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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年01月17日

シス・カンパニー『禿禿祭(はげちびさい)』01/16-25世田谷パブリックシアター

 テレビでもお馴染みの高橋克実さんと八嶋智人さんペアのお祭。ハゲとチビで禿禿祭とはストレートなネーミングですよね(笑)。第1部で岸田國士の二人芝居『命を弄ぶ男ふたり』を上演し、第2部はゲストを招いてのトーク(毎回違う人)になります。演出はケラリーノ・サンドロヴィッチさん。
 私が伺った回のゲストは三谷幸喜さんでした。上演時間は約1時間50分(休憩15分を含む)ですが、日によって(ゲストによって)第2部の長さは変わりそうですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『禿禿祭(はげちびさい)』

 第1部の二人芝居は残念ながら本調子じゃなかったようですが、トークは三谷さんの周到な準備・計画にすっかりハマってしまいました。「やっぱり三谷さんって凄い人だなぁ」とじっくり味わいながらの帰り道になりました。

 会場は立見のお客様で通路までびっしり。ゲストが毎回変わりますからファンなら毎日通いたくなるでしょうね。「昨日のゲストは古田新太さんだったんですが・・・」と、昨日の話が聞けるのも楽しいです。

 ここからネタバレします。

■第1部 命を弄ぶ男ふたり 
 作=岸田國士 演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 出演=包帯をした男:高橋克実/眼鏡をかけた男:八嶋智人

 ≪ものがたり≫ 公式サイトより
 鉄道線路脇の土手で、偶然出会った男ふたり。
 実は、それぞれが耐え切れぬ事情を抱え、自ら命を絶とうと出向いてきた。
 互いの身の上を語り合ううちに、ふたりの心によぎるさまざまな思い。
 さて、どちらが先に実行するのか、見届けるのか・・・?
 ≪ここまで≫

 線路脇の土手から続く空き地がリアルに作られた美術でした。舞台奥の巨大スクリーンに月や雲などの映像が映されています。『ヴァージニア・ウルフなんてこわくない?』でも感じたことですが、ケラさんって本当に映像と音響を使った演出がかっこいいですよね。

 お芝居自体はお二人とも段取りどおり動いているのがわかってしまう状態で、精彩に欠けました。第2部のトークで「今日は見事に二日落ちでした」と八嶋さんが言っちゃって、さらにがっかり。※二日落ち:二日目の舞台の出来が悪くなること。初日で緊張が解けるせいか、演劇ではとてもよくあることです。
 戯曲は面白いなーと思いました。きっと初日はもっと良かったんでしょうね。残念。


■第2部 ゲストを招いてのトーク
出演=高橋克実/八嶋智人/禿禿娘 ゲスト=三谷幸喜

 第1部とは打って変わってド派手なレビューで開幕。ぴちぴちの“禿禿娘(はげちびむすめ)”さんたちが超ミニのワンピースで歌と踊りを披露し、禿&禿コンビがタキシード姿で登場します。たぶん宝塚のパロディなんだと思いますが、私の感覚ではほとんどディナーショー(笑)。このギャップは楽しかったな~。
 ♪ハゲとチビ ふたり一緒なら微妙におぎなえる♪ (歌詞は正確ではありません)

 「シットコムの作り方」というテーマで始まり、三谷さん主導で短編コメディーをその場で作ることになります。ホストのお二人のご様子からして、どうやら本当に予定外のことだったみたい。
 設定:残業からやっと開放されようとしているサラリーマン2人。上司(高橋克実)が部下(八嶋智人)を呑みに誘うが、部下は彼女との約束もあるし、その上司のことが好きではないので断ろうとする。
 三谷さんの指示通りに真剣に動く二人ですが、三谷さんからはきついダメ出しばかり。でもそのダメ出しがめちゃくちゃ理不尽なので、八嶋さんがタイミングよく反発したりツっこんだり。高橋さんはいつもどおり従順かつ真面目に取り組んで、その姿がいたいたしくも可愛らしく、笑えます。

 出来上がった短編は全くコメディではなく、明らかに悲劇でした。三谷さんが蛍光緑色の縦笛でドナドナを生演奏する中、部下(八嶋)に冷たくあしらわれた上司(高橋)にサスがあたり、緞帳が下ります。照明も緞帳もその場で対応したスタッフさん、すごいわー。

 三谷「岩清水(八嶋)は大島さん(高橋)のことをキライなわけじゃない!」
 八嶋「え?僕は岩清水っていう名前だったんですか?!」

 結局、主役とゲストが登場し、2人芝居を作る工程で予想外のことにあたふたすることを含めて、第2部の全てが“コメディ”だったということなんですね。お見事。

 最後は禿&禿コンビで「青春アミーゴ」を華麗に踊りながら熱唱(笑)。どこまでもおバカに徹したサービスで楽しませていただきました。八嶋さんの反射神経のスゴさにも感心。

出演=高橋克実/八嶋智人/禿禿娘(青島凛/秋山エリサ/荻久保麻衣/黒澤尚子/坂上真倫/佐取こずえ/七海かおる/広瀬愛子/山﨑玲子/米津詩穂)
構成・演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ 美術=二村周作 照明=小川幾雄 衣装=伊賀大介 音響=水越佳一 ヘアメイク=新井克英 舞台監督=福澤諭志+至福団 映像=上田大樹/荒川浩輝 振付=広崎うらん 演出助手=藤田千史 宣伝美術=平田好 写真撮影=加藤孝 プロデューサー=北村明子 提携=世田谷パブリックシアター 企画・製作=シス・カンパニー
『命を弄(もてあそ)ぶ男ふたり』作=岸田國士 演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ
【ゲスト】1/16(火)夜:古田新太/1/17(水)夜:三谷幸喜/1/18(木)昼:ケラリーノ・サンドロヴィッチ/1/18(木)夜:笑福亭鶴瓶/1/19(金)夜:戸田恵子/1/20(土)昼:藤井隆/1/20(土)夜:清水ミチコ/1/21(日)夜:小泉今日子
発売日11/25 全席指定 S席¥6,500 A席¥5,000 補助席¥6,000
公式=http://www.siscompany.com/03produce/16hagechibi/index.htm

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Posted by shinobu at 2007年01月17日 23:11 | TrackBack (1)