トヨタ・アートマネジメントフォーラム2007の分科会Eを拝聴してきました(⇒関連エントリー)。ものすごく充実していて楽しい1時間30分でした。
フォーラムの当日の様子を短くまとめた動画がアップされています。
【セッションE】「リージョナルシアターが地域を超える日-演劇が身近な存在になれば、アートも近くに見えてくる-」
by NPO法人福岡パフォーミングアーツプロジェクト(FPAP)
・パネリスト:斎藤ちず/谷瀬未紀/井神拓也/詩森ろば
・ケーススタディ報告:森忠治
・司会:荻野達也
巡演(多地域をまわる公演)についての具体的な実績や体験例、それが及ぼす社会への影響、効果などをお話してくださいました。下記、メモったことの羅列です。お名前は敬称略。
斎藤「(他の地域からの公演の受け入れは)お金のためにやることじゃない。町にとっての刺激になる。・・・」
詩森「(色んな地域で公演をして)町に落としていったものがつながっていく。小さな人間関係の可能性がある。もっと小さいつながりの可能性が、アートの中にある。」「孤独にあえいでいる時代に、そのつながりは有効だと思う。」
谷瀬「ライブ表現には、人と人とがそこに居なければいけない。個人と個人から始まるコミュニケーション。」
(不明)「一対一から、ミニマムな単位から始められる。効率とかマスとかじゃなくて、ごく身近なところから始まるもの。」
谷瀬「誰か一人が“これ、面白いよ!”と発言することからつながっていく。」
荻野「巡演がもたらす社会への影響は?」
谷瀬「現地との人のつながりを生むこと。」
斎藤「地域を知ること。違う土地と出会うこと。」
井神「創作している側にとっては、表現が固まらない(のが良い)。色んな地域の人に観てもらうことで、公平な評価が得られる。表現が強くなる。」
谷瀬「そもそも演劇は、創作段階から全く未知の人を知っていく作業。それは深いコミュニケーション。」「ライブであるからゆえ、人がそこに居なければいけない。人でなければいけない。一緒にしゃべって知っていくしかない。それがアートの力。」
詩森「コミュニケーションの方法自体を極めていく作業。」「今、失われつつある濃厚なコミュニケーションを、与え合うことができる。」
まとめの総合セッションでは、おえらい現代美術関係の先生方の、歯に衣着せぬおおらかな(笑)トークを堪能しました。いっぱい笑ったな~。
アサヒビールの方のお話も素晴らしかったです。「アートはもともと社会の中にあるものなのだから、“アートが社会につながる”などという言い方がそもそもおかしい」「何かの役に立たなくてもいいじゃないか。」「窮地に陥った時に人ははじめて気づくのですが、アートは必要です。人はアートがなければ生きていけない。」「“~~のための~~”なんていらない。」「アーティストという無謀なやからを支援していくことも重要です。」
最後の交流会ではいろんな方とご挨拶して、ざっくばらんにセッションの感想などもお話できました。まさに「アートの力、ここにあり」ということだと思います。
【セッションE】NPO法人福岡パフォーミングアーツプロジェクト(FPAP) パネリスト:斎藤ちず(NPO法人コンカリーニョ 理事長)/谷瀬未紀(ピカラック)/井神拓也(ヨーロッパ企画制作)/詩森ろば(風琴工房主宰/TOKYOSCAPEフェスティバル ディレクター) ケーススタディ報告:森忠治(tripod) 司会:荻野達也(fringeプロデューサー) PC操作:高崎大志(FPAP)
主催: トヨタ自動車株式会社 協力: 社団法人企業メセナ協議会、SETENV 運営: トヨタ・アートマネジメントフォーラム2007実行委員会、ネットTAM運営事務局
NET TAM:http://www.nettam.jp/forum07/
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