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Shinobu's theatre review
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REVIEW

2007年02月23日

庭劇団ペニノ『笑顔の砦』02/22-03/04駅前劇場

 タニノクロウさんにしか生み出すことの出来ない“世界”を見せてくれる庭劇団ペニノの新作(過去レビュー⇒)。とにかく早く観たくって初日に伺いました。『ダークマスター』に続いて久保井研さん(劇団唐組)とマメ山田さんが出演されています。

 またまた丁寧に、リアルに建てこまれた舞台美術。じっくりと約2時間の覗き見をしてきました。観てる方も集中しないといけないので少々疲れましたが、これだけ高品質のものを観られることって少ないと思います。今回も満足♪

 前売り3300円は安いと思います。平日昼公演の“昼ギャザ”もお薦めですよ!(2/23は底値1,800円、2/28は底値2,000円)

 ⇒BACK STAGEの充実の稽古場レポート
 ⇒CoRich舞台芸術!『笑顔の砦

 レビューをアップしました(2007/03/02)。

 あるボロアパートの平凡な日々を、観客は淡々と覗き見します。すぐ隣りで起こっていることを、人間は気づかずに生きていってしまうものですよね。これは同じ家の中の別々の部屋だったり、海を隔てて向かいあう国同士だったり、色んな関係に当てはまるように思いました。

 久保井研さんの鍛えられた肉体がめちゃくちゃセクシー。

 ここからネタバレします。

 舞台はちょうど中央で真っ二つの空間に別れていました。向かって左が漁師の部屋、右が小さな身体の老婆(マメ山田)の部屋。老婆には介護師(五十嵐操)がついています。

 きちっと作られた四幕劇。まさに起承転結です。第三幕でずっとすれ違っていた男(久保井研)と女(五十嵐操)が出会ってしまった時は、もー胸キュンだしドッキドキ。そしてドタバタ・ギャグな展開にもきちんと笑わせていただきました。巧すぎる。

 男が魚をさばき、女が料理をしている(だったと思う)シーンでは、客席から見ると二人は互いに背中を向けています。そのシーンがたまらなくエロティックでした。二人とも、ただ料理をしていたからだと思います。でも、わざとらしくなく段取りどおりに進めるのって、ものすごい稽古量なんじゃないかなって想像しました。そう、庭劇団ペニノってどういうお稽古してるんだろうって、不思議になるんですよね。

≪東京、大阪≫
第17回下北沢演劇祭参加作品
出演:久保井研(劇団唐組)、マメ山田、瀬口タエコ、飯田一期、山田一彰、山田伊久磨、五十嵐操
作・演出:タニノクロウ 舞台監督:矢島健 美術:田中敏恵 照明:今西理恵 音響:中村嘉宏(atSound)/阿部将之 宣伝美術:柘植真弓 メイク:井上悠 WEB:佐田丘仁子 写真撮影:田中亜紀  舞台補佐:玉置潤一郎/山口有紀子 制作統括:樺澤良 制作:島田桃依/河口麻衣 プロデューサー:野平久志 企画製作:PUZZ WORKS/劇団制作社
前売り3300円 当日3500円 2/23(金)、2/28(水)は昼ギャザあり
公式=http://www.niwagekidan.org/

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Posted by shinobu at 12:14 | TrackBack

2007年02月22日

【お知らせ】「CoRich舞台芸術まつり!2007春」の審査員になりました

 ただいま公募中の「CoRich舞台芸術まつり!2007春」の審査員になりました。
 関連エントリー⇒
 fringe blogにも記事を書きました。

 5人の審査員は下記の通り(公式発表順)。

株式会社WOWOW
 ブロードバンド担当 関根純一

ソネットエンタテインメント株式会社
 プロデューサー 森静子

■“しのぶの演劇レビュー”主宰
 現代演劇ウォッチャー 高野しのぶ

cinra magazine STAGE
 木元太郎

こりっち株式会社
 代表取締役 松月虎次郎

 なんと申し込み団体数がまだ15団体!(2007/02/22時点)
 100万円ゲットは今回がチャンスなのでは!?
 3月の東京は注目の小劇場公演が目白押しなんです。その方々の応募が少ないのは寂しいですね・・・。

 実は携帯サイトからメンバー登録できるってことが知られていないようです。もちろん応募必須項目である「この公演に携わっています」も登録できますよ。
 団体詳細ページが充実し、動画に続いて写真が登録できるようになりました。これも審査の大きなポイントになりますね。てゆーか公演動画とか舞台写真とか最高に楽しい!嬉しい!!

 〆切まであと3日です。ここ数日間の深夜はサイトの動きが遅くなるほどアクセス過多のようですので、ご登録はお早めに。観客も過去公演のクチコミを登録したいですしね!たくさんのご応募をお待ちしております♪

Posted by shinobu at 13:08 | TrackBack

2007年02月21日

まつもと市民芸術館共同製作・芸術監督串田和美プロデュース2007『ヒステリア―あるいは、ある強迫神経症の分析の断片』02/13-03/03シアタートラム

 ダリとフロイトが登場するコメディで、白井晃さんが演出!ということで飛びつきました。また「美術が凄いらしい」という噂もあって・・・。

 で、でで・・・・ほんっとに凄かった!!口をあんぐり開けっぱなして、どんぐり目になるほど舞台に吸い込まれちゃいました!あの装置&演出は必見!!
 ・・・ただ、お話や演技についてはあまり楽しめず、うとうとしちゃいました。でも前売り5000円でアレが観られたら、満足。

 CoRich舞台芸術!⇒『ヒステリア

 ≪あらすじ≫ パンフレットより。(役者名)を追加。改行を変更。
 1938年、ロンドン。雨の夜。フロイト(串田和美)が書斎で身体を休めていると、突然窓を叩く音がする。外を見ると、女(荻野目慶子)が立っている。彼女の名前はジェシカ。「フロイト教授、私はあなたのアニマです。」
 口蓋に癌を患っているフロイトは、主治医ヤフダ(あさひ7オユキ)の診療を受けている。二人は長年の友人同士だが、ヤフダはフロイトの最後の著作になるであろう『モーゼと一神教』の出版に強く反対する。
 そこへ突然、変な髭のスペイン人ダリ(白井晃)がやって来る。ダリは信奉するフロイトに自分の絵「ナルシスの変貌」を見てもらいたいと頼む。
 さらに、帰ったはずのジェシカがトイレから現れて かつてフロイトが診療したヒステリー患者の分析を再現するよう迫る……。
 ≪ここまで≫

 ここからネタバレします。

 病魔に冒されたフロイトの夢・・・の世界だったのかな。親からの性的虐待のためのトラウマとか、深層心理下の倒錯した性的欲求とかって、私のこれまでの観劇人生の中で比較的よく出会ってきた題材です(漫画でもよく読みました)。私はそういうことを“禁断の甘い蜜”とか“踏み込むことが困難な聖域”のようには感じないので(そんな意図はなかったかもしれませんが)、中心的題材にあまり惹かれなかったんですよね。これはあくまでも私の個人的感覚ですが。
 あと、役者さんの演技が・・・まばらでした。長いセリフをがんばって話してくださっても耳に入ってこず。残念。

 とにかく、美術と照明、映像の演出に度肝抜かれました。変化しているのに気づかないほどゆっくり、じわーーーーっと変わっていく照明や、天井から釣り下がった、たった一つのまん丸いペンダント・ライトなど、白井さんならではの照明の質感がすごく嬉しかったです。
 そして・・・まさか舞台がシーソーのように上下に揺れるとは!!壁の装飾(時計や本棚)と映像との融合もかっこいーーーーっ!!!アウシュビッツの収容所やナチスの行進、ダリの“柔らかい時計”とか・・・壁に人が映り込むイリュージョンもありましたね。最後は黒い染みがブツブツブツーっ!と美術を侵食していって、暗転・・・これまたシビれる!

 ・・・ふぅ。興奮気味(笑)。こういう空間を味わわせてくださるので、白井さんの演出はまた観たくなっちゃいます。

≪東京、長野≫
出演:串田和美/荻野目慶子/あさひ7オユキ/白井晃
作:テリー・ジョンソン 翻訳:小宮山智津子 上演台本・演出:白井晃 美術:松井るみ 照明:齋藤茂男(シアタークリエイション) 音響=市来法比古 映像=栗山聡之(マグナックス) 衣裳=太田雅公 ヘアメイク=宮内宏明 演出助手=豊田めぐみ 舞台関東=勝康隆 技術監督=眞野純 演出部:向窪誠 伊藤久美子 殿岡紗衣子 照明操作:横原由祐 大屋恵一 音響操作:那須原幸太郎 技術監督助手:小沢直 衣裳助手:田中洋介 アンダースタディー:佐々木岱 衣裳:SePTワークショップ、胡桃沢真理 衣裳製作:岩井一仁 八木良介 木村優子 大西実咲 ヘアメイクアシスタント:柴崎尚子 川端典子 大道具製作:C-COM舞台装置、リンペット、美術工房拓人 小道具製作:福田秋生(ゼペット) 田淵英奈 安津満美子 SePTワークショップ 小道具協力:高津映画製作 Opticien LOYD 衣裳協力:カーム・インターナショナル、戸屋染料商店 制作:笛木園子 根本晴美 制作進行:大迫久美子 製作助手:松野創 青木孝生 広報協力:森直子 まつもと市民芸術館芸術監督:串田和美 プロデューサー:蔭山陽太 企画制作:まつもと市民芸術館 主催:財団法人せたがや文化財団
前売開始2006年1月14日(日) 全席指定一般5,000円、TSSS2,500円 SePT倶楽部会員割引 4,500円 世田谷区民割引 4,800円
公式=http://www.city.matsumoto.nagano.jp/mpac/

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Posted by shinobu at 22:51 | TrackBack

フジテレビジョン『殺人者』02/19-03/11東京グローブ座

20070220_satsujinsha1.jpg
エントランスのポスター

 ジャニーズ事務所の三宅健さんが主演される演劇公演です。脚本・演出がTHE SHAMPOO HATの赤堀雅秋さん!ということで、自分のことのように勝手に喜んでチケットをゲットしました。

 感動したわ~・・・最後泣いちゃったよ(涙)、そして2000円するパンフまで購入・・・。いや~ジャニーズのスターが出る公演、嬉しいです。三宅さんが前回出られた『第32進海丸』も素晴らしかったですしね。こんなに良い作品が続けば、ジャニーズ・ファンの方々がストレート・プレイに興味を持ってくださると思います。そしてTHE SHAMPOO HATの公演を観に来て欲しい!

 CoRich舞台芸術!⇒『殺人者

 ≪あらすじ≫ パンフレットより。改行を変更。役者名を追加。
 千葉県郊外のとある街。どこにでもある平凡な住宅街で、鮮魚店を営む一家。寡黙で勤勉な父・清(秋野太作)と、明るく元気な母・信子(大谷直子)、そして子供たち。特に波風を立てることもなく、淡々と同じ日々を繰り返し、積み重ねている松田家だったが……。
 きっかけは3ヶ月前に起こった隣家の子供の殺人事件だった。その事件を期に末娘の真理(MEGUMI)の体調がおかしくなった。妹の体調を気遣いながらも、家業の鮮魚店の仕事を手伝う次男の勝(三宅健)。
 そこへふらりと、9年前に家を出たきり音信不通だった長男の健司(日比大介)が帰ってくる。昨日と同じ今日、今日と同じ明日。決して変わることのない松田家の日常が、少しずつ歪み、静かに崩れていく。
 昨日と同じ明日なんてあるはずがない。明日はきっと「ここではない、どこかへ」。
 だけど、どうしようもない日常を繰り返すうちに、人はさまざまなものを身に纏う。いつしか日常を退屈だと感じることもなく、身動きが取れなくなっているものなのだ。たぶん誰にでも思い当たることがあるのだろう。これは、そんな日常の中に生きる私たち、誰にでも起こりうる物語りなのかもしれない……。
 ≪ここまで≫

 「殺人者」というタイトルどおり、ある殺人事件が起こった小さな田舎町が舞台です。でも「殺人」や「事件」などという言葉から想起されるような、いわゆる緊迫感とかテレビのサスペンスのような空気はあまり感じませんでした。それより何より、今の日本の郊外に暮らすごく普通の、ものすごく平凡な人々の群像劇だと感じました。

 赤堀さんの脚本の、かなりストレートな表現にずっと心が惹かれつづけました。一言一言を、耳をそばだてて大切に聞いていました。メルヘンチックだったり、照れちゃいそうになるぐらい率直だったり、普段に話されたらちょっと驚くかもしれない可愛いらしい言葉たちが、私の胸の中にとても自然に降り積もりました。登場人物はヘンな人たちばっかりだったけど、みんな好きになっちゃったな~・・・。

 残念ながら役者さんの演技に心動かされることはなかったです。三宅さんや石田ひかりさん、THE SHAMPOO HATのメンバーなど、さまざまな業界出身の役者さんが揃っていて、演じるという行為についての温度差を感じざるを得ませんでした。そういう意味で完成度が高い作品だとは思いませんが、観てよかったです。

 ここからネタバレします。

 殺人事件が起こった場所は、勝の家のすぐ近くの雑木林です。その雑木林を人の心の闇と重ね、リアルな装置と日常会話の中に、目には見えないけれど確かに存在する、人が抗うことができない大きな力を想像させます。
 脚本については、説明がすごく少ないのもかっこいいと思いました。兄が帰ってきた理由とか、殺人方法とか、警察は果たして犯人を捕まえたのかどうかなど、大事なポイントが曖昧なままで終わりました。渋い!

