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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年03月07日

ポツドール『激情』03/04-11本多劇場

 三浦大輔さんが脚本・演出を手がけるポツドール(過去レビュー⇒)。初の本多劇場公演です。
 『激情』は2004年初演で私は初見。フジテレビ「劇団演技者。」でドラマにもなりました。上演時間は約2時間15分。・・・疲れました。R指定がありませんが、私だったらR-25ですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『激情

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 「劇団演技者。」より。(役者名)を追加。
 “裏切り”をテーマに「田舎ならではのやるせなさ、どーしょうもなさ、虚しさ」という【愛憎】を“リアル”に“真摯”に人間関係を追って描いた嘘のない物語
 閉ざされた田舎町。
 農地拡大に失敗した両親が自殺し、多額の借金を背負うことになった菅原(米村亮太朗)は、気力がうせ、何もかもバカバカしくなり、仕事を辞めてしまう。その上、両親の通夜で知り合った人妻・岩田(安藤玉恵)と関係を持ち、益々“なるようになれ”的なズルズルした毎日を過ごし出す。そんな堕落しきった様子を見兼ねた幼なじみの遠藤(脇坂圭一郎)と先輩・久保(小林康浩)が借金を毎月少しずつ返済してくれているにも関わらず、尚もダラダラと過ごす菅原。そんな菅原の前に久保と遠藤はかつての嫌われ者・杉山(古澤裕介)を連れて来た。事業に成功した杉山が借金の半分を肩代わりしてくれるという――。
 ≪ここまで≫

 リアルに作られた田舎の日本家屋。すごく自然な日常会話を覗き見するような体験です。ポツドールらしく、登場人物は生々しくののしりあいますし、男女は大胆に絡み合います。お好きになれない方もいらっしゃると思います。私は決して好きではありませんが、派手な濡れ場を売りにしているわけではないので、引いたりせずにきちんと観られます。ポツドールの公演に出演される役者さんは相変わらず凄いなと思います。あんなに生々しく、あれだけのことをするんですから。相当腹が据わってないとできないでしょう。

 お互いを好意的に意識しはじめた男女は、見つめ合って、静かに近づいて、おそるおそる触れ合って、キスをして、そして抱き合ってセックスに至ります。この作品では、小さなキスがセックスに変化する瞬間、まるで空から地面に急降下するように感じるんです。胸にグサっと来て、背中にゾクっときて、サっと冷静にならざるを得ません。いったいどこまでが恋愛で、どこからが生殖行為なのか。このキワが描かれているような気がしました。

 ただ、ストーリーや作品全体の演出については、あまり面白いとは思えませんでした。例えば映像と音楽、音声の使われ方がうまくいっているようには思えず、気が散りました。

 ここからネタバレします。

 題材は浮気、借金、売春、ヤクザ、差別など、かなりハードです。確かに誰の人生も一寸先は闇だし、死とすぐ隣り合わせです。無自覚にだらだらと呆けて、放置していると、人間はものすごいスピードで簡単に堕ちていけます。その境界線が描かれていたんじゃないかなと思います。そういえばチラシに書かれてますね↓

 閉ざされた田舎町の一軒家。そこで人間の醜さが露呈されていく…。いくら信頼関係を築こうとも、人は絶対裏切る。「ま、いっか」という感じで。なし崩し的に。ずるずると…。その「ま、いっか」の中に人間の本質が隠されている。

 初演を観た人に聞いたところ、初演との大きな違いはラストシーンだったようです。「○○○セックス」関連のセリフはあのためだったんだなと思うと少々興ざめ。もっと当然のようにやってくれたら、ただの事象としてサラリと受け入れられたと思うのですが、大げさに感じてしまいました。「あそこまでひどい状態を描いて、いったい何を伝えたいのかな」とか考えちゃったんですよね、残念。

出演=米村亮太朗 脇坂圭一郎 小林康浩 古澤裕介 安藤玉恵 町田マリー(毛皮族) 玄覺悠子 井上幸太郎 仗桐安(RONNIEROCKET) 鷲尾英彰 美館智範 河西裕介
脚本・演出=三浦大輔 照明=伊藤孝(ART CORE design) 音響=中村嘉宏(atSound) 舞台監督=清沢伸也 舞台美術=田中敏恵 大道具製=夢工房 映像・宣伝美術=冨田中理(selfimage produkts) 小道具=大橋路代(パワープラトン) 衣装=金子千尋 舞台監督助手=松浦孝行 演出助手=富田恭史(jorro) 写真撮影=曳野若菜 制作=木下京子 広報=石井裕太 当日運営=山田恵理子(Y.e.P)  企画・製作=ポツドール
前売3,900円 当日4,400円
公式=http://www.potudo-ru.com/

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Posted by shinobu at 2007年03月07日 00:01 | TrackBack (0)