2006年01月22日
boku-makuhari『突端の妖女』01/09-22名曲喫茶ヴィオロン(阿佐ヶ谷)
boku-makuhari(ボクマクハリ)は岩崎裕司さんが作・演出する演劇ユニットです。岩崎裕司さんは青年団に所属する劇作家・演出家・俳優なんですね。オールツーステップスクールから笠木泉さんのお名前で宣伝メールが届き、ホームページを見て面白そうだと思ったので予約しました。
ヴィオロンに詰めぎみの客席で1時間50分はちょっと環境的につらかったですね。目の前でかなりハードな事件が起こるので、私には刺激も強すぎたかも。前売り1000円っていうのはとっても安いと思います。
レビュー⇒LIVESTOCK DAYS、ほぼ観劇日記、小劇場系
≪あらすじ・作品紹介≫公式サイトよりそのまま引用。(役者名)を追加。
「突端」とは「先っぽ、先端」という意味の他に、「行き止まり」という側面もある。突端に昇った妖女は、これからどうするのか、そらに飛び立つとでも言うのだろうか…。
これは異様に高い火葬場の煙突が象徴的な町に住む人々のお話。
7年ぶりに帰ってきた姉(笠木泉)と、それを迎える周りの人々。
かつて姉と交際していた女(青山麻紀子)。その女を慕う女子高生(本田怜麻)。その女子高生を追いかける古文の教師(佐藤幾優)…、「複雑に絡み合いそうで絡まない人間のメチャクチャ」をさらにグチャグチャにかき混ぜて、最後に艶っぽいと行きと一緒に投げつけるボクマクハリ第5弾!
≪ここまで≫
公演は終了していますので、ネタバレします。物語については小劇場系が非情に詳しいです。
外国から実家に帰ってきた姉・明美(笠木泉)の弟は美津夫(西山竜一)。彼には恋人のジュン(柳沢茂樹)がいて、つまり彼等はゲイのカップルです。幕開けからいきなり彼等がセックスをしている声が聞こえるという高刺激。一見普通の人たちが普通の会話を交わすスタイルの静かな演劇でしたので、何かと生々しいんですよね。私には・・・つらかったです。
名曲喫茶ヴィオロンはその名のとおり喫茶店で、客席は1ステージにつき25席限定です。喫茶店の中央でお芝居が上演されますが、客席に座った状態で足が役者さんに当たるぐらいの密着度です。そこでパンツ一丁の男の人が(しかもついさっきまでセックスしていた人が)動き回る・・・キツかった・・・。
農業をやってたり、東京に出る相談をしていたり、舞台になっている街はかなりの田舎のようです。ヤクザがそうめんで生業を立てているとか、ちょっと笑える設定もあります。ヤクザの坊ちゃん(稲見隆洋)はもともと田舎の雰囲気があるキャラクターですが、他の役者さんは田舎の人に見えませんでした。だから、プライバシーが開けっぴろげな状態が、しっくりこなかったです。
また、ヤクザの坊ちゃんがどもるのとか、古文の先生(佐藤幾優)がにやにやしながらブラジャーを干すとか、その他の苦笑を誘う設定についても、何かしらわざとらしさが鼻について私は笑えなかったし、見ているのもちょっと苦しかったです。
同性愛者で異性を差別する人って実際にいますよね。このお芝居ではジュンがそういう人物として描かれていました。例えば気を失った女性を起こすのに、顔に水を吹きかけるとか。あからさまに女性に対してひどい態度をとります。そういう人物なんだと思って受け入れればいい事なのですが、私はどうにも不快でした。今、すごく身近にありながら見過ごされている差別だと感じていまして、普段から気にかけているので。そういうことも狙いに入っているのかもしれませんが。
明美が「自分が自分の味方だって、どうしてわかるの?」と言うのに共感。その明美に対して素直に、まっすぐに向き合うナツも美しかった。
役者さんは明美役の笠木泉さんがかっこ良かったです。
boku-makuhariは、いつか劇場でお芝居を上演される時にまた伺おうかと思います。
出演=青山麻紀子/笠木泉/本田怜麻/柳沢茂樹/西山竜一/佐藤幾優/高屋七海/稲見隆洋
作・演出・宣伝美術・総合製作=岩崎裕司(昨年「最高の前戯」で、かながわ戯曲賞受賞)
boku-makuhari=http://boku_makuhari.at.infoseek.co.jp/
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地点『Jericho(エリコ)』01/19-22シアタートラム