 子供を殺した犯人は、その母親・加藤正江(石田ひかり)でした。正江に想いを寄せる勝(三宅健)は、一度は彼女と一緒に逃げようとしますが、考えを改めて警察に通報します。警察がやってきて、正江が事件について(自分が息子を殺した日の行動について)具体的に話している時、突然まっくらに暗転します。この体験が素晴らしかった・・・!私も勝と一緒に雑木林の中に、自分の寂しい心の中にいるような気持ちになれました。

 最後は三宅さん、ケーキを食べながら泣いてました。あれ、グっと来ましたね。三宅さんのことがまた好きになったかも。

 終盤で語られた、まっすぐな言葉を下記に。
 父「孤独を受け入れなさい。」
 勝「俺は今日生まれたんだ。」

≪東京、大阪≫
出演=三宅健、石田ひかり、MEGUMI、中山祐一朗、野中隆光、日比大介、黒田大輔、赤堀雅秋、みのすけ、松本紀保、大谷直子、秋野太作
作・演出=赤堀雅秋(THE SHAMPOO HAT) 美術デザイン=福田暢秀(F.A.T. STUDIO) 照明デザイン=杉本公亮 音響デザイン=田上篤志(atSound) 衣裳デザイン=山本有子(ミシンロックス) ヘアメイクデザイン=亀田麻起子(スタジオAD) 舞台監督=高橋大輔+至福団 演出助手=松倉良子 大道具製作=C-COM/桜井俊郎 マエヤマ建具/野沢園 大道具=唐崎修 舞台装置=美術工房 拓人 小道具製作=秦真祐子 小道具=高津映画製作/藤波小道具 特殊効果=糸田正志 運搬=マイド ピアノ演奏=岩堀美紀/奥田祐 動物派遣=湘南動物プロダクション(オウムのアオちゃん) 票券=細田恵子(フジテレビジョン) 佐々木恵理子(フジテレビジョン) 宣伝=若松紅(フジテレビジョン) 宇都宮明美(フジテレビジョン) プロデューサー=有馬智子(フジテレビジョン) プロデューサー補=藤野良太(フジテレビジョン) 企画・プロデュース=松野博文(フジテレビジョン) 企画・製作=フジテレビジョン 主催=ドラマチック・デパートメント
発売日12/17 S席:8500円 A席:7500円(全席指定・税込)
公式=http://www.tglobe.net/

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Posted by shinobu at 00:18 | TrackBack

2007年02月20日

日仏国際共同制作公演『遊*ASOBU』01/26-02/03世田谷パブリックシアター

 2006年夏のアヴィニョン・フェスティバルでオープニングを飾ったダンス公演です。日仏国際共同制作なんですね。かっこいいチラシビジュアルで気になっていたんですが、CoRich舞台芸術!のクチコミでやっときちんと認識して、チケットをゲットしました。
 出演者だけでなくスタッフもフランス人、日本人が混ざっています。たとえば照明はフランス人で、衣裳は日本人、のように。

 ⇒CoRich舞台芸術!『遊*ASOBU

 東京公演は終了していますのでここからネタバレします。

 決まった1本のストーリーが流れているようには思いませんでした。断片が断片のまま繰り出されていくような・・・。意味とか筋道とか、理由とか、全然わからなくていいんだと思って、ただただ目、耳、身体に伝わってくるものを受け止め続けました。
 ひとりで立ってじっと何かを眺めている木の人形、馬と人の白黒映像、長い机にずらりと並んで座るダンサー、可動式の能舞台のような四角い台・・・。

 音楽はノイズとまでは行かないけれど、決してわかりやすいメロディーがあるわけではなく。パーカッションの音が身体感覚の記憶として残っています。そう、生演奏だったのがすごく嬉しかった。

 出演者はみな墨色の衣裳を着ています(このまばらな墨色がかっこいい!)。男性はジャケットとパンツ、女性はそれぞれ形の違うワンピース。色も形もおしゃれでかっこいいなーと眺めていて気づいたんですが、型のあるスーツではないしドレスでもないんですね。いろんな国の風俗が混ざっているように見えてきました。

 国籍とか主義とか宗教とか肌の色とか性別とか・・・この世界には人間を種類分けするさまざまな尺度があります。その尺度を全部アリにして、一人一人が別々・ばらばらのまま、『遊*ASOBU』という作品の中に点在・混在しているように感じました。まばらな動き、一元化させない空気。それが最高にクール&ハッピーでした。FM西東京「たけがき2」でも、少しだけそんなお話させていただきました。

 私個人としては、黒田育世さんのダンスが一番好きでした。シビれました。

2006年フランス/アヴィニョン・フェスティバルのオープニングを飾った、ジョセフ・ナジ演出・振付による日仏国際共同制作作品。
本作をトマ・エルドスに捧ぐ 初演:2006年7月7日 アヴィニョン・フェスティバル、パレ・デ・パッブ
振付・演出=ジョセフ・ナジ 作曲=アコシュ・セレヴィニ/シラルド・メゼイ 振付助手=青山眞理子 照明デザイン=レミ・ニコラ 舞台装置=ミシェル・タルディフ・アトリエ・デュ・フェスティバル・ダヴィニョン 美術=ジャクリーヌ・ボッソン 衣裳デザイン=大友康子 映像コンセプト=ティエリー・ティボドー 技術監督=セバスチャン・デュポン 舞台監督=ローラン・グリヨン 照明=クリスチャン・アルカン 映像=ティエリー・ティボドー 音響=ジャン=フィリップ・デュポン 制作=マルティーヌ・ディオニジオ
出演:ギョーム・ベルトラン、イストヴァン・ビチケイ、ニカノール・デ・エリア、ピーター・ゲムゾ、パナヨッタ・カリマニ、マチルド・ラポストル、セシル・ロワイエ、ナセール・マルタン=グセ、ジョセフ・ナジ、ギョルク・ソコニ、黒田育世[BATIK]、斉藤美音子[イデビアン・クルー]、田村一行[大駱駝艦]、捩子ぴじん[大駱駝艦]、塩谷智司[大駱駝艦]、奥山裕典[大駱駝艦] 演奏=アコシュ・セレヴィニ/シラルド・メゼイ/ジルダス・エトヴェナール/エルヴィン・マリナ
日本公演スタッフ プロダクションマネージャー=堀内真人 
一般前売開始:2006年12月3日(日) 一般:¥4,800 SePT倶楽部会員:¥4,300(前売のみ) 世田谷区民(※):¥4,500(前売のみ) スイート割引(※):¥4,000(同時に2枚以上ご購入の場合の2枚目以降に適用/日時不問/前売のみ) 学生席(TSSS):一般料金の半額(要事前登録/枚数限定/詳細・申込はSePTオンラインチケットへ) ※世田谷区民割引、スイート割引は、くりっくチケットセンターのみ取扱い。
公式=http://setagaya-ac.or.jp/asobu/

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Posted by shinobu at 13:52 | TrackBack

ク・ナウカ『奥州安達原』02/19-27文化学園体育館

 今月のメルマガでもご紹介しましたが、この公演が創立17年目を迎えたク・ナウカの最終公演になるかもしれません。ク・ナウカ主宰の宮城聰さんが静岡県舞台芸術センター(SPAC)の芸術総監督に就任されるため、ク・ナウカは一次休団(?)となります。過去レビュー⇒10111213141516

 意気揚々と新宿の体育館に伺ったのですが・・・うーん・・・意味がわかりませんでした・・・・。原作を勉強していればもっと面白かったかもしれません。ごめんなさい。

 特典もらっちゃいました♪⇒fringe TOPIC「ク・ナウカがチラシを紙ジャケットにして観客全員に特典DVDとCD配布(2007/2/20)」

 CoRich舞台芸術!⇒『奥州安達原
 レビューはアップできるかどうか未定。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 時は平安後期、陸奥国安達原(あだちがはら)にぽつんと立つあばら家では、老女岩手(いわて)が糸を縒っている。道行く旅人は岩手の灯籠の明かりに誘われ、一夜の宿と引き換えに持ち金と命を奪われる。岩手の目的は、源義家(みなもとのよしいえ)に追討を受け命を落とした夫安倍頼時(あべのよりとき)の無念を晴らし、息子である貞任・宗任を中心に一族を盛り立てることだった。その為に天皇の弟環の宮(たまきのみや)の乳母匣の内侍(くしげのないし)と内通し、幼い宮を誘拐し、奥州にこそ内裏ありと奉らんとしたのだが、環の宮は声の出ぬ病を患っていて皇位にはつけない。病を治すには生まれる前の胎児の血を飲ませるより他に無いと信じた岩手は、身重の女の訪れをひたすらに待つ。
 一方、都での権謀に巻き込まれ義家の軍を追放になった志賀崎生駒之助(しがさきいこまのすけ)は、環の宮を探して陸奥国までやってくる。幼い頃に生き別れた母親を探したいと、旅に連れ添う妻の恋絹(こいぎぬ)の腹には子が宿っていた…。
 ≪ここまで≫

 体育館の中にかなりの高さがある舞台。とても観やすかったです。ひとつの役をspeakerとmoverに分けて表現するスタイルはやはり抜群にかっこいいと思います。衣裳もヘアメイクも豪華。

 ク・ナウカの作品はいくつか拝見していますが、音のないシーンが多かったように思います。ちょっと退屈して眠くなったりも・・・。また、speakerが陸奥(東北?)のことばで話されると非常にわかりづらいんですよね。日本語で話されてもそもそもが浄瑠璃なので文語調ですし、声が聴こえても意味がわからない・・・。自分に教養がないせいですが。その他、字幕が見えづらかったりしたのも悲しかった。
 
 ここからネタバレします。

 描かれたのは民族紛争・・・ですよね。確かに現代にぴったりマッチしていると思いました。
 岩手(美加理)が恋絹(寺内亜矢子)を惨殺するシーンはあまりのおぞましさ、恐ろしさに目を覆いたくなりました。だからこそ、敵の策略にまんまとはまめられたことに気づいた岩手の一人舞のシーンが良いんですよね。※音のない荘厳なシーンだったのに会場外の階段の足音が残念。

出演=美加理(岩手mover)、吉植荘一郎(安倍貞任speaker)、大高浩一(駒之助mover)、野原有未(語り手/環宮mover)、萩原ほたか(コーラス)、寺内亜矢子(恋絹mover)、本多麻紀(駒之助speaker)、大内米治(鎌倉権五郎景政mover)、片岡佐知子(演奏)、鈴木陽代(岩手speaker)、桜内結う(恋絹speaker)、星村美絵子(演奏)、加藤幸夫(旅人speaker)、牧野隆二(安倍貞任mover)、赤松直美(コーラス)、奥島敦子(演奏)、大道無門優也(旅人mover)、山本智美(演奏)、池田真紀子(匣の内侍mover)、石川正義(鎌倉権五郎景政speaker)、本城典子(匣の内侍speaker)、塩谷典義(演奏)、高澤理恵(コーラス)
作=近松半二、竹田和泉、北窓後一、竹本三郎兵衛 台本・演出=宮城聰 照明=大迫浩二 空間=木津潤平 衣裳=高橋佳代 音響=AZTEC(水村良・千田友美恵) ヘアメイク=梶田京子 演出助手=大西彩香 小道具=中里有 舞台スタッフ=司田由幸、山縣昌雄、森山冬子 舞台監督=岩崎健一郎 テクニカルスーパーバイザー=堀内真人 宣伝美術=野口美奈子 WEBデザイン=井上竜介 制作=大石多佳子
※2月18日(日)プレビュー公演(学生限定)
一般前売開始=1/13(土) 一般(全席指定)6000円 ユース席(25歳以下)2500円
ステューデント・ナイト(学生限定プレビュー公演)(18日)(2500円・年齢不問・劇団のみ取扱・学生証をご持参ください) 各種割引:ファイヤーマンズ割(20日)/フィッシャーマンズ割(21日)/ティーチャーズ割(22日)(各2500円・劇団予約のみ・チケットお受取りの際、身分証明書をご提示ください・平服でお越しください)
公式=http://www.kunauka.or.jp/

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Posted by shinobu at 00:33 | TrackBack

2007年02月18日

tpt『薔薇の花束の秘密』02/17-03/02ベニサン・ピット

 日本で1991年、1992年、2000年と上演されてきたTPTのレパートリー『薔薇の花束の秘密』を、青空美人プロデュースの木内宏昌さんが新訳・新演出されます。キャストは安奈淳さんと毬谷友子さん。
 ロバート・アラン・アッカーマンさんの演出を引き継ぐスタイルなので完全な新作ではありませんが、私が2000年に観た時とは全く違う作品になっていました。終演後は涙が止まらなくてしばらく動けず。帰りの電車でも顔がクシャっとなっちゃって、困りました(苦笑)。
 上演時間は約2時間20分(休憩15分を含む)。3/2(金)までです。お見逃し無く!

 ⇒CoRich舞台芸術!『薔薇の花束の秘密

 tptといえば来月は『Angels in America』ですよ!

