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しのぶの演劇レビュー
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2007年04月30日

さんだる『ハートブレイカー「僕は卒業します」』04/26-27キッド・アイラック・アートホール 

 朗読組さんだるは山本佳希さん(朗読者)、板垣恭一さん(演出)、小林章太郎さん(音楽・演奏)の朗読企画です(過去のレビュー⇒)。

 劇場公演が始まってから皆勤賞の私。平日2ステージのみでしたが都合をやりくりして何とか伺えました。3回ごとにテーマを変更しているそうで、第一期は日本近代文学、第二期は物語(だったと思う)、そして今回から始まる第三期はドキュメンタリーだそうです。

 レビューをアップしました(2007/05/01)。

 山本佳希さんの高校時代の同級生(西尾剛さん)が書いたブログ「Nのブログ~竹内との戦い~」に少々手を加えて上演台本にし、生演奏と照明を加えた朗読公演だったのですが・・・これがすっごく面白かった!神戸の不良・男子高校生ナガオが、ヤクザのような担任の体育教師サトウチと対峙する波乱万丈の学校生活をつづります。関西弁ならではのネタ振り・オチ、ボケ・つっこみに大笑いしながら、生徒と教師の男らしい本音のぶつかりに涙しました。実話っていうのがまた凄いんですよね(ブログの内容はほとんど変えていないそうです)。なんと神戸公演には担任の先生が実際に劇場に来られたとか!

 神戸出身の山本さんがご自身の高校時代のことを語るわけですから、その臨場感たるや尋常ではありません(笑)。私も関西出身で関西ならではの公立高校の様子っていうのはよくわかりますから、暴力を振るう体育教師や不良の男子学生などはまさに目に浮かぶようでした(十数年以上前の話ですが)。山本さんの力の抜けた鋭い突っ込みや、ムダに大声な怒号がまた素晴らしかったんですよね~。「おんどらナメとんのかコラっ!!」って(ほとんどギャグだよね、文字で書いてみると・笑)リアルな関西弁が良かったな~。あ、でもちょっと噛みすぎでもったいなかったけど。

 音楽はオリジナルやカバーを含めて板垣恭一さん(演出)、小林章太郎さんのギター演奏でした。板垣さんは人前でギターを弾くのは20年ぶりだったそうです。多才ですねぇ。朗読終了後は小林章太郎さんのライブ(2曲披露)がありました。小林さんはThree Dewという姉弟バンドのメンバーでもありますが、SONY MUSICと作曲家契約も結ばれたそうで、今後のご活躍に期待したいです。演劇方面ではハラホロシャングリラの次回公演で音楽を手がけられるとか。山本さんは朗読のお仕事も始められたそうです。さんだるは今回が第7回ですものね、長く続けることでさらに次の何かが始まり、実を結んでいくんだと思います。

 ここからネタバレします。ぜひ再演していただきたいです。テレビドラマにも合うんじゃないかな。

 進級に必要な出席日数分しか学校に通う気がなく、いつも2~3時間目以降にしか登校しない、いわゆる“不良”のナガオと、なぜか校舎内でもサングラスをかけ、生徒を暴力で脅す(てゆーか実際に暴力を振るう)体育教師サトウチとが、互いの本音(下心)と生き様をさらして、友情とも言える厚い関係性を築いていく約2年間が語られます。

 サトウチが遅刻・欠席し続けるナガオのことを「生徒の中には人より早く大人になってしまう生徒もいる」と認めたうえで、「俺は出世がしたい。自分のクラスから落第者が出るのは、まずい。だから俺はお前をしばく。」と言い切ったのには爆笑でした。そして「将来の夢を“レコード大賞”と書く奴のために、俺は何もしてやれない。」と言ってナガオに謝り、「大学に行くのも就職するのもそういう(音楽の)道に進むのも、同じことだ。だからバンド活動で欠席する時は俺に言ってからにしろ(無断欠席にならないように)。」と応援してくれたり・・・こんな先生、いたんだね~。

 山本さんが登場人物になりきって熱く関西弁で話したり、先生のモノマネをされたり、かなりエンターテインメント性に富んだ演出でした。感動を呼ぶエピソードの終わり際にベタになりすぎる気配もありましたが、それも山本さんの柔和なキャラクターのおかげで私の許容範囲内でした。

≪東京プレビュー、神戸、東京≫
西尾剛「Nのブログ~竹内との戦い~」より
出演=山本佳希/板垣恭一(演奏)/小林章太郎(演奏)
朗読=山本佳希 演出=板垣恭一 音楽=小林章太郎 照明=坂本明浩 宣伝美術=田端一彦 制作協力=オフィス・REN(藤野和美/荘司雅子) 制作=宮田さゆり(オフィス・REN) 企画・製作=さんだる 
2000円(全席自由・要予約)
http://ameblo.jp/base-info

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Posted by shinobu at 23:30 | TrackBack

【つぶやき】雑誌“GENERATION TIMES”が素敵。

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GENERATION TIMES

 知り合いからの紹介で“GENERATION TIMES(ジェネレーションタイムズ) - 新しい時代のカタチを考えるジャーナル・タブロイド誌 - ”という雑誌に出会いました。
 ネットと舞台ばかりから情報摂取して、テレビや映画、そして紙媒体にも疎い私ですが、「この雑誌は素敵!」って思ったんですよね。
 ⇒こちらで購入できます。

 紹介してくれた人がまずおっしゃっていたのは「この雑誌にはジャーナリズムがある」ってこと。たしかに真摯な取材に基づいた力強い主張があります。

 GENERATION TIMESブログ(編集長の伊藤剛さんが執筆)を読んでて見つけたんですが、『シブヤ大学』の理事もしてらっしゃるんですね。「いつまでたっても卒業しない。それがきっと、シブヤ大学の優等生です。」というコピーもかっこいい。シブヤ大学のキャンパスは渋谷全域。その中にこどもの城・青山劇場のイラストも発見!舞台芸術にもつながるんじゃないでしょうか。

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Posted by shinobu at 22:54 | TrackBack

こまつ座『紙屋町さくらホテル』04/29-05/05俳優座劇場

 もともとは新国立劇場のこけら落とし公演として上演された作品です。新国立劇場、こまつ座で何度も再演と多地域公演をを重ねています。私は2度目(⇒1度目のレビュー)。
 やっぱりボッロボロ涙を流しての観劇になりました。家族を連れて行って良かったです。上演時間は約3時間20分(15分の休憩を含む)。当日券は完売していました。
 
 ⇒CoRich舞台芸術!『紙屋町さくらホテル
 レビューをアップしました(2007/05/01)。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。改行を変更。
 昭和二十年、五月、広島。
 紙屋町ホテルは、名優丸山定夫(木場勝己)とスター女優園井恵子(森奈みはる)を迎えた。そして、女主人(中川安奈)をはじめ宿泊客までが、まるごと移動演劇隊「さくら隊」に入隊することになる。公演は2日後。演し物は「無法松の一生」。しかしかれらの前途には山のような困難が待ち受けていた。
 役者はみな素人。しかも薬の行商人を装う男は、じつは海軍大将(辻萬長)。傷痍軍人もじつは陸軍省の密偵(河野洋一郎)。さらに彼ら全員を、特高刑事(大原康裕)が監視している。
 はたして。「さくら隊」はぶじに芝居の幕をあけることができるのだろうか。
 大日本帝国存亡のときに、全国を行脚した天皇の密使。海軍大将長谷川清(辻萬長)が、広島で邂逅した、あのかけがえのない三日間。
 原爆で逝った愛しき人びとの歌声が、青空のかなたから、いまも長谷川の胸に、清らかに響く。
 ≪ここまで≫

 こまつ座ならではの歴史音楽劇。2度目ですが改めて知りなおした事実やメッセージも多くあり、やっぱり観に行って良かったと思いました。
 でも、幕開けが私の期待するこまつ座っぽくなかったんですよね。新国立劇場での再演では最初の「すみれの花、咲く~♪」という歌声とともに涙があふれ出してしまうほど、そのホスピタリティや人物の輝きに胸打たれたはずなんですが、今回は第1幕全体が説明っぽくて、歌にも力がなく、「いったい何が起こった(変わった)んだろう?」と勘ぐりたくなるぐらいのがっかり感に襲われました。

 しかしながら第2幕からはコミカルな劇中劇や偽名を使った人物の正体探りなど、熱くてスリリングな場面が続き、徐々に井上戯曲の中へと入り込むことができるようになりました。戦争の犠牲になった(これから原爆で死んでしまう)人々の思いを愛をもってつぶさに伝えながら、こんなに大きな犠牲を払ってまで守る国体とは、戦争の意義とは何なのか、誰がその責任を取るべきなのかという確信へと迫ります。勇猛で優しいことばに、涙が溢れ続けました。また、自分が前回とは全く違う考えを持っていることにも気づき、この数年で演劇に教えられたことの大きさを再確認しました。

 ある舞台俳優さんがこのお芝居のことを、「井上ひさしさんから役者に贈られたプレゼントだ」とおっしゃっていたと聞いたことがあります。俳優さんはぜひご覧になると良いと思います。

 暗転中の音楽が全体的にミスマッチな気がしましたね。NHKの昔の幼児番組で使われてそうな曲が、真新しく録音されたような状態で流れます。ブンチャカ、ブンチャ、みたいな。「いくらこまつ座でも、それはないんじゃないかな~」って感じるぐらいの時代遅れ感でした。ノイズを入れて古さを演出するとか、何らかの加工がある方が受け入れられやすいんじゃないかと、個人的には思います。

 ここからネタバレします。

 終戦直前に昭和天皇から陸軍の実体を調査してくるよう言われた元・海軍大将(辻萬長)は、GHQの職員(元・陸軍省の密偵:河野洋一郎)のもとを訪れ、「自分の目、鼻、耳は御大(天皇)のものであった。すなわち自分自身は天皇である」と自負した上で、巣鴨拘置所に自分を戦犯として収監するよう迫ります。日本軍がアメリカ軍と戦っても勝ち目がないことを知りながら、和平交渉への決断を遅らせたことでどれだけの人命が失われたか。『夢の痂(かさぶた)』を思い出し、前回とは反対の感想を持ちました。

 元・タカラジェンヌの新劇女優役の森奈みはるさんは、新劇をやっている時よりもタカラヅカをやってる時の方がきれいでした。歌の声が出ていなくて残念。
 言語学者役の久保酎吉さんが、教え子の遺言を読むシーンで号泣。久保さんの存在感は私がいつも期待しているこまつ座の空気を最初から作ってくださっていました。

≪他地域公演ののち、東京≫
出演:辻萬長、中川安奈、木場勝己、森奈みはる、久保酎吉、河野洋一郎、大原康裕、栗田桃子、前田涼子
作=井上ひさし 演出=鵜山仁 音楽:宇野誠一郎 美術 :石井強司 衣裳 :前田文子  照明 :服部基   音響 :斉藤美佐男   振付 :謝珠栄  歌唱指導 :宮本貞子   方言指導 :大原穣子   宣伝美術:和田誠 演出助手 :宮腰洋子 舞台監督 :加藤高 制作=井上都 高林真一 谷口泰寛
【発売日】2007/03/24 学生割引3,150円 一般5,250円
http://www.komatsuza.co.jp/

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Posted by shinobu at 21:05 | TrackBack

2007年04月29日

ハイバイ『「おねがい放課後(プレビュー公演)」と「ヒッキー・カンクーントルネード(再演)」』03/14-18アトリエ・ヘリコプター

 岩井秀人さんが作・演出されるハイバイ(過去レビュー⇒)の、「ヒッキー・カンクーントルネード」再演と「おねがい放課後」プレビューの2本立て公演です。しっかり2本立てで3時間(途中10分の休憩を含む)ありました。ちょっと疲れましたが充実のアトリエ公演でした。

 ⇒CoRich舞台芸術!「再演とプレビュー公演

■「ヒッキー・カンクーントルネード(再演)」
出演:平原テツ(reset-N)・村田牧子(青年団) ・渡猛(Tokyo Comedy Store j)・中川幸子(五反田団) ・松本裕亮 ・岩井秀人(15日19時半~・16日15時~・18日14時~の回のみ出演)

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより (役者名)を追加。
 プロレスラーになりたいけど引きこもりの男、登美男の夢と現実の葛藤。
 ハイバイ旗揚げの作品であり名作の呼び声高い主宰岩井の半自伝的悲劇。

 プロレスラーになりたいけど引きこもりの森田登美雄(岩井秀人)。
 唯一の理解者である妹(中川幸子)と、今日も楽しくプロレス談義。
 心配した母親(平原テツ)は引きこもりを引きずり出す
 職人さん『出張お兄さん』(松本裕亮)に相談をしに行くのだが。
 ≪ここまで≫

 感受性豊かな(自意識過剰な)若者の純粋な気持ちがふるふると揺れ動く様子を、繊細な演技でつぶさに表現します。岩井さんがひきこもりの長男役を演じられる回を拝見しました。やっぱり岩井さん、怖い・・・怖くて目が離せない。
 どちらかというと、こまばアゴラ劇場で観たものの方が個人的には好きでしたが(役者さんの存在感とか)、ラストは今回の方が余韻が深く残って良かったように思いました。

 ネタバレします。

 用松亮さんが長男役だった前公演では、最後に長男が泣きながらとはいえ自分から進んで家を出て、“脱ひきこもり”を達成したような、ちょっとイイ感じのエンディングでした。でも今作では、長男(岩井)は静かに、まるで死出の旅路に出るように舞台を立ち去ったため、単純なハッピーエンドにはならなかったように感じたんですよね。後味がすっきりせず、じわじわと何らかのしこりが残るのが良かったです。


■「おねがい放課後(プレビュー公演)」
出演:古館寛治(青年団) ・市子嶋しのぶ(カムカムミニキーナ)・石橋亜希子(青年団)・内田慈・岡田昌也・師岡広明・三浦俊輔・永井若葉

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 1年に4歳、年をとってしまう奇病を患った高校生とそれを取り囲む親、仲間達。
 冴え渡る10代の自意識と性欲の宴。

 一年に4歳年をとってしまう奇病にかかっている志賀君。
 彼を取り囲む、陽気な同級生達。
 19歳なのに肉体的には68歳の志賀君は、
 見た目はおじさんだけど恋だってするし、
 ちょっとした背伸びもしたい。
 ある日、演劇部の新しい顧問がやってきて、
 それまで部の中心だった志賀君の立場が一気に揺らぐ。
 果たして。
 ≪ここまで≫

 メルマガ2007年4月号に書いた感想(先月のベスト2)
  ☆1年に4歳としを取る病気に悩む高校生・志賀くんを主軸に、
   人間の自意識が生み出す可笑しい、恥ずかしい、悲しい世界を
   現実と非現実を大胆に行き来しながら描く「おねがい放課後」。
   笑いが止まらないのに、グサっと傷つけられたりもして、
   無我夢中で拝見しました。劇中劇の構造もしたたか。

 顔に思いっきりしわを落書きした志賀君(三浦俊輔)が登場し、『無外流、津川吾郎』でその演出方法に慣れたとは言え、やっぱり爆笑してしまいました。
 志賀君が所属する演劇部に新しい顧問の先生(品川:古館寛治)がやってきて、恋する相手(内田慈)との甘い日々が、すっかり暗転してしまいます。この品川先生のキャラが強烈!(笑) モデルは岩井さんが学生時代に教わった演劇の先生だそうです。

 次回公演では新キャストになり、設定を高校から大学に変更するそうです。青年団の志賀廣太郎さんがとうとう登場!

 ネタバレします。

 長い暗転の中のキスシーン(頭にチュー)はめちゃくちゃエロティックです。思いっきりうっとりしたりトキメいちゃえればいいんだけど、やっぱり志賀くんの病気とかコンプレックスが頭から離れないから、安易にイイ気持ちにはなれません。決して逃れることができない悲しみや苦しみと、「生きてて良かった」と思える最高の幸せが同時に起こる真っ暗闇で、涙が搾り出されました。

 「ハムレット」の劇中劇でうっかり(笑)殺人が起きてしまい、なんと品川先生も志賀君も死んでしまいます。「死」はあまり歓迎したくない結末でした。志賀君は早死にする運命だったかもしれないけど、命が終わることでお話を終わらせてしまうと、世界がすんなりきれいに閉じてしまったように感じ、もったいないと思いました。あと、死後の世界で好きだった女の子と一緒になれたけど、シーンとしては長すぎると思いました。そこまでで十分お腹一杯になっていたからだと思います。いっぱい笑ったし、いっぱい泣きました。

出演=古館寛治(青年団) /市子嶋しのぶ(カムカムミニキーナ)/石橋亜希子(青年団)/平原テツ(reset-N)/中川幸子(五反田団)/渡猛(Tokyo Comedy Store j)/村田牧子(青年団) /内田慈/岡田昌也/師岡広明 /松本裕亮 /三浦俊輔/永井若葉/岩井秀人
作・演出=岩井秀人 照明=松本大介(enjin-light) 音響=荒木まや 制作=原田瞳(tsumazuki-no-ishi)
2000円(16日金の昼の回のみ1500円)
公式=http://hi-bye.hp.infoseek.co.jp/

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Posted by shinobu at 22:56 | TrackBack

2007年04月26日

時間堂『ピンポン、のような』04/26-30王子小劇場

 黒澤世莉さんが作・演出される時間堂の公演です。黒澤さんが演出される舞台は数回拝見しましたが(過去レビュー⇒)、黒澤さんご自身による脚本も時間堂の公演も初めて。※時間堂公演は2度目です(2007/05/01訂正)。
 「CoRich舞台芸術まつり!2007春」審査員としてプレビューに伺いました。レビューはCoRich舞台芸術!に書きました。こちらは備忘録です。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ピンポン、のような

 ≪ものがたり≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。配役がわかるとネタバレになります。
 とある山奥深く、300年の歴史を誇る由緒正しきひなびた温泉旅館には、幽霊が出るともっぱらの噂である。祖父の代からの常連客の流行女流作家(境宏子)が、投宿してから二ヶ月がたつが、彼女の筆はまったく進んでいなかった。
 彼女が物思いにふけるなか、それを邪魔をするように、あいたくない人物が次々とやってくる。恋人(原田紀行)、恋人の恋人(足立由夏)、図々しい愛読者(河合咲)、編集者(中田顕史郎)、仲居(雨森スウ)などなど、にぎやかに、かつバカバカしく。彼女はなぜかみんなと卓球をする羽目になり、そのうちに次々と嘘が露呈していく。
 なぜ彼女は2ヶ月も山ごもりをするのか。何が彼女をいらだたせているのか。幽霊は本当にいるのか。ピンポン球はみんなの間を行き来する。そして彼女は、また作品を書けるようになるのだろうか。
 ≪ここまで≫

 本番約10日前のワークインプログレスも拝見しました。同じ作品とは思えないほど進化していてびっくり。良い企画ですね。
 時間堂2007計画の“チケット代が1,800円の「シネマプライスシアター」”は、財布の口がチケット購入のために開きっぱなしのシアターゴーアーとしては、ぜひぜひ流行してもらいたいです(笑)。

出演者 こいけけいこ、雨森スウ、境宏子、河合咲、清水那保、原田紀行、足立由夏、中田顕史郎
作・演出:黒澤世莉 舞台監督:青木規雄、松下清永+鴉屋 舞台美術:近藤麗子 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 宣伝美術:村山泰子(時間堂) 宣伝写真:松本幸夫 演出助手:谷賢一(DULL-COLORED POP) 制作:田中沙織 提携:王子小劇場 主催:時間堂
全席自由 前売・当日:1,800円 学生/北区在住者/シニア(60歳以上)・要証明・当日のみ:1,500円
時間堂=http://www.seriseri.com/jikando/
時間堂2007計画ブログ=http://blog.livedoor.jp/jtc2007/

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Posted by shinobu at 17:06 | TrackBack

【インタビュー】『CLEANSKINS/きれいな肌』脚本家シャン・カーンさん(後編)04/19新国立劇場応接室

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Shan Khanさん

 『CLEANSKINS/きれいな肌』の脚本を書かれたシャン・カーンさんのインタビューの後編です(⇒前編)。ただいま新国立劇場で上演中!4/28(土)までです。お見逃しなく♪

 稽古場レポート⇒〔〕〔〕〔〕〔〕〔〕〔
 ⇒初日のレビュー
 ⇒シャン・カーンさんのインタビュー(新国立劇場)動画あり!
 ⇒シャン・カーンさんのインタビュー(前編)(後編・このページです)
 ⇒演劇「CLEANSKINS/きれいな肌」お客様の声(新国立劇場)
 ⇒CoRich舞台芸術!

