2006年02月15日
TBS『レインマン』02/03-19東京グローブ座
映画『レインマン』の舞台化の世界初演です。映画公開ははるか17年前なんですね~、映画館で見たな~・・・。で、舞台ですが、映画よりもずっと良かったです!
4人芝居でチケット代が8500円って高いよな~・・・と思って、A席7000円を買ったんですが、絶対近くで見るべきでした・・・・今週末で東京公演は終わりますが、土日は完売で、明日、あさっては空席が有るそうです。どうぞお問い合わせください⇒チケットスペース 03-3234-9999
ネット上の記事⇒朝日新聞、読売新聞、イープラスtheatrix!(1、2、3)
レビュー⇒IT'S SHOWTIME!!
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レビューを全アップしました(2006/02/16)。
≪あらすじ≫ 公式サイトより引用。(役者名)を追加。
幼い頃に母親を亡くし、厳格な父に育てられたたチャーリー(椎名桔平)。父親の真の愛情に気付くことなく、憎しみだけを抱いたまま家を飛び出し孤独に生きてきた。そんな彼にやってきた人生最大の転機、それは父親の死から始まった。恋人・スザンナ(パク・ロミ)を連れ、遺産目当てに帰郷した彼は、ほぼ全ての遺産を相続する実の兄がいることを知る。ブルナー医師(大森博史)のもと施設で暮らす自閉症の兄・レイモンド(橋爪功)。スザンナの忠告にも耳を傾けず、遺産欲しさにレイモンドを連れ出すチャーリー。全く違う人生を歩んできた二人の過去が、ロスに向かう旅の中で徐々に明らかになっていく。不器用で人間らしく、繊細な二人の心の対話はやがて長い空白の時間をも埋めていき・・・・・
≪ここまで≫
美術は抽象舞台で、モノトーンを基調としたシャープな印象です。机やイス、ベッドは透明・半透明のアクリル製(であろう)ボックスが多用され、黒い床に生えます。長細いステージの真ん中が白い壁で仕切られてニ分割されており、それぞれが八百屋舞台になっています。回り舞台なのでシーンごとに回転して、かなり動きがあります。舞台写真はこちら(音が出ます)とこちら。
原作戯曲や小説はなく、映画をそのまま舞台化していますので、内容はかなり変わっていました。まずチャーリーの職業がネットトレーダー(インターネット上で株の売買をする人)になっていました。これは椎名桔平さんのスマートなルックスとも合っていますし、今の時代にもばっちりフィットしていました。
また、映画はいわゆるロードムービー的要素が強いのですが、この舞台は父と息子、そして家族の愛を発見していくドラマであるということが、まっすぐに伝わってきました。父親に愛されなかったと信じ込んで、堅く閉ざされていたチャーリーの心が、実の兄レイモンドとの出会い、語らいによって、するするとほどけるように柔らかく開いていきます。
登場人物それぞれのバックグラウンドが役者さんの佇まいや対話からしっかりと現れていたので、4人芝居とは思えない世界の広さと分厚さがありましたね。
特にレイモンド役の橋爪功さんのぶっきらぼうな優しさが嬉しくて仕方なかったです。私はダスティン・ホフマンがあんまり好きじゃないんですよね・・・。不恰好な役を進んで選んでいるように見せて、実はいつも自分が一番目立って、好かれるように演じている、計算高い人な気がするからです(勝手ですみません)。
橋爪さんのレイモンドはダスティン・ホフマンのそれとは全く違いました。彼は自分が自閉症であることを自覚し、しっかりと受け止めています。それを踏まえて他人と付き合う覚悟があります。人に優しくしたい、愛したい、抱きしめたい、だけどできない自分をすごく歯がゆく思っています。そして優しくしたいと同時に優しくされたい自分にも気づいており、それをおずおずと態度に示そうとするのが素直で愛らしいです。一見カチカチに固まっているように見えるレイモンドの方が、実は健常者であるチャーリーよりもずっと柔軟で心が広いということが、橋本さんの演技で瞬間的にわかりました。だからこそチャーリーが変化するのです。
ここからネタバレします。
チャーリーが心のよりどころにしていた空想の人物レインマンとは、実はレイモンドのことだったがわかるシーンが、とても静かにやってきました。ジャジャーン!と、いかにもすごいことが起こったような演出でなくて良かったです。チャーリーの体中のやけどの本当の理由もわかり、チャーリーとレイモンドの父親、母親、そしてその4人家族の歴史が鮮やかに私の胸の中に浮かんできました。
父親の遺言では、チャーリーには愛車ビューイックとバラ園、残りの大金300万ドルをレイモンドに遺すことになっていました。チャーリーは最初、それが不服でレイモンドを誘拐したのですが、レイモンドとバスで旅をする内に、大切なのはお金じゃないということが徐々にわかってきます。だって自分はうなるほどのお金を持っているけれど全然幸せじゃないんですものね。父親はチャーリーのことを本当に愛していたんだなって思いました。だって自分が最も愛し、大切にしていたものを、チャーリーに贈ったんですから。