 レビューは途中です。

 ≪あらすじ≫ パンフレットより。改行を変更。(役者名)を追加。
 金持ち相手の病院の個室。14ヶ月前に最愛の孫を亡くした裕福な女性(安奈淳)が入院している。その付添婦として雇われた女(毬谷友子)もまた同じ時期に母を亡くしていた。はじめは付添婦を寄せつけない患者が、すこしずつ心の距離を縮めていく。
 やがてふたりのあいだには親密な情が生まれるのだが、2週間目、患者は付添婦が隠していたある嘘を知ることになる。裏切られたという想いが、それまでの愛情を憎しみへと変えていく。そして患者はある復讐を思いつく。
 ≪ここまで≫

 2000年版では客席を含む劇場全体が純白になっていたのが、前から2列目までに縮小されていました。いわば普通のプロセニアム(額縁)舞台です。個人的には助かりました(笑)。また、皮肉とウィットに富んだ大人の会話にはクスっと笑えるユーモアがたくさん散りばめられていて、深刻で不幸な状況にある二人の登場人物を、親しみを持って見つめることができました。

 また、舞台で何人もの女を演じる女優さんお二人を、はきだめでしかないこの世の中をともに戦いながら生きる同志のように感じました(おこがましいですが)。戯曲にも、このプロダクションにも、すごく勇気付けられました。それが嬉しくてありがたくて、何とも表現しがたい、たまらない気持ちです。

 病室を舞台にした患者と付添婦の二人芝居ですが、お互いに相手役の夢や想像に出てくる人物をかわるがわる演じます。その演じ分けも見どころですね。
 白衣の上に羽織るコートや帽子のデザインの美しさ。白い美術を自在に、効果的に染め上げる照明。軽やかでありながら物悲しく情熱的なアルゼンチン・タンゴの調べ。暗転中に舞台から溢れ出てくる優しさを全身で感じ、涙が流れました。

 ここからネタバレします。レビューは途中です。

Munuel Puig's [Mystery of Rose Bouquet] based on Robert Allan Ackerman Production
出演=安奈淳/毬谷友子
作=マヌエル・プイグ 訳・演出=木内宏昌 美術=朝倉摂 照明=笠原俊幸 音響=長野朋美 衣裳=原まさみ ヘア&メイクアップ=鎌田直樹 舞台監督=赤羽宏郎・浅香哲哉
一般発売:1月27日(土) 全席指定6,300円 学生3,150円(TPT電話予約&TPTオンラインチケットのみ取扱)
公式=http://www.tpt.co.jp

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Posted by shinobu at 21:23 | TrackBack

毛皮族『みんなでカラオケ汗燦々』02/17-18 FAB omotesando

 久しぶりの毛皮族で、久しぶりのジュンリー♪ やっぱり素敵!(過去レビュー⇒
 FABには初めて入ったんですが、いわゆるライブハウスでした。整理番号は200番以降も配布されていましたね(正確な数字はわかりません)。入り口で500円のワンドリンクチケットを購入したので、チケット代は前売り(当日)券+500円です。
 開場・開演ともに15分押しで終演は22時ごろだったので上演時間は約2時間15分です。回によって全然変わりそうですが(笑)。オール・スタンディングですので、どうぞご無理なさいませんように。

 ⇒CoRich舞台芸術!『みんなでカラオケ汗燦々

 もーとにかくジュンリー!なにはなくとも江本純子!あんな至近距離なのはオトク!段取りとか歌詞とか覚えてなかろうが(笑)、かっこい~人はかっこいい!

 毛皮族を観たことがないお友達3人と一緒だったので、あらゆる意味でドッキドキだったんですが(笑)、皆さん「楽しかったな~」という感想でした。毛皮族初心者には良いイベントかもしれません。「ジュンリーはT.M.Revolutionに激似だ」という人がいて、なな、なるほど・・・・確かに似てるかも!

 第一部終了間際に倒れてしまったお客様がお一人いらして、私のすっごく近くだったので驚いたのですが、ジュンリーが歌の途中で「大丈夫!?」とステージ上から話しかけてスタッフを呼び、大急ぎでお客様を救出。もーすばらしい!スタンディングだったからスタッフからは見えてなかったんですよね。江本さんの優しさ、サービス精神、人間味にまた惚れこんでしまいました。

 ダンスエクササイズDVD『スーパーヒッツ・ダンスコレクション~カラオケ汗燦々~』(←サンプルが観られます)が舞台に向かって左側の壁に大きく映写されていました。こんなDVDを発売されてたんですね~。

 ネタバレします。

 第一部は宝塚のパロディ「コントレビュー『花のトップスター勢ぞろい』」、第二部はみんなで汗をかいて踊る「エモ間由紀恵のエステティックダンス教室」、第三部は毛皮族のオリジナル曲(?)のライブ「JUNLIEライブ『みんなでテクノで汗燦々』」という三幕構成。それぞれの間に5分ぐらいの休憩があります。

 第一部でジュンリー以外の毛皮族の女の子たちがふんどし姿になりまして、あれは・・・・ものすごいインパクトでした。笑って観ていられるのがスバラシイ。そして皆さんスタイル良いですね~、白い肌も美しくてみとれちゃいました。

 ゲストの澤田育子さんは、何の段取りも知らずに飛び入り状態でステージに上がったのにも関わらず、気の利いたトークで楽しませてくださいました。まあ、こういう「行き当たりばったり」な演出がお好みに合わない方も多いだろうなとは思いましたけど。

 アンコールは『DEEPキリスト狂』のテーマ曲(ですよね?)。かっこよかった~。懐かしかった~。

出演=江本純子/柿丸美智恵/羽鳥名美子/和倉義樹/高野ゆらこ/武田裕子/延増静美/平野由紀/高田郁恵/水町香菜恵/金子清文
構成・演出=江本純子 衣裳=胡桃澤真理/田辺雪枝 制作=照井恭平/山根千尋/伊部亮子 制作協力=柳生稔 企画・製作=毛皮族
全日程出演ゲスト:富岡晃一郎
2月17日(土)夜ゲスト:澤田育子(拙者ムニエル)
2月18日(日)ゲスト:バックバンド(河井克夫 鳥羽ジャングル)
2月18日(日)昼出演: 町田マリー
2月18日(日)夜ゲスト:小林顕作(宇宙レコード)
発売日2007/01/20 全席整理番号付スタンディング 前売り¥2,800 当日¥3,000
公式=http://www.kegawazoku.com/

Posted by shinobu at 12:06 | TrackBack

2007年02月17日

ニッポン放送『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』02/15-03/04新宿FACE

 2004年の三上博史さんのヘドウィグにゾッコン惚れてしまい(⇒初演初演の追加公演再演)、映画も観てサントラも買ってしまった私。むふ♪
 今回は山本耕史さんがヘドウィグ!!ということでがんばってチケットをゲットして伺いました。今回は鈴木勝秀さんが上演台本・演出を手がけられたのですが、私にとっては残念な結果に・・・。

 とりあえず全曲英語で歌われます。日本語字幕がありません。『ヘドウィグ…』を知らない方でこれからこの公演をご覧になる方は、映画を観るなりあらすじを読むなり、予習していかれることをお薦めします。上演時間は約1時間45分です。⇒電子チケットぴあに残席あり(2007/02/17)

 ⇒CoRich舞台芸術!『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

 作品概要などは公式サイト、過去レビューなどでどうぞ。

 山本耕史さんはものすごく美しい人でした。足細!背高!からだ白!胸が、胸が・・・いや~ん♪てな感じで(笑)、もーとにかく彫刻みたいに美しいです。歌も澄んだ声で素直に歌ってくださって、耳に入ってくる分には問題なかったです。でも、何しろヘドウィグですので・・・。もっと矛盾に満ちた、屈折しきった人間の魂の叫びのようなものが欲しかったんですが、そういうものは感じられず。
 衣裳は三上ヘドウィグとは違ってけっこうシンプルなスタイル。チラシの衣裳は凄かったのにな~。ヒールの高いブーツは大変そうでした。動きがどたどたしてて・・・。

 先にも書きましたが、全曲英語で歌って日本語の歌詞字幕がありません。いくら説明的なグラフィック映像を流してくれても意味がわからないと思うんです。歌詞が文字で流れてもそれも英語だったし・・・。私は映画も含めるともう4度目の『ヘドウィグ』鑑賞ですから、“THE ORIGIN OF LOVE(愛の起源)”なんてライブで聴けるだけで感涙しちゃいます。だけど初心者にはあの動画(神様がカミナリでヘンな動物を引き裂く等)を観ても私ほどの感動は得られないんじゃないでしょうか。それはもったいない!てゆーかくやしい!

 “WIG IN A BOX”も英語だったので、「さあみんなも一緒に!」みたいに誘われたって、歌えないし・・・。三上さんの時は日本語の歌詞で「さあ仕上げに、ウィッグ、乗せて~♪」という感じで歌ってくれたんですよね。私も喜んで歌ってました。
 どうしても青井陽治さんの演出と比べちゃうんですが、生演奏をしてくれるバンドの存在も中途半端でしたね・・・だって衣裳が黒スーツだし(涙)。会場がライブハイスなので演劇というよりは音楽ライブのつもりで仕上げられたのかもしれませんね。

 ヘドウィグの夫イツァーク役の中村中(なかむら・あたる)さんがかっこ良かったです。開幕一番の「Ladies and Gentlemen・・・」のセリフでぐっと引き込まれました。すごく太くて低い声!でも響くんです。後で色んな歌を歌われたんですが高音も力強く、きれいでした。ライブシーンでのノリも良かったな~。イツァークをやりながら他の役(ヘドウィグの母、最初の夫、トミー・ノーシスなど)も一人で演じ、その声色と語り口の変化も見事。とくに若いトミー役はときめいちゃうぐらいキュートで初々しい男の子になってくださってました♪

 ここからネタバレします。

 とりあえずヘドウィグ登場シーンのあの盛り上がりのなさ・・・(汗)。ただテクテク歩いて来られてもさ・・・。三上さんの時のあの興奮、忘れられないよ・・・。

 ラストはヘドウィグ(女)がトミー(男)になり、イツァーク(男)が女の服を着て登場し、性が入れ替わる(混ざり合う?)という演出になるのですが、イツァークが80年代の松田聖子みたいな白いワンピース風ドレスで出てきてしまって・・・(冷汗)。中村さんは黒いジャンパーとだぼだぼパンツ姿のイツァークだった時の方がかっこよかったよ・・・。いや、きっと中村さんがいかに美しいかってことを最後に示したかったのかもしれませんが、それは・・・意味が違うように思いました。

≪東京、宮城、大阪、愛知、福岡、東京≫
出演=山本耕史、中村中
作=ジョン・キャメロン・ミッチェル 作詞・作曲=スティーヴン・トラスク 上演台本・演出=鈴木勝秀 翻訳=北丸雄二 音楽=前嶋康明
指定-7800円 ※未就学児童は入場不可。
公式=http://www.hedwig.jp/
ディップスプラネット=http://www.dipps.co.jp/stage/hedwig/index.html
ぴあ=http://www.pia.co.jp/column/play/hedwig07.html

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Posted by shinobu at 16:25 | TrackBack

2007年02月16日

パルコ『フールフォアラブ fool for love』02/07-25 PARCO劇場

 映画監督の行定勲さんが初めて舞台を演出されます。出演は香川照之さん、寺島しのぶさん、甲本雅裕さん、大谷亮介さんという豪華な4人芝居。
 私はサム・シェパード&キム・ベイシンガー主演/ロバート・アルトマン監督の映画(1985年)がけっこう好きで、役者さんも好きな人ばかりなので楽しみにしていました。

 席が前から3列目だったこともあってか、臨場感のある会話劇を味わうことができました。上演時間が約1時間25分と短めなのも嬉しい。ただ、7,500円っていうのはちょっと高いよな~と思いました。パルコ劇場で豪華キャストだから仕方ないのでしょうけど。
 
 ⇒CoRich舞台芸術!『フールフォアラブ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。ネタバレしていますので、お気をつけ下さい。
 舞台はニューメキシコのモハベ砂漠にポツリと建つ、さびれたモーテル。
 部屋の中には、この部屋の住人のメイ(寺島しのぶ)、
 彼女にはるばる会いに来たエディ(香川照之)、そして老人(大谷亮介)。
 かつて深く愛し合っていたエディとメイ。しかし、それは過去のもの。
 再びメイを求めようとするエディ。しかしそれを激しく拒むメイ。
 二人がもみ合っているところへ、メイが誰かに襲われていると勘違いした
 ボーイフレンドのマーティン(甲本雅裕)が飛び込んできて、エディを羽交い絞めにする。
 メイが襲われていたわけではないと分かったマーティンはエディを放し、一緒に酒を飲み始めるが、
 エディはマーティンに、「本当は俺たちは母親違いの兄妹だ」という話を始める。
 自分たちは恋に落ちたあとに、その事実を知ったが、二人とも求め合ってしまうのだと・・・。
 エディは二人の生い立ちと自分たちの母親たち、そして父親について語り始める・・・。

 二人のやりとりを始終傍観者のごとく聞いている一人の老人。この老人の存在は・・・。
 ≪ここまで≫

 どす黒く汚れた壁に囲まれた、ありきたりのモーテルの一室。舞台中央にスプリングが露出したベッドと、上手にちゃちいテーブルとイスが数脚あります。ふたつの窓には黒いブラインド・カーテンがかかっていていて、窓自体が赤と青に塗られているのがかっこ良いです。

 「出て行って!」と言ってエディを追い出したかと思ったら、すぐに「待って!」と叫んで追いかけるメイ。何度出て行ってもまた戻ってきて、メイを優しく愛撫するかと思ったら今度は激しくののしるエディ。矛盾した二人の対話はスリリングです。彼らがなぜそんな関係を続けているのかは、終盤になって明らかになります。

 アメリカの“ニューメキシコのモハベ砂漠にポツリと建つ、さびれたモーテル”が舞台なんですが、その空気が薄い気がしました。私は10年ぐらい前にシアトルからカリフォルニアを車で旅行したことがあるんですが、途中でモーテルに泊まりながらハイウェイを走り続けるのって、アメリカ大陸独特の感覚があると思うんです。
 舞台になった部屋は、プールバー(ビリヤード台)があるさびれたレストランと、小さくて古いガソリンスタンド(Chevron)が併設されているような、砂漠地帯のモーテルでしょう。乾燥した砂交じりの空気とか、家がなくモーテルを転々としている先の見えない生活への絶望感とか、現代社会の地の果ての世界をもっとリアルに肌で感じたかったです。

 寺島しのぶさんは本当にきれい。香山昭之さんは細かく計算した演技を確実に積み上げていらっしゃるように見えました。お二人とも見ていて退屈しませんでした。
 老人役の大谷亮介さんは貫禄がすごかった。でももっと怖くてもいいのになと思いました。
 メイのボーイフレンド・マーティン役の甲本雅裕さんの作り上げたキュートなキャラクターが魅力的でした。ずっと注目しちゃいました。

 ここからネタバレします。

 三人の様子を酒を飲みながらじっと見ている老人は、メイとエディの父親でした。腹違いの兄妹だとは知らずに熱い恋に落ちてしまった二人は、自分達の血が繋がっていることを知って苦しみながらも、離れることが出来ないのです。

 エディは突然ふらりと出て行ってしまう父親の血を引いているし、メイは恋人をしつこく追いかける母親の性格を引き継いでいます。人間は血からは決して逃れられないってことばかりが前面に出ていたように感じて、ちょっと物足りなかったですね。深い絶望や嫉妬に苦しむ気持ちがもっと重く、ぐさりと刺さるぐらいに伝わってきて欲しいと思いました。これもまた舞台の空気の厚みに拠ると思いますが。

 子供二人には父親の姿が見えますが、マーティンには見えません。父親の幻がその場にいるという設定なんですね。演劇ならではの演出の面白みがありました。
 でもドアが閉まる時にありえないほどの大音量で「バタン!」と鳴る以外には、照明や音響などの演出は大人しい目でしたね。2~3人だけの会話劇なので、もうちょっと大胆なアイデア等があってもいいんじゃないかと思いました。
 “伯爵夫人”がぶっぱなした鉄砲でドアに穴が開くのは大迫力!あれ、どんな仕掛けなのかしら!?