≪後半≫
しのぶ:今回の作品についてお聞きしたいんですが。今作は世界初演ということで、日本人の出演者・スタッフで作られたわけですね。率直に、初日をご覧になっていかがでしたか?
シャン:楽しませていただきましたし、素晴らしいと思いました。自分が書いた活字が舞台になって命を吹き込まれているのを観ると、若干奇妙な感じがするのは、おわかりいただけますよね。でも自分と違う人々が少しずつ、いかに違った風に解釈してくれるかを観るのは、いつも楽しいです。「これがあなたが心に描いていたことでしょ?」と言われて、実はそれが自分の意図と違っていても、舞台で演じられるのを観たら素晴らしいなと思うのです。言葉(日本語)が理解できなくても、まあ、私は何が起こるかを知っているので意味ははっきりわかっているんですが(笑)、とても良かったと思います。キャスト・スタッフがチームとして団結して、素晴らしい仕事をしてくれました。

しのぶ:三人の出演者について、感想をお聞かせいただけますか?お母さんのドッティーはどうでしたか?
シャン:彼女(銀粉蝶さん)はとても良かったですね。彼女はキャラクターのアーチ(弧)を、そのように私は呼ぶんですが、それをうまく体得していたと思います。一目観て、少しお馬鹿さんな感じでしたよね。ドッティーという名前が表すところの“ドッティー”をちゃんと演じてくれたように思います。ドッティーというのはドロシーのニックネームで、名前の設定にそもそも“ぼんやりさん”、“うっかりさん”、“ちょっとお馬鹿さん“という意味があるんです。彼女は少しぼーっとしていて、混乱やすい気質であるところをよく表現してくれていました。彼女の外見や身体の在り方(physicality)も良かったです。ドッティーはとても大きな暗い秘密を子供達に隠していますよね。でも彼女の表情や動き、表現からは、たとえ彼女が妙に見えたとしても、大きな秘密を隠していることを最後の最後まで観客に疑わせなかった。

しのぶ:お姉さんのヘザーはどうでしたか?彼女は改宗したイスラム教徒ですよね。
シャン:彼女(中嶋朋子さん)はあの役をよく演じてくださったと思います。あのキャラクターは、常に威厳を保っていることが大切だと私は思います。彼女はその点を非常によくとらえていました。おそらくヘザーは、これは脚本には書かれていないのですが、父親が戻るように言ったから家に戻ったんですよね。これは私の考えですが、父親は彼女に「もし帰るなら、息子が私に会いたがっているかどうかを聞いてきてほしい」と言ったんだと思います。それが、ヘザーが家に戻った主な動機だと思うのです。中嶋さんはその側面もよく演じていました。彼女は非常に良い女優だと思います。

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ジョークが絶えないシャンさん(笑)

しのぶ:サニーはどうでしょう?
シャン:サニーは・・・サニーを演じた彼、北村有起哉さんは面白い人ですよね(笑)。サニーの役には難しいところがありまして、いっぱい汚いことば(四字言葉)が入ってくるんですね。「畜生」とか「クソ野郎」とか。それは翻訳の先生にも言われたんですが。あの役は、やりすぎてしまうといけないんです。我々はそういう演技をoverplayに対してunderplayと呼ぶのですが、北村さんは押さえ気味に、うまく制御していたと思います。サニーを演じていない時の北村さんは明るくって元気のいい方で、それは舞台の上の彼とは全く違いましたよね。まるで違う皮膚をかぶったように。その身体(Physicality)がとても良かったです。
 サニーという役は孤立していて醜いキャラクターですよね、人種差別主義者だし、乱暴な言葉遣いをするし。でも、それでいて彼が人々の共感を呼ぶのは、彼が自分の信念に忠実だからです。人々が彼の信念に同意だろうが反対だろうが、彼は自分が信じていることに非常に情熱的で、その点を北村さんはよくとらえていました。

シャン:3人の俳優が一体となって良い演技をしてくださったので、私には彼らが本当の家族であると信じられました。もちろん演出の栗山さんの力も大きかったんだろうと思います。あなた(しのぶ)は何度もリハーサル(稽古)をご覧になったんですよね?リハーサルはとても面白いと思うんですよ、あなたが目にしたあの舞台成果がいかにして達成されたのかを見られるんですから。俳優や演出家をはじめとするこのチームの方々の方法論が、幻想(Illusion)をうまく作り出したんだと思います。むしろそれがリアリティですよね。

しのぶ:日本語の脚本を読ませていただいたんですが、脚本には書かれていないことが舞台で起こっていますよね、まあ当然のことなんですが、印象に残ったのはドッティーが頻繁に鍵を閉めるところでした。脚本には特に「ここで鍵を閉める」とは書かれていないですよね。
シャン:それは演出ですね、栗山さんが沢山のことを追加されたのでしょう。脚本はプロセスの始まりにすぎなくて、俳優、演出家、照明デザイナー、衣装デザイナーなどの皆さんが、書いてあることを大きく発展させていく。それがこの仕事のとても素敵なところだと思います。
 他のことも栗山さんのアイデアから沢山生まれていましたよね。例えばドッティーがいつも棚の上の缶に向かって走って行くところとか。あの行為は彼女にとってほとんど麻薬のようなものになっていて、悪いことが起こった時、彼女は自分の気持ちを落ち着かせるために缶へと手を伸ばします。あれは良い効果でしたね。栗山さんが脚本に書かれているよりも回数をもっと多くしていました。とても良かったです。

シャン:これも告白することになるんだけど、自分が書いたものが外国語に翻訳される時に少し奇妙に感じることが他にもあるんです。事実上、翻訳すればわずかに意味が変化しますよね。たとえば私は方言も入れて書いているんですが、日本語がわからないからどういう風に変化しているのかが全くわかりません。そういう心配から逃れられてラッキーでしたよ(笑)。
 (翻訳をされた)小田島恒志さんのことはよく存じておりまして、彼はとても良い翻訳をしてくださったと思っています。戯曲作家と翻訳家の間には当然のことながら大きな信頼が必要ですからね。彼は新しい言語で皆さんに申し分なく表現してくださったと思います。そこは確かに信頼しています。どんなに良い翻訳だったかわかるためには、私が日本語を流暢に話せるようにならなきゃいけないですね(笑)。
しのぶ:じゃあ私も英語を勉強しなきゃ(笑)。
シャン:そうですね(笑)。

 ⇒シャン・カーンさんのインタビュー(前編)に戻る

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

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Posted by shinobu at 14:17 | TrackBack

【インタビュー】『CLEANSKINS/きれいな肌』脚本家シャン・カーンさん(前編)04/19新国立劇場応接室

shan2.JPG
Shan Khanさん

 ただいま新国立劇場で上演中の『CLEANSKINS/きれいな肌』の脚本を書かれたパキスタン系イギリス人、シャン・カーンさんにインタビューをさせていただきました。シャンさんは気さくで穏やかで、そしてユーモアたっぷりのとっても素敵な方でした♪

 新国立劇場のホームページにもシャンさんのインタビューが掲載されています。なんと動画も観られます!!

 稽古場レポート⇒〔〕〔〕〔〕〔〕〔〕〔
 ⇒初日のレビュー
 ⇒シャン・カーンさんのインタビュー(前編・このページです)(後編
 ⇒演劇「CLEANSKINS/きれいな肌」お客様の声(新国立劇場)
 ⇒CoRich舞台芸術!

 公演も終盤にさしかかり、良い評判ばかりを耳にします。4/28(土)までですよ、どうぞお見逃しなく♪

≪前半≫
しのぶ:初日を拝見して思ったのですが、深刻な家族のテーマなのに笑いがたくさんあって、非常に楽しめました。
シャン:そうなんです。人生にはしばしば深刻なことが起こって、そこからおのずとダーク・ユーモアが生まれてくるんだと思います。だから、ご覧になった方々に笑ってもらえて嬉しいです。もし深刻な事柄をただ深刻に作ったとしたら、観客は簡単には耳を傾けないでしょう。ユーモアと一緒に届ければ、メッセージをもっと身近に受け取れると思います。

しのぶ:エジンバラフェスティバル2005でのインタビューをインターネットで読ませていただいて、お父様のことやご家族でお引越しされたことを知りました。お父様は電気技師だったんですね?なぜシャンさんは演劇や俳優、テレビの世界に進まれたのでしょうか?
シャン:父は1960年代に飛行機のコンコルドのエンジニアとして英国に来ました。長い話になるので手短に話しますと、父は友人からスコットランドに来るように誘われたんです。「スコットランドには山や川、湖があって、まるで祖国パキスタンみたいに素敵な場所だよ。僕は店も持っているし」と。そして父はコンコルドの仕事を辞めてスコットランドに移り、友人の店を引き継ぐことになりました。でも実際に行ってみたら友人が言っていたのと状況が全然違っていたんです。騙されたんですね。その友人は悪い友人だったってことなんですが。父がスコットランドに行ってわかったのは、いつも窓がどんどん割られるってこと。店も家も両方です。それはスコットランド特有の出来事だったのではありません。英国人が移民の入国に慣れつつある時代だったんです。

シャン:なぜこの話をするかというと、それこそが私がスコットランドで育った時代の雰囲気だったから。私は6人兄弟だったんだけれど、外に出て遊ばないで、家の中で自分達だけで遊んでいました。遊ぶといっても文字通り“遊ぶ”というのではなく、家の中でダークなユーモアのセンスを培うことになりました。それが、自分達がさらされた様々な事柄に対処する唯一の方法だったと思います。
 そういう環境で父はビデオショップも経営していましたので、私たちはいつも映画を観ていました。それで私は自然とドラマ(演劇)というものに興味を持つようになったのです。どんな子供もクリエイティブな才能を持っていると思いますが、兄弟の中で私だけにそれを追求する熱心さがありました。アジア系の移民の家族というと親が非常に教育熱心で、家業を継ぐよりも弁護士、医師、エンジニア等にさせたいと思うものなんですね。たとえば私の兄はアメリカに行って薬学の道に進みましたし、大きい方の姉は電気技師です。弟も電気技師で、まあ、一番年下の弟は何もしてないですけどね(笑)。
しのぶ:シャンさんは何番目の兄弟なんですか?
シャン:私はちょうど真ん中です。兄、2人の姉、私、そして弟が2人います。よく言われることなのですが、真ん中の子供っていうのは他の子と違ったことをやろうとするらしいです。私がそうなのかもしれませんね。特に誰とも違うことをしようと思っていたわけじゃないんですけど。自然とこうなったんじゃないかな。

しのぶ:俳優学校にいらしたそうですが?
シャン:ええ。グラスゴーの演劇学校にいました。3年間。
しのぶ:何歳のときですか?
シャン:18歳からです。高校卒業して、そのまますぐに。
しのぶ:卒業してから俳優になったんですか?
シャン:はい、俳優でしたね、脚本を書くようになるまでは俳優でした(笑)。演劇学校の最終学年の時にDavid Mametの"Sexual Perversity in Chicago" (1974)をやったんですが、あれが俳優として経験した脚本の中で一番素晴らしかった。展開が速くて、自然な対話がありました。それを演じた後すぐに脚本家になったわけではないですが、あれこそ脚本のあるべき姿だと、初めて思いました。それから5,6年して、自分で書き始めたと思います。

reception_room.JPG
通訳さんと広報さんとご一緒に

しのぶ:そして"Office"(2001)が処女戯曲だったんですね。テレビ(ドラマ)のお仕事はその後から始められたんですか?
シャン:そうです。"Office"を書いて、それが賞を受賞してから、私にエージェントがつきました。アジア人であってもそうやって賞を取って、別の扉が開かれたんです。それからいくつかソープオペラ(日本の昼ドラみたいなもの?)も書きました。ソープオペラを書いたことはテレビや映画の脚本を書くための良い訓練になりました。
しのぶ:現在も、演劇だけではなくテレビや映画のお仕事をされていますよね。ご自身で監督もされていますが、それは今後も続けられるんでしょうか?
シャン:もちろんです。短編映画の脚本も書いてきましたが、実際にやりたいのは長編映画(Feature Film。いわゆる2時間ものの普通の映画)です。いまも取り掛かっていて、ちょうどアイデアを書いてプロデューサーに送ったばかりです。もしそれが映画化されるなら、自分で脚本も書いて監督もしたいと思っています。演劇についてはまだ自分の脚本を演出したことはありません。映画とは全然違うものだと思うんですよね。自作の舞台演出をしないかと聞かれたこともあったんですが、お断りしました。

しのぶ:"Prayer Room"(2作目の戯曲)を映像化するための脚本を書かれているそうですが?
シャン:はい、それはBBCからいただいた仕事で、もう書き上げました。BBCが映画化するんです。
しのぶ:それはシャンさんが監督されるんですか?
シャン:いいえ、演劇版を演出した友人が監督することが決まっています。ぜひ自分でやりたいんですが(笑)、彼がすっごくやりたいみたいだから、僕が取っちゃうと悪いので遠慮しました(笑)。
しのぶ:その方は舞台専門の演出家なんですか?
シャン:そうです。彼はAngus Jacksonといって演劇の演出家ですが、僕が知っているほとんど全ての人(演劇の演出家)が、映像の世界で働くことにも興味を持っていますね。そうじゃない人もいるかもしれないけど。

シャン:正直に言うと、私の第一の目的は戯曲作家になることではありませんでした。そもそも私は「Office」を低予算映画の脚本として書いていたんです。私と小さい方の弟が出演する自主映画のために。たしか4分の3ぐらい書き終わったところで、インターネットでVerity Bargate playwriting awardの情報を見つけたんですね。その応募締め切りを調べてみたら、なんと翌日だった!(笑) そして24時間ぶっつづけで、全力で大急ぎで、映画用の脚本から戯曲へと書き直しました。1シチュエーションで撮れるように書いたものだったので、とても早く、一晩でできたんです。だからまさか賞を取るなんて全く予想していませんでした。ただ、(なぜ応募したかというと、自分がどれぐらいのレベルのものを執筆しているのかの)フィードバックが欲しかったんです。
 演劇が好きじゃないと言いたいのではないですよ。もちろん私は演劇を愛していますし、その、人生っておかしな(crazyな)方向に進むものですよね。自分と弟のための低予算映画を作ろうと思って書いた脚本だったのに、次の瞬間には大きな賞をもらっていて・・・私たちの誰もが予想していなかったのにこんなに素晴らしいことが起こるなんて、そんな人生っていうものが、私は好きですね。

 ⇒シャン・カーンさんのインタビュー(後編)に続く

 お話したことのほぼ全てをそのまま掲載しましたので、前編・後編あわせてA4用紙5ページ分ぐらいあります(汗)。後半は作品についての率直な感想を聞けました。どうぞお楽しみに♪

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Posted by shinobu at 11:28 | TrackBack

【情報】fringe blog「世界の演劇ニュースが日本語で読めるサイト」をアップ

 fringe blogに記事をアップしました。
 ⇒世界の演劇ニュースが日本語で読めるサイト

Posted by shinobu at 10:16 | TrackBack

2007年04月24日

青年団『東京ノート』04/19-05/14こまばアゴラ劇場

 平田オリザさんが作・演出される青年団の代表作の再演です。初演は1994年、第39回岸田國士戯曲賞受賞作品です。やっぱり傑作だと思いました。上演時間は約1時間45分。
 追加公演決定!
 5月3日(木)19:00~と5月5日(土)19:00~

 メルマガでもご紹介しましたとおり、なんと8ヶ国語の字幕付き公演!(1回の公演で観られる字幕は1言語です) 私はイタリア語の回にお邪魔しました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『東京ノート

 ≪あらすじ≫ 
 舞台は2014年の東京。フェルメール展が開かれている近代的な美術館のロビー。ヨーロッパで大きな戦争が起こっていて、名画がアジアへと避難してきている。反戦運動を辞めた学芸員(大塚洋)、武器を作る会社で働くサラリーマン(山内健司)、相続した高価な絵画を美術館に寄贈しようとする若い女(辻美奈子)、卒論の資料収集に来た女子大生(荻野友里)などが行き交う。遠くの戦争の影響を少なからず受けながら、ありきたりな日常も流れている。
 ≪ここまで≫

 こまばアゴラ劇場を横長に使った美術です。『ソウルノート』の時とはまた違った美術館になっていました。嬉しいですね~。下手奥の壁の色がピンクだったのは個人的には少々いただけないな~と思いましたが、まあ好みの問題ですね。※『ソウルノート』の美術はこのページの舞台写真に近かったと思います。
 舞台に向かって少し右上に設置された大きなディスプレイに字幕が表示されます。イタリア語なんて全くわからないんですが、読んでるつもりになって遠くの国々とのつながりを意識しながら観劇しました。とても面白い体験だと思います。これから予約される方には字幕のある回をお薦めしたいです。

 絵画鑑賞という観点から、ものごとを見るという行為について深く考えさせられます。舞台が美術館である必然性も感じました。
 セリフにも出てきましたが、人間は望遠鏡と顕微鏡の機能を身体にそなえていますよね。その能力を磨いて使いこなすことは、今の私でも努力すればきるんじゃないかと思いました。ひとつのこと・ものを、一方向からではなく様々な側面から眺めて、遠くからも近くからも全力で観察して、それについて思考すること。そこからスタートすれば、ちゃんと世界とつながっていけるのではないでしょうか。

 ここからネタバレします。

 今、この瞬間に、地球上のどこかで大量殺人が起こっているのに、のんびり絵画鑑賞をしている私たちがいる・・・。残酷な現実が無言の空間に満ちて、のどもとまで苦しさがこみ上げました。

 “平和維持軍”や“守るための武器”など、言葉自体に矛盾をはらんでいるセリフのひとつひとつに重みがあります。そして「しょうがない」という言葉。「戦争、反対~」と叫んだ男(秋山建一)に対して、平和維持軍に志願する男(大竹直)が言ったセリフです。きわめて政治的で日本人らしい響きがあると、私は思います。個人的に、人生で一番避けて通りたい言葉なんですよね。だからこのシーンが一番鋭く胸にささった気がします。

 男女の恋愛関係についての会話になると、なぜか退屈しました。たぶんエロティックじゃなかったからじゃないかな・・・。過剰ないかがわしさや肥大した欲望など、もっと赤裸々で汚れたものも感じたかったですね。たとえば松井周さんが演じる弁護士には、なぜかおどろおどろしいほど巨大な性欲があるように感じたんです。私だけの妄想かしら(笑)? 松井さんはささいな言葉の中に意味を多重に凝縮させ、それを簡潔な演技で表現されていたように思います。露悪的とも取れる生々しさが良かったです。彼が激昂するシーンではピンと張り詰めた空気の中に粘りや湿度も感じられて、刺激的でした。

 離婚する女(山村崇子)が両親の世話をしている女(松田弘子)に向かって「私の絵を描いてください。ちゃんと私を見て」と言いました。「ちゃんと見る」ってことの重みが届いて涙がこぼれました。
 『ソウルノート』とは違って、最後は音楽が一切ないまま溶暗して終幕でした。こっちの方がずっといいなと思いました。