三浦基さんが演出する地点は去年、活動の拠点を東京から京都に移されました。それから初めての東京公演は松田正隆さんの戯曲の2作品連続上演です。『Jericho』は内田淳子さんとピエール・カルニオさんの二人芝居。
地点は2度(1、2)拝見してその凄さに感服し、三浦さんの作品にはできるかぎり足を運びたいと思っています。
こちらの舞台写真がお芝居が始まったばかりの風景です。この時点でもう緊張感がビリビリ来ていました。白いワンピースに白い帽子の女(内田淳子)は、顔が見えないからさらに目を引きます。上手後方に立っている男(ピエール・カルニオ)も、包帯で顔が見えません。ちょっと怖いです。
古びた木の机の上に座ったまま、女は早口ではきはきと話し始めます。きりりとした語り口と、ときどき素っ頓狂な発音になる単語たちに引き込まれて、じーっと彼女を見つめていました。後方にいた男が前方に出て来て彼も話し始めるのですが、ちょっとなまった日本語です。包帯を取ると金髪。あぁ、白人なんだな、西洋人なんだな、と思ってそのまま聞いていましたが、違和感が沸いてきました。
タイトルのJericho(エリコ)というのは地名で、女はポーランドから妹が待つエリコに行く旅の途中なのです。砂漠の道の昼下がりに、日本人の女と白人の男が、日本語を話している・・・。役者さんが2人とも日本人だったら別にひっかからなかったと思います。男性がフランス人なのには、何か意味があるのかしら。
男はどうやら彼女の死んだ夫であるとわかり、女は男の隠し子を引き取ったが、途中ではぐれてしまって・・・という辺りまでは記憶があるのですが、そこからはうとうととしてしまい・・・。意味がわからない、意図がわからない、という状態が長く続きすぎました。私の教養不足のせいかも。あと、許容範囲が狭いのかも。フランス人の日本語への違和感がぬぐえず仕舞いでした。
舞台奥のスクリーンに文字が映写されましたが、意味を汲み取りにくい言葉が続いたので、あまり心には入って来ずでした。※読者の方より情報をいただきました。映写されていた文字は、新約聖書の言葉だそうです。
終演後にロビーで戯曲本(600円)を買って帰りました。読んでやっとわかったのですが、これはワルシャワに住んでいて、ゲットーに強制連行されたユダヤ人の話なのですね。読んでから観れば良かったとちょっぴり後悔しました・・・。だって、読んだらすごく面白かったんだもの。
来週の2作目を楽しみに待つとします。
≪京都、東京≫
「Jericho」出演=内田淳子/Pierre CARNIAUX(ピエール・カルニオ)
2003年7月に京都芸術センター、2005年4-5月のフランス2都市を経て、東京初演。
作=松田正隆 演出=三浦基 舞台美術=杉山至×突貫屋 照明=吉本有輝子 音響=堂岡俊弘 映像=山田晋平 舞台監督=西田聖 演出助手=村川拓也 宣伝美術=京 制作=田嶋結菜×橋本制作事務所 主催=地点 提携=世田谷パブリックシアター 助成=THE SAISON FOUNDATION 芸術文化振興基金 協賛=資生堂 京都芸術センター制作支援事業
発売=11月15日 一般前売3,000円/一般当日3,500円、学生前売2,000円/学生当日2,500円(要学生証)、2演目セット券5,500円(前売のみ地点にて取扱い)
公式=http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-48.html
地点=http://www.chiten.org/
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映画「運命じゃない人」(配給:クロックワークス)
「運命じゃない人」は上映中に信用できるクチコミが複数あったので、見てみました。楽しかった~♪
監督・脚本は内田けんじさん。PFFスカラシップを受けての初の劇場版長編です。海外で色んな賞を受賞しています。※DVD発売中。
役者さんが地味で、しっかり演技されていて良かったです。アイドルとかスターとかが出ていると、不要なアップとか異様に盛り上げる音楽とかシーンとかがあって、ウザイんですよね。でもこの映画では撮り方やセリフも含め、作品としてしっかり楽しむことが出来ました。
ジャンルはサスペンスになるんですね。なるほど、確かに・・・(笑)。
さて、調子に乗って今回も五つ星評価をしちゃいます。
★☆☆☆☆ お薦めできない
★★☆☆☆ 好みじゃないけど観てよかった
★★★☆☆ 面白かった
★★★★☆ お薦めです
★★★★★ 人生変わるほど感動!