≪東京、大阪≫
出演=香川照之/寺島しのぶ/甲本雅裕/大谷亮介
作:サム・シェパード 演出:行定勲 訳:伊藤美代子 美術:二村周作 衣裳:前田文子 照明:佐藤啓 音響:長野朋美 演出助手:長町多寿子 舞台監督:小林清隆 宣伝:TSP プロデューサー:毛利美咲 製作:山崎浩一 企画・製作:(株)パルコ
一般発売日 2006年12月3日(日) 7,500円 学生券(当日指定席引換)=4000円※プレビュー公演2月4日(日) &2月5日(月) 5,000円 未就学児の入場不可
公式=http://www.parco-play.com/web/page/information/fool/

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Posted by shinobu at 17:58 | TrackBack

【予定】「トヨタ・アートマネジメントフォーラム2007」に申し込みました。

 ただいまfringeのTOPページで大きく宣伝されています、「トヨタ・アートマネジメントフォーラム2007」に参加することにしました。

 楽しみなのは福岡のぽんプラザホール(⇒CoRich舞台芸術!内の劇場詳細)を運営されているFPAP(エフパップ)が企画運営する分科会Eです。すべてのセッション終了後に交流会もありますので、日本の地域の演劇状況について色んなお話を聞いてこようと思います。

 企画運営:NPO法人福岡パフォーミングアーツプロジェクト(FPAP)
 分科会E「リージョナルシアターが地域を超える日
  ――演劇が身近な存在になれば、アートも近くに見えてくる」
 日時:2007年3月3日(土)14:00~15:30
 会場:トヨタ自動車(株)東京本社ビル

Posted by shinobu at 16:24 | TrackBack

MONO『地獄でございます』02/08-12三鷹市芸術文化センター 星ホール

 舞台だけでなくテレビに映画に大活躍の土田英生さんが作・演出されるMONOの新作です(過去レビュー⇒)。土田さんの作品が好きなのはもちろん、MONOという劇団も大好きなんです。情けなくて可愛いらしい男達のぐだぐだ・ホンワカなおしゃべりに苦笑・失笑しながら、リラックスした時間を過ごせました。

 東京公演が終わり、大阪、岡山、長久手、福岡、北九州とまわるツアーです。どうぞチェックしてください。
 ⇒CoRich舞台芸術!『地獄でございます

 ≪ものがたり≫ 公式サイトより。
  ここは温泉地の旅館なのか、それともサウナなのか。とにかくロビーでは男たちがビールを片手に馬鹿話を繰り返している。可愛い経理課の女性のこと、会社を巡る黒い噂のこと、そしてお互いの武勇伝。陽気な話声は続いている。しかしどうも様子はおかしい。大体、彼らは自分たちがどうしてここにいるのかという記憶が欠落している。
そう、気がつけばそこにいるのだ。
中の一人が帰ろうとするが、ロッカーのカギは開かない。従業員に聞きに行くと帰る事は出来ないという。皆は怒り出す。と、従業員からは意外な答えが返って来る。「ここは地獄でございますから……」
地獄への道のりは長い。険しい道を通り、三途の川を渡る。そこで服をはぎ取られ受付を済ます。そう考えると思い当たることもある。ここに来るまでに川らしき所も渡ったし、服も取られたのだ。となるとここは地獄の受付なのか。
  彼らの罵倒が始まる。なぜ、地獄へ来てしまったのか。話す中で段々彼らの裏側が見えて来る。もう戻れない。彼らが選択出来ることはただ二つ。いつまでもここに留まるか、そして地獄である扉の中へ進んで行くか。
  馬鹿らしく陽気だった会話は、醜いものへと変わって行く……。
 ≪ここまで≫

 まず全体がべったり水色に統一された舞台装置にびっくり。今までのMONOと違う!?・・・と思ったら、美術が奥村泰彦さんじゃないんですね。清潔そうでいて実はちょっとおどろおどろしい水色が、へんぴな山奥にあるサウナ(地獄)という設定にぴったり。裸を隠す通路の手すりも高さと透け加減が絶妙でした(笑)。

 5人がここに来るはめになった理由が、朴とつとした雰囲気のおしゃべりの中からポロリ、ほろりと少しずつわかってきます。このMONO独特のおしゃべりタイムが微笑ましいんですよね。ボケとつっこみの呼吸もMONOならではの味わいがあるんです。思いきりプっと吹き出したり、物悲しくなりながらもニヤりとしてしまったり、私自身の自由な感覚で祝日のお昼間(マチネ観劇だったのです)をゆったり楽しく過ごすことができました。

 ただ、全体的に少し平板な印象で物足りなさも感じました。地獄というある意味きわどい設定のわりには、胸にグッと来たり背筋がゾっとしたりすることが少なかったんですよね。できれば男たちが激しく言い争うとか、醜く牽制しあうとか、人間の汚い部分をもっと刺激的に見せてくれても良かったんじゃないかなーと思いました。

 男5人の劇団になってから拝見するのは2作品目ですが、やっぱり女優さんがいないの、寂しいですね(今更すみません)。いつか女性ゲストとか出てくれないかな~。

 ここからネタバレします。

 出演者が5人のお芝居で、幕開け早々に5人全員が登場してしまったため、「これから一体どうやって展開していくの?」と勝手に心配しちゃったんですが(笑)、全員が鬼の役も演じるとは・・・!ヤラれた!って思いました。

 人間たちが“自主的に”地獄へと入っていくように仕向ける鬼たちと、鬼の狙いを読んでなんとかして反発しようとする人間たち。最後の最後にどうなったかは、鬼たちが一仕事終えた後の会話だけで説明されました。その構成はクールだなと思いましたが、できれば醜くののしり合ったり、気持ちがぐちゃぐちゃになっていく人間たちのシーンも、少しは観たかったな~。

≪東京、大阪、岡山、長久手、福岡、北九州≫
出演:水沼健・奥村泰彦・尾方宣久・金替康博・土田英生
作・演出:土田英生 舞台監督: 鈴木田竜二・中村貴彦 舞台美術:柴田隆弘  照明:福山和歌子(真昼) 音響:堂岡俊弘 衣裳:飯室亜希子 イラストレーション:川崎タカオ 宣伝美術:西山英和(PROPELLER.)  制作:垣脇純子・本郷麻衣  企画製作:キューカンバー・MONO
【全席指定】前売 3,000円[財団友の会会員 2,700円] 当日 3,500円[財団友の会会員 3,150円]高校生以下 1,500円(前売・当日とも) 未就学のお子様はご入場できません。
前売開始: 2006年11月24日(金) [財団友の会会員11月17日(金)]
公式=http://www.c-mono.com/

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Posted by shinobu at 15:01 | TrackBack

2007年02月14日

mon『monde-世界』01/25-28ギャラリーLE DECO 6F

20070125_monde.JPG
LE DECO前の看板

 monは脚本・演出・出演される大久保亜美さんと、美術を手がける山本ゆいさんの若い女の子のユニットです(もう一人の脚本担当の方は退団されたようです)。劇的空間の試作「コラージュ」と三人芝居「カラメル」の2本立て。「カラメル」はダブルキャストなので厳密には3本立てですね。

 『TOTEMPOLES vol.1「二人の高利貸しの21世紀」』Bバージョンでの大久保亜美さんの演出に悶え死にしそうになった私は、今回も相当ヤられるであろうと予測して挑みました。
 で、まさに、ヤラれた~・・・ほんっと、ナチュラル(自然派志向?)なエロさがたまりまへんでした~(笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『monde

 ギャラリーLE DECO 6Fが完全に2つの空間に区切られていました。入り口は「コラージュ」スペース。その奥が「カラメル」の舞台です。

 公演は終了していますので、ここからネタバレします。

■3人芝居「カラメル」※大久保亜美さん出演バージョン

 ≪あらすじ≫
 一人暮らしの女(大久保亜美)の部屋に、年下の恋人(金子岳憲)が通っている。ある日、なぜか彼の後ろに若い男・いくお(シトミマモル)がくっついてきていた。でも彼には見えないらしい。あら、もしかして幽霊? だとしたら、どうして私の部屋に??
 ≪ここまで≫

 舞台はナチュラル素材のベッドのみ。ベッドで寄り添う二人は仲むつまじい若いカップルかと思いきや、実は女は不倫相手のことを愛していて、彼女にゾッコンの年下の恋人のことは本気で好きではありません。男の方はそれを知っていながらも、純粋に彼女のことを求めています。

 ベッドでHしちゃった後の会話が・・・きぇ~~っ!もー~~、悶絶!!もう、絶対にここには書けませんっ!(笑) 金子岳憲さんは所属劇団のハイバイと五反田団の公演で拝見していますが、このお芝居での金子さんがまさに私のツボ!可愛すぎる!!なんでこんなことできちゃうんだろうな、させちゃうんだろうなって・・・もう、怖いぜ演出家・大久保亜美!!

 いくおの正体は、女が身ごもった不倫相手の子供でした。彼女が自殺してしまったので、この世に生を受けることなく死んでしまったんですね。ということは、女が男と普通に会話するシーンは、死んでしまった女といくおの回想シーンだったことになります。青い照明や演技の切り替え(会話が成立したり、相手に聞こえていなかったり)でその変化を表現していました。
 でもその意味がはっきりとわかるのはお話の最後の最後です。胸きゅんエロスにそわそわ、どきどきしつつ、謎めいた会話の意味を探りつつの、刺激的な1時間でした。

 ひとつだけ難を言うとすると、主宰で演出家で前説までやってしまう大久保さんが、そのまま舞台に立って主演し、お芝居が終わった直後に後説までやってしまわれたのには、少し戸惑ってしまいました。もし次回があるならば、役者さんは開演前、終演後は素で出てこないようにしてもらいたいなと思いました。
 新田絵美さんバージョンも観たかったのに・・・・無念。


■劇的空間の試作「コラージュ」

 開演前からかなりイっちゃってる系の衣裳の女の子(大道寺梨乃)が客いじりをしていました。・・・めっちゃくちゃ苦手(汗)。一緒に観ていた人とおしゃべりして、なんとか開演まで乗り切りました。

 ある女の子が高い建物の上から飛び降り自殺するまでの短い時間をパフォーマンスで表現・・・したのかしら。女優さんは至近距離で次々と衣裳を脱いで、ほぼトップレスになっちゃったりします。うーん・・・私にとっては目も当てられない状態・・・。おっぱいを見せたってパンツを見せたって、成立する時は成立するはずなんですけどね。

 自分から外側に発信することだけに熱くなって、周りの人(=観客)から何も受け取る気が無いように見えました。テンションの高さだけで乗り切ろうとしてはいけないと思います。役者さんとの距離が近すぎたので余計に気になってしまいました。

 女の子が静かにセリフを話している時は(世界地図の話など)、照明も暗くなっていたからか、落ち着いて出演者2人を見つめることができました。

~ monde/フランス語で“世界” ~
[A・山本バージョン]劇的空間の試作「コラージュ」(20分)
構成・美術=山本ゆい 出演=大道寺梨乃(小指値)/齊藤庸介
[B・大久保バージョン]3人芝居「カラメル」(60分)
作・演出=大久保亜美 出演=金子岳憲(ハイバイ)/シトミマモル/※新田絵美(SLEEP)/※大久保亜美 ※はダブルキャスト
照明=松本大介 音=篠田千明(小指値) 宣伝美術=秋澤祐磨+mon 写真=見木久ヲ 制作協力=野村麻衣/塩田友克 照明オペ(カラメル)=栗原昭文(山下幼稚宴)/杉本恭平(山下幼稚宴) 企画・制作・プロデュース=mon
前売1500円 当日2000円 ※2作品通し券あり(日時組合せ自由)
公式=http://userhost-1.cmo.jp/~mon/

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Posted by shinobu at 22:02 | TrackBack