~第39回岸田國士戯曲賞受賞作品~ 青年団第53回公演
出演=山内健司 ひらたよーこ 松田弘子 足立誠 山村崇子 根本江理子 辻美奈子 小河原康二 秋山建一 小林智 川隅奈保子 松井周 能島瑞穂* 大塚洋 鈴木智香子 大竹直 高橋智子* 荻野友里 河村竜也 長野海 堀夏子
*=ダブルキャストでの出演。下記日程は高橋智子が出演(4月23日(月)、30日(月)、5月7日(月)、11日(金)~14日(月))私が拝見したのは能島瑞穂さんです。
作・演出:平田オリザ 舞台美術=杉山至+鴉屋 照明=岩城保 字幕操作=西本彩 衣裳=有賀千鶴 宣伝美術=工藤規雄+村上和子 太田裕子 宣伝写真=佐藤孝仁 宣伝美術スタイリスト=山口友里 制作=西山葉子 協力=(有)あるく (株)栄光舎 (株)富士通ゼネラル 企画制作=青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
★オンデマンド字幕付き上演:8カ国語(英語、フランス語、イタリア語、韓国語、中国語、タイ語、マレー語、インドネシア語)の上演字幕を準備。公演各回の7日前までに申し込み必要。
チケット発売開始 2007年2月10日(土)前売・予約・当日共一般=3,500円/学生・シニア=2,500円/高校生以下=1,500円(日時指定・全席自由席・整理番号付き)
http://www.seinendan.org/

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Posted by shinobu at 23:20 | TrackBack

2007年04月23日

クロムモリブデン『マトリョーシカ地獄』04/19-05/01サンモールスタジオ

 青木秀樹さんが作・演出されるクロムモリブデンの2週間公演です(過去レビュー⇒)。東京公演の後に大阪公演もあります。上演時間は気持ちの良い1時間30分。
 タイトルがかなり私好み。もらったパンフも『パンフ地獄』だった(笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『マトリョーシカ地獄

 ≪あらすじ≫ ちょっとネタバレあり。でも読んでから観に行っても問題ないと思います。
 文房具店で万引きをした女(奥田ワレタ)が、店員(久保貫太郎)に見つかって事務所に連れて行かれた。女は「警察や会社に届けられたらどうしよう?自分の人生はここまでなの?!」と恐怖におののく。一方店員はというと、前々から目をつけていた好みの女だったから事務所に連れてきたのだった。男は「弱みにつけこんで脅迫して、襲っちゃおうか?いったいどうやったら彼女は僕と結婚してくれるだろう!?」とよからぬことを企む。2人の妄想は、それぞれの中から色んな人格を生み出していき・・・。
 ≪ここまで≫

 小さな机が等間隔に並ぶ抽象美術は赤と黒が基調になっていて、登場人物はわかりやすくヴィヴィッドな色分けをされた衣裳を着ています。空間全体としては尖がっててキッチュな印象。劇画タッチなセリフ回しやダンスなど、演技にバリエーションがあって、普通にストーリーを追うだけではない楽しみがあります。

 描いているテーマやセリフ、演出は個性的で面白いと思いました。色んなことを考えながら帰れるのって嬉しいです。でも役者さんの舞台上での存在の仕方や動きの雑さが気になって、上演中はあまり入り込めなかったですね。

 ここからネタバレします。

 タイトルのマトリョーシカのように、一人の人間の中から色んな人格が出てきます。善悪や本音と建前の間を揺れ動く心理状態を、多人数の役者さんを使って表現するのは面白いです。また、多重・多層になっている心の中の何かひとつに責任をなすりつけて、てっとり早く解決してしまおうとする、人間の悪い癖がよく表れていました。

 いつも“良い子”でいようとして冒険をせず、自制心ばかりを大切にしてきた現代人が、ちょっぴり悪いこと(万引き)をすることで気持ちが開放される様子は、滑稽だけれど爽快だし少し共感します。でも悪事はやはり悪事、甘い罠にはまった代償が壮大な設定で、でもチープに描かれます。このテイストがクロムモリブデンの個性ですよね。戦車の被り物が可愛かった。

 人間の身体から悪意や暴力性が外に飛び出して、それが集まって怪物(この場合は象)になって人類に襲いかかってくるのは、現実社会をうまく風刺しているように思いました。その暴力が最後には自分自身に跳ね返ってくるのも納得です。
 暴力が有形化した象(象の形をした風船)を手にとってみると、その象もまた入れ子構造になっていて、大きな象から小さな象が生まれてしまうというラストも気が利いていますよね。

 暴力を振るうシーンをストロボ照明の中でダンスを踊るように振り付けていたり、車に乗っている状態を身体を立てのりに揺らして表現したり、「おぉっ!」と乗り出して引き込まれるところもありました。でももっともっと、グルーヴ感が高みに登っていけるはずだと思うんですよね。
 それはたぶん、私の感覚ですが、役者さんの演技の質感に因るのではないかと思います。顔を真っ赤にして熱く早口でがなりたてたり、いかにも「がんばって走ってます!」といわんばかりに走ったり、そういった目に触れやすい一生懸命さに気持ちが冷めてしまうことがありました。やみくもに突っ走るだけでなく、高みから舞台および自分自身を見下ろす冷めた視点をもった演技も、取り入れてもらいたいと思いました。

≪東京、大阪≫
出演=森下亮、金沢涼恵、板倉チヒロ、重実百合、奥田ワレタ、木村美月、久保貫太郎、渡邉とかげ、板橋薔薇之介
作・演出=青木秀樹 音響効果=笹木健司 照明=床田光世 美術=ステファニー(劇光族) 舞台監督=塚本修 演出助手=北川大輔(劇団綺畸) 小道具=man 板子誠 美粧=増田加奈 平野美沙子 宣伝美術=藤永純一郎 さくらの 宣伝写真=安藤青太 パンフレットデザイン=鈴木由紀子 ビデオ撮影=菊地佳貴 制作=金澤裕 塩田友克 安井和恵 野崎恵 プロデューサー=遠山浩司 企画・製作=office crome
前売り2800円 当日3000円 4/26昼は昼ギャザ 中高生割引(当日のみ)1000円
http://crome.jp/

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Posted by shinobu at 23:18 | TrackBack

2007年04月22日

【レポート】急な坂スタジオ「坂のはるまつり『チェルフィッチュ稽古場公開』」04/21-22急な坂スタジオ

 急な坂スタジオで開催された“坂のはるまつり”にて、チェルフィッチュの公開稽古を見学して参りました。

 第49回岸田戯曲賞を受賞した代表作『三月の5日間』がベルギーのクンステンフェスティバル2007に招待され、来月から山口県、福岡県、パリ(フランス)、高知県へもまわるツアーに出発します。“自称『三月の5日間』フリーク”の私ですから(笑)、こんな好機を見逃す手はない!と、奮起して横浜に伺いました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『三月の5日間

steep_slope_studio.JPG
風が強いけど、いいお天気

 15:00から岡田さんが見学者に対してこの作品、および急な坂スタジオについて簡単に説明されました。15:10頃からお稽古が始まり、終わったのは16:45ごろ。村上聡一さんと下西啓正さんの2人が登場する第9場を、1時間30分たっぷり拝見しました。村上さんが一人で同じセリフを何度も何度も、ずーっと繰り返し演じ続けて、村上さんだけの一人稽古で終わりましたね。下西さんも一緒に立ってらっしゃいましたけど、岡田さんが言及したのは村上さんについてのみでした。

 感想をひとことで言うとすると・・・「なんてストイックなんだ!!」ですね。何度も、何度も、何度も同じセリフをやり続けるんですよ!?数えてないけど村上さんは、たぶん裕に20回以上は演じてたんじゃないかしら・・・。それに岡田さんは俳優に“考えること”を強く求めます。「演出家の言われたとおりに演じる」のでは決してなく、演出家と俳優が実践とフィードバックを繰り返して、一緒に探っていく共同作業なんですね。地味な頭脳労働ですし、体力と忍耐力が必要です。しかもお互いが自立していることが不可欠だと思います。あぁ、役者辞めてよかったワ(笑)♪

actors_chelfitch.JPG
稽古前の出演者の皆さん

 見学者は最大で50人以上集まっていたように思います。いつでも退室してOKだったんですが、終了時刻まで残ってたのは20人ぐらいだったかな。うん、確かに退屈だと思います(笑)。私は岡田さんの言葉をメモしながらいろいろ考えつつ拝見しました。岡田さんは演劇だけでなくダンスの分野でも振付家として活躍してらっしゃいます。その意味がやっと具体的に理解できた気がしました。たしかにチェルフィッチュの俳優の動きは、ある種の“振付”なのかもしれません。俳優がその時の役柄の気分で勝手に動いているわけではないことが確認できて、非常に有意義でした。

 下記、岡田さんが話された言葉のごく一部です。私がメモしたことの羅列ですし、お稽古を観ていないとわからないかもしれません(観ててもわからないかも・・・)。“氷山の一角”のお話はすごくためになりました。言葉や意味の限界をはっきりと示してくださったように思います。

 岡田「“やりすぎて引き際を間違えた”っていうのを、失敗してもやってみてほしい。それで正解なんだけど、失敗じゃないんだけど、やりすぎないとわかんないから。」
 岡田「感情と身体とがブレるってことを見せたい。」
 岡田「セリフをしゃべる時、何を念頭に置いておくかが大切です。逐語的でないもの。」
 岡田「言葉って、言いたいことを上手に言えないじゃないですか。たとえば“氷山の一角”の絵でよく説明するんだけど、言葉で説明するのって、それが下手だろうが上手かろうが、やっぱり言葉では一角しか伝えられない。その残りの大きな部分が身体に、演技(パフォーマンス)に出てくる。」
 岡田「身体で生まれたものを頭がもって行っちゃうのがもったいない。」

演出=岡田利規(チェルフィッチュ) 出演(出席)=村上聡一/下西啓正/山崎ルキノ/松村翔子/瀧川英次/東宮南北/山縣太一(不在)
主催:急な坂スタジオ 協力:横浜市中央図書館、横浜市青少年センター(ふりーふらっと野毛山)、老人福祉センター横浜市野毛山荘、野毛山動物園 
日時:4月21日(土)映像上映15:00~ 稽古場公開17:00~/4月22日(日)稽古場公開15:00~ 参加費:無料
公式=http://kyunasaka.jp/

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Posted by shinobu at 21:44 | TrackBack

2007年04月21日

モダンスイマーズ『回転する夜』04/18-30 THEATER/TOPS

 蓬莱竜太さんが作・演出される劇団モダンスイマーズの新作です。劇団☆新感線の高田聖子さん、文学座の古川悦史さんを迎えての約2週間の公演。私がこれまでに拝見したモダンスイマーズ、および蓬莱竜太さんの作品(過去レビュー⇒)の中で一番面白かった、というか、改心の一撃でした。
 また残席あるそうです。どうぞお見逃しなく♪

 ⇒CoRich舞台芸術!『回転する夜

 ≪あらすじ≫
 海に面した片田舎の街の、山の上の豪邸(だがインテリアは昔風。昭和っぽい)。舞台はノボル(津村知与支)の部屋。体調が良くないので、同居中の義理の姉・千穂(高田聖子)が様子を看に来てくれる。ひとことかふたこと千穂と言葉を交わしてから寝床に入り、ノボルは夢を見る。あの日のあの時、ああしていれば・・・。
 ≪ここまで≫

 蓬莱さんの作品は、観終わった後いつも「巧いな~」という感想が一番に浮かんでいたのですが、今回は「かっこいい!」でした。男の直球勝負を見せてくださったように思います。CoRichにも書きました。

 いわばニートのような生活をしている主人公のノボルが、自分の人生を決定付けた日を振り返り、自分の想像(夢)の中で試行錯誤をして、徐々に周りの社会に触れていきます。ワン・シチュエーションで現在と過去を交互に見せていく構成で、全体の印象はシンプルで地味ですが、全くありきたりではないんです。メッセージがこんなに強く、太く伝わってくるなんて、見事な脚本と演出だと思います。込み入り過ぎていると感じたり、暗すぎると思う方はいらっしゃるかもしれませんが。

 高田聖子さんが大人のエロスをしっとりと味わわせてくださり、他の役者さんも丁寧な演技で魅せてくださいました。作品に高い志を感じることができて、幸せな観劇になりました。こういう作品を、会社員の友達とかにぜひとも紹介したいですね。上演時間も1時間30分と気持ちがいいし、新宿にある小劇場だし。

 ここからネタバレします。

 沢田研ニさんの「サムライ」が効果的です。一緒に観ていた方と「ダウンロードしよ!」「ベスト版買お!」とはしゃいじゃいました(笑)。

出演:古山憲太郎、津村知与支、小椋毅、西條義将、高田聖子、古川悦史
作・演出:蓬莱竜太 美術:伊達一成 音響:藤平美保子  照明:松本由美(東京舞台照明) 宣伝美術&衣装:小原敏博(アカエボシ) 制作:神野和美 制作協力:オフィスPSC 重留定治 広川由季  Habanera 松尾由紀 4/23休演
【発売日】2007/03/18 全席指定 前売り3300円 当日3500円/4/18はプレビュー公演:前売り2800円 当日3000円/4/25(水)は平日マチネ割引料金2800円
http://www.modernswimmers.com/

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2007年04月20日

Msquare's company『ウェルカム・ホーム!』04/17-22ウッディシアター中目黒

 Msquare's company(エムスクゥェアズ・カンパニー)はウッディシアター中目黒のプロデュース団体、なのかしら?同劇場の10周年記念提携公演としての再演です。脚本を手がけられた作家、鷺沢萠さんの遺作だそうです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ウェルカム・ホーム!

 ≪あらすじ≫
 結婚の約束をしたカップル(三原珠紀&渡辺慎一郎)。男が女の家を訪ね、彼女の家族に挨拶しようとするが、待っていたのは“普通”の家族ではなく・・・。
 ≪ここまで≫

 ある家の居間を舞台に、個性的な人物が次々と登場するコメディでした。男は「お嬢さんを僕にください!」「お父さんって呼ばせてください!」という決まり文句が出てくるような場面を期待していたので、それが次々と裏切られていくことで笑いが生まれます。
 役者さん一人一人がわかりやすいキャラクターを演じ、それぞれにスポットを当てていくプロデュース公演らしい演出で、私はあまり楽しめませんでした。笑いの種類は商業演劇みたいな感じ、と言っていいのかな。何もかも言葉で説明してしまうのが残念でした。

 ここからネタバレします。

 女の家族はみんな血が繋がっておらず、国籍もばらばらでした。良家の令嬢なのに離婚をしたから勘当されていたり、愛し合っているのに結婚できない事情があったり、帰国するにも母国が内戦になっていたり・・・。日本に暮らす外国人同士が協力し合って家族として共同生活をしていたのです。

 男の理想は“普通の”家庭を築くことでした。それがガラガラと崩れたため、一度は結婚を思いとどまろうとします。でも実は、男の方も難民として日本に来た東南アジアの人間だった・・・と最後にカミングアウトして大団円。血が繋がっていなくても、“普通”じゃなくても、自分を暖かく迎えてくれるなら家族なんだってこと・・・なのかな。んー、こうやってあらすじをざ~っと書けてしまうのが残念。

ウッディシアター中目黒10周年記念提携公演 鷺沢萠戯曲集「ばら色の人生-La vie en Rose-」内(作品社刊)
出演=野添義弘(劇団スーパー・エキセントリック・シアター)/高山奈央子(KAKUTA)/渡辺慎一郎/三原珠紀(劇団ノーティーボーイズ)/高橋拓自(動物電気)/にしやうち良(セメント金魚)/岡雅史(スピリチュアルランド・オブ・アクターズ)/小林英武(イルカ団!)/辰巳次郎(劇団東演)
原案=鷺沢萠 脚色=鷺沢萠、小林英武(イルカ団!) 演出=小林英武(イルカ団!) 照明=池田圭子 音響=柳原健二(サウンドロフト) 舞台美術=八木橋貴之 舞台監督=辰巳次郎(劇団東演) 写真撮影=猪岐紗矢佳 映像撮影=河野三郎 宣伝美術=小田木彩 制作=星野紗鳥 企画・製作=森脇恵(Msquare's company)/小林英武(イルカ団Co.)
日時指定・全席自由 前売 ¥3.500 当日 ¥4.000
http://www.woodytheatre.com/

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2007年04月19日

新国立劇場演劇『CLEANSKINS/きれいな肌』04/18-28新国立劇場小劇場

 稽古場から追いかけてきた『CLEANSKINS/きれいな肌』初日を拝見してまいりました!
 ⇒稽古場レポート〔〕〔〕〔〕〔〕〔〕〔

 ボッロボロ泣いたり、ささいな魅力を見つけて笑ったり、相変わらずの“一般観客”な私でしたが、知ってるけど知らない、観たことがあるのに初めて出会う、不思議な体験にもなりました。
 カーテンコールで劇作家のシャン・カーンさんが一言、なんと日本語でご挨拶してくださいました!そう、今日は“世界初演”だったんですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『CLEANSKINS/きれいな肌

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 英国の小さな町、母ドッティー(銀粉蝶)とその息子サニー(北村有起哉)が二人で暮らす公営住宅の一室。そこへ薬物中毒で行方不明となっていた娘ヘザー(中嶋朋子)が突然、イスラム教徒の姿で帰ってきた!
 反イスラムのデモに参加しているサニーは、イスラム教徒となった姉になぜ改宗したのかと激しく詰め寄る。そんな弟を言葉少なに見つめ、静かに語る姉。次第に姉弟の話は自分たちを捨てた父へと及ぶが、母はそんな二人を前にただおろろするばかり。
 やがて、父の去った本当の理由が明らかになっていく……。
 ≪ここまで≫

 安物の家具が並んだ、だだっぴろくてみすぼらしいリビング。舞台奥にそびえる汚しの入った黄色い巨大な壁には圧迫感があります。下手が玄関、舞台中央(ちょっと右より)には奥の部屋へと続く廊下が見えます。ステージは下手から上手へと客席に向かって斜めに張り出しており、傾斜がついた変形八百屋舞台になっています。上手手前は床が鋭角に尖がっていますし、舞台面側には一段低い目に作られた青い床のスペースがあり、具象と抽象が混ざった美術です。

20070418_the_pit_entrance.JPG
入り口のポスター

 幕開けのドッティ(銀粉蝶)とサニー(北村有起哉)のシーンは、初日だったからか少々演技に堅さがあり、私は少しずつ作品に近づいていく体勢になってしまったのですが、ヘザー(中嶋朋子)が登場するシーンで一気に引きずりこまれました。もー次から次に涙が溢れて来ちゃって、大変(苦笑)。
 その後、私の中にはそれほど大きな波風が立つことはなく、たんたんと会話が積み上げられていきました。そして最後の最後にやってきた壮絶な結末に、笑っていいのやら泣いていいのやら・・・。少し興奮していて、はらはらして落ち着かなくて、でも舞台で起きている出来事を冷静に観察することもできているという複雑な心理状態になり、知らないうちに涙がポタポタと落ちていました。自分をコントロールすることができず漂うように感情をまかせていたら、唐突に静かなカーテンコールがやってきました。「あぁ・・・これで終わったんだ、これで良かったんだ」と、全く根拠はないのにホっと一息ついている自分に驚きましたね(苦笑)。まるで身体のど真ん中を嵐が通り過ぎたような感じでした。

 お稽古を見て筋書きを知っていたからかもしれませんが、舞台にいる3人の家族を観ながら私の思考は自分の家族、そして地球上のあらゆる人間関係へとすぐに飛んで行きました。血の繋がった家族が、どうしてこんなにお互いを恐怖し、おそるおそる様子を伺いながら、疑いながら話をしなければならなくなったのか。なぜ、誰かを敵だと思うんだろう。なぜ、誰かの自由を奪おうとするんだろう。なぜ、自分が生きるために誰かに消えてもらいたいと思うんだろう・・・。