映画ではレイモンドの暗記能力をギャンブルに利用するシーンがありましたが、そういうところが全カットされていたのが素晴らしいと思います。
最後にチャーリーとスザンナが赤ちゃんを連れてレイモンドに会いに行くという、大胆なハッピーエンドにも共感できました。ラストシーンでは2人の間(もしくは人間の心)を閉ざしていた白い壁が倒れていて、その奥にあった森林を思わせるスクリーンが広がりました。美しかったです。
レイモンドが昔、チャーリーを抱きながら歌っていたのはビートルズの"good night"(リンゴ・スターがヴォーカル)でした。かかる回数がちょっと多い目かなとも思いましたが、柔らかく優しいムードでした。
チャーリーが「(病院に)帰る」と言ってきかないレイモンドを説得しようとして、「いろんなことに、ゆっくりと慣れていけばいいんだ」と言います。これはチャーリーの口から出たとは思えない言葉でした。こういう言葉を、実生活で自分が言えるようになりたいです。
椎名さんも橋爪さんもサッカーがお上手ですよね!2人でリフティングが20回続くまでやってくださって、サービス満点!・・・かと思ったら、20回続いた後に喜んで抱き合ったあの瞬間が、2人が初めて触れ合った時だったんですね。その決定的なシーンをライブで見せてくださるなんて、素晴らしい演出だと思います。
橋爪功さん。レイモンド役。自閉症を決しておおげさにならず、キュートに見せてくださいました。『シラノ・ド・ベルジュラック』でも大感動したんですが、橋爪さんって本当に優しい方ですよね。膨大なセリフのぼう読み(笑)が圧巻。
椎名桔平さん。チャーリー役。やっぱりカッコイイ役がいいですね、椎名さんは。クールなスーツがよくお似合いです。椎名さんもたくさんのセリフをさらりとこなしてくださいました。
パク・ロミさん(漢字が載せられません)。チャーリーの恋人のスザンヌとダイナーのウェイトレス役の2役。スタイルいいわ~、みとれたわ~。演劇集団円の方なんですね。声優さんで、歌手なんです。この公演で一気にファンが増えそう。
大森博史さん。医師役。何の問題もない。素晴らしい。
"Rainman" Based on the Metro-Goldwyn-Mayer motion picture written by Barry Morrow
≪東京、大阪、名古屋≫
出演=椎名桔平/橋爪功/朴ろ美(パク・ロミ。ろは王へんに路)/大森博史
演出・脚本=鈴木勝秀 原作=バリー・モロー 音楽=横川理彦 美術=二村周作 照明=倉本泰史 音響=井上正弘 衣裳=原まさみ 演出助手=長町多寿子 舞台監督=二瓶剛雄 プロデューサー=河出洋一(TBSテレビ) 主催・企画・製作=TBS
22ステージ。(月)休演。2005年10/15発売開始。S¥8500 A¥7000 ※未就学児童の入場不可。
劇場=http://www.tglobe.net/
チケットスペース内公式=http://www.ints.co.jp/rainman/index.htm
TBS=http://www.tbs.co.jp/event/rainman.html
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【スナップ】表参道、平日なのに大混雑
表参道の歩道
写真は原宿駅から表参道方面に歩いていく時の風景です。真ん中に道が有るんですが、人で埋まっているのがおわかりいただけますでしょうか?・・・・びびった。いつもは原宿方面へ行く道の方がずっと混んでるんです。表参道ヒルズ効果ってことですね。オープンの日はレストランの待ち時間が2時間だったとか。恐ろしくて近づけません(笑)。
劇団青年座『評決-昭和三年の陪審裁判』02/11-19紀伊國屋ホール
『十二人の怒れる男たち』『12人の優しい日本人』のような法廷劇です。お芝居の内容が明快にわかるチラシに惹かれて観に行きました。
2009年(平成21年)5月までに日本でも裁判員制度が始まるそうです。劇場入り口でチラシの束と一緒に法務省からの冊子も配られました。
レビュー⇒のっぱさんの観劇日誌
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより引用。
「違います!」
憂いを秘めた被告・吉田静子の悲痛な叫びが法廷に響き渡った。
その罪は放火殺人
夫と姑を焼死させたのだ
床屋・写真館・蕎麦屋・化粧品外交員・踊りの師匠・退役陸軍大佐・銀行支店長代理・古物商・呉服問屋・円タク運転手・撮影所所長・百姓
様々な職業の十二人の男たちが東京地方裁判所に集められた。
「あの女は絶対にやっているよ」「目許といい唇といいあれは正しく‥‥」「いやもっと分別のある女じゃないか}「‥女優にしてもいいくらいだべ‥へへ」「私は黒だと思うね」「でも女はやってねって」「嘘に決まってるじゃないか」「おらあ‥ほんとうに分かんねえす」
決め付け、戸惑い、無関心、心配事
様々な人間模様の渦巻く中、真実に向き合わされた十二人の日本人が出した結論とは?