贅『煙の先』01/16-21ギャラリーLE DECO 5F

 イキウメの前川知大さんの脚本に役者さんの創作を加え、本番ではアドリブやハプニングも盛り込んで見せるという贅(ゼイ)の旗揚げ公演です(⇒プレビュー公演)。

 ゲスト出演者の内田慈さんが開演前に生っぽく前説されたところによると、「上演時間は45分から1時間40分ぐらいを予定しています」とのこと(笑)。本編45分に約1時間もの贅沢・贅肉をくわえたってことだったんですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『煙の先

 ≪ストーリー≫ 当日パンフレットより。(役者名)を追加。
 ある小さな地方都市。生花店で衝動的に万引きした奥寺(内田慈)は、店長の古橋(板垣雄亮)に見つかってしまう。万引きした花は高級品の希少花の鉢植えだった。従業員控え室で、古橋は奥寺を問い詰める。奥寺は常連とまではいかないが、店員の天野(瀧川英次)は彼女のことを覚えていた。天野は、花好きに悪い人はいないと情状酌量を求める。
 古橋は奥寺の家の室内を確認させることを条件に警察に届けないことにする。最近、転売目的と思われる高級花の盗難が少なからずあり、彼女の万引きが一回性のものであることを確認したかったのだ。
 古橋は奥寺の家で金田(岩井秀人)という男に会い、金田から奥寺の人となりを聞く。奥寺は無類の花好きで、大学院で植物生殖遺伝学を勉強している苦学生らしい。古橋は結局奥寺を見逃すことにするが、内心疑いを深める。
 古橋が思った通り、金田は奥寺の知識を利用し高級花の盗難と転売で荒稼ぎしているのだが、証拠がつかめない。奥寺への疑いを口にする古橋に、天野は感情的に反発する。
 そんな中、奥寺は天野に盗難の事実を告白する。天野は金田に利用される奥寺を救おうとするのだが…。
 ≪ここまで≫ 

 何度か拝見している役者さんばかりでしたので、「ここはどう来る?そうくるか!」という風に待ち構えて観ることになりました。
 プレビュー公演では、初めに戯曲全編をサラっと朗読して、次に本を持たずにアドリブやアイデアを盛り込んで見せるという形式でしたが、本公演は朗読はなしで、すぐに演技が始まりました。だからどこまでが原作なのかははっきりしいまま、探り探り観ていくことになりました。

 ここからネタバレします

 戯曲どおりのところと、戯曲に変更を加えているところとの差を、もっと味わいたかったですね。その意味ではプレビューの方が楽しめました。役者さんそれぞれの持ち味を出すというよりは、得意技を披露しているように感じたのが残念。達者な役者さんが揃っているとはいえ、やっぱり「演出家不在」というのは厳しいものだなぁと思いました。

 でもストーリーは面白かったです。タイトルの「煙の先」は、煙が立つその先には必ず火元(=原因)があるという意味。植物を万引きをする奥寺(内田慈)は、金田(岩井秀人)に操られていたとはいえ、本人にもそんな犯罪を犯してしまう動機(性質)がありました。それが少しずつわかっていくのが面白いです。

 天野は奥寺を救うために金田を襲いますが、「君が(助けてと)言ったんだから」と奥寺に確認してから、殴りかかります。何をするにしてもしないにしても、いつも誰かのせいにするってことですよね。「仕方ないから」とか「こうするしかないから」とか、全く根拠のない理由でぬるりと生きてしまう私自身を振り返りました。

 奥寺が、自分に優しくしてくれる天野に対して喜んでいるような素振りを見せながら、彼が去った後に「めんどくさい」と一言もらしたところが良かったです。
 演技では、寺田役の岩井秀人さんが怖くって怖くってたまりませんでした。ほんとにゾっとしました。また怖がらせてもらいたいです(笑)。

出演:板垣雄亮(殿様ランチ)/岩井秀人(ハイバイ)/瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ)内田慈
作:前川知大 演出=不在 照明:松本大介(enjin-light)/富所浩一 音響:荒木まや 制作:原田瞳(tsumazuki no ishi)/永井若葉(ハイバイ)
前売り2000円 当日2500円
公式=http://zeiniku.net/

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劇団きらら『いちじく純情』01/13-14タイニイアリス

 劇団きららは熊本の劇団で、東京公演は4回目だそうです。CoRich舞台芸術!のクチコミ情報で観に行くことにしました。
 
 ⇒CoRich舞台芸術!『いちじく純情

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 「未来と行く末はどうちがうの??」
 先輩のわき腹の肉におののいて放浪の旅に出た青年。
 ひょんなことからさびれた葬儀屋に勤めることに。
 コドモの未来・オトナの明日をみつめた、ポップでせつない物語♪
 ≪ここまで≫

 何も無いステージで可動式のイスを転がして場面転換し、登場しない役者さんは舞台の上下で待機するスタイル。役者さんの演技ははじけちゃってる系というか・・・客席に向かってやみくもに押し出す、吐き出す、爆発させるようなもので・・・とりあえず私は困りました。観客に頼ったり、媚びたりして欲しくないんですよね。
 あ、でも近子役の宗真樹子さんは素敵でした。飛ぶ劇場『正しい街』に客演されるとの情報をこの公演でゲットしました。
 
 衣裳は黒を基調にした抽象的なもので、ところどころ花の飾りが可愛いらしかったです。

 ここからネタバレします。

 ストーリーを行き当たりバッタリに組み立てているように感じました。幕が開いた途端、いきなり自分探しをすることにした若者(豊永英憲)が、彼氏(井上ゴム)と同棲中の姉(宗真樹子)の家に転がり込むのだけれど、将来の展望も計画も何もないので、とりあえず姉が働く葬儀屋で働くことになり、その葬儀屋がまたいい加減で・・・という流れでしたが、葬儀屋のリアリティはないし、葬儀屋にやってくる客(?)と店員とのつながりにも必然性はなく、本筋には必要のない役が沢山あったり(主人公を追いかける若い女たち)・・・結末はなんとな~くハッピーエンドになっちゃってました。
 物語重視ではないのだとすると、身体や声、言葉、転換などが見せ場なのかもしれませんが、特にそういうものは見つけられなかったです。

 わざとブサイクな顔および動きをして、大声で「キスしてください!!」とか叫ぶ女の子を登場させるのって、いったい何を表現したいのかな~って不思議になります。そういう人物を出すことで切ない気持ちになったり、怖くなったりするなら意味はあるかもしれませんが、ただの道化として出すのは・・・。もちろん笑っているお客様もいらっしゃいましたが、私にはムリでした。

≪熊本、東京、福岡≫ アリスフェスティバル2006 参加作品 
出演=豊永英憲、井上ゴム、宗真樹子、オニムラルミ、川口大介、三坂恵美、藤澤拓也、前田さち、斉藤加奈、川邊あゆみ
作・演出=池田美樹 装置=上瀧昭吾(兄弟船) 衣裳=池田美樹 音響=寺師裕 照明=荒巻久登((有)シーニック) 舞台監督=藤澤拓也 制作=宗真樹子 演出助手=吉松亜矢子 宣伝写真=Utty 宣伝美術=IKU
未就学児童入場不可 前売り2,000円 当日2,500円
劇団きらら=http://www.gkirara.com

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Posted by shinobu at 21:00 | TrackBack

2007年02月11日

飛ぶ劇場『正しい街』02/10-11にしすがも創造舎 特設会場

 泊篤志さんが作・演出される飛ぶ劇場は福岡県北九州市を拠点に活動する劇団です(過去レビュー⇒)。東京に来てくださる時はできるだけ拝見したいと思っています。福岡県の劇団といえば、私にとってはギンギラ太陽'sと飛ぶ劇場です。

 『正しい街』はCoRich舞台芸術!で福岡・北九州公演の感想をチェックしていましたので、かなり期待して西巣鴨に向かいました。東京国際芸術祭2007参加作品です。なんと東京公演は2ステージだけなんですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『正しい街
 レビューをアップしました(2007/02/13)。

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。改行を変更。
 正しくあろうとした人々が居た。それは難しい事だった。モラルが崩壊し、宗教や法律も無力だった。「地図を作りに来た」という女が現れる。警鐘を鳴らしに来たのか、破壊しに来たのか、救済に来たのか…。
 2年ぶりの新作は、正しくあろうとする余り歪んでいく、ある集団の物語。歪んだ先に果たして何がみえるのか?「崩壊」か「救済」か。
 ≪ここまで≫

 舞台中央に白い棺おけのような四角い箱がポツンと置いてあるだけの、シンプルで細長いステージ。長い方の両側面を客席が挟みます。にしすがも創造舎特設会場は天井が高く、広々としていて快適でした。初日は当日券がキャンセル待ちになるほどの満員でした。後から知ったんですが、映画監督の青山真治さんがゲスト出演されるポスト・パフォーマンス・トークがあったんですね。

 ある特殊な宗教を信じている人々が暮らす、小さな集落が舞台でした。閉鎖的なコミュニティの中での人間関係を描いた物語です。最近観た青年団リンク・サンプル『シフト』と描いている対象は同じだなと思いました。でも『シフト』が踏み込んでいる領域まで、『正しい街』は行っていないように感じました。

 『IRON』で一番感動したのはオリジナルの民族舞踊でした。振付にしてもアンサンブルにしても、身体そのものにしても、これは飛ぶ劇場でしか観られないものだと感じたからです。今回もそれは、全員がハミングするように歌う歌で感じられました。皆さんの声がすごく・・・澄んでいてきれいなんです。声と心がぴったり合わさっていて、歌そのものの物語の中での意味もしっかり伝わってきます。これがあるから、飛ぶ劇場は必ず観たいと思うんですよね。

 ここからネタバレします。

 舞台になった土地の名はメシネド。救世主キリスト(メシア)のご神体が眠る場所(ねどこ)という意味でした。ある山奥を勝手に不法占拠して5年かけて街を作り、無断で数百人(だったかな)が住み着いていています。犯罪者や前科者など、一般社会で生きづらくなった人が多いという設定でした。

 何もかもが12使徒の多数決で決まってしまうという幼稚な行政システムのもと、敬虔な信者をよそおいながら、プライベートでは不倫、売春、殺人などの“大罪”を日常的にしでかしています。そして皆がそれをわかっていながら見ない振りして生活しています。
 「いつか救世主が復活するその日まで、信仰を守る」とか、「ぱらいそ(パラダイス=天国)はどこにあるの?」とか、人々は“今ではない、いつか来る未来のための準備”をし、“ここではないどこか”を探しています。そして“自分たちだけ”が救われるという幻想を信じる仲間同士で脅し脅され、おびえながら、今という現実から逃れようとしているんですね。

 これって今の私たちの生きている現代社会にもよくあることで、演劇や映画、小説などでもよく取り上げられる普遍的テーマだと思います。だから特に題材がキリスト教である必要性が感じられませんでした。キリスト教にするならもっと奥深く入り込んだネタが欲しいし、時事的な事件に絡んだりしてもらいたかったですね。泊さんならではの聖書の解釈というなら、もっと刺激的で突飛であっていいと思いますし。

 当然のことながら村の生活は立ち行かなくなってきて崩壊します。最後の最後に神父が「新たな街を作ろう。今度こそうまくいくはずだ」と言いますが、観客はうまくいくはずがないことをわかっています。そこから先、もしくはその奥の抽象的な世界を感じたかったです。

 劇団きららから客演されている宗真樹子さんが「外界からやってくる女」役だったのは面白いですね。飛ぶ劇場の劇団員ではない人が「部外者役」ということで。


 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:泊篤志/青山真治(映画監督)

 私は『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』を拝見していたので青山監督にお会いできたのは嬉しかったな~。
 地元が同じ北九州で、なんと卒業した高校まで同じだというお二人でした。小倉と隠れキリシタンとの意外な因縁のつながりなど、ご当地トークが興味深かったです。実はお二人ともキリスト教について調査し、作品に取り上げているという共通点もありました。

 青山監督が「犠牲とか生け贄とか、責任の擦り付け合いとか・・・日本を描くのにキリスト教を題材にするのはしっくり来る」という意味のことをおっしゃったのですが、私も凄く共感しました。あと、クライマックスの出産(救世主の生誕)シーンで使われた白い布のことをすごく褒めてらっしゃったんですが、私もあれはとてもきれいだと思いました。

≪北九州、福岡、東京≫
出演=有門正太郎 内山ナオミ 寺田剛史 門司智美 藤尾加代子 鵜飼秋子 内田ゆみ 木村健二 権藤昌弘 宗像秀幸 葉山太司 加賀田浩二 大畑佳子 宗真樹子(劇団きらら)
作・演出=泊篤志 舞台監督=有門正太郎 照明=乳原一美 音響=杉山聡 衣裳=内山ナオミ(工房MOMO) 音楽=泊達夫 web=中安翌・藤原達郎 宣伝美術=トミタユキコ(ec ADHOC) 制作=北村功治・鶴元ふみ
発売日 12/20 日時指定・全席自由 3000円 学生2000円
公式=http://www.tobugeki.com/stage.php
東京国際芸術祭(TIF)=http://tif.anj.or.jp

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Posted by shinobu at 02:10 | TrackBack

2007年02月09日

【お知らせ】「CoRich舞台芸術まつり!2007春」公募が始まりました!