 残酷に、無様にぶつかりあう3人は、世の中で人間が起こしている悲惨な出来事そのものです。話しても話しても確執はさらに深くなるばかりで、ありのままで居ることが相手を傷つけることになってしまいます。でも彼らは、「私はあなたを知っている。あなたも私を知っているはず。」という小さな願いを、こっそりと胸に持っているように見えました。それは他人に愛を求め、自分からも愛を与えようとする、か細いまなざしです。私たちは無意識にその気持ちを交差させているのだと思います。どこの誰と関わる時にもそれを忘れず、信じていたいと思いました。

 新国立劇場がロンドン在住のパキスタン系イギリス人のシャン・カーンさんに戯曲執筆を依頼し、日本人キャスト・スタッフによって演劇作品となり、今日、初めて世界に披露されました。違う国で生まれ育ち、違う文化を持つ人間が、協力して作ったお芝居です。3度目のカーテンコールでカーンさんが「CLEANSKINS、日本初演、光栄です」とおっしゃった時(言葉は正確ではないですが)、再び大きな拍手が起こりました。異質なもの同士が出会い、混ざりあって、デコボコしながら調和している空気がそこにありました。

 暗転が多くて流れが切れ切れになっているように感じてしまったのが残念でした。激しいアクションのシーンはまだこなれていないのかな~という印象。思わず笑っちゃうシーンも沢山ありましたが、もっと増えてもいいんじゃないかしら。今日幕が開いたばかりですから、これから良くなっていくのだろうと思います。

 「CLEANSKINS」の意味がパンフレットに載っていました⇒①きれいな肌、②焼印のない家畜、③群れからはぐれた者、④前科のない者、⑤白人のイスラーム教への改宗者

 ここからネタバレします。

 ドッティーはどう見ても普通に仕事をしてそうにありません。サニーの「でもどうせ母さんはいつも家にいるんだろ?」というセリフからわかるように、おそらく失業者なんですね。生活保護を受けて生活しているのでしょう。

 麻薬常習者になった姉ヘザーが金目のものを盗んで家出をした後、弟のサニーは怪我のためにサッカーができなくなって、姉の後を追うように麻薬常習者になります。サニーは今、イスラム排斥をスローガンに掲げる政党にのめり込んでいますが、おかげで麻薬からは更生しました。母親のドッティーとしては、今の状態で充分に幸せなのでしょう。でもそこに、同じく麻薬から更生したヘザーが、サニーの敵であるイスラム教徒の姿で登場します。

 ヘザーは家を飛び出し、ロンドンで父を探し当てたのです。サニーとヘザーの父、そしてドッティーの夫だった男とは、浅黒い肌で立派な口ひげの有るトルコ人でした。ヘザーは父の手厚い看護のおかげで麻薬から更生し、父と同じ宗教を信じるようになったのでしょう。酒を呑み暴力を振るい、家族を捨てた金髪の白人男性を父だと思って生きてきたヘザーは、母がなぜ嘘をついたのか、なぜ父を避けてきたのかを確かめるために、二度と戻らないと誓って出ていった実家を訪れます。

 そして、サニーがその事実を、姉からだけでなく母の口から知らされるのが、衝撃のラストシーンです。移民や有色人種をあれだけ差別していたサニーですから、自分自身が混血だったという事実にさらされ、彼の自尊心は崩壊して当然です。そして自分に嘘をつき続けてきた母にも絶望します。
 ドッティーがイスラム教徒のトルコ人であった夫を避けた理由も同時に明らかになります。周囲の人だけでなく実の父親、母親にも「あいのこだ、民族の恥だ」とののしられ、子供たちにはそんな思いをさせたくなかったのだと彼女は告白します。そして好きなお酒や賭け事(宝くじ)、自分の生き方を変えたくなかったとも。

 ドッティーが白人男性の立派な写真を見ながら「うーん、いつも思ってたの、この人何処の誰なんだろうって。これ、バザーで買ったのよ」とくったくなく言ったところで、会場に大笑いが起こりました。そうですよね、ほんとトボけた母さんだヨっ!(笑) でもその直後、サニーが「これ親父じゃないんだ」と2度確かめてから、ドッティーの顔を思いっきりなぐってしまうのです。床に吹っ飛んで倒れる母、必死で母をかばおうとする姉、まだ母になぐりかかろうとする弟・・・。三つ巴になって激しく絡み合う様はまさに戦場の惨劇です。3人ともが少し落ち着いてから、ヘザーが「何もかも、うまくいくはずーーーインシャアッラー。インシャアッラー」とか細い声で祈り、終幕。

 ドッティーとヘザーが数年ぶりに再会するシーンが素晴らしかったです。ヘザーに対して「どうして普通でいられないの?」というドッティーの言葉に、母親らしい悩みが表れています。「普通」という言葉は残酷ですよね。

出演=中嶋朋子/北村有起哉/銀粉蝶
脚本=シャン・カーン 翻訳=小田島恒志 演出=栗山民也 美術=島次郎 照明=勝柴次朗 音響=秦大介 衣裳=宇野善子 ヘアメイク=佐藤裕子 演出助手=宮越洋子 舞台監督=米倉幸雄 照明オペレーション=田中弘子 音響オペレーション=黒野尚 演出部=川原清徳/大野雅代/藤波三幸 プロンプター=山本美也子 美術助手=松村あや 制作助手=庭山由佳 制作担当=茂木令子 広報=高梨木綿子 芸術監督=栗山民也 主催=新国立劇場
【発売日】2007/02/12 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
公式サイト=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000121.html
ぴあ=http://info.pia.co.jp/et/play-p/cleanskins/cleanskins.html

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Posted by shinobu at 01:45 | TrackBack

2007年04月17日

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場『修学旅行』04/13-20紀伊國屋ホール

 渡辺源四郎商店の畑澤聖悟さんが青年劇場に書き下ろした作品です。もともと高校生が上演する高校演劇の戯曲だったんですね。上演時間は1時間弱から約1時間45分になっています。
 平成17年度(2005年7月)全国高校演劇発表大会にて最優秀賞・文部科学大臣奨励賞を受賞(脚本・演出)し、 2006年8月には青森中央高校演劇部公演としてソウルに招待されています(渡辺源四郎商店サイトより)。

 青年劇場では高校・中学での演劇鑑賞教室でも上演を予定しているそうです。とってもお薦めしたい作品です。
 青年劇場TEL:03-3352-6990

 ⇒CoRich舞台芸術!『修学旅行
 レビューは後ほどアップ予定。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 舞台は沖縄県内のとある旅館。
 青森の県立高等学校の一行は四泊五日の日程で沖縄に修学旅行にやって来た。
 今日は一日島内を巡り戦跡や記念碑を見学して平和学習に取り組み、三日目の宿であるこの旅館にたどり着いた。
 消灯時間が迫るころ、三階「ゴーヤーの間」では班長ヒカルが自分の班がまとまらないことに 責任を感じ、少々へこんでいる。
 気をとりなおして「せっかくだから盛り上がろうよ」と同室の4人に呼びかけるヒカル。
 気を利かしたつもりで、共通の話題「好きな男子は誰?」を持ち出すが、これが裏目に出てしまい、ゴーヤーの間は戦争状態に突入してしまう…。
 ≪ここまで≫

出演=亀井幸代/細渕文雄/秋山亜紀子/髙山康宏/永田江里/大山秋/相楽満子/伊藤めぐみ/平井光子/本間理恵/松村有希子/矢野貴大/田代晋太郎(客演)
作=畑澤聖悟 演出=藤井ごう 美術=乗峯雅寛 照明=河﨑浩 音響効果=近藤達史 衣裳=宮岡増枝 演出助手=板倉哲 舞台監督=青木幹友 製作=大屋寿朗
一般=4,935円 ユース=2,625円(学生及び20才以下) 当日=各315円増(300円+消費税15円) 高校生シート=1,575円(1,500円+消費税75円)(各ステージ30席)
http://www.seinengekijo.co.jp/

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Posted by shinobu at 17:53 | TrackBack

時間堂『「ピンポン、のような」ワークインプログレス』04/16東京ミッドタウン内d-labo

 黒澤世莉さんが作・演出される時間堂の次回公演『ピンポン、のような』のワーク・イン・プログレスを拝見しました。ワーク・イン・プログレス(Work In Progress)とは「創作過程の発表会を一般公開すること」だそうです。

 ⇒fringe TOPIC
 ⇒CoRich舞台芸術!『ピンポン、のような

 3/30にオープンしたばかりの東京ミッドタウンに初潜入!いや~・・・豪華なビルぅ。人間臭がしない(笑)。d-laboは東京ミッドタウンのタワー7階にひっそりとありました。オフィス棟の中なんですね。小さなドアから入ってみると、そこはオサレなサロン。なんか・・・丸いぞ!

 【スケジュール】公式サイトより。
  19:30 WIP前半 普段の練習を披露
  20:50 おやつの時間
  21:00 WIP後半 「ピンポン、のような」本編のリハーサル
  22:30 交流会

 公開稽古は19:30から始まっていましたが、私はソワレ観劇後に伺いましたので、リハーサルの途中からの参加でした。到着したのは21:40ぐらいだったかしら。稽古着のままでプロンプも入りつつのリハーサルで、お客様は20人ぐらい。公演初日が4/26ですから、ちょうど本番10日前なんですね。本番前に観客の反応を知ることができるのは作り手にとって大きなメリットだと思います。また観客にとっても、本番に至る前段階を目撃するのは刺激的な体験なのではないでしょうか(残念ながら私はお稽古を観られなかったんですが)。

 演技が終わって先に帰られるお客様を送り出し、残った人たちで交流会と呼ばれるものが始まりました。d-laboからはオリジナルの飲料水が提供されていました。作り手が観客の感想や意見を聞いて、それを作品に反映しようとする姿勢は、大人だし、前向きだし、柔軟でかっこいいと思います。私の感想を真面目に、素直に聞いてくださってとても嬉しかったです。
 ただ、段取りの悪さは残念でした。交流会が始まったのは23時ごろからで、実質15分ぐらいしかなかったんですよね・・・リハーサル終了後すぐ始まってくれていれば、裕に40分ぐらいはあったと思うんだけど。でもまたこのd-laboで時間堂のイベントがありそうなので、次回に期待したいと思います。

 d-laboは不思議な場所でした。巨大なディスプレイに映るのはGoogle Earth。すっご~い!ホームページでも見られるみたい(使い方がわからない・・・)。一見の価値ありですよ♪

出演=こいけけいこ、雨森スウ、境宏子、河合咲、清水那保、原田紀行、足立由夏、中田顕史郎
演出・責任者=黒澤世莉 演出助手=谷賢一 制作=田中沙織 協力=小名木正彦 主催=時間堂
無料。途中入場、途中退出は自由。
時間堂2007計画ブログ=http://blog.livedoor.jp/jtc2007/
d-labo=http://www.d-labo-midtown.com/

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Posted by shinobu at 17:13 | TrackBack

【稽古場レポート】新国立劇場演劇『CLEANSKINS/きれいな肌』4/16新国立劇場小劇場〔6〕

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新国立劇場小劇場

 新国立劇場の2007年4月の新作『CLEANSKINS/きれいな肌』の公式稽古場レポート〔6〕です。
 とうとう明日4/18(水)開幕!

 ⇒稽古場レポート〔〕〔〕〔〕〔〕〔〕〔このページ
 ⇒公式サイト
 ⇒CoRich舞台芸術!『CLEANSKINS/きれいな肌

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休憩室に集合してフィードバック

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 英国の小さな町、母ドッティー(銀粉蝶)とその息子サニー(北村有起哉)が二人で暮らす公営住宅の一室。そこへ薬物中毒で行方不明となっていた娘ヘザー(中嶋朋子)が突然、イスラム教徒の姿で帰ってきた!
 反イスラムのデモに参加しているサニーは、イスラム教徒となった姉になぜ改宗したのかと激しく詰め寄る。そんな弟を言葉少なに見つめ、静かに語る姉。次第に姉弟の話は自分たちを捨てた父へと及ぶが、母はそんな二人を前にただおろろするばかり。
 やがて、父の去った本当の理由が明らかになっていく……。
 ≪ここまで≫

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けっこう喫煙率が高いです

 雨の4月16日(月)、4度目の稽古場へ。でも今回はリハーサル室Cではなく小劇場です!
 13時30分きっかりから始まったのは、昨日の通し稽古のフィードバック。本番10日前ぐらいから、夜に通し稽古をしたらそこで稽古終了にして、次の日の朝にフィードバックをするというスケジュールになっていたようです。出演者とスタッフの合計13人が集う小劇場楽屋の休憩スペースで、大人たちが静かに集中する時間・・・いつものように笑いは絶えません。

 栗山「なにげない日常がただ風のように流れていくシーンにしたい。親子のゆるぎないキャッチボール。」
 栗山「日本人だったら2ページぐらいで終わりそうなもんだけど、向こう(西洋)の人たちは自分の思いを人に言葉で渡すんだよね(だから長いシーンになる)。」
 栗山「コソコソ話をする時の人間の動機っていうのかな、間髪入れずにどんどん(セリフを)入れていくとすっごく面白くなるんじゃないかな。沈黙ってことがありえない、相手がだまったらお互いに空白を埋めていく感じ。」
 栗山「ロンドンは東京よりもずっとインターナショナルな街だからね、本当に巻き込まれて行っちゃうから。『ロンドン』っていうのはそういう意味。」

lastscene.JPG
ラストシーンの動きを決める

 演出家の栗山さんにピリっとした空気が漂っているのがわかります。本番2日前ですものね。そして皆さんの中でドッティー、ヘザー、サニーが生き生きと立っているように感じました。誰がどんな人物なのか、具体的なところまで共通理解が生まれているんですね。
 栗山「小出しにしていた(サニーの)姉への憎悪が、まとまったひとかたまりになって出るんだ。」
 栗山「ヘザーは冷めた調子で生活の話題に戻そうとした。けれどサニーは返した一言で、また核心へと連れ戻した。」
 栗山「ここは初めてドッティーがヘザーに歩み寄るシーンだよね。」

 栗山「サニーは言った後の反省がない(笑)。何にでも驚いたらその言葉を言うだけ。あれは口癖なんだよ(笑)。」
 栗山「そこは絵に描いたような絶望が良いね。ガーンと来て、そしてゆっくり顔を上げて・・・(笑)。」
 北村「劇画チックな落ち込み方ね(笑)。」

 最後のシーンは特に丁寧に、動作で確認しながら細かい部分を詰めていきました。
 栗山「今までドッティには色んな声があったけど、そこになかったものが見えるのがいい。」

staff.JPG
メインのスタッフさんが談笑中

 約1時間30分で全体の確認が終了し、15時からは舞台上でカーテンコールを作ることになりました。そこで初めて本番仕様の劇場に潜入!愛すべき家具たちが舞台上に勢ぞろいしています。広いと思っていた空間もしっくりと落ち着いて、壁の色も変わってる!!
 演出の栗山さん、照明オペレーションの田中弘子さん、舞台監督の米倉幸雄さんのスムーズな進行で、暗転のタイミングや役者さん動きなどが、手早くササっと決まっていきます。リハーサル室Cでは普通の話し声で誰にでも伝わりましたが、小劇場は広いので常にマイクを使います。役者さんもスタッフさんもいつも舞台上にいられるわけではないし、広いっていうだけでこんなに大変なのね・・・と実感。

article.JPG
沢山の掲載記事が貼ってあります

 舞台の上からは客席の様子が全く見えないので(客席は真っ暗なので)、「正面を向いてください」と言われても役者さんにはどっちが正面なのかわからないご様子。たしかにあの美術だったらそうかも・・・。どうぞ本番をお楽しみに♪

 16時から通し稽古でした。私は4/18(水)初日に『CLEANSKINS/きれいな肌』と初対面したいので、舞台での通し稽古とゲネプロは遠慮させていただくことにしました。なんと制作さんのご好意により、脚本家のシャン・カーンさんにインタビューできそうです!
  ⇒シャン・カーンさんのインタビュー

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しのぶの演劇レビューも!

出演=中嶋朋子/北村有起哉/銀粉蝶
脚本=シャン・カーン 翻訳=小田島恒志 演出=栗山民也 美術=島次郎 照明=勝柴次朗 音響=秦大介 衣裳=宇野善子 ヘアメイク=佐藤裕子 演出助手=宮越洋子 舞台監督=米倉幸雄 照明オペレーション=田中弘子 音響オペレーション=黒野尚 演出部=川原清徳/大野雅代/藤波三幸 プロンプター=山本美也子 美術助手=松村あや 制作助手=庭山由佳 制作担当=茂木令子 広報=高梨木綿子 芸術監督=栗山民也 主催=新国立劇場
【発売日】2007/02/12 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
公式サイト=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000121.html
ぴあ=http://info.pia.co.jp/et/play-p/cleanskins/cleanskins.html

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Posted by shinobu at 14:31 | TrackBack

2007年04月16日

【情報】新国立劇場演劇研修所1期生 試演会1『音楽劇「三文オペラ」』05/06-08新国立劇場小劇場

 2005年に開講した新国立劇場演劇研修所(関連記事⇒)の1期生の初めての試演会です。宮田慶子さんが演出される「三文オペラ」が入場無料!(予約制)
 いきなり「三文オペラ」!? 楽しみです♪ ⇒公式サイト

■演目
 『音楽劇「三文オペラ」』
 (作:ベルトルト・ブレヒト 作曲:クルト・ワイル)

■日程
 2007年5月6日(日)17:00開演
     5月7日(月)19:00開演
     5月8日(火)14:00開演

■チケット
 入場無料(予約制)
 受付開始:2007年4月23日~

 公式サイトより、専用ファックス用紙をダウンロードしてお申込みください。
  新国立劇場演劇研修所 FAX:03-5352-5776
 ※お1人様1回の申込みにつき、3席まで。
 ※申込先着順・定員になり次第締め切り

出演:新国立劇場演劇研修所第1期生15名(内田亜希子/岡野真那美/河合杏奈/小泉真希/高島令子/二木咲子/眞中幸子/北川響/窪田壮史/野口俊丞/古河耕史/古川龍太/前田一世/三原秀俊/山本悠一) 演奏:高良久美子(パーカッション)・中秀仁(サックス、クラリネット)・阿部一樹/木坂麻美(トランペット)・中條純子(ピアノ)
作:ベルトルト・ブレヒト 作曲:クルト・ワイル 演出:宮田慶子 音楽監督:久米大作 
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000038.html

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Posted by shinobu at 16:40 | TrackBack

2007年04月15日

【稽古場レポート】新国立劇場演劇『CLEANSKINS/きれいな肌』4/9新国立劇場Cリハーサル室〔5〕

yukiya_book.JPG
北村有起哉さんの台本

 新国立劇場の2007年4月の新作『CLEANSKINS/きれいな肌』の公式稽古場レポート〔5〕です。

 ⇒稽古場レポート〔〕〔〕〔〕〔〕〔このページ〕〔
 ⇒公式サイト
 ⇒CoRich舞台芸術!『CLEANSKINS/きれいな肌

4people.JPG
リラックスしたムードの稽古場

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 英国の小さな町、母ドッティー(銀粉蝶)とその息子サニー(北村有起哉)が二人で暮らす公営住宅の一室。そこへ薬物中毒で行方不明となっていた娘ヘザー(中嶋朋子)が突然、イスラム教徒の姿で帰ってきた!
 反イスラムのデモに参加しているサニーは、イスラム教徒となった姉になぜ改宗したのかと激しく詰め寄る。そんな弟を言葉少なに見つめ、静かに語る姉。次第に姉弟の話は自分たちを捨てた父へと及ぶが、母はそんな二人を前にただおろろするばかり。
 やがて、父の去った本当の理由が明らかになっていく……。
 ≪ここまで≫

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声の出演の伊藤総さんが初参加!

