫

 ちょっと笑いが少なめな気がしましたが、それは私が感情移入しすぎたせいかもしれません。いつものラッパ屋の笑いを期待して良いと思います。

 ありのままの気持ちを言葉に出したり、本当のことを文章にすることは、小さな頃は簡単にできました。でも大人になって世間を知り、さまざまなことを学び、しがらみにまみれていく内に、利害や損得を考えるようになって、本当のことから遠ざかってしまうことが多くなっていく気がします。
 私はこうして観劇感想をインターネットに公開し続けていますが、強く心がけているのは、感じたままを愛情を持って書くということです。この作品は、そんな私の背中を押してくれました。そして私も含め誰もが簡単に陥ってしまう甘い罠について、わかりやすく教えてくれました。

 ここからネタバレします。

 新聞記者の横澤(福本伸一)と一朗(おかやまはじめ)が組んで、ユウガタナキガエルについての嘘のニュースをつくり出すシーンで、胸が苦しくなって涙が出てきました。
 エコ・プロジェクトの本当の目的のさもしさ、そして目的からどんどん外れてエスカレートしていく様は、滑稽を通り越して悲しみに満ちています。
 フランス人の女の子の簡潔なセリフが胸に刺さりました。
 「It's not journalism. It's advertisement!(それは報道じゃない。広告だ!)」

 嘘をつくのは簡単です。でもその嘘から生まれる罪は大きく、罰は決して軽いものではありません。嘘をつくと、自分が汚れる気がします。劇中では一朗がついた嘘で水が汚れ、彼の豆腐が汚れることになりました。
 人間は弱いですね。でも、ドロに汚れた水はまた澄んだ水に戻ってくれました。絶望することはないのだと思います。

 実の娘(弘中麻紀)に取材を受けて、“あしたのニュース”を夜通し起きて待っている一朗(おかやまはじめ)の背中がかっこ良かったです。オペラ『蝶々夫人』で蝶々さんがピンカートンを寝ずに待ち続けるシーンと重なりました。シチュエーションも意味も違いますけど、その背中に“本当”があるのは同じだと思いました。

≪東京、大阪、北九州≫
出演=おかやまはじめ/木村靖司/福本伸一/弘中麻紀/岩橋道子/大草理乙子/熊川隆一/宇納侑玖/岩本淳/武藤直樹/中野順一朗/ジュリ(客演)
脚本・演出=鈴木聡 舞台美術=キヤマ晃ニ 照明=佐藤公穂 音響=島猛(ステージオフィス) 衣裳=木村猛志(衣匠也) 大道具=夢工房 小道具=高津映画装飾 酒井詠理佳 演出助手=則岡正昭 舞台監督助手=藤林美樹 舞台監督=村岡晋 山本修司 宣伝美術=セリザワ啓ニ 冨宇加淳 印刷=竹内美術印刷 舞台写真撮影=木村洋一 票券=日原国子 制作=早川晃子 制作協力=Me&Herコーポレーション 企画・製作=ラッパ屋
全席指定 前売・当日共4,500円
公式=http://homepage3.nifty.com/rappaya/

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Posted by shinobu at 00:50 | TrackBack

メルマガ号外 ラッパ屋『あしたのニュース』

 ラッパ屋『あしたのニュース』
 01/12-02/05THEATER/TOPS
 全席指定 前売・当日共4,500円
 ≪東京、大阪、北九州≫
 ※公演詳細はこちら

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 “しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.25  2006.01.17  767部 発行

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   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪


★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ラッパ屋『あしたのニュース』
 01/12-02/05THEATER/TOPS
 ≪東京、大阪、北九州≫
  ☆脚本・演出=鈴木聡
   全席指定 前売・当日共4,500円
   http://homepage3.nifty.com/rappaya/

 ◎観劇後のコメント◎
  
  舞台は茨城県取手市のとある豆腐屋。
  女房に離婚を切り出された豆腐屋の主人は、
  女房を見返したくて、豆腐作り以外のことをやろうと躍起になる。
  隣りで働く新聞記者も、特ダネが欲しくて走り回っていた。
  そんな2人がやったことは・・・。

  偽装や捏造が次々と明るみに出ている今の日本で、
  本当のことがなぜ大事なのか、
  嘘をつくことがなぜいけないのかを教えてくれます。

  いつもより笑いの量は少なめかもしれませんが、
  信念と愛情はたっぷりです。


  作・演出の鈴木聡さんの作品には本当にハズレがありません。
  3月の『ハゲレット』も楽しみですね。
   http://wwwz.fujitv.co.jp/events/stage/st060309hagelet.html

  過去作品のレビューはこちら↓

  ・パルコプロデュース ミュージカル・コメディ
   『最悪な人生のためのガイドブック』05/13-29パルコ劇場(2005年)
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0612104420.html

  ・青年座『妻と社長と九ちゃん』04/08-17紀伊國屋ホール(2005年)
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0416121631.html

  ・ラッパ屋『裸でスキップ』01/3-25THEATER/TOPS(2004年)
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0112192121.html


 《チケットについて》

  ・東京公演はチケットぴあ、イープラスともに前売り完売です。
   当日券は開演の1時間前より販売開始。
   毎ステージ用意されていますので、どうぞゲットしてください。

  ・チケット料金
   全席指定 前売・当日共4,500円


 《お問い合わせ》

   ラッパ屋 TEL 080-5419-2144
    http://homepage3.nifty.com/rappaya/
   THEATER/TOPS TEL 03-3354-6497(ロビー)
    http://members.at.infoseek.co.jp/theatertops/   

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 ◆ 【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◎こちらもお薦めです!どうぞ見逃さないでください!
  庭劇団ペニノ『ダークマスター』
  01/12-22こまばアゴラ劇場
  http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0115174456.html


 ◎朝日舞台芸術賞の事務局に勤務しています。
  http://www.asahi.com/shimbun/award/stage/
  1月31日に贈呈式があります。豪華なパーティーになりそうです♪
  

 ◎2005年11月にセミナーにゲスト出演いたしました。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1107002836.html
  セミナー開催を希望される方は、是非ひとことお寄せください!
   ⇒ shinobu@mtr-standard.co.jp (件名は「セミナー開催希望」で)
  まとまった人数のご希望があれば再度開催の可能性が・・・♪


 ◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
  私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載されています。  
   http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31442121


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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