 私が立ち上げに関わったお薦めステージ紹介ポータル「CoRich舞台芸術!」(関連エントリー⇒)にて、「CoRich舞台芸術まつり!2007春」が開催されることになりました。参加団体の公募が始まっています(~2/25まで)。

 fringeのTOPページやfringe blogでも大々的に取り上げられていますので、舞台関係者の方はご存知かもしれませんが、この「CoRich舞台芸術まつり!2007春」の特徴は、参加費無料日本全国を対象にしていることです。

 例えばガーディアン・ガーデン演劇フェスティバル(祝・復活!)、日本演出者協会「若手演出家コンクール」、パルテノン多摩小劇場フェスティバルなどは、全国から東京にカンパニーが集まって審査されるものでした。でも「CoRich舞台芸術まつり!2007春」は、ネット審査に通った10団体の作品を、審査員が各地に観に行くのです。そしてグランプリに選ばれた1団体に、次回公演の資金として100万円を支援!なんて太っ腹な企画!!参加条件は詳細ページでご確認下さい。

 2/5の公募開始から4日目にしてとうとう最初の応募者が!
 ・SUPER★GRAPPLER「西遊記(仮)」(東京都)

 公演関係者を5人以上、過去の公演を1件以上登録し終えて、いわばリーチ状態になっている団体は下記です(2007/02/08時点)。注目団体ランキングの関係者登録数を見ればだいたいわかるんですね。面白~い。
 ・快飛行家スミス「月の船」(東京都)
 ・劇団衛星「珠光の庵 真の巻」(京都府)
 ・ユニット美人「髪結いの女たち」(大阪府)

 そしてPRビデオを登録している団体を見つけました!
 ・兎町十三番地(大阪府)
 団体ページの右肩に画面がありますよね。2分40秒の動画です。YouTUBEから投稿する形式のようです。オリジナル楽曲で歌って踊って楽しそうですね~。観客にとっては観に行くかどうかを決めるのに最高の材料です。ありがたい!

 公募は2/25(日)までです。団体の皆様、どうぞ積極的な参加を!まだ1団体しか申し込んでないんですから、大チャンスなんじゃないでしょうか??
 観客からもクチコミ投稿したり、お気に入り団体に登録したり、トラックバックしたりして応援できます。観客のクチコミも審査の対象になるんですよ~♪

 せっかくインターネットでつながっているんですから、作り手も観客も、舞台好き皆んなで一緒に楽しみましょう!

Posted by shinobu at 10:53 | TrackBack

【お知らせ】2月10日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演します

 FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたします。毎月第一土曜日のレギュラーです。

 今回はパルコ『コリオレイナス』『ひばり』『遊*ASOBU』の感想と、2月に観られるお薦めお芝居3本をご紹介します。“Corich舞台芸術まつり!2007春”のご紹介も少し♪

 西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
 2月10日(土)21:30~22:00(の内の約10分間)
 FM 84.2MHz

 ⇒PodCastingあり!放送終了後にアップされます(数日後だったりも)。
 ⇒アップされました(2007/02/20)。

Posted by shinobu at 10:31 | TrackBack

メルマガ号外 『私はだれでしょう』

 こまつ座『私はだれでしょう』
 01/14-02/25紀伊國屋サザンシアター
 ※公演詳細はこちら
 ※初日が2回延期されました。

 ★メルマガへの ご登録はこちら へ!
 ⇒CoRich舞台芸術!『私はだれでしょう

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 “しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.30  2007.02.08 1,082部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp


   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪


★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  こまつ座『私はだれでしょう』
  01/14-02/25紀伊國屋サザンシアター
  ☆出演=佐々木蔵之介、浅野ゆう子、川平慈英、前田亜季、
      北村有起哉、梅沢昌代、大鷹明良、朴勝哲
   作:井上ひさし 演出:栗山民也
   一般6,300円 学生4,200円
    http://www.komatsuza.co.jp/
   井上ひさしさんの書き下ろし新作!超豪華キャストです。
   私は、井上さんの新作をオンタイムで観られるこの時代に
   生まれて来たことに、心から感謝しています。


 ◎観劇後のコメント◎
  
  時は戦後すぐの東京。NHKラジオ番組の脚本班分室が舞台。
  戦争で離ればなれになった肉親の消息を尋ねる投書が山のように届き、
  新番組「尋ね人」が始まる。たった15分間のその番組を日本中が聴いていた。

  開幕する瞬間の、一番初めの音はピアノの生演奏でした。
  その重たくて優しい一音が身体に沁み込むように響き、
  澄んだ目をした役者さんたちの凛とした姿が徐々に目に入ってきて、
  心をひとつにした力強い声が、客席に広がりました。

  こまつ座の作品を観る時、私は手にハンカチを用意します。
  だって開幕の時からいつも涙がこぼれてしまうから。今日もそうでした。

  今回の出演者にはテレビや映画で活躍されている役者さんが多く、
  こまつ座初出演の方もいらっしゃいます。
  でもいつもの優しさ、ひたむきさは健在で、その上に
  思わず顔がほころんでしまうような初々しさ、みずみずしさと、
  このお芝居に出ていることへの喜びに溢れていました。

  脚本、演出、音楽などにももちろん感動したのですが、
  今日は特に、舞台の上で生き生きと生きている役者さんたちに魅せられ、
  住む家や家族を失った悲しみや、その気持ちに応えようとする優しさ、
  ひとくちの乾杯のビールを皆で分け合う喜びを、全身で感じることができました。

  初日が2度も延期されたのはとても残念なことでした。
  そのせいかどうかはわかりませんが、なんとまだ残席があるのです!
  そのことと当日券が出ていることを確認し、メルマガ号外の発行を決めました。
  このキャストでのこの公演を、どうぞお見逃し無く♪

  ※上演時間は約3時間20分(途中15分の休憩を含む)
   夜6時30分開演の場合、終演するのは9時50分です。


 【チケット情報】

   一般:6300円
   学生:4200円(取り扱いはこまつ座のみ)

  平日(火、木、金)の夜公演(6:30開演)に残席あり。
  チケットの予約は直接こまつ座にお電話してください。

   こまつ座 TEL 03-3862-5941
    http://www.komatsuza.co.jp/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆ 【編集後記】
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 ◎昨年の11月21日以来のメルマガ号外です。前回はこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/1121000913.html


 ◎2月10日夜にFM西東京『たけがき2』に出演します。
   http://takegaki.k-free.net/
  ※PodCastingが始まっています↓
   http://www.voiceblog.jp/takegaki842/


 ◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
  いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
  感想も書き込めますよ♪
   http://stage.corich.jp/


 ◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0331235959.html
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪

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【出演・スタッフ】
※台本執筆の遅れが原因で、初日が1月14日(日)から6日遅れの1月20日(土)に延期。
※さらに、初日が1/20から1/22に延期。
出演=佐々木蔵之介、浅野ゆう子、川平慈英、前田亜季、北村有起哉、梅沢昌代、大鷹明良、朴勝哲
作:井上ひさし 演出:栗山民也 音楽:宇野誠一郎 美術:石井強司 照明:服部基 音響:秦大介 振付:井手茂太 衣裳:前田文子 演出助手:保科耕一 舞台監督:三上司
発売日 2006/11/25 一般6,300円 学生4,200円
公式=http://www.komatsuza.co.jp/

Posted by shinobu at 09:57 | TrackBack

2007年02月08日

Bunkamura『ひばり』02/07-28Bunkamuraシアターコクーン

 松たか子さんのジャンヌ・ダルクの初日を観てまいりました~。まさか2日連続で蜷川さん演出作品を観ることになるとは・・・なんでチケット取るとき考えなかったのかしら、私(汗)。

 公式サイトにありますように、「『ひばり』は裁判劇で、ジャンヌ・ダルクが自分の半生を法廷で再現する形」でした。戦争を題材にしたスペクタクルかしらと想像していたので、大ハズレ(苦笑)。上演時間は3時間30分(休憩10分を含む)です。長かった・・・。

 初日だったからかもしれませんが、カーテンコールがなんと4回。スタンディングしてた方も大勢いらっしゃいましたね。さいたまゴールド・シアター所属の、お年を召した新人役者さんの満面の笑みが素敵でした。

 ≪ストーリー≫ 公式サイトより
 百年戦争と呼ばれた長い戦争終結の糸口をつくり、祖国を救った19歳の少女が裁判にかけられている。
 何の専門知識も経験もないまま17歳で軍隊の先頭に立ってイギリスと戦い、連戦連勝を収めた戦歴、13歳の頃から何度も聞いた「フランスを救え」という神の啓示、それに伴って彼女が起こした奇跡。それらすべてが、イギリスとフランス、政治と宗教、大人達の虚栄心と欲望によってかき消されようとしていた。
 法廷で自らの半生を演じさせられている男装の少女の名は、ジャンヌ・ダルクー。
 ≪ここまで≫

 幕開けは王侯貴族・身分の高い僧侶・兵士・農民などの衣裳に着替えた(または着替えの途中である)役者さんが、リラックスした気軽な身のこなしでトコトコと登場し、舞台を囲むように並べられたイスに腰掛けてお芝居が始まるのを待ちます。舞台中央のステージに上がらない役者さんはそのまま席で待っている、劇中劇のスタイル。皆さんほぼ出ずっぱりなんですね。
 そして何より、セリフが多い!!しゃべりっぱなし!!!聞いているだけでも意味を追うので精一杯になりました。また、シアターコクーンの広い舞台なのに二人だけで話すシーンが多く、一つ一つが長いんです。役者さんによって引き込まれたり退屈したり、浮き沈みがありました。私の先入観のせいもあるかもしれませんが、蜷川さんの演出作品の中ではかなり地味な方ですよね。

 前半は残念ながら初日っぽいムードで、全体的に会話も動きもぎくしゃくしているように感じました。でもジャンヌ役の松たか子さんが登場しているシーンは空気も引き締まり、私は受身の観客になれました。松さんの独白は美しく、はっきり堂々と語られるので説得力があります。でも対話になると、二人でいても一人っきりでしゃべっているように見えて、私は言葉を受け取りづらくなりました。それでも松さんが出てると松さんにしか目が行かなくなるんだよな~・・・嬉しいような悲しいような。

 舞台は法廷ですが、現代の裁判ではなく宗教裁判です。優しくしたり脅したり困ってみたり、僧侶たちはあらゆる話術でジャンヌを言いくるめていきます。ここで描かれていたキリスト教に限らず、自分を肯定するために他者を認めない(排除する)考え方というのは醜いですね。もちろん私は外側から眺めているからそういう自覚ができるけれど、あの世界の中にいたら周りに染まって流されているかもしれません。火あぶりになってもジャンヌの命は美しいと感じる自分の心を、曇らせないよう、隠さないよう生きたいです。

 異端であるかどうかを判定する(?)僧侶を演じられた壤晴彦さんが大迫力でした。

 ここからネタバレします。

 臆病なシャルル王(山崎一)に対してジャンヌが、「お前はもうじゅうぶんに怖がった。だからもう(怖がらなくても)大丈夫。」と言って励まし、勇気を与えます。「先に思う存分怖がっておいた方が勝つ」という考え方は凄い!コレ、私、絶対に実践する!(笑)

 一番恐ろしい、やっかいなものは悪魔ではない。「人間」だ。夜に禁断の快楽に耽っても、朝には誰かを救うために身を投げる、そんな矛盾を抱えた奇跡的な存在、それが人間。
 長い長い、言葉の洪水のお芝居の最後に、頑なに暗く閉ざされた世界を素っ裸にするほど白く照らす、稲光のような、後光のような言葉を聞くことが出来ました。

出演:松たか子/橋本さとし/山崎一/磯部勉/小島聖/月影瞳/二瓶鮫一/塾一久/久富惟晴/稲葉良子/阪上和子/横田栄司/妹尾正文/堀文明/品川徹/壤晴彦/益岡徹/さいたまゴールドシアターの方々/他
作:ジャン・アヌイ 翻訳:岩切正一郎 演出:蜷川幸雄  主催:Bunkamura 企画・製作:Bunkamura
一般発売 2006/11/26(日)  S席¥9,000 A席¥7,500 コクーンシート¥5,000 中2階立見券¥3,500 2階立見券¥3,000
公式=http://www.bunkamura.co.jp/

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Posted by shinobu at 02:37 | TrackBack

2007年02月06日

彩の国さいたま芸術劇場『コリオレイナス』01/28-02/08彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

 蜷川幸雄さんが彩の国さいたま芸術劇場でシェイクスピアを演出するシリーズの第16弾。唐沢寿明さんら豪華キャストで4月にはロンドンにも行かれます。
 ひさしぶりに与野本町へ。ぽかぽか陽気のマチネにゆったり伺えました。でもやっぱり駅と劇場の間の行き帰りの寂しさは好きになれない・・・。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより引用。役者名を部分的に追加。
 紀元前5世紀初め、共和制に移行したばかりのローマ。
 食糧不足のため、貴族たちに不満を募らせるローマ市民。その中でも特に目の敵にされているケイアス・マーシアス(のちのコリオレイナス:唐沢寿明)はヴォルサイ人との戦闘に参加。都市コリオライの城内に一人閉じ込められ傷を負いながらも、敵の指揮官オーフィディアス(勝村政信)との一騎打ちのすえローマを勝利に導く。
 ローマに帰還したマーシアスは英雄としてたたえられ、陥落した都市の名前にちなんでコリオレイナスの称号を受ける。コリオレイナスは執政官に推薦されるが、執政官になるためには謙虚のしるしであるボロ服をまとい広場に立ち、傷あとを見せながら市民に了解を得なければならない。コリオレイナスはその慣習に強く抵抗するが、周囲の説得によりしぶしぶ慣習に従う。
 無理やり愛想をふりまき彼は何とか市民の賛成を得る。しかし彼の失脚を狙う2人の護民官(瑳川哲朗&?)のそそのかしによりその賛成は撤回され、逆に彼は反逆罪で訴えられてしまう。市民と対立するコリオレイナス。彼は母ヴォラムニア(白石加代子)の説得により市民に謝罪することを了解するものの、護民官の狙いどおり途中で癇癪を起こしてしまい、民衆の敵としてコリオレイナスはローマから追放される。
 祖国への復讐の念に燃えるコリオレイナスは宿敵オーフィディアスのもとへ。自分を追放した連中への仕返しのため、オーフィディアスに協力を申し出る。二人は和解し友情を誓い、共に戦う仲間となる。
 ローマ領に攻撃をしかけるヴォルサイ軍。慌てたローマ側はコリオレイナスに和解を申し出るが、彼はかつての友人(吉田鋼太郎)さえも無視しローマ侵略を続ける。しかし彼の母、妻、息子までもが嘆願に訪れ、さすがに心動かされるコリオレイナス。和解を受け入れローマの兵を引き揚げる。
 ヴォルサイ軍内でどんどん存在感を増すコリオレイナスを疎ましく思い始めていたオーフィディアスは、彼がローマと和議を結んだことに憤慨。裏切り者としてコリオレイナスを責め、殺してしまう。コリオレイナスが生き続ければ危険な存在になったと言いながらも、その生涯を称えるオーフィディアスであった。
 ≪ここまで≫