 およそ1週間おきに稽古場に伺っています。今回は4月9日(月)。13時からのお稽古には、声の出演をされる伊藤総さんが初参加!ちょうど2日前に拝見したお芝居に出演されていた方で、早い再会にびっくり(笑)。千秋楽の翌日から早速いらしてくださったそうです。伊藤さんがいらしたので、○○○役はプロンプターの山本美也子さんから伊藤さんにバトンタッチ!どんどん本番仕様になってきて、わくわくします。

 15時から照明の勝柴次朗さんがお見えになり、照明スタッフの方々(河野さん、松本さん、塩澤さん)も次々と集まってきました。というのも今日は、通し稽古の後に照明打ち合わせがあるからなんですね。初の本格的通し稽古が始まったのは15時30分ごろ。

gin.JPG
稽古開始直前のピリっとした銀さん

 最初から最後までこの『CLEANSKINS/きれいな肌』を観るのは、私も初めてのことでした・・・。何度も何度も観ているシーン1でまた涙して、クライマックス直前のシーンで号泣~っ!!制作の茂木さんに「また泣いてるの?(笑)」とあきれられちゃいました。

 人間は一人一人に圧倒的な個性があって、それぞれがかけがえのない存在だと思います。同時に、絶対的に孤独なんですよね。私たちは孤独から逃れられないことを知りながら、誰かに触れたい、つながりたいと思って求め合います。でも個性豊かで孤立した存在同士が交わろうとしても、なかなか上手くは行かず、いつもぶつかって傷つけ合ってしまいます。

nakajima.JPG
柔軟する中嶋さん。柔らかい!

 このお芝居に登場する3人の家族も、私たちと同じく不器用で哀れな人間たちです。彼らは血が繋がった家族として何年も一緒に暮らしてきたはずなのに、生活も、習慣も、夢も、信条もバラバラです。良かれと思ってしたことが相手を苦しめたり、本当の気持ちを伝えたためにお互いを切り刻むことになったり・・・。ひとつの小さな家族の中に、国や世界のそのままの姿が映し出されているんですね。もちろん私たちが生きている今の日本とも重なります。

 通し稽古の途中で(たぶん暗転の時)、栗山さんと少しおしゃべりしました。
 栗山「こんな曲、使ったの初めてだ(笑)。」
 しのぶ「どうして(使われたん)ですか?」
 栗山「台本のもともとの設定なの(曲名が書いてある)。それがなかなかいいんだ、この曲が。」

yukiya.JPG
フィードバックの時間の真剣な北村さん

 確かに、軽快なのにどこか物悲しくて、でも若さも自由も感じる不思議なリズムのポップスだったような・・・。作品で描かれているテーマは非常に重たく、深刻なものですが、ただただ悲嘆にくれたり、ことさらに強い主張を押し付けたりは全くしていません。劇作家シャン・カーンさんの柔軟で繊細な心が、その曲に表われているように感じました。

 18時前から照明打ち合わせになりました。稽古場の空いたスペースにササっと机を移動させて、スムーズに会議に移行します。参加者は栗山さん(演出)、勝柴次朗さん(照明)、米倉幸雄さん(舞台監督)、田中弘子さん(照明オペレーター)、川原清徳さん(演出部)、宮越洋子さん(演出助手)、茂木令子さん(制作担当)の7人。栗山さんがシーン1から順番に、照明についてのイメージを伝えていきます。

light.JPG
照明メンバーが集結

 栗山「ちょっと生(なま)系の明るい中の残酷さの方が、このシーンはいいかもね。陰影が深くなって。」
 栗山「『東京物語』の江ノ島の海辺に座ってる二人、みたいな(笑)。」
 栗山「芝居っぽさからどんどん、どーーーんと離れていった方がいい。」
 栗山「(ユージン・)オニールとかの湿った明かりではなく、イメージとしては明るい感じの陰影かな・・・陰湿じゃなくてね。もひとつ明るい感じの、UKロックの軽薄さみたいな。もうちょっとこう、キッチュな感じね。今のベルリンの芝居はそんなのばっかりなんだ。蛍光灯をまんま使ったりね、素材の持ってる個性をそのまま使うようなのがね。」

 照明の勝柴さんは数々の賞を受賞されているとても有名な照明家さんです。新国立劇場でも栗山さんと何度もお仕事をされています。勝柴さんはゆっくり、ぽつりと静かに言葉を発する、ダンディーな方でした。
 栗山「アンバーはきれいでしょう?」
 勝柴「・・・アンバーはきれいすぎるかも・・・。」
 栗山「ブルーは汚いでしょ?ブルーはやめよう。」
 勝柴「でも(○○が)黄色って言うのは初体験だな・・・(笑)。」

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ステージはどんな色に染まるのでしょう?

 1時間強で打ち合わせが終わった後、稽古場から小劇場に連れて行っていただきました。なんと朝から搬入の始まった舞台が、もう建っているのです!模型の写真は拝見していましたが、実際に建った美術を見ると全く印象が違いました。その第一印象は・・・おっきい!巨大な壁の中に吸い込まれそう!!・・・でも、家具や大道具が入ったらもっと変わるのでしょうね。愛らしい家具たちはまだ稽古場で働いてくれているのです。彼らの登場を待ちましょう♪
 美術の島次郎さんと栗山さん、勝柴さんが、客席から舞台を見つめながら細かい部分の打ち合わせをされていました。これからまだ追加で加工されるとのこと!すでに壁に色を塗っている方もいらっしゃいました。さすが、手厚いお仕事ですね。

 ⇒稽古場レポート〔6〕に続く

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休憩所のお菓子。可愛らしいですね♪

出演=中嶋朋子/北村有起哉/銀粉蝶
脚本=シャン・カーン 翻訳=小田島恒志 演出=栗山民也 美術=島次郎 照明=勝柴次朗 音響=秦大介 衣裳=宇野善子 ヘアメイク=佐藤裕子 演出助手=宮越洋子 舞台監督=米倉幸雄 照明オペレーション=田中弘子 音響オペレーション=黒野尚 演出部=川原清徳/大野雅代/藤波三幸 プロンプター=山本美也子 美術助手=松村あや 制作助手=庭山由佳 制作担当=茂木令子 広報=高梨木綿子 芸術監督=栗山民也 主催=新国立劇場
【発売日】2007/02/12 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
公式サイト=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000121.html
ぴあ=http://info.pia.co.jp/et/play-p/cleanskins/cleanskins.html

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2007年04月14日

シス・カンパニー『写楽考』04/05-29シアターコクーン

 シス・カンパニーがプロデュースする豪華キャストのシアターコクーン公演です。『写楽考』はマキノノゾミさんの演出で一度だけ観たことがあります。あの時は約3時間10分(休憩含む)だったんですが、今回は脚本をカットして全体で約2時間(休憩なし)になっていました。

 CoRich舞台芸術!『写楽考

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。改行を変更。★少々ネタバレあり
 時は江戸・天明の世。地獄絵を志す「あの男」(堤真一)と極楽絵を志す貧乏侍の子・勇助(長塚圭史)は、 江戸八丁堀の八軒長屋で奇妙な共同生活を送っていた。そこに転がり込んで来た世直しを志す浪人・幾五郎(高橋克実)。相次ぐ天災や飢饉で世情は不安ながらも、三人はそれぞれの志を胸に、熱き青春時代を送っていた。しかし、一人の女(キムラ緑子)の死を境に、三人の人生は大きな運命の渦に巻き込まれていく。
 10年あまりの歳月が過ぎ、寛政の江戸の世では、「喜多川歌麿」が描く浮世絵が一世を風靡していた。そこに突如、猛烈な勢いで錦絵を発表する正体不明の絵師「東洲斎写楽」が登場。歌麿をしのぐ注目を集め出した。果たして、謎の絵師・写楽とは一体何者なのか? 写楽がその人生に背負った宿命とは? 写楽を取り巻く人々の運命は?
 ≪ここまで≫

 江戸時代のほんの1年間だけ大活躍した、東洲斎写楽という名の絵師のお話です。巨大な写楽の役者絵を使った、全体的に暗いめの美術。和太鼓と笛の生演奏がありました。
 うーん・・・全体的に、地味? 普通のお芝居でしたねぇ、なんだか。6人だけとはいえ、クセも華もある役者さんが揃っていると思っていたんですけど。観終わった時の素直な感想はというと、「物足りなかった」だな~。

 マキノノゾミ演出版では写楽役は高橋和也さんで、熱くて猥雑で、大衆的な笑いもふんだんにあったように記憶しています。でも今回の鈴木勝秀さんの演出では、大きな出来事を順番にぽん、ぽんとフラットに並べていくスタイル。わかりやすくて引っかかりが少なく、どんどこスムーズに進むのを追いかけるのは気楽です。でもドキっと留まって味わえるところが少なかったのは残念。

 キムラ緑子さん、七瀬なつみさんの2人の女優さんが素敵でした。西岡徳馬さんがケレン味のある悪役を、水を得た魚のように演じてくださってかっこ良かったです。“油が乗ってる”っていうことなのかしらん。

 ここからネタバレします。

 伊之(堤真一)が愛人・お加代(キムラ緑子)の自殺ほう助をしておたずね者になり、お米(七瀬なつみ)との10数年の逃走生活を経て、運命的な再会の重なりから写楽として絵師デビューをするまでは、ふむふむと流れをすんなり追うようにして拝見しました。お加代の自害シーンはかっこ良かったですが、それ以外に胸にズシンと来るところが少なかったですね。
 写楽が牢に入れられてから最後までが長く感じました。写楽という男が最後にたどり着いた境地を、彼自身の独白でじっくりと描いたのかもしれませんが、私にはちょっと長かったし残念ながら退屈しちゃいました。

 写楽が首吊りの刑に処される時、堤真一さんが首に縄をかけてワイアーで高く飛びました。そういえば写楽が描いていたのは歌舞伎役者で、版元の蔦屋(西岡徳馬)が歌舞伎役者のように見得を切ることがありました。つまり写楽が飛ぶのは歌舞伎の宙乗りなんですね。堤さんは飛ぶ直前に目の横に赤い色も入れてらっしゃいましたし。でも、もっと効果的な見せ場にできるんじゃないのかな~・・・あっけなくてもったいなかったです。

 最後は写楽の死から約40年(だったかな)経ったうららかな春の日。十返舎一九となった幾五郎(高橋克実)が写楽の女房(七瀬なつみ)と娘(キムラ緑子)を訪ね、喜びの再会をするという大団円でした。・・・ちょっと困っちゃいましたね、あまりに「大団円」過ぎて(笑)。コマ劇場でやってる芝居みたいだゾって思いました。

 西岡徳馬さんと長塚圭史さんはいわゆる時代劇の“悪役”らしく、まぶたからまゆげまでの間に濃い茶色を塗るメイクだったようです。西岡さんはお似合いでしたが、長塚さんは別にそんなメイクをしなくても良かったんじゃないかな~。西岡さんと長塚さんでは、演技の種類が重なっていないような気がするんですよね。わざわざ怖そうな顔を作らなくても、長塚さんは充分に狂気を感じさせてくれただろうと思います。

出演=堤真一/高橋克実/長塚圭史/キムラ緑子/七瀬なつみ/西岡徳馬
作:矢代静一、構成・演出:鈴木勝秀、美術:二村周作、照明:倉本泰史、音響:井上正弘、衣装:前田文子、ヘアメイク:高橋功亘、演出助手:長町多寿子、舞台監督:瀧原寿子、プロデューサー:北村明子、企画・製作:シス・カンパニー
S¥8,500 A¥6,500 コクーンシート¥5,000
http://www.siscompany.com/03produce/17sharaku/

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Posted by shinobu at 22:29 | TrackBack

【情報】「第15回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバル」05/02吉祥寺シアターの公開二次審査会出場団体決定!

 「第15回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバル」の公開二次審査会出場団体が決定しました!11団体ですね。

■公開二次審査会出場団体 <50音順> URL間違ってたらごめんなさい。
 ・男肉 du Soleil
 ・company izuru
 ・クリウィムバアニー
 ・小指値
 ・CAVA
 ・Giant Grammy
 ・東京デスロック
 ・FUKAI PRODUCE 羽衣
 ・冨士山アネット
 ・ブラジル
 ・ユニット美人

 二次審査会は公開で行われます。
 日時:5月2日(水)14:00~18:30(終了時間は議論の進行により前後します)
 会場:吉祥寺シアター

 見学希望の方は電話にて予約可能です。
 TEL:03-5568-8818 (定員になり次第、締め切り)

【審査員】ウニタモミイチ(演劇エッセイスト)、河原雅彦(演出家、脚本家、俳優、HIGHLEG JESUS永久総代)、坂口真人(演劇ぶっく社代表)、堤広志(編集者、演劇・舞踊ジャーナリスト)、渡辺えり子(劇団宇宙堂主宰) <50音順・敬称略>
ガーディアン・ガーデン=http://rcc.recruit.co.jp/gg/index.html
ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバル=http://rcc.recruit.co.jp/gg/engeki/engeki.html

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Posted by shinobu at 22:10 | TrackBack

【情報】fringe blog「演劇情報サイト・ステージウェブのインタビュー動画がすごい!」をアップ

 fringe blogに記事をアップしました。
 ⇒演劇情報サイト・ステージウェブのインタビュー動画がすごい!

Posted by shinobu at 12:15 | TrackBack

2007年04月13日

俳優座劇場プロデュース・別役実祭り『壊れた風景』04/06-15俳優座劇場

 別役実さんの新作を含む3作を連続で上演する別役実祭りの第2段。考えてみたら別役さんの作品を観るのは青年団若手自主企画の『会議』以来。かなり久しぶりのベツヤク・ワールドでした。

 ⇒CoRich舞台芸術!『壊れた風景

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 道に迷った親子がある場所に辿り着く。
 通りかかる人達に話を聞いてみるが、それぞれの記憶と風景が一致しない。
 まるで、そこだけ世界が歪んでしまったように……
 ≪ここまで≫

 蓄音機、お弁当、パラソルなどの豪華なピクニックの用意が、とある道端に手付かずで放置されています。そこを通りかかった全く見ず知らずの他人たち、6人の交流。

 「あれ」「こちら」「そういうこと」など指示代名詞が連発されて、正直なところイライラしましたし、会場で笑いがいっぱい起こっているのにクスリともできない自分にもがっかり(苦笑)。でも事態がエスカレートしていくに従って、普通に笑える可笑しさではなく、辛らつなブラック・ユーモアを楽しめるようになりました。恐ろしい話だな~。

 ただ、演技については堅さを感じざるを得ませんでした。戯曲のセリフをとても大切にされているからかもしれません。前述の『会議』みたいに柔らかい現代口語になると、それはそれで別役さんのセリフならではの味わいから遠ざかる気もしますし、バランスが難しいところですよね。

 ここからネタバレします。

 最初は、レコードが何度も繰り返し演奏されてしまう蓄音機を止めることすら、「自分のものじゃないから」と躊躇していた人たちが、マットの上に座り、お弁当を食べ、ワインまでグビグビと開けてしまう、おぞましいほどのあつかましさを発揮します。集団ドロボウです。
 「だって仕方ないよ」「こういうことは皆んなでやらないと」「権利があるんだから!」・・・吐き出すように口々にしゃべる馴れ合いの言葉にゾっとしました。身に覚えがある・・・。恥ずかしいです。

  最後は刑事が通りかかって、「そこでピクニックの準備をしていたのは、とある6人家族です。その先で心中しました。」と言われて、盗み食いをしていた6人は凍りつきます。刑事が「ところで、あなたがたは誰なんですか?」と言うのが、最後のセリフでした。私は誰なのか。自分は何なのか。集団の中の匿名の人間ではなく、名前の付いた一個人としての自分を見つめなければ・・・という意味に受け取りました。
 
 体操服姿に坊主頭、そしてなぜかリュックをお腹の方に抱えている佐々木睦さんの姿は強烈でしたね(笑)。演技も面白かったです。

出演:山本郁子、塩屋洋子、伊東達広、佐々木睦、関貴昭、津田真澄、岸槌隆至(配役順)
作:別役実 演出:山下悟 美術=長田佳代子 照明=森脇清治 音響=小山田昭 衣裳=菊田光次郎 舞台監督=上村利幸 イラスト=曽根久美 宣伝美術=ミネマツムツミ 企画制作=俳優座劇場
チケット前売開始:2007年3月1日(水) 電話予約午前11時より 一般 5,600円/ハーフチケット 2,800円/グリーンチケット(要学生証提示) 2,800円
http://www.haiyuzagekijou.co.jp/

Posted by shinobu at 22:26 | TrackBack

2007年04月12日

パルコ・プロデュース『コンフィダント・絆』04/07-05/06パルコ劇場

 三谷幸喜さんの新作です。豪華キャストの5人芝居。渋い男4人と紅一点に、ピアノの生演奏付きのリッチな時間でした。
 休憩15分を挟んで前半85分、後半60分という長丁場でしたが、長さは全く感じませんでした。パルコ劇場のロビーに登場する画家たちの絵が飾られていますので、観劇前にチェックしておくとさらにお芝居が楽しめるかも!

 なんと、大阪公演はまだ残席あるそうです。びっくりだな~・・・東京が加熱しすぎなのかしらん??

 ⇒CoRich舞台芸術!『コンフィダント・絆

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 1888年、パリ。ムーラン・ルージュに程近い、とあるアトリエ。そこに集まる4人のまだ世間的には無名な画家達。ゴッホ(生瀬勝久)、ゴーギャン(寺脇康文)、スーラ(中井貴一)、シュフネッケル(相島一之)。
 4人は親友でもあるが、同時にライバルでもある。4人とも、自分以外の人間に密かな対抗心を抱いている。信頼、友情、うぬぼれ、嫉妬。様々な思いが渦巻きながらも、4人は表面上は常に「親友」であった。毎日のように朝まで飲み明かし、そして語り合った。それは微妙なバランスの上に成り立つ「友情」。
 しかしその均衡が崩れる時が来た。ある夜、一人の女(堀内敬子)を巡って、4人の画家たちの小さな攻防が始まった。果たして芸術家たちの間に真の友情は成り立つのか?
 ≪ここまで≫

 舞台は4人の画家がシェアしている古いアトリエ。ムーラン・ルージュで働いているダンサー志望の女・ルイーズ(堀内敬子)が、モデルとして雇われてやってきます。いずれ有名になる画家たちと美しいモデルとの恋と友情、そして人間の才能について・・・のシビアなお話でした。もちろん笑いはいっぱいですし、ほろりと涙してしまうエピソードもがっちりと用意されていて、観終った時には「あぁ、いいもの観せてもらったな~」と暖かい気持ちで家路につくことができるお芝居でした。

 実在の有名な人物が描かれると「これは本当にあったことなの?」「史実に基づいているの?」など、細かいところが気になることが多々あるのですが、そんなことどーでもイイやっ!て思えました。芸術家というものについて、真正面から描いてくださっていたように思います。
 私はシュフネッケル以外の画家について、ある程度の知識はあったんですが、わからなくても楽しめるんじゃないかしら(わかった方が楽しめるのは確実ですが)。三谷さんのお芝居は「誰にでも楽しめること」を念頭に作られているんだなと、いつも感じます。

 前半はちょっと物足りない感じがしましたが、後半では胸に届くセリフがいっぱいありました。まだ幕が開いたばかりですから、これからもっと面白くなっていくんじゃないかなと思います。

 ここからネタバレします。

 酒場で歌う年老いた歌手(堀内敬子)が画家達と過ごしたほんの1ヶ月ほどの思い出を語る構成でした。でも堀内さんが老女の姿で出てくるのは最初と最後だけ。あとは美しいルイーズの姿で幕と幕の間に歌を歌われます。ピアノ伴奏が暖かくていい感じ~。

 5人での幸せなアトリエ生活も永遠に続くわけではありません。予想していたよりも早く、そして突然にその崩壊はやってきます。スーラが点描という新しい画法で有名になり、個展を開くことになります。そこにアトリエのメンバーの中からスーラの他に1人だけ、作品を出展できることになるのですが、その1枚を選ぶ日に取り返しのつかない亀裂が生まれます。わかっていながら隠していたことが、あぶり出されてしまうんですね。