昭和三年から十五年間、日本でも陪審裁判が行われていた。
≪ここまで≫
わかりやすいけど・・・物足りなかったですね。楽しめなかったわけではないですけど。日本でも3年後までに裁判員制度が始まるということで、もし自分が裁判員(このお芝居では陪審員)になったら・・・と想像しながら観ることにしました。三日三晩、宿舎に閉じ込められて、電話もテレビもラジオも(インターネットも)使用禁止されて、人の生死を決める判断を下さなきゃいけないなんて・・・・超イヤですね(苦笑)。「自らの良心に沿って、陪審員の責務を果たす」ということはとても大切だと思いました。
ここからネタバレします。
よぼよぼの老人の姿の大家仁志さんが、自分が参加した陪審裁判を回想する形式です。その老人の演技が・・・ありきたりだし、美しくないし、声をわざと汚くしていて、鑑賞に堪えなかったですねぇ。そういう演出なのでしょうけど。裁判シーンで大家さんは化粧品(男性用ポマード)の販売員役の高井役ですが、その他に証人の警察官の役も演じられるし、途中でストーリーテラーのように老人に戻ったりもします(衣裳は販売員のまま)。大家さんオン・パレードです。これはイマイチでした。次々と色んな役者さんに、証人や陪審員を演じて欲しかったですね。
裁判自体はスムーズなんですが、法廷が終わって宿舎に戻ってからや、12人で審議するシーンで盛り上がります。これた見どころですよね。しかしながら、どうしても『12人の優しい日本人』と比べてしまうので、脚本に描かれている細かい心の揺れやどんでん返しなどは、満足のいくクオリティではなかったです。演出(演技)についても、何かとすぐにガミガミ怒鳴るようなセリフにしちゃうのに食傷気味。
紅一点の出演者で被告役の那須佐代子さん。やっぱりきれいでした。私、那須さんが好きなんです。それで観に行こうと思ったのもあります。あと、蟹江一平さんにも注目しているんですが、今回は残念ながらそれほど光ってなかったですね。まあそういう演出なんだと思いますが。
かなり辛口に書いてますが、知識として観る分には問題ない演劇だと思います。
出演=平尾仁/山野史人/井上智之/大家仁志/若林久弥/益富信孝/蟹江一平/山口晃/永幡洋/青木鉄仁/嶋崎伸夫/川上英四郎/那須佐代子/堀部隆一/長克巳/豊田茂
NTV水曜グランドロマン「帝都の夜明け」から 協力=(株)近代映画教会 作=国弘威雄/斉藤珠緒 演出=鈴木完一郎 照明=中川隆一 音響=高橋巌 舞台監督=安藤太一 製作=森正敏
一般前売り1/12(木) 一般席5,000円 休演日=2/16(木) ※2/11(土)、2/13(月)=インターネット特定日割引(4,000円)あり 各日10枚 ネット予約 4,500円 ゴールデンシート(65歳以上)4,000円 ユニバーシート(大学・各種学校生)3,500円 チェリーシート(高校生以下) 2,500円 グループ割引あり
公式=http://www.seinenza.com/performance/public/182.html
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