 ひとことで言うと、NHKの大河ドラマを見ているような気分でした。和風(というかアジア風)の衣裳、美術は予想通り。ロンドンに行くならそんな感じじゃないかな~と思っていたので。衣裳は豪華で美しかったです。でも舞台がアレだとは・・・!役者さん大変だわ~と、少し心配しつつの鑑賞になりました。

 『コリオレイナス』というと、私はレイフ・ファインズさん主演のアルメイダ劇場公演を2000年に拝見したきりです。あまり好きじゃなかったんですよね、演出もストーリーも。それに比べたら今回の方が楽しめたかな。でも何度かレビューにも書いていますが、大きな声で早口で、熱く流しきるようにしゃべり続ける種類のセリフまわしは、私は苦手なのです。今作は全編そんな感じだったので集中できませんでした。コリオレイナスの母親役の白石加代子さんは語りが一辺倒ではないので、声も言葉もじっくり楽しめました。
 
 ここからネタバレします。

 照明の当たり方で鏡になったり透明になったりするパネルが使われていました(マジック・ミラーみたいな?)。唐沢さん主演ですし『マクベス』を思い出しました。『マクベス』等と違うのは、ステージのほぼ全体が階段だったこと!『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』もそんな感じでしたよね。衣裳の長いすそを上手にさばきながら階段舞台を歩き、走り回る役者さんたち・・・何度見てもおろおろしちゃいます。勾配が急な八百屋舞台だと受け取れば、客席からはまんべんなく役者さんの全身を見られるので贅沢とも言えますね。でも私はあんまり・・・。

 勇気があって猛々しく、根っからの軍人であるコリオレイナスは、自分の気持ちにすごく正直な男です。媚びたり演技したりすることができません。そういう竹を割ったような性格は普通にかっこよく見えました。彼は戦場に行かない市民(庶民)を十把一絡げに「愚民」呼ばわりし、明らかに差別します。ローマ時代のお話ですから当然なのかもしれません。そのように、ちょっと極端な性格のコリオレイナスの人生を追っていきながら、彼だけでなく彼の周りの人々のことも客観的に眺めていくことになりました。

 嘘をつくことについては「あるある大事典」の捏造問題、ビルの耐震強度偽装問題、復讐については9.11、イラクでの自爆テロなど、私が生きている世界で日常茶飯事になっていることとそのまま重なりました。だからお芝居の中の世界を楽しむよりも、今の社会の出来事とつなげて考える時間が長かったです。
 ありきたりな言葉になってしまいますが、自分の気持ちに正直であることって本当に大切ですよね。最近はそれさえできればいいんじゃないか、そこが何もかもの出発点じゃないかと思い始めています。もちろん選民意識や差別はいけないですけど。

彩の国シェイクスピア・シリーズ第16弾
≪埼玉、大阪、福岡、愛知≫
出演=唐沢寿明/白石加代子/勝村政信/香寿たつき/吉田鋼太郎/瑳川哲朗/原康義/大友龍三郎/手塚秀彰/小田豊/冨岡弘/大川浩樹/小林正寛/高瀬哲朗/高橋礼恵/樋浦勉/鈴木豊/清家栄一/塚本幸男/新川將人/二反田雅澄/福田潔/井面猛志/篠原正志/鍛冶真人/髙山春夫/北川勝博/星智也/KAI/田村真/角田明彦/藤沼剛/梶原美樹/泉裕/川崎誠一郎/川﨑誠司/原田琢磨/石田佳央/杉浦大介/前橋聖丈(ダブルキャスト)/桐山和己(ダブルキャスト)
演出:蜷川幸雄 原作:W・シェイクスピア 翻訳:松岡和子 美術:中越司 照明:原田保 衣裳:小峰リリー 音響:井上正弘 演出助手:井上尊晶 舞台監督:白石英輔 テクニカル・コーディネーター:金井勇一郎 主催:財団法人埼玉県芸術文化振興財団 制作:財団法人埼玉県芸術文化振興財団/ホリプロ 企画:彩の国さいたま芸術劇場シェイクスピア企画委員会 平成18年度文化庁芸術拠点形成事業
10月14日(土)一般前売開始 一般S席9,000円 A席7,000円 B席5,000円 学生席 2,000円
公式=http://www.saf.or.jp/

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Posted by shinobu at 19:24 | TrackBack

2007年02月02日

【情報】asahi.comの朝日舞台芸術賞関連記事(動画・写真あり!)

 朝日舞台芸術賞関連の記事がasahi.comに掲載されています。動画などはずっとネット上にあるわけではないので、今のうちにどうぞご覧あれ!

第6回「朝日舞台芸術賞」決まる
演技への情熱、増す輝き 朝日舞台芸術賞贈呈式
朝日舞台芸術賞、受賞者らに賞牌 東京・虎ノ門で贈呈式 ★動画へのリンクあり

〈グランプリ〉「時のなかの時――とき
〈舞台芸術賞〉麻実れいさん
〈舞台芸術賞〉段田安則さん
〈舞台芸術賞〉寺島しのぶさん
〈舞台芸術賞〉東京バレエ団
〈舞台芸術賞〉中村吉右衛門さん
〈寺山修司賞〉市川亀治郎さん
〈秋元松代賞〉角野卓造さん
〈特別賞〉小幡欣治さん

Posted by shinobu at 16:01 | TrackBack

2007年02月01日

Ort-d.d『肖像 オフィーリア』02/01-04自由学園明日館 講堂

 Ort-d.dがまた重要文化財で演劇をやってくれました。東京国際芸術祭2007オープニング公演です。上演時間は約1時間40分。

 自由学園明日館は“JR池袋駅メトロポリタン口より徒歩5分”ですが、道が込み入っていますので、会場までは余裕を持って行かれることをお勧めします。私は道に迷って開演ギリギリに滑り込むことになってしまいました。冷え込みましたので厚着をするのが良いかも。

 しのぶの演劇レビュー内の“Ort-d.d&倉迫康史”の検索結果も参考になさってください。倉迫さん演出のお芝居を観たはこれで17本目になるのかしら。多作ですよね~。
 ⇒倉迫康史インタビュー
 ⇒a ophelia gallery(オフィーリアのきれいな絵がいっぱい)

 会場に入ると背もたれのある木製のベンチが整然と並んでおり、講堂というよりは礼拝堂のような雰囲気。舞台はほぼプロセニアム(額縁)形式ですが、客席の周りや通路も頻繁に使われて、役者さんがかなり観客に近い場所で演技されました。壁には綺麗な木組みの窓が並んでおり、外の明かりも会場に入ってきます。昼公演では遮光されるそうですので、夜公演とは違った印象になるでしょうね。

 日本近代文学の参考テキスト(下記参照)の多さに驚きましたが、パンフレットの演出ノートによると、主に太宰治『新ハムレット』『女生徒』、如月小春『DOLL』が使われたようです。『新ハムレット』には『ハムレット』と同じ登場人物が出てきますが、ストーリーは全然違うんですね。

 Ort-d.dならではの個性的かつ大胆な語り口で、原作と全く違った『ハムレット』の世界の断片が次々と繰り出されていきます。『新ハムレット』とミッションスクールの女生徒たちの物語が絡み合う構成だったようですが、私はどちらがどちらのストーリーなのか等はよくわかりませんでした。

 タイトルどおりシェイクスピア作『ハムレット』のヒロイン・オフィーリアが主軸になっています。このお芝居で描かれたオフィーリア像(=少女像)については、どうしても誰かの個人的な思い込みで作りあげられた人形のようにしか見えませんでした。また、若い女優さんたちもそんな(誰かの)理想の少女にはなりきれていないように映りました。

 ただ、演出ノートには下記のように書かれていますので、確信犯なのですね。

 しかし、少女達の物語を作ったとはいっても、それはしょせん男性目線のものでしかない。どうやらそうらしい、としか言えない。少女達の謎は謎のままでよいとした。

 クローディアス(三村聡)とポローニアス(村上哲也)が対立する場面が良かったです。演技対決でもありました。
 オフィーリア役でチラシのモデルにもなっている市川梢さん、ミッションスクールの女教師役の小田さやかさんが印象に残りました。

 ここからネタバレします。

 ポローニアス(村上哲也)が正義の人だったり、ガートルード(三橋麻子)が自殺したり、クローディアス(三村聡)がマクベスに見えてきたり・・・原作と違った意外な展開で、戸惑いながらも解釈の自由さを楽しみました。

 ハムレットと婚前交渉して妊娠したことを開き直ってしまう偽オフィーリア(平佐喜子)の方が、無垢なオフィーリアたちよりも本物の女性に近いんじゃないかと思いました。だから兵士に蹂躙される少女たちを見ても特別な悲しみは感じられず、男と女の違いがはっきりとしたなぁ、というぐらいに受け取りました。
 ミッションスクールであろうが娼婦宿であろうが、女性の本質というものはそれほど変わらないんじゃないかと私は思います。むしろ立場や境遇に染まって、その中での何らかの目標に向かって一直線に進んで行ける男たちの方が、純粋無垢であるように思いました。

東京国際芸術祭2007オープニング公演
出演:市川梢/岡田宗介/三橋麻子/村上哲也/三村聡(山の手事情社)/杉村誠子/小田さやか/平佐喜子/山田裕子(第七劇場)/綾田將一(reset-N)/小林紀貴/凪景介/浅野葉子/金子由菜/住吉梨紗/森久智代/渡辺麻依
構成・演出:倉迫康史 美術:伊藤雅子 照明:木藤歩(balance,inc) 音響:水村良(AZTEC) 衣裳:竹内陽子 ヘアメイク:竹澤綾子 宣伝美術:山本ゆうか、ROCCA WORKS スチール:萩原靖 写真モデル:市川梢 舞台監督:弘光哲也 演出協力:棚川寛子 制作:河合千佳
参考テキスト:夏目漱石『草枕』(1906、明治39年)/坪内逍遥訳『ハムレット』(1907、明治40年)/志賀直哉『クローディアスの日記』(1912、大正1年)/島崎藤村『桜の実の熟する時』(1919、大正8年)/小林秀雄『おふえりや遺文』(1931、昭和6年)/太宰治『女生徒』(1939、昭和14年)/太宰治『新ハムレット』(1941、昭和16年)/太宰治『待つ』(1942、昭和17年)/如月小春『DOLL』(1983、昭和58年)ほか
主催:Ort-d.d/NPO法人アートネットワーク・ジャパン 特別協賛:アサヒビール株式会社 助成:財団法人アサヒビール芸術文化財団 後援:豊島区
料金(日時指定・自由席・税込)一般 3,500円/豊島区民割引 2,500円/学生 2,000円(当日要学生証提示)
公演公式=http://www16.plala.or.jp/ort/ophelia_about.html

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Posted by shinobu at 23:55 | TrackBack

メルマガ 2007年02月のお薦め舞台

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お薦めお芝居をご紹介しています

 2007年2月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 33     2007.2.1  1,087部 発行

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   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎なんだか東京は思いっきり暖冬な気がします。
  寒くないのはありがたいのですが、ピリっと肌に凍みる寒風も恋しい・・・。
  
    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
     http://blog.mag2.com/m/log/0000134861


○○ 今回のもくじ
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 ◆1【今月のお薦め10本+α】
   
   ◎No.1→ク・ナウカ『奥州安達原』
       02/19-27文化学園体育館
        http://www.kunauka.or.jp/

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→三条会『ひかりごけ』
       01/18-21ザ・スズナリ
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0118223123.html

 ◆3【東京国際芸術祭2007が開幕!2/1~3/30】

   ◎海外からも多数のカンパニーが来日する豪華なフェスティバルです。

 ◆4【編集後記】

   ◎第6回朝日舞台芸術賞・贈呈式
   ◎2月10日夜にFM西東京『たけがき2』に出演します。

 ◆5【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆1 【今月のお薦め10本+α】
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 ▽★印がいちおし公演です(3本)。
 ▽初日の早い順に並べています。
 ▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・コメント・価格・URL
 ▽座種の記述がない公演は全席指定。


1.松竹『殿のちょんまげを切る女』
  02/01-25新橋演舞場
  ☆出演=中村勘三郎/中村七之助/波乃久里子/藤山直美/他
   作=中島淳彦 演出=ラサール石井
   1等席13,650円 2等席8,400円 3階A席4,200円
   3階B席2,520円 1階桟敷席14,700円
    http://www.shochiku.co.jp/play/enbujyo/0702/index.html
   中島淳彦さんの書き下ろし新作だそうです。大爆笑でしょうね~。
   中村勘三郎さん、藤山直美さんが出演された公演(2001年)↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2001/0223010332.html