 物事・人の本質を見抜く目とそれを描く才能をもっているのに、自分を信じられないゴッホ。ゴッホのような目と才能が自分にはないことを知ってしまった、成功した画家・スーラ。ゴッホの才能を誰よりも早くから知っていて、嫉妬をしながらも彼を世話するゴーギャン。そして、そんな状況を全くわからなかった、絵の才能がない美術教師・シュフネッケル。歯に衣着せぬ議論・ケンカの末、シュフネッケル以外の全員がシュフネッケルに絵の才能がないことを知っており、それを彼に隠していたことがバレてしまいます。でも、シュフネッケルがいなければこのアトリエは存在しなかったし、5人の幸せな日々もなかったのです。
 「コンフィダント」とは、芸術家を親身になって助ける人のことを指すフランス語でした(そのようにセリフで言われてたと思います)。つまり、シュフネッケルのことなんですね。

 お別れの日、ゴッホはアルルに行く(ゴーギャンと一緒に)決心をし、みんなのために手紙をしたためてきました。でも同じことをしつこく書いているので、ゴーギャンに「これだけでいいよ」と1枚だけ読むように言われます。しぶしぶ残った1枚だけをゴッホが読み上げたのですが、「いろいろ迷惑をかけてすみませんでした。ゴッホ。」という一文だけだったんです。これは笑ったな~っ。
 好きだったひとこと→ ゴッホ「罪深きは芸術家、だね。」

 4人の画家が全員ルイーズに惹かれるのはお約束かもしれないですけど、ルイーズのことがちょっとでもヤな女に見えちゃったのは残念。ルイーズにもっと深い影(負)の部分を感じられていたら、彼女を終始いとおしく思えたんじゃないかしら。あと、結局彼女はゴーギャンと付き合っていたんですが、2人の間に特別な関係が見えなかったんですよね・・・。

 たまたま知り合いと同じ回を観ていて、終わった後にお食事をしながら感想を話し合うという幸せな時間を持つことができました。いや~・・・人によって感じることも、目の付け所も全然違うんですよね~。「この作品をヨーロッパでやったらどうなるだろう?」とか「違うキャストだったら誰がいい?」とか(笑)、先のことを勝手に想像したりできました。
 三谷さんの作品は上演許可が下りないことで有名です。でもいつか、他の方の演出で、違うキャストでも観てみたいです。一観客のわがままな独り言ですけれど。

≪東京、大阪≫
出演=中井貴一、寺脇康文、相島一之、堀内敬子、生瀬勝久 音楽・演奏=荻野清子
作・演出=三谷幸喜 美術=堀尾幸男 照明=服部基 衣裳=黒須はな子 音響=井上正弘 ヘアメイク=河村陽子 舞台監督=松坂哲生 宣伝美術=高橋雅之 宣伝写真=中筋純 宣伝写真ヘアメイク=江川悦子 宣伝写真衣裳=前岡陽子 CGオペレーション=Studio Gumbo プロデューサー=佐藤玄 制作=毛利美咲 製作=山崎浩一 企画協力=株式会社コードリー 企画・製作=株式会社パルコ
一般9,000円(全席指定・税込)〈4/7(土)プレビューオープニング・プレヴュー料金/8,500円(全席指定・税込)〉
http://www.parco-play.com/web/page/information/les/

Posted by shinobu at 21:57 | TrackBack

世田谷パブリックシアター『現代能楽集Ⅰ「AOI/KOMACHI」』04/11-15世田谷パブリックシアター

 世田谷パブリックシアターの芸術監督の野村萬斎さんが企画・監修されているシリーズ「現代能楽集」第一弾の再演です。2003年の初演はシアタートラムで上演されていました。なんと北米ツアーを経ての東京公演なんですね。

 会場が変わったし、アメリカでどんなことされたのかしら~んという興味が沸いたため、初日に伺ってきました。てゆーか「好きな役者さん目当て」っていうのが正直なところ(笑)。

 CoRich舞台芸術!⇒『現代能楽集Ⅰ「AOI/KOMACHI」

 ≪あらすじ・解説≫ 公式サイトより抜粋。
 本作は全く趣向の異なる二部構成で物語を展開。第一部の『AOI』は、光源氏の妻・葵に生霊となって取り憑く六条御息所の恋の懊悩を描く謡曲『葵上』を、現代の美容サロンの出来事へと描き変えた作品。初演では、主演の麻実れいが、圧倒的な存在感を放つ演技で高い評価を受けました。第二部は、老女となった小野小町が昔を懐かしむうちに狂気に陥る謡曲『卒都婆小町』をもとにした『KOMACHI』。手塚とおると舞踏家・笠井叡の共演、映像を用いた演出と見どころたっぷりです。
 ≪ここまで≫

 シャープな都会的空間で、過激にエロティックな、大人向けの退廃・耽美ホラー・・・という感じでしょうか(特に「AOI」)。私は残念ながら能楽の知識がないのでストーリーについて特に深いところで味わえたわけではないのですが、病的なほど白い照明や、シンプルで躍動感のある美術、そしてこの作品の空気にすっかり慣れ親しんで自由に動いている役者さんなど、舞台のそれぞれの要素を気楽に楽しむことができました。やっぱり長いツアーを経た公演っていいですね。

 舞台にそびえる大きな2枚の壁が初演では板だったのですが(すっかり忘れてましたけどレビューを読んで思い出しました)、今回は巨大な白い布でした。布になったことで色んな効果が増えていましたね。照明も映像も面白かったです。

 ただ、卑猥な言葉が多いしラブ・シーンも生々しいので(「AOI」)、苦手な方もいらっしゃるかも・・・。「そーゆーのも面白いよね!」って思えたらいいんですけど。まあそれも含めて“都会的”だと思いました。ちょっとスノッブ(snob)な感じっていうか(笑)。アメリカで評判が良かったことに納得です。

 ここからネタバレします。

 白い布に動画や静止画が大きく映写されて、さらにその布がグルグル回転します。影絵も素敵。「AOI」、「KOMACHI」ともに、2枚の布に挟まれた舞台中央にイスがぽつんと置かれるのがいいですね。

 ■「AOI」:洗練された都会の美容室。カリスマ美容師(長谷川博己)のもとにかつての恋人(麻実れい)がやってきて・・・。

 目がチカチカするほどはっきりとしたモノトーンの空間。がっちりとシャープなのに、黒子が出てきて布を動かして転換したりするので、手作り感があって面白いです。生き生きと自由な感じもするんですよね。

 お話は・・・取り立ててどこかに感動するのではなく、“情欲”や“戦慄”のムードを楽しむって感じでしたね、私には。役者さんの演技合戦でもあるので見ごたえはあります。
 最後に麻実れいさんが真っ赤なスーツで登場し、白と黒の中でおどろおどろしい美しさを見せてくださいました。


 ■「KOMACHI」:自称映画監督の男(手塚とおる)が不思議な体験を語る。さびれた映画館で、今はもう年老いた往年の映画女優(笠井叡)に出会ったのだ。

 男(手塚とおる)が自分の経験を客席に向かって語っていきます。映像・画像に意味が付加されていました。映画館のイスだとか、口いっぱいに入った大量のみみずだとか。手塚さんの生首が転がってる画像は怖いよ(笑)。

 手塚さんは膨大なセリフを滑らかに話されます。霊に乗り移られたりする怪奇的要素もありますが、全体の雰囲気は柔軟でキュートでした。
 執事的な立場の老人役の福士惠二さんは、びっくりするほど機敏な動きで、コミカルで素敵。
 笠井叡さんは白塗りで無言ですが、気品のある老女でした。ダンスは私の好みの方向性ではなかったですが、すべてを舞で表現するという演出はいいな~と思いました。

 「AOI」では「イヴの総て」、「KOMACHI」では「サンセット大通り」を思い出しました。伝統芸能、都会の洗練、戦争の記憶などにアメリカ映画のイメージも入っているなんて、贅沢な脚本だと思いました。

≪神奈川、大阪、福岡、北米ツアー、東京≫
出演:「AOI」麻実れい/長谷川博己/剱持たまき/中村崇 「KOMACHI」手塚とおる/福士惠二/笠井叡
作・演出:川村毅 美術=堀尾幸男 映像=伊藤高志 照明=大野道乃 音響=島猛 衣裳=半田悦子 演出助手=小松主税 技術監督=熊谷明人 舞台監督=山本園子 技術監督助手=福田純平 舞台監督助手=奥野さおり 照明操作=加藤学 音響操作=尾崎弘征 映像操作=中安翌 衣裳進行=阿部朱美 ヘアメイク=高橋幸子(奥松かつら) 宣伝美術=マッチアンドカンパニー 宣伝写真=中居中也 法務アドバイザー=福井健策 営業=清水言一 広報=森直子 森田悠記子 票券=金子久美子 制作=奥山緑 大下玲美 竹内美樹子 主催=財団法人せたがや文化財団  企画制作=現代能楽集「AOI/KOMACHI」北米公演実行委員会 企画・監修=世田谷パブリックシアター芸術監督 野村萬斎
全席指定A席6,000円/B席4,000円、TSSS A席3,000円/B席2,000円 SePT倶楽部会員割引 <A席>5,000円 世田谷区民割引 <A席>5,500円
http://www.setagaya-ac.or.jp/aoi/

Posted by shinobu at 00:46 | TrackBack

2007年04月11日

三田村組『猿股のゆくえ』03/26-04/06サンモールスタジオ

 三田村周三さんが主宰される三田村組。第12回公演はONEOR8(ワンオアエイト)の田村孝裕さんによる作・演出です。良い評判を耳にして、千秋楽前日に伺いました。岡本麗さんが出演されているし。
 私の好みではなかったですが(設定が)、幅広い世代が笑えて泣けるタイプの、安心して楽しめる作品だと思いました。田村さんの作品は手堅いですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『猿股のゆくえ

 ここからネタバレします。

 昭和の古い一軒家の居間。下手に仏壇があり、主演の岡本麗さんの写真(おそらく遺影)が入った写真立てが飾ってある・・・というところで、もう引いちゃいました。すみません、私は人が死ぬことが前提になっていてそこからドラマが生まれる・・・みたいな脚本が苦手なのです。でもそういう芝居にありがちな展開・結末ではなかったところに、田村さんの非凡さが表れていると思います。

 ガンで入院中の母親(岡本麗)が亡くなる直前に、一時退院して家に帰ってきます。その機会に家族全員が久しぶりに集まるという過去の一日と、母親が亡くなった後、家政婦が毎日通ってきている現在とが入れ替わりながらお話は進んでいきます。『ゼブラ』と似てるな~と最初は思ったんですが、過去のシーンで30代の長女が60代の彼氏を紹介しに連れてきたのがあまりに衝撃的で(笑)、微笑ましく、新たな気持ちで観ることができるようになりました。

 母親が「四十九日が終わってから開けて」と言い残した手紙の内容が「あの家政婦さん、お父さんの好みでしょ?食事に誘ってみれば?」というような、いわば冗談めいた内容だったのも良かったです。お涙頂戴に決してならないんですよね。

出演:岡本麗/中村方隆/古屋治男/朝倉伸二/平野圭/冨田直美/保倉大朔/久下恵美/栗田かおり/三田村周三
作・演出:田村孝裕(ONEOR8) 美術:香坂奈奈/照明:和田典夫(満平舎) 音響:小沢高史 舞台監督:西山竜一 宣伝美術:由比まゆみ(egg design)/制作:上田郁子(オフィス・ムベ) 制作:オフィス・ムベ
【発売日】2007/02/05 前売:3,500円/当日:3,800円〈全席指定〉
公式サイト=http://www.mitamuragumi.com/

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Posted by shinobu at 00:26 | TrackBack

劇団千年王國『スワチャントッド』03/09-11「劇」小劇場

 劇団千年王國は橋口幸絵さんが作・演出される札幌の劇団です。『古事記一幕・イザナキとイザナミ』で、日本演出者協会の若手演出家コンクール2005最終審査に参加し、最優秀賞と観客賞をダブル受賞されました。

 CoRich舞台芸術!『スワチャントッド

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。改行を変更。
 北国のみなとまち。
 漁船で海を漂う男たちに、陸の家族からのこまごまとした伝言をモールス信号で送る姉妹のもとへ 家庭教師のトッカがやってくる。
 言葉を使わずモールスの符号を使っておしゃべりする妹とその先生になったトッカはトントン・ツーのモールスから進化した、スワチャントッドのリズムを見つけ話しはじめる。
 そのリズムを偶然受信した電話交換師は、スワチャントッドのリズムが打たれたその日、街で1件の殺人事件も起こらなかった事実を伝えに姉妹の住まいを尋ね、1件の死刑執行を止めてくれるように依頼をする…
 リズムアンサンブルの楽曲と共にスワチャントッドのリズムを探して港をめぐる、音楽周遊劇。
 ≪ここまで≫

 素敵なオープニングでした。声と身体を使って、心と息がしっかりと合わさったアンサンブルを見せていただけました。はしごを使って電車に乗っている状態を表現したり、いろいろ楽しい効果もありました。

 いわば家族のディスコミュニケーションを描く脚本だったのですが、役者さんは皆さん、しっかり身体と声、感情を使ってコミュニケーションできちゃってるんです。だからどんな悩みも「え?それ、既に解決してるよね?」ってつっこみたくなりました(笑)。東京の劇団ではありえないことだな~。

 色んな登場人物の語る言葉がすべて、作・演出の橋口さんの気持ちを代弁しているように聞こえちゃったんですよね・・・残念なことです。特に上手奥のベッドシーンはいただけなかったですね。『古事記一幕・イザナキとイザナミ』のようにストイックな方向で洗練されていってくださると、個人的には嬉しいです。

≪東京、札幌≫
出演=村上水緒、佐藤素子、榮田佳子、柴田智之、能代祐子、赤沼政文、岩田雄二、かとうしゅうや
作・演出=橋口幸絵 作曲=福井岳朗 照明=青木美由紀 衣裳=佐々木青 舞台監督=尾崎要 イラスト=森迫暁夫
前売り2800円/当日3000円(日付指定・全席自由)
公式=http://sen-nen.org/index.htm

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Posted by shinobu at 00:06 | TrackBack

2007年04月10日

劇団民藝・木下順二追悼公演『沖縄』04/07-18紀伊國屋サザンシアター

 2006年10月30日に92歳で逝去された木下順二さんの追悼公演です(はからずして追悼公演になってしまったんですね)。木下さんの作品を観たことがなかったので伺いました。上演時間は約2時間45分(途中15分、10分の休憩を含む)。どうやら満席のようですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『沖縄

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 敗戦から15年目めの夏。青いトロリとした海。小さな離島にアメリカ軍施設のための土地収用の噂が流れてきた・・・。
 安保闘争で揺れる日本。1963年に上演された衝撃の問題作『沖縄』。沖縄の歴史は薩摩藩、日本本土、アメリカ軍の搾取と圧政のもとに置かれた歴史だった。
 木下順二は沖縄に対する日本人の原罪意識を心の奥底に、ツカサ(神女)の娘・波平秀を主人公として書き下ろした。初演は山本安英とぶどうの会。生前のご許可をいただいたこのたびの民藝上演が、はからずも木下順二追悼公演となった。
 沖縄戦から62年。戦後日本の「平和」を考えるとき、沖縄の現在はいまも深く新しい問いをわたしたちに突きつけている。
 ≪ここまで≫

 幕開けの瞬間から、「あぁ、これは私の好みではないようだ・・・」とわかってしまい、何とも退屈な観劇となってしまいました。振付どおりの演技ってどうにも受け付けられないんですよね・・・。小学校の時に体育館で観たお芝居を思い出しました。途中で帰らなかったのは脚本が目当てだったためです。でも、よくわかんなかったな・・・。違う演出&違うキャストでいつかまた観てみたいです。

 劇団民藝の作品は『エイミーズ・ビュー』を拝見していますが、奈良岡朋子さんが主演なんですよね。奈良岡さんは素敵だと思います。

 あらすじはこちら↓の方が詳しいかも。
 ≪あらすじ・作品紹介≫ 紀伊國屋サザンシアターのサイトより
 舞台は敗戦から十数年後、アメリカ軍政下の沖縄。沖縄の歴史は薩摩藩、日本本土、そしてアメリカ軍による搾取と圧政のもとにおかれた歴史でした。そして今また、小さな離島にアメリカ軍施設のための土地収用の噂が流れてきます。「どうしてもとり返しのつかないことを、どうしてもとり返すために」若者たちは彷徨うのでした……。
 ≪ここまで≫

 ここからネタバレします。

 日色ともゑさんと境賢一さんが最後に「愛しています」とか告白しあうんですが、2人の年齢がよくわからなかった・・・(汗)。

 お祭りで踊るシーンがいっぱいあるのですが、観客に披露することを目的にしていたようです。これまた振付どおりにガチガチに踊ってました。民謡踊りの発表会みたいだったな~。がんばって練習されたんだと思うんですが、物語から逸脱しちゃっててもったいないと思います。

 本土の人間が沖縄の人々を「朝鮮と琉球はお断り」と差別・虐待(虐殺)したこと。そして琉球の人間も本土から来た兵士をだまして殺したこと。今、記憶しておかなければならないと思いました。

出演=日色ともゑ/境賢一/吉岡扶敏/加藤絹子/杉本孝次/中地美佐子/内田潤一郎/安田正利/有安多佳子/大崎さおり/若杉民/田畑ゆり/貞永淳/和田啓作/細川あゆみ/河村理恵子/小杉勇二/武藤兼治/高野大/今泉悠/北田浩之/児玉武彦/岡山甫/吉田正朗/花村さやか/藤田麻衣子/藤巻るも/上條和佳奈
作=木下順二 演出=兒玉庸策 装置=島次郎 照明=尾藤俊治 衣裳=前田文子 効果=岩田直行 舞台監督=中島裕一郎 踊り指導=児玉洋子・児玉由利子
【発売日】2007/02/22 一般6,300円/学生3,150円(全席指定・消費税込) ナイトチケット4,000円(夜公演のみ、枚数限定)
http://www.gekidanmingei.co.jp/okinawa.html

Posted by shinobu at 22:49 | TrackBack

【稽古場レポート】新国立劇場演劇『CLEANSKINS/きれいな肌』4/3(後)新国立劇場Cリハーサル室〔4〕

 新国立劇場の2007年4月の新作『CLEANSKINS/きれいな肌』の公式稽古場レポート〔4〕です。

 ⇒稽古場レポート〔〕〔〕〔〕〔このページ〕〔〕〔
 ⇒公式サイト
 ⇒CoRich舞台芸術!『CLEANSKINS/きれいな肌

5persons2.JPG
中央のテーブルで和やかに

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 英国の小さな町、母ドッティー(銀粉蝶)とその息子サニー(北村有起哉)が二人で暮らす公営住宅の一室。そこへ薬物中毒で行方不明となっていた娘ヘザー(中嶋朋子)が突然、イスラム教徒の姿で帰ってきた!
 反イスラムのデモに参加しているサニーは、イスラム教徒となった姉になぜ改宗したのかと激しく詰め寄る。そんな弟を言葉少なに見つめ、静かに語る姉。次第に姉弟の話は自分たちを捨てた父へと及ぶが、母はそんな二人を前にただおろろするばかり。
 やがて、父の去った本当の理由が明らかになっていく……。
 ≪ここまで≫

 ほそぼそと二人で暮らす母親ドッティ(銀粉蝶)と長男サニー(北村有起哉)、そして突然帰ってきた長女ヘザー(中嶋朋子)。母親と長男、長男と長女、長女と母親という風に2人ずつの対話のシーンが積み重ねられて、徐々にこの家族の実体がわかってきます。血の繋がった家族なのに、最初のうちは腫れ物に触るようにしか言葉を交わせません。でも長女が持ち込んだある事実が、その関係に取り返しの付かない大きな亀裂を生じさせて・・・。