「運命じゃない人」は ★★★☆☆です。
ちょい辛口かもしれませんが、まあ「お薦め」まではいかないかな、と。
■第14回PFFスカラシップ作品 ■2005年カンヌ国際映画祭〈批評家週間〉正式出品作品 ■フランス作家協会賞(脚本賞) ■最優秀ヤング批評家賞 ■最優秀ドイツ批評家賞 ■金のレール賞(鉄道賞)
出演=中村靖日/霧島れいか/山中聡/山下規介/板谷由夏/ほか
監督・脚本=内田けんじ 製作=矢内廣/中村雅哉/児玉守弘/黒坂修/高野力 撮影=井上恵一郎 照明=鳥越正夫 美術=黒須康雄 音楽=石橋光晴 衣装=佐野あずみ/永井伸子 配給=クロックワークス 2004年/日本/98分/ビスタ/モノラル/カラー
公式=http://www.pia.co.jp/pff/unmei/
内田けんじの『運命じゃない人』ブログ =http://uchidakenji.at.webry.info/
データ、写真あり=http://www.minipara.com/movies2005-2nd/unmei/
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東宝ミュージカル『ベガーズ・オペラ』01/08-31日生劇場
ブレヒトの『三文オペラ』が好きだし、内野聖陽さん目当てで(笑)チケットを取りました。
う~ん・・・退屈しちゃって第1幕だけで帰ってきてしまいました・・・ごめんなさい。休憩2回(20分と10分)を含む3時間30分という上演時間にもひるみました。
ストーリーはこちら。一歩ずつ一歩ずつ、同じようなテンポで展開するのがつまらなかったです。歌もパワーが伝わってきませんでした。
開演前にお客様に小道具を出させたり、ほうきで舞台を掃除させたり、かなり温かい客いじりがあります。ステージサイド・シートという席は楽しそうですね(お尻が痛いらしいですが)。ベガー(乞食)が上演する音楽劇ということで、みすぼらしげな衣裳の役者さんたちが客席からわんさか、ざわざわと現れます。
そもそもベガーってのが私の好みじゃないんです。『レ・ミゼラブル』でも貧民街が苦手でした。ミュージカルはチケット代が高いし劇場は広いし、最低でもハッピー&ゴージャスなものは欲しいのよね・・・というのが私のスタンスですね。
『エリザベート』は現実にはありえない幻想世界と、内野さんのけれん味あふれる死神演技が色っぽくて好きでした。でも今作の内野さんは、けっこう普通。出てきてもあんまり内野さんってのがよくわからなかった。まあ1幕ですしね、2幕、3幕と続くのだから見せ場は後半にあるのでしょう。先に帰った私が悪いのです。
<ジョン・ケアードによるイントロダクション>より一部引用。
ジョン・ゲイが「ベガーズ・オペラ」を書いたのは、1727年。今から278年前です。
【中略】
初演から二百年以上経ったところで、ベルトルト・ブレヒトが「ベガーズ・オペラ」を自由に改作してドイツで上演し、タイトルも「三文オペラ」としました。ただし劇作品としては原作のほうがずっと優れており、ブレヒトの多くの作品とちがって、年月を経ても古くなっていません。永遠の若さを保っている「ベガーズ・オペラ」は、英国では18世紀演劇の名作と考えられています。
<引用おわり>
演出のジョン・ケア―ドさん、はっきりと言い切ってらっしゃいますね。驚きました。
原作=ジョン・ゲイ 翻訳=吉田美枝 演出・脚色=ジョン・ケアード 音楽=イローナ・セカッチ
出演=内野聖陽/高嶋政宏/村井国夫/橋本さとし/金田龍之介/島田歌穂/笹本玲奈/森公美子/入絵加奈子/高谷あゆみ/山崎直子/山崎ちか/泉里沙/宮菜穂子/小此木麻里 /三谷六九/水野栄治/小西のりゆき/kuma/川本昭彦/幸村吉也/照井裕隆/村上勧次朗/原田優一
S-12000円 ステージサイド・シート-10000円 A-6000円 B-3000円
公式=http://www.toho.co.jp/stage/beggars_opera/welcome-j.html
ぴあ=http://t.pia.co.jp/promo/play/beggars_opera.jsp
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