2.Bunkamura『ひばり』
  02/07-28Bunkamuraシアターコクーン
  ☆出演:松たか子/橋本さとし/他
   作:ジャン・アヌイ 翻訳:岩切正一郎 演出:蜷川幸雄
   S席¥9,000 A席¥7,500 コクーンシート¥5,000
   中2階立見券¥3,500 2階立見券¥3,000
    http://www.bunkamura.co.jp/
   松たか子さんがジャンヌ・ダルクに。蜷川幸雄さんの演出です。


3.パルコ『フールフォアラブ fool for love』
  02/07-25 PARCO劇場
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演=香川照之/寺島しのぶ/甲本雅裕/大谷亮介
   作=サム・シェパード 演出=行定勲(映画監督)
   一般7,500円 学生券(当日指定席引換)=4000円
   ※プレビュー2月4日&2月5日(月) 5,000円 未就学児の入場不可
    http://www.parco-play.com/web/page/information/fool/
   ロバート・アルトマン監督の映画(1985年)が好きでした。
    http://www.takara-univ.ac.jp/movie/aiueo/hu/kakudai/0149.html
   寺島しのぶさんとキム・ベイシンガーってイメージがぴったり。


4.北九州芸術劇場プロデュース『地獄八景・・浮世百景』
  02/09-18世田谷パブリックシアター
  ≪東京、大阪、北九州≫
  ☆出演=佐藤アツヒロ/高橋由美子/山内圭哉/松永玲子/小松利昌/
   出口結美子/桂吉坊/市川笑也/桂吉弥/升毅/松尾貴史
   監修=桂米朝 脚本=東野ひろあき 演出=G2
   プレビュー公演:4,500円
   本公演:S席6,300円 A席4,800円 ※未就学児の入場不可
    http://www.g2produce.com/other/ukiyo/
   五十数本の上方落語を1本のお芝居に。豪華キャストです。


★5.ニッポン放送『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』
  02/15-03/04新宿FACE
  ≪東京、宮城、大阪、愛知、福岡、東京≫
  ☆出演=山本耕史、中村中
   上演台本・演出=鈴木勝秀
   指定-7800円 ※未就学児童は入場不可。
    http://www.hedwig.jp/
   山本耕史ヘドウィグが観たい!鈴木勝秀さんの演出も楽しみです。
   日本人初のヘドウィグを演じられたのは三上博史さん↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0622140003.html


6.tpt『薔薇の花束の秘密』
  02/17-03/02ベニサン・ピット
  ☆出演=安奈淳/毬谷友子
   作=マヌエル・プイグ 訳・演出=木内宏昌
   一般6,300円 学生3,150円
    http://www.tpt.co.jp
   再演が重ねられているtptのレパートリーを新キャスト・演出で。


★7.ク・ナウカ『奥州安達原』
  02/19-27文化学園体育館
  ☆出演=美加理、ほか
   作=近松半二、竹田和泉、北窓後一、竹本三郎兵衛 台本・演出=宮城聰
   一般(全席指定)6000円 ユース席(25歳以下)2500円
   2/18は学生限定プレビュー2500円 その他各種割引あり
    http://www.kunauka.or.jp/
  ※文楽でも「奥州安達原」が上演されます。
   国立劇場『2月文楽公演』02/09-25国立劇場 小劇場
    http://www.ntj.jac.go.jp/performance/1047.html

   ●お薦めポイント●
   主宰の宮城聰さんが静岡県舞台芸術センター(SPAC)の芸術総監督に就任され、
   今後はSPACで作品を発表していかれることになりました。
   今公演終了後より、ク・ナウカのメンバーはソロ活動期間に入るそうです。
   いつか再びク・ナウカの作品に出会えると信じていますが、
   創立17年目の節目の公演を見逃すわけにはいかないでしょう。


8.フジテレビジョン『殺人者』
  02/19-03/11東京グローブ座
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演=三宅健/石田ひかり/MEGUMI/みのすけ/松本紀保/他
   作・演出・出演=赤堀雅秋
   S席:8500円 A席:7500円
    http://www.tglobe.net/
   ジャニーズ事務所のスターが出演する公演は人気も評価も高いんですよね。
   THE SHAMPOO HATの赤堀雅秋さんの作・演出に期待。


9.まつもと市民芸術館共同製作
  『ヒステリア―あるいは、ある強迫神経症の分析の断片』
  02/13-03/03シアタートラム
  ≪東京、長野≫
  ☆まつもと市民芸術館芸術監督 串田和美プロデュース2007
   出演:串田和美/荻野目慶子/あさひ7オユキ/白井晃
   作:テリー・ジョンソン 翻訳:小宮山智津子 演出:白井晃
   一般5,000円 TSSS 2,500円 劇場会員・世田谷区民割引あり
    http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/
   画家ダリと精神分析学者フロイトが登場するコメディの日本初演。


10.サードステージ『僕たちの好きだった革命』
  02/28-03/11シアターアプル
  ≪東京、士別、札幌、幕別、山形、宮城、名古屋、大阪≫
  ☆出演=中村雅俊/片瀬那奈/塩谷瞬/ほか
   企画・原案=堤幸彦 企画・原作・脚本・演出=鴻上尚史
   S席¥7,500 ジーンズシート¥4,000 未就学児の入場不可
   ※3月7日(水)14:00の公演のみS席¥6,500
    http://www.thirdstage.com
   鴻上尚史さんの久々の新作。


 ★★★―――――――――――――――――――――――――――――― 
  前売り3000円台以下のお薦め作品を4本ご紹介します。
 ――――――――――――――――――――――――――――――★★★ 

【1】文化庁主催・文化庁芸術家在外研修(新進芸術家海外留学制度)の成果
  『メアリー・ステュアート』
  02/01-04新国立劇場 小劇場
  ☆出演=平栗あつみ(演劇集団円/平成16年度派遣)/田島令子/ほか
   作=フリードリッヒ・シラー 脚色=ピーター・オズワルド
   演出=古城十忍(平成16年度派遣) 美術=伊藤雅子(平成15年度派遣)
   一般3,500円 学生2,500円 ※10歳未満の幼児・児童の入場不可。
    http://www.isseki.com/stage/575msrystuart/index.html
   文化庁の海外研修を修了された方々が参加。3,500円はお値打ち!


【2】横浜未来演劇人シアター『ぬけがら』
  02/08-12相鉄本多劇場
  ☆作=佃典彦 演出=寺十吾(tsumazuki no ishi)
   全席自由(日時指定) 前売¥2,000 当日¥2,500
    http://mirai-engekijin.com/diarypro/archives/11.html
   第50回岸田國士戯曲賞受賞作品を寺十吾さんが演出。


★【3】MONO『地獄でございます』
  02/08-12三鷹市芸術文化センター 星ホール
  ≪東京、大阪、岡山、長久手、福岡、北九州≫
  ☆出演:水沼健・奥村泰彦・尾方宣久・金替康博・土田英生
   作・演出:土田英生
   前売3,000円 当日3,500円 高校生以下1,500円(前売・当日とも)
   その他、劇場会員割引あり。未就学のお子様はご入場できません。
    http://www.c-mono.com/
   土田英生さんの新作。MONOの本公演です。


【4】庭劇団ペニノ『笑顔の砦』
  02/22-03/04駅前劇場
  ≪東京、大阪≫
  ☆第17回下北沢演劇祭参加作品
   出演:久保井研(劇団唐組)/マメ山田/ほか
   作・演出:タニノクロウ
   前売り3300円 当日3500円 2/23(金)、2/28(水)は昼ギャザあり
    http://www.niwagekidan.org/
   タニノクロウさんの世界は病みつきになる危険性あり♪前作レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0916120654.html


≪追悼公演≫

 ○鈴置洋孝追悼公演『煙が目にしみる』
  02/06-12シアターサンモール
   原案:鈴置洋孝 作・演出:堤泰之(プラチナ・ペーパーズ)
   全席指定 4,800円
    http://www.quinbaya.com/suzuoki/
    http://www.place-net.co.jp/info/index.html#007
   2002年の加藤健一事務所『煙が目にしみる』のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2002/0201232128.html


≪ミュージカル≫

 ○TBS『ブロードウェイミュージカル「シカゴ」』
  02/08-03/04日生劇場
  ☆S席13,000円 A席11,000円 B席 9,000円
   ※未就学児童不可
    http://www.chicago2007.jp/


 ◎しのぶの今月の全予定(28本+α)はSCHEDULEに掲載しています。
   http://www.shinobu-review.jp/schedule.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆2 【先月のベスト3】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.三条会『ひかりごけ』
  01/18-21ザ・スズナリ
  ☆もはや伝説となっている三条会版「ひかりごけ」をやっと拝見。
   俳優の身体、声、音楽などの舞台上にある全ての事象が、
   独特の呼吸で調和します。裁判のシーンでは涙が止まりませんでした。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0118223123.html
   CoRich舞台芸術!に感想が寄せられています。
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=139


2.青年団リンク・サンプル『シフト』
  01/26-02/04アトリエ春風舎
  ☆ラップに包まれて天井からぶら下がっている無数の日用品を眺めながら、
   現代日本人は色んな物をもてあそんで、使い捨てて来たんだなと思いました。
   極端な性癖や尋常ではない慣習を持つ人間を敢えて標本のように並べ、
   ニヒルにならない冷静さで、ニセモノで嘘つきな私たちを描いていました。
    (レビューはアップできていません。ごめんなさい。)
   CoRich舞台芸術!に感想が寄せられています。
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_main_id=104


3.該当作品なし。


 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  2007年1月(観劇数は15作品)は残念ながら発行しませんでした。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆3 【東京国際芸術祭2007が開幕!2/1~3/30】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◎毎年、国内&海外から注目のカンパニーが集まる東京国際芸術祭が
  始まりました。開催期間:2月1日~3月30日
   http://tif.anj.or.jp
  前半の2月のラインナップも見逃したくない作品ばかりです。


 1.Ort-d.d『肖像 オフィーリア』
   02/01-04自由学園明日館 講堂
   ☆出演:市川梢/岡田宗介/三橋麻子/村上哲也/三村聡/他
    構成・演出:倉迫康史
    日時指定・自由席 一般 3,500円 豊島区民割引 2,500円
    学生 2,000円(当日要学生証提示)
     http://www16.plala.or.jp/ort/ophelia_about.html
    倉迫康史さんのインタビュー
     http://tif.anj.or.jp/pocket/ort/index.html
    自由学園明日館という会場も楽しみ♪
     http://www.jiyu.jp/


 2.『アメリカ現代戯曲&劇作家シリーズVol.2 ドラマリーディング』
   02/02-04にしすがも創造舎特設劇場
   ☆「素晴らしい事が終わるとき―歴史とわたしとバービー人形―」
     作=シェリー・クレイマー 演出=工藤千夏(青年団)
    「DOE 雌鹿」
     作=トリスタ・ボールドウィン 演出=羊屋白玉(指輪ホテル)
    「アダムの後に」
     作=クリスティーナ・ハム 演出=中野成樹(中野成樹+フランケンズ)
      一般1,000円 学生800円(当日要学生証提示)
      3演目セット券:一般2,000円 学生1,500円
     http://tif.anj.or.jp/program/america.html
    昨年は4本とも拝見しました。面白かったですよ。
     http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0211233559.html


 3.飛ぶ劇場 vol.26『正しい街』
   02/10-11にしすがも創造舎特設会場
   ≪北九州、福岡、東京≫
   ☆作・演出=泊篤志
    日時指定・全席自由 一般3000円 学生2000円
     http://www.tobugeki.com/
    CoRich舞台芸術!で既にご覧になった方の感想が読めます↓
     http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_main_id=491


 4.『アトミック・サバイバー-ワーニャのこどもたち-』
   02/22-25にしすがも創造舎特設劇場
   ☆出演:野村昇史/谷川清美/福田毅/永井秀樹
    構成・演出:阿部初美 ドラマトゥルク:長島確
    一般3,000円 学生2,000円(当日要学生証提示) 豊島区民割引2,500円
     http://tif.anj.or.jp/program/atomic.html


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 ◆4 【編集後記】
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 ◎第6回朝日舞台芸術賞 贈呈式が終了いたしました。
   http://www.asahi.com/shimbun/award/stage/
  昨年末から事務局に勤務しておりまして、昨日が本番だったんです!
  美しい女優さん、艶のある男優さんにおいでいただき、
  華やかなお式になりました。
  近々アサヒ・コムに贈呈式の動画がアップされると思います。
   http://www.asahi.com/


 ◎2月10日夜にFM西東京『たけがき2』に出演します。
   http://takegaki.k-free.net/
  ※PodCastingが始まっています↓
   http://www.voiceblog.jp/takegaki842/


 ◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
  いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
  感想も書き込めますよ♪
   http://stage.corich.jp/


 ◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
  「これは面白いよ!」というお薦め邦画情報モトム!
  お問い合わせフォームから↓お願いいたします。
   http://www.shinobu-review.jp/contact/
  2007年1月は下記の4作品を拝見しました。
  ・「夜のピクニック」←意外に苦味の効いた青春映画でした。
   http://www.yorupic.com/
  ・「日本以外全部沈没」←強烈なブラックユーモアに憂国の心あり。
   http://www.all-chinbotsu.com/
  ・「日本沈没」←「日本以外全部沈没」とセットで!(笑)
   http://www.nc06.jp/
  ・「バッシング」←占部房子さん主演。つらかったけど観てよかった。
   http://www.bashing.jp/


 ◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0331235959.html
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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Posted by shinobu at 17:43 | TrackBack