 フィードバックの時間は先週に比べてさらに朗らかに、楽しいものになっていました。言葉の意味についての鋭い解釈は、聞いていて涙がにじみそうになるほど登場人物およびこの家族のお話への愛に満ちています。そしてお茶目な遊び心も忘れていません。

gin_yukiya.JPG
栗山さんの提案にキャストは大笑い

 栗山「このシーンは巧妙に作られてる。ひとこと話されるごとにお母さんがプラスになったりマイナスになったりして、どんどんと(サニーとの位置関係が)変わっていくんだよね。」
 栗山「なんかもっとイメージが欲しいな、“移民”って言葉に。」
 栗山「ドッティーはあそこ(あのセリフ)で一瞬すっと温度が下がるんだよ。」
 栗山「そのセリフは、顔面にバンバンバンババーン!と、声が張り付くように。」
 栗山「ここの『そうじゃなくて』というセリフは、『1、2、3、5、6・・・そうじゃなくて、3と5の間には4があるでしょ!?』という時の、『そうじゃなくて』(笑)。」

 部屋の中を歩く動きや細かい所作について、繰り返し練習することがありました。どこでコートを脱ぐか、脱ぎながら話すのか、脱いだ後に話すのか、脱いだコートをどこに置くのか・・・。セリフとセリフの間、もしくはセリフの最中の動きを加えることで、気持ちがどんどん増えていくんですね。「探し出されていく」と言った方が正確かもしれません。

4persons.JPG
演じてみせる栗山さん

 銀粉蝶さんは、夫に捨てられてジャンキーの長女に家出されて、残された長男と2人で平和に暮らそうとしている母親ドッティーを演じます。この情報だけだと、あからさまに不幸な女性ですよね。でも銀さんが演じるドッティーは思わず顔がほころんでしまうほど、おどけたムードがいっぱいなんです。悲壮感を漂わせたかと思いきや、一転してすごくユーモラスな佇まいも見せてくださいます。同時に長年苦労をしてきた女性のギラっとした厳しさや、母親ならではの傲慢さも、大きくて鋭い目の奥からじわりと伝えてくださいます。

 そして私がすっかり見とれてしまった中嶋朋子さんは、細くて小さな身体に静けさと熱さが常に同居しているように映りました。休憩時間に打ち解けた気さくな雰囲気でくったくなく笑うかと思えば、長い髪をクルクルと器用にまとめて縛る動作は少女のように可憐です。中嶋さんが演じるヘザーは、バラバラになってしまった家族に自分の胸の奥深くにある悲しみ、愛情を、控えめになりながら必死で伝えようとします。その姿は、ものに例えるとすると・・・深い藍色の宝石のようでした。

tomoko_yukiya.JPG
ヘザー(中嶋朋子)とサニー(北村有起哉)

 今回もまた北村有起哉さん演じる長男サニーの、新たな一面を発見することができました。お母さんと話す時とお姉さんと話す時とでサニーの態度は全く違うんですよね。当然といえば当然ですが、役者さんはシーンごとに細切れに演技をされますから、その豹変振りに驚かされます。止まることなく、くるくる変化する“サニー”という青年は、稽古場でもよく話題に上るんですよね。
 栗山「イギリスなんて大学に入ったらみんな寄宿舎に入るから、20歳過ぎてまだ親と一緒に住んでるなんて考えられない。サニーは相当ダメなヤツだよ(笑)。」
 栗山「サニーの歌は高音と低音で音域が広く飛ぶけれど、それはね、シャン・カーンがコーランとの差を表してるんだと、僕は思う。コーランは同じぐらいの音域の中で単調なリズムで読まれるでしょ。」

 レポート〔2〕でも書きましたが、サニー(北村有起哉)が小石のように丸く固まってしまうシーンがあります。サニーは一度信じたら鉄砲玉のように一直線に飛んでいってしまう、軽率で、甘えん坊の困った青年ですが、湧き水のように澄んだ純粋な心を持っています。その彼が、身から出た錆びとはいえ心底傷ついて、誰かに必死で寄りかかって泣き崩れるのを見て、色んな感情が混ざった複雑な状態になってしまいました。笑えば笑うほど、涙が溢れ出てきてしまうのです。

yukiya_door.JPG
一人で練習!

 北村さんって、止まったら死んじゃうサメみたい(笑)! いつも何かをしていて、何をしていても絵になる方です。その絵もただの静止画じゃなくて、アニメーションみたいに連続したコマ送りの絵になって記憶に残ります。短い休憩の間に外に出て、すぐに帰ってきたかと思ったら「マーボー丼食べてきた!」ですって(笑)。
 ←ドアでこっそり何かの練習されています。
 栗山「君はずーっと一人でやってなさい(笑)。」

 ⇒稽古場レポート〔5〕に続く

出演=中嶋朋子/北村有起哉/銀粉蝶
脚本=シャン・カーン 翻訳=小田島恒志 演出=栗山民也 美術=島次郎 照明=勝柴次朗 音響=秦大介 衣裳=宇野善子 ヘアメイク=佐藤裕子 演出助手=宮越洋子 舞台監督=米倉幸雄 照明オペレーション=田中弘子 音響オペレーション=黒野尚 演出部=川原清徳/大野雅代/藤波三幸 プロンプター=山本美也子 美術助手=松村あや 制作助手=庭山由佳 制作担当=茂木令子 広報=高梨木綿子 芸術監督=栗山民也 主催=新国立劇場
【発売日】2007/02/12 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
公式サイト=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000121.html
ぴあ=http://info.pia.co.jp/et/play-p/cleanskins/cleanskins.html

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Posted by shinobu at 11:24 | TrackBack

2007年04月09日

【稽古場レポート】新国立劇場演劇『CLEANSKINS/きれいな肌』4/3(前)新国立劇場Cリハーサル室〔3〕

 新国立劇場の2007年4月の新作『CLEANSKINS/きれいな肌』の公式稽古場レポート〔3〕です。

 ⇒稽古場レポート〔〕〔〕〔このページ〕〔〕〔〕〔
 ⇒公式サイト
 ⇒CoRich舞台芸術!『CLEANSKINS/きれいな肌

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 英国の小さな町、母ドッティー(銀粉蝶)とその息子サニー(北村有起哉)が二人で暮らす公営住宅の一室。そこへ薬物中毒で行方不明となっていた娘ヘザー(中嶋朋子)が突然、イスラム教徒の姿で帰ってきた!
 反イスラムのデモに参加しているサニーは、イスラム教徒となった姉になぜ改宗したのかと激しく詰め寄る。そんな弟を言葉少なに見つめ、静かに語る姉。次第に姉弟の話は自分たちを捨てた父へと及ぶが、母はそんな二人を前にただおろろするばかり。
 やがて、父の去った本当の理由が明らかになっていく……。
 ≪ここまで≫

 前回から約1週間経った4月3日(火)に伺いました。14時からお稽古開始ということで15分前に到着すると、スタッフさんも役者さんも全員ばっちり準備完了の状態。ピリっとした良い緊張感が稽古場に満ちています。

5persons1.JPG
ひろびろ、のびのび

 スタッフさんは前回いらしていた方々に加えて音響の秦大介さん、音響オペレーターの黒野尚さん、照明オペレーターの田中弘子さん、舞台チーフの本庄正和さん、演出部の大野雅代さん(衣裳担当)、中嶋朋子さんのマネージャーさんが参加されていました。すっごい大人数だなーと思ったんですが↓
 茂木(制作担当)「いつもはもっと多いですよ。座る場所がないぐらい。今回は三人芝居だから少ないの。」
 とのこと。なるほど・・・確かに演出部(本番中に舞台裏で待機して小道具、大道具の転換などさまざまな業務を担当する方々)の人数も、出演者の数によって違うかもしれません。それにしても出演者と演出家以外に14人がズラリと集結している稽古場は圧巻です。

 今回はオープニングから順にラスト直前のシーンまで拝見することができました。音楽も効果音もばっちり入っています。茂木さんから「けっこうミッチリな稽古になるかもしれないので、非常食完備でいらしてください!」と言われていたので、おにぎりを2個、チョコレート、紅茶など盛りだくさんのお弁当持参で伺いました(笑)。茂木さんの予言どおりビシっと数シーン続けてのお稽古になり、5時頃には何もしてないのにお腹が空き始めてしまいました・・・(苦笑)。

tomoko_back.JPG
フィードバックは5人で

 中嶋朋子さん(過去レビュー&記事⇒)には今回初めてお会いしました。中嶋さんというとテレビドラマ「北の国から」の蛍ちゃん役でも有名ですよね。私は何度か舞台で拝見してきて、とても情熱的で繊細な心を持った方だなと思っていました。実際にお会いすると、まずその可憐な美しさに目を奪われました・・・!色白でか細い身体はとてもしなやかで、力強くて揺るがない芯が通っているのを感じます。そして軽やかな足取りにしっとりとした色気があるんです。身体の周りには、ほんのりと甘く爽やかな香りが漂っているよう♪ あぁ、なんてきれいなんだろう・・・。

 な~んて風にすっかり“中嶋酔い”をしている内にお稽古開始!何度も拝見したシーン1から始まりました。今回はシーンごとに止めて繰り返したりはせず、一度演じてフィードバックをしたら、少しの休憩を挟んで次のシーンに進みました。3シーン続けて演じたりもして、ほぼ最後まで通して拝見できましたので、作品の全体像がやっとつかめてきた気がします。

 ⇒稽古場レポート〔4〕に続く

出演=中嶋朋子/北村有起哉/銀粉蝶
脚本=シャン・カーン 翻訳=小田島恒志 演出=栗山民也 美術=島次郎 照明=勝柴次朗 音響=秦大介 衣裳=宇野善子 ヘアメイク=佐藤裕子 演出助手=宮越洋子 舞台監督=米倉幸雄 照明オペレーション=田中弘子 音響オペレーション=黒野尚 演出部=川原清徳/大野雅代/藤波三幸 プロンプター=山本美也子 美術助手=松村あや 制作助手=庭山由佳 制作担当=茂木令子 広報=高梨木綿子 芸術監督=栗山民也 主催=新国立劇場
【発売日】2007/02/12 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
公式サイト=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000121.html
ぴあ=http://info.pia.co.jp/et/play-p/cleanskins/cleanskins.html

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Posted by shinobu at 10:38 | TrackBack

2007年04月08日

サスペンデッズ『片手の鳴る音』04/03-08神楽坂die pratze

 早船聡さんが作・演出されるサスペンデッズの第3回公演です。私は初見。第2回公演がとてもよかったとの噂を聞いていましたので伺いました。
 面白かった~~っ!

 早船さんの新作は2008年6月に新国立劇場で上演されます。その演出は文学座の松本祐子さん。楽しみですね。

 CoRich舞台芸術!⇒『片手の鳴る音
 レビューは少しだけ書いてます。追加で書けるかどうか不明。すみません。

 ここからネタバレします。

 カーテンコールで出演者が並んだ時、合計6人だったことに驚きました。もっともっと沢山の人が出てると思い込んでいたから。義男と広子の母親と父親、克実と里美の父親(寺の住職)、克実の嫁、里美の息子、里美の息子の父親(ボクサー)、ゲイの神倉の母、恋人(数人)、そして極めつけは商社に勤める対人恐怖症の女性(タイの海を赤いビキニで満喫)など、ものすごく個性豊かな人たちが沢山いたんですよね。

出演=佐藤銀平(三崎義男:床屋営業・弟) 伊藤留奈(上野広子:義男の姉) 白州本樹(上野正之:商社マン・留奈の夫) 伊藤総(柏木克実:寺の住職の長男・刑事) 冠野智美(柏木里美:柏木克実の妹・シングルマザー) 佐野陽一(神倉貴士:上野正之の部下・隠れゲイ)
作・演出=早船聡 美術=近藤麗子 照明=荒井真理子((株)S.L.S) 音響=穴沢淳((株)東京演劇音響研究所) 衣裳=大野典子 舞台監督=寅川英司+鴉屋 イラストレーション=木村タカヒロ デザイン=野島敏光 
2500円(全席自由)
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_main_id=1449

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Posted by shinobu at 16:53 | TrackBack

劇団SKグループ『桜襲~さくらがさね~』04/05-08シアターグリーン BIG TREE THEATER

 すがの公さんが作・演出を手がけられる札幌の劇団、劇団SKグループの公演です。私は初見。「CoRich舞台芸術まつり!2007春」審査員として伺いました。レビューはCoRich舞台芸術!に書きました。こちらは備忘録です。

 CoRich舞台芸術!⇒『桜襲~さくらがさね~

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。ずいぶん本番とは違うようです。
 江戸時代後期の幕末期に活躍した新撰組。彼らは「腰抜け」だった。
 近藤勇、土方歳三、沖田総司。激動の時代を寝て過ごした新撰組の愛と誠と嘘の物語。
 その情けなくも愛くるしい彼らの責任感の無い行動とその始末。働きもせずにただ時間をやり過ごす3人。
 ある日、男のような女たちが現われて彼らはしだいに自分の道を歩み始める―。
 ≪ここまで≫

 開演前に、裏方さんの格好(黒装束)をした男性が舞台に登場し、長い前説をされました。話す内にその人が主宰のすがの公さんだとわかって驚きました。この公演のチケットが売れていないことを嘆き、終演後のDVD物販などの宣伝をされたのですが、舞台上手のドアにどなたか(制作さん?)がいらしたようで、「その人の指示で仕方なく紙に書いた宣伝を読んでいます・・・」という、やる気のない態度でした。興ざめでした。

 “新撰組の愛と誠と嘘の物語”と明記してらっしゃいますから、最初から史実に基づいた物語にするつもりはなかったのでしょう。でも、こんなに有名な(大河ドラマでファンも増えたでしょうし)新撰組をパロディーにするなら、もっと慎重になるべきだと思います。

 ここからネタバレします。

 浴衣にナイキのシューズを履いた洗濯女が“たまたま”沖田総司より剣術に優れていたり、土方の気が狂っていたり・・・。
 楽珍トリオによるコントの時間がありました。「今からコントをします」等と宣言して始まったので、そのまま普通に観ていられました。

≪東京、札幌≫
出演:小山めぐみ/高橋隆太/天野さおり/立川佳吾/高橋逸人/古崎瑛美/能登英輔/江田由紀浩/すがの公/楽珍トリオ(WAHAHA本舗)※東京公演5日~7日/大原慧(SKダッシュ)/彦素由幸(SKダッシュ)
※福村澄江は体調不良のため出演を見合わせることとなりました
脚本・演出:すがの公 照明:相馬寛之 音響:糸川亜貴 衣装:井嶋麻紀子 舞台美術:妹尾知美 小道具:小玉乃理恵 宣伝美術:すがの公、小島達子 制作:穐本みき子 井嶋麻紀子 緒方由起 金丸菜穂子 小玉乃理恵 近藤大介 坂井里衣 佐々木陽 佐藤愛実 鈴木光子 吉村友和 楽曲提供:SE-NO 主催:ハムノイズ / 北海道演劇財団 NPO法人TPSくらぶ 後援:札幌市・札幌市教育委員会 企画・制作:劇団SKグループ
【発売日】2007/03/05前売3500円/当日4000円 (全席指定) 公開ゲネ1500円 平日マチネ3000円
http://www1.plala.or.jp/skg/

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Posted by shinobu at 13:31 | TrackBack

2007年04月06日

青年団国際演劇交流プロジェクト2007 日仏合同公演『別れの唄』04/05-08シアタートラム

 フランスのティヨンヴィル=ロレーヌ国立演劇センターからの依頼で平田オリザさんが新作を書かれました。それをフランス人のロラン・グットマンさんが演出し、フランス人、日本人の両方が出演します。
 恋人や同僚、友人、家族と一緒に週末に劇場に行くことが日本人の習慣になるとしたら、こういう作品がきっかけになるんじゃないかと思います。どなたにもお薦めしたい、本当の国際文化交流が体験できる作品です。4/8(日)は空席がいっぱいあるそうです(初日時点の情報です)。ぜひ三軒茶屋の、フランスと日本が混ざった世界にお運び下さい!

 ⇒CoRich舞台芸術!『別れの唄
 ⇒舞台写真(CGじゃないですよ~)

 レビューをアップしました(2007/05/05)。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 国際結婚をして、長く日本に暮らしていたフランス人の妻が亡くなった。
 フランスから葬儀に駆けつけた妻の家族たち。
 日本の葬式の様々なしきたりを懸命に説明しようとする日本人の夫(太田宏)と妹(角舘玲奈)。
 文化の違いに戸惑いながら、やがて愛する者の死を受け入れていく二つの家族。
 ≪ここまで≫

 日本のお葬式にやってきたフランス人と、それをもてなす日本人。大切な人を失った悲しみを異国人同士がじんわりと共有していく過程で、文化の違いによるぎくしゃくしたコミュニケーションが笑いを誘います。

 何が驚きだったかというと、フランス人演出家とフランス人キャストによって青年団らしいお芝居が作られていたこと、そして笑いに重点が置かれていたことです。青年団のお芝居を観るような気持ちになりながら、大きく広がる笑いを味わい、日本人とフランス人の観客がいっぱいの会場で、これこそが“平和”なのではないかと思いました。
 葬儀屋さん(山内健司)はかなり大げさなお笑い担当にされていた気もしましたが(笑)、それもまたこの作品の良さだったように思います。

 CoRichにも書き込みましたが、ポスト・パフォーマンス・トークで平田オリザさんと演出家のロラン・グットマンさんが話されたことです。

 平田「人間は死にます。それは人間誰しも逃れられないことで、そこには悲しみがあります。この悲しみは誰もが共有できることだと思います。でも死んだ後に行うことは(このお芝居でご覧になったように)、フランス人と日本人でこんなにも違うわけです。文化の違いによって、ひどい場合は戦争や紛争になることもある。でも、フランスの文化と日本の文化はこんなに共有できるんだってことを、今日、お客様は目撃されました。・・・(作るのは)大変だったんですけどね(笑)。」

 グットマン「人が共有できるのは、悲しみだけじゃないと思います。フランス人がこのお芝居を観て、『日本人の芝居を観ると思っていた。』『お葬式の芝居だと思っていた。』と言っていました。なのにこんなに笑うなんて、想像していたでしょうか(いいえ、誰も想像していなかった)。だから人は笑いも共有できると思います。」

≪ティヨンヴィル、ブザンソン、ストラスブール、東京、パリ≫
フランス語上演/日本語字幕付き(字幕は東京公演のみ)
出演=山内健司(Kenji Yamauchi)/角舘玲奈(Reina Kakudate)/太田宏(Hiroshi Ota)以上青年団/アドリアン・コシュティエ(Adrien Cauchetier)/ブルーノ・フォルジェ(Bruno Forget)/アニー・メルシエ(Annie Mercier)/イヴ・ピニョー(Yves Pignot)/カトリーヌ・ヴィナティエ(Catherine Vinatier)
作:平田オリザ 演出:ロラン・グットマン 舞台監督:熊谷祐子 舞台美術:播間愛子 装置:鈴木健介 照明:ジル・ジャントネー 西本彩 音響:マダム・ミニアチュール 薮公美子 衣裳:アクセル・アウスト カミーユ・ポナジェ 字幕操作:岩城保 通訳:原真理子 浅井宏美 宣伝美術:京 宣伝写真:山本尚明 制作:西山葉子 ヴァンサン・アドゥリュス 総合プロデューサー:平田オリザ 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 提携:世田谷パブリックシアター 企画制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共同制作:ティヨンヴィル=ロレーヌ国立演劇センター 助成:国際交流基金 後援:東京日仏学院
チケット発売開始 2007年2月10日(土) 全席指定/前売・予約・当日共 一般:3,500円/学生・シニア:2,500円/高校生以下:1,500円 世田谷区民:3,300円/SePT倶楽部:3,200円
http://www.seinendan.org/

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Posted by shinobu at 16:55 | TrackBack

