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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年02月21日

フジテレビジョン『殺人者』02/19-03/11東京グローブ座

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エントランスのポスター

 ジャニーズ事務所の三宅健さんが主演される演劇公演です。脚本・演出がTHE SHAMPOO HATの赤堀雅秋さん!ということで、自分のことのように勝手に喜んでチケットをゲットしました。

 感動したわ~・・・最後泣いちゃったよ(涙)、そして2000円するパンフまで購入・・・。いや~ジャニーズのスターが出る公演、嬉しいです。三宅さんが前回出られた『第32進海丸』も素晴らしかったですしね。こんなに良い作品が続けば、ジャニーズ・ファンの方々がストレート・プレイに興味を持ってくださると思います。そしてTHE SHAMPOO HATの公演を観に来て欲しい!

 CoRich舞台芸術!⇒『殺人者

 ≪あらすじ≫ パンフレットより。改行を変更。役者名を追加。
 千葉県郊外のとある街。どこにでもある平凡な住宅街で、鮮魚店を営む一家。寡黙で勤勉な父・清(秋野太作)と、明るく元気な母・信子(大谷直子)、そして子供たち。特に波風を立てることもなく、淡々と同じ日々を繰り返し、積み重ねている松田家だったが……。
 きっかけは3ヶ月前に起こった隣家の子供の殺人事件だった。その事件を期に末娘の真理(MEGUMI)の体調がおかしくなった。妹の体調を気遣いながらも、家業の鮮魚店の仕事を手伝う次男の勝(三宅健)。
 そこへふらりと、9年前に家を出たきり音信不通だった長男の健司(日比大介)が帰ってくる。昨日と同じ今日、今日と同じ明日。決して変わることのない松田家の日常が、少しずつ歪み、静かに崩れていく。
 昨日と同じ明日なんてあるはずがない。明日はきっと「ここではない、どこかへ」。
 だけど、どうしようもない日常を繰り返すうちに、人はさまざまなものを身に纏う。いつしか日常を退屈だと感じることもなく、身動きが取れなくなっているものなのだ。たぶん誰にでも思い当たることがあるのだろう。これは、そんな日常の中に生きる私たち、誰にでも起こりうる物語りなのかもしれない……。
 ≪ここまで≫

 「殺人者」というタイトルどおり、ある殺人事件が起こった小さな田舎町が舞台です。でも「殺人」や「事件」などという言葉から想起されるような、いわゆる緊迫感とかテレビのサスペンスのような空気はあまり感じませんでした。それより何より、今の日本の郊外に暮らすごく普通の、ものすごく平凡な人々の群像劇だと感じました。

 赤堀さんの脚本の、かなりストレートな表現にずっと心が惹かれつづけました。一言一言を、耳をそばだてて大切に聞いていました。メルヘンチックだったり、照れちゃいそうになるぐらい率直だったり、普段に話されたらちょっと驚くかもしれない可愛いらしい言葉たちが、私の胸の中にとても自然に降り積もりました。登場人物はヘンな人たちばっかりだったけど、みんな好きになっちゃったな~・・・。

 残念ながら役者さんの演技に心動かされることはなかったです。三宅さんや石田ひかりさん、THE SHAMPOO HATのメンバーなど、さまざまな業界出身の役者さんが揃っていて、演じるという行為についての温度差を感じざるを得ませんでした。そういう意味で完成度が高い作品だとは思いませんが、観てよかったです。

 ここからネタバレします。

 殺人事件が起こった場所は、勝の家のすぐ近くの雑木林です。その雑木林を人の心の闇と重ね、リアルな装置と日常会話の中に、目には見えないけれど確かに存在する、人が抗うことができない大きな力を想像させます。
 脚本については、説明がすごく少ないのもかっこいいと思いました。兄が帰ってきた理由とか、殺人方法とか、警察は果たして犯人を捕まえたのかどうかなど、大事なポイントが曖昧なままで終わりました。渋い!

 子供を殺した犯人は、その母親・加藤正江(石田ひかり)でした。正江に想いを寄せる勝(三宅健)は、一度は彼女と一緒に逃げようとしますが、考えを改めて警察に通報します。警察がやってきて、正江が事件について(自分が息子を殺した日の行動について)具体的に話している時、突然まっくらに暗転します。この体験が素晴らしかった・・・!私も勝と一緒に雑木林の中に、自分の寂しい心の中にいるような気持ちになれました。

 最後は三宅さん、ケーキを食べながら泣いてました。あれ、グっと来ましたね。三宅さんのことがまた好きになったかも。

 終盤で語られた、まっすぐな言葉を下記に。
 父「孤独を受け入れなさい。」
 勝「俺は今日生まれたんだ。」

≪東京、大阪≫
出演=三宅健、石田ひかり、MEGUMI、中山祐一朗、野中隆光、日比大介、黒田大輔、赤堀雅秋、みのすけ、松本紀保、大谷直子、秋野太作
作・演出=赤堀雅秋(THE SHAMPOO HAT) 美術デザイン=福田暢秀(F.A.T. STUDIO) 照明デザイン=杉本公亮 音響デザイン=田上篤志(atSound) 衣裳デザイン=山本有子(ミシンロックス) ヘアメイクデザイン=亀田麻起子(スタジオAD) 舞台監督=高橋大輔+至福団 演出助手=松倉良子 大道具製作=C-COM/桜井俊郎 マエヤマ建具/野沢園 大道具=唐崎修 舞台装置=美術工房 拓人 小道具製作=秦真祐子 小道具=高津映画製作/藤波小道具 特殊効果=糸田正志 運搬=マイド ピアノ演奏=岩堀美紀/奥田祐 動物派遣=湘南動物プロダクション(オウムのアオちゃん) 票券=細田恵子(フジテレビジョン) 佐々木恵理子(フジテレビジョン) 宣伝=若松紅(フジテレビジョン) 宇都宮明美(フジテレビジョン) プロデューサー=有馬智子(フジテレビジョン) プロデューサー補=藤野良太(フジテレビジョン) 企画・プロデュース=松野博文(フジテレビジョン) 企画・製作=フジテレビジョン 主催=ドラマチック・デパートメント
発売日12/17 S席:8500円 A席:7500円(全席指定・税込)
公式=http://www.tglobe.net/

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Posted by shinobu at 2007年02月21日 00:18 | TrackBack (0)