風琴工房『紅(べに)の舞う丘』04/04-11ザ・スズナリ

 詩森ろばさんが作・演出される劇団、風琴工房の新作です。『砂漠の音階』でも語られる言葉の優しさ、清らかさに圧倒されましたが、今回も然り!開演してから30分ぐらい、涙が流れっぱなしでした(←こんな奴いないと思う・苦笑)。
 明日放送のラジオでもお話しようと思います。

 「CoRich舞台芸術まつり!2007春」審査員として伺いました。レビューはCoRich舞台芸術!に書きました。こちらは備忘録です。

 ⇒CoRich舞台芸術!『紅の舞う丘
 ⇒BACK STAGEレポート

 ≪あらすじ≫ BACK STAGEの詩森ろばインタビューより。
 1980年代を舞台にした、化粧品会社を起業する女性のお話です。会社を立ち上げてから軌道に乗るまでの5年間、なかでも最初の1年間を丁寧に描く、という感じになります。
 ≪ここまで≫

 終演後に詩森さんと少しお話する時間をいただけました。
 詩森「恥ずかしいなと思うんだけれど、今、これを書くべきなんじゃないかと思ったから。」
 今、この社会で生きている表現者としての責任ある言葉を聞けたように思い、感動しました。

出演=大崎由利子・江口敦子(燐光群)・永滝元太郎(劇団M.O.P)・浦壁詔一(ポかリン記憶舎)・松岡洋子・笹野鈴々音・宮嶋美子・山ノ井史・浅倉洋介
作・演出=詩森ろば 音響=青木タクヘイ(STAGE OFFICE) 照明コーディネート=関口裕二(balance, Inc. DSIGN) 照明=伊藤孝 照明オペ=瀬戸あずさ 舞台美術=尾崎智紗 演出助手=森下誠吾(HOT SKY) 舞台監督=主侍知恵/松下清永+鴉屋 制作=盛岡鞠子 票券管理=大木孝司 当日運営=落合孝司(SPIRAL MOON) 企画製作=ウィンディ・ハープ・オフィス
【日替わりゲスト出演】4日S 久保田芳之(reset-N)/5日M 好宮温太郎(タテヨコ企画)/5日S 扇田拓也(ヒンドゥー五千回)/6日S 葛木英(メタリック農家)/7日M 夏目慎也(東京デスロック)/7日S 釈八子(tsumazuki-no-ishi)/8日S 倉品淳子(山の手事情社)/9日S 宇鉄菊三(tsumazuki-no-ishi)/10日S 辰巳智秋(ブラジル)/11日S 小高仁(第三エロチカ)
チケット発売日 2/20(火) 前売3200円 当日3500円
公式=http://windyharp.org/beni/

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Posted by shinobu at 14:38 | TrackBack

【お知らせ】4月7日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演します

 今回は風琴工房『紅の舞う丘』、青年団国際演劇交流プロジェクト2007 日仏合同公演『別れの唄』についてお話し、4月に観られるお薦めお芝居を2本ご紹介します。

 西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
 4月7日(土)21:30~22:00(の内の約10分間)
 FM 84.2MHz

 ⇒PodCastingあり!放送終了後にアップされます(数日後だったりも)。
 ⇒アップされました!(2007/04/10)

Posted by shinobu at 12:02 | TrackBack

2007年04月05日

G-up Presents vol.5『アリスの愛はどこにある』04/04-08新宿FACE

 G-up(過去レビュー⇒)がプロデュースする童話ファンタジーシリーズの第2弾です。第1弾『Deep Forest』に引き続き楠見薫さんと新谷真弓さんが出演されていて、脚本はほさかようさん、演出は板垣恭一さんです。他のキャストにも小劇場で注目の若手役者さんが揃っています。
 上演時間は約2時間15分。

 CoRich舞台芸術!『アリスの愛はどこにある

 ≪あらすじ≫
 アリス(新谷真弓)は恋人に誕生日パーティーをすっぽかされて、相当なおかんむり。姉(桑原裕子)が恋人から託されたプレゼントを持ってアリスをなだめにやってきた。童話作家の彼からのプレゼントは、アリスのために書かれた本。ありきたりのハッピーエンドが用意されている童話なんて大キライなアリスは、その本を床に叩きつける。すると見たこともないヘンな人(?)がやってきて・・・。
 ≪ここまで≫

 新宿FACEでお芝居を見るのは『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』に続いて2度目です。会場中央に大きなステージがあり、三方から客席が囲みます。ちょっとプロレス観戦みたいな感じだな~と思いました。メルヘンチックな模様の抽象舞台でくりひろげられる、めいっぱいメルヘンチックなお話・・・前半はどうやって入っていけば良いのか困りましたが(苦笑)、「こういうのは入り込んだ者勝ちだ!」と一念発起し、自分からグイグイとお話の中に入って行くようにしました。

 ほさかさんの作品は何度か拝見しています(過去レビュー⇒)。空想組曲での作品は特に、ストレートすぎて恥ずかしくなるような、ロマンティックでわかりやすいセリフが多いです。でも、途中からびっくりするほど残酷だったり陰惨だったり、かなりパンチの効いた展開になるんですよね。今作もまたそんなきっかけがありました。「わわわ、そんな風になっちゃうの!?」と引き込まれてからは、登場人物それぞれについて見どころが出てきて、頑張って物語に参加しようとする努力もいらなくなったのですが、それまでが長かったですね・・・。

 ここからネタバレします。

 突然やってきたウサギ(高木稟)は、無理矢理にアリスを本の中の世界に連れていきます。人が本の中に入っていく構成ってありがちですが、アリスの母(楠見薫)、姉(桑原裕子)、そして恋人(弓削智久)に該当する人物が本の中にいて、彼らが徐々に現実の世界の人物と重なっていくのは面白いです。そして彼らと彼ら以外のすべての童話の世界の住人(7歳児も含む)が、ドンドコと音を立てるように不幸のどん底に堕ちていくのが、ほさかさんらしいダーク・ファンタジーなんですよね。性格の悪い女王(楠見薫)がやっと改心し、物事が良い方に回転していくかと思いきや、何もかもがガラガラと崩壊してしまいます。「やっと来たー!」って思いました(笑)。

 夫を失って頑なになっていたアリスの母親(楠見薫)は、童話の世界に女王として君臨し、圧政を行っていました。でも死んだ夫(森岡弘一郎)の霊や彼女の側近ノア(多根周作)、ノアの妹ミーナ(田中あつこ)の愛によって心を開いていきます。アリスは女ったらしのハメルン(弓削智久)の無償の愛に打たれて、ハメルンに恋をするようになります。このように恋愛が大きなテーマになっていたのですが、恋を語る者同士の間にリアルな恋があまり感じられなかったのが残念。

 役者さんは全体的に本領発揮できていないように見えました。初日だったので、これから良くなられるのだと思います。完全な童話のファンタジーの中に入っていくことは簡単なことではないかもしれません。でも、そこは是非ともバカみたいにどっぷりと、本気でやって欲しいなと思います。母親・女王役の楠見薫さんは素直に感情を出してくださっているように見えました。

 衣裳や小道具がキルティングの生地で統一されていて可愛らしかったです。

出演=楠見薫/新谷真弓(NYLON100℃)/高木稟/小林健一(動物電気)/桑原裕子(KAKUTA)/森岡弘一郎/辰巳智秋(ブラジル)/瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ)/多根周作(ハイリンド)/中谷千絵(天然工房)/桜子/小宮山実花/田中あつこ(バジリコ・F・バジオ)/櫻井麻樹/山村秀勝/熊野善啓(チャリT企画)/竹岡常吉(PMC野郎)/矢田一路/弓削智久
作=ほさかよう 演出=板垣恭一 舞台美術=松本わかこ 音響効果=末谷あずさ(OFFICEmyon) 音響オペレート=天野高志(OFFICEmyon) 照明=正村さなみ(RISE) 舞台監督=金安凌平 衣裳=名村多美子 衣裳協力=渡辺まり 音楽=佐藤こうじ(SugarSound) 小道具協力=櫻井徹 演出助手=井村容子 演出部=田村友佳(KAKUTA) 宣伝美術=岩根ナイル(mixed) チラシ写真=Tomo.Yun(http://www.yunphoto.net) 撮影=田中亜紀 制作助手=松井見依子/田辺恵瑠 プロデューサー=赤沼かがみ 企画製作=G-up
全席指定 前売・当日とも 4,500円 ※未就学のお子様はご入場頂けません。
http://www.g-up.info/

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2007年04月02日

少年社中『チャンドラ・ワークス Chandra Works』02/07-12ザ・ポケット

 毛利亘宏さんが作・演出される少年社中(過去レビュー⇒1、)。劇団員だけの公演は5年振りだそうです。
 青山円形劇場、シアタートラムなどの中劇場で活動されている劇団ですので、中野ザ・ポケットが狭く感じました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『チャンドラ・ワークス

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。
 これは”ここ”ではない”どこか”の物語。
 僕は、この国に生まれて、この国を愛している。僕は飛行機に憧れて、飛行機に乗りたいと思った。だから、空軍のパイロットになった。サンサーラ。それが僕の名前。
 今度の任地は、伝説の設計技師「チャンドラ・スバース」率いる、航空機工房『チャンドラ・ワークス(月の工房)』。この工房を訪れることは、僕の夢だった。信じられない性能の飛行機を生み出して来た夢の工房。パイロットなら誰でも憧れる夢の飛行機。
 胸を躍らせて工房に辿り着いた僕は、チャンドラから脅威の事実を聞かされる。彼は新しい偵察機に全く別の性能を与えようとしていたのだ。
 「お前を宇宙に送ってやる」
 少年社中、5年振りのメンバーオンリー公演は空を想う人々の物語。同じ空、同じ夢を熱気とともにお送りします。
 ≪ここまで≫

 残念ながらオープニングから引いてしまいました・・・。役者さんがアニメのキャラクターみたいに見えてしまって・・・。舞台上を所狭しと(てゆーか本当に狭いと思った)走り、飛び回る躍動感は良いですが、役柄を演じるというよりは、自分の見せ場を役者さんが楽しんでいるように感じました。

 私は少年社中というとアクションものより精神世界系(って言っていいのかわからないけど)が好きなんですよね。テスト・パイロットのお話にも入っていけませんでした。

 森大さんが良かったです。キャラクターを作ってそれを演じてらっしゃいますが、本当にその人物になって生きているように感じましたし、観客へのサービス精神も伝わりました。

出演=井俣太良/大竹えり/岩田有民/堀池直毅/森大/廿浦裕介/加藤良子/長谷川太郎/杉山未央/山川ありそ/Off Cast:末冨綾
作・演出:毛利亘宏 照明:斎藤真一郎(A.P.S.) 音楽:YODA Kenichi 衣装:村瀬夏夜 舞台監督:杣谷昌洋/佐藤恵 音響:佐藤春平(SoundCube) 振付:右近貴子 スチール:金丸圭 公演記録:カラーズイマジネーション 宣伝美術:武田和香/真野明日人 Web site:田中祐子 企画協力:佐藤春平 運営協力:田辺恵瑠 制作:吉野礼 製作:少年社中the entertainment prison サイキックエイト 後援:文化放送
前売:3,300円(指定席) 当日:3,500円(開演の1時間前から受付にて販売)
ペア・チケット(2名様一組):6,000円(全席指定) 高校生以下のディスカバリー・チケット:1,000円 リピーターチケット:1,500円※公演期間中のみ。当日半券を受付にお持ち下さい。
公式=http://www.shachu.com/

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Posted by shinobu at 18:50 | TrackBack

DULL-COLORED POP『ベツレヘム精神病院』03/16-18タイニイアリス

 谷賢一さんが作・演出されるDULL-COLORED POP(ダル・カラード・ポップ)の第四回公演です(過去レビュー⇒)。タイニイアリスのサイトに谷さんのインタビューあり。

 これまでに拝見した谷さんが関わる作品の中で、最もお芝居らしい構造の作品でした。個人的にはもっとアグレッシブに戦っていって欲しいなと思っていたので、少々がっかり・・・。でもこれまでで一番形の整った作品だったと思います。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ベツレヘム精神病院

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。難しいと思う言葉に注釈追加。
 片田舎の精神病院。父(富所浩一)を蛇蝎(だかつ:へびとさそり)の如く忌み嫌い、詐病を用いて入院して来た政明(加賀美秀明)は、ある目的を持っていた。
 「見に来たんだ、ここを」
 政明は、目を包帯で覆い、耳をヘッドフォンで塞いだ少女・うにか(清水那保)と出会い、その目的の真意を彼女に漏らす。
 実在した史上初の精神病院・ベツレヘム精神病院に着想を得、精神病者の内的世界の舞台化と、精神病者を見詰める視線を描いた、DULL-COLORED POP第四作。
 ≪ここまで≫

 舞台はおそらく劇場をそのまま使ったブラックボックスの状態で、黒紗幕を上げ下げして病室、ロビー、診察室などにシンプルに場面転換します。
 病院モノが苦手な私ですが、病気で人が死ぬことをテーマにしているわけではなかったので、それほど引かずに最後まで拝見できました。

 県会議員の父親に反発する若者・政明が亡くなった母のことを知ろうと、母が入院していた精神病院に侵入します。そこで出会う患者や医師・看護士との対話・・・。終始、「青春だな~」と外側から眺め続けました。登場人物も出てる役者さんも、青春真っ只中な感じがしました。若い患者についてはそれでいいかもしれませんが、父親や医師、看護士は大人ですから、悩みが青春レベルに見えてしまったのは残念。演技のせいだけではない気がします。

 私がこんなことを言うのは差し出がましいことですが、DULL-COLORED POPに出演されてきた役者さんは、とても成長されているなと思いました(成長っていう言葉があつかましいですね)。何年もこつこつと同じ場所でひとつのことを続けていけば、人間は何かしらの成果を自動的に出すものなんだと思います。もちろん、その成果の大きさや伸び具合には個人差がありますが。

 詩的な言葉がいっぱい出てくる脚本はやっぱり面白いです。でも今回は精神病を患った人の言葉として出てきたので、普通だったんですよね。個人的には『4 nudists』の時のように、日常会話の中に突然出てきたりする冒険が欲しいです。

 主人公の名前を精神科医・ノンフィクション作家の野田正彰さん(Wikipedia)から取っていましたが、名前は変えて欲しかったですね。漢字だけ変えても読み方が一緒だと、観客はどうしてもご本人を連想してしまいます。

 ここからネタバレします。

 父が息子を追って病院にやってきて、息子と本気で衝突し語り合います。でも息子が退院して家に帰ったら、すんなりと二人で味噌汁を囲んだ団らんになりました。リアリティが感じられませんでした。
 死んだと思っていた母親は、実は同じ病院にまだ入院し続けていました。政明は衝撃的な事実につき当たってしまったわけですが、なんだか全体が軽かったんですよね・・・。もっと残酷で恐ろしいことだと感じたかったです。

 政明が患者のうにか(清水那保)と一緒に植えたひまわりが満開になります(一緒に植えたように記憶しています)。でも、うにかは自らの目をつぶして目が見えなくなっていました。ひまわりに囲まれながらも少女はそれを見ることができないという、皮肉で悲しいラスト・シーンが良かったです。さりげなく消えた照明も。

 若い女の子に卑猥な言葉を言わせたり、あからさまに胸を触らせるラブシーンをやらせたり、そういう性的に奇抜な演出が結構ありました。そこだけ際立って印象に残ってしまってもったいないので、必要不可欠でない限りそういうことは控えて欲しいなと思いました。

出演=岩藤一成、加賀美秀明(青春事情)、清水那保、富所浩一、猫道(猫道一家)、ハマカワフミエ(劇団活劇工房)、堀奈津美、和知龍範(fool-fish)
作・演出=谷賢一 舞台監督=甲賀亮 照明=松本大介、河上賢一 音響=長谷川ふな蔵、若井大輔 演出助手=上金由佳 舞台美術=鮫島あゆ 宣伝美術=堀奈津美(写真)、鮫島あゆ(編集) ロンドン=新井宏美 制作=大藤多香子、神谷愛美、黒澤ナホ、林安由美、片山響子
前売2000円 当日2300円(学割: 前売当日ともに大学生500円・高校生1000円引き。要学生証提示)
公式=http://www.dcpop.org/

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Posted by shinobu at 17:42 | TrackBack

映画「LITTLE MISS SUNSHINE」

 2006年度米国アカデミー賞助演男優賞(アラン・アーキン)、脚本賞を受賞した映画「LITTLE MISS SUNSHINE」。たくさんの友人・知人からのお薦めをいただいて、モーニング・ショーにすべりこみました。
 めっちゃ面白かった!最後、拍手しそうになりました。まだレイト・ショーなどやってますので、ぜひぜひ。

製作年度=2006年 上映時間=100分
監督=ジョナサン・デイトン 、ヴァレリー・ファリス
出演=グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル、アラン・アーキン、ポール・ダノ、アビゲイル・ブレスリン
ヤフー=http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/tymv/id326063/
IMDb=http://www.imdb.com/title/tt0449059/
公式(日本)=http://movies.foxjapan.com/lms/

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Posted by shinobu at 16:28 | TrackBack

東京ノーヴイ・レパートリーシアター『ワーニャ伯父さん』03/31シアターX

 下北沢の小さな劇場でレパートリー作品を上演している東京ノーヴイ・レパートリーシアターの、初の劇場公演だそうです。レオニード・アニシモフさんの演出に大変興味があったので伺いました。

 残念ながら後方の席(後ろから3列目ぐらい?)からは声が聴こえにくく、薄暗い照明で演技も見えづらかったため、途中休憩で帰りました。きっと小さな劇場だったら面白かっただろうと思います。西洋印象派絵画を眺めているような感じだったんですよね・・・それぐらいムードがリアルだったってことなんですが、セリフが聞こえなくて顔が見えないのは、どうしようもなくて・・・。残念。
 
 役者さんはごく自然な演技をされているようでした(遠くて判別しづらかったですが)。サモアールについて話す冒頭のシーンなどは、本当にそこだけ異国になったよう。あらためて本拠地での公演に伺おうと思います。

キャスト:菅沢晃 稲田栄二 渡部朋彦 岡崎弘司 山田高康 三浦尚子 串田奈保子 中村恵子 山下智寿子
芸術監督 : レオニード・アニシモフ 通訳:遠坂創三 美粧:工藤芳照 宣伝美術:MALPU DESIGN 制作:特定非営利活動法人劇団京/ペレジヴァーニエ・アートシアター/スタジオ・ソンツェ
(全席自由)前売:3,500円 当日:3,800円 学生:2,000円※終演後にアフタートークあり「現代人の心の問題を考える」
公式サイト:http://www.tokyo-novyi.com

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Posted by shinobu at 15:18 | TrackBack

2007年04月01日

ニットキャップシアター『お彼岸の魚』03/30-04/01駅前劇場

 ニットキャップシアターはごまのはえさんが作・演出される京都の劇団です。4都市をまわるツアーで、初の東京公演なんですね。「CoRich舞台芸術まつり!2007春」審査員として伺いました。超満員の東京千秋楽には当日券のお客様も大勢かけつけていました。続いて愛知、福岡公演があります。

 ⇒CoRich舞台芸術!『お彼岸の魚
 レビューはCoRich舞台芸術!に書きました。こちらは公演記録です。

 ≪あらすじ≫
 10年以上前からずっと連絡を取っていなかった母親が、突然失踪したとの連絡が入った。早良美智子(長沼久美子)は母が暮らしていた実家の団地に戻り、母の恋人(中嶋康喜)や警察官(ごまのはえ)、幼なじみ等と一緒に母からの連絡を待つことになるが、なぜか部屋から人が一人ずつ消えていき・・・。
 ≪ここまで≫

 開演前に制作さん(プロデューサー兼役者の門脇俊輔さん)が、開演が遅れたことのお詫びをしっかりと言われたのが素晴らしかったです。あんなに丁寧なご挨拶はなかなかお目にかかれません。とても落ち着いた前向きな気持ちで幕開けを迎えることができました。

≪大阪、東京、愛知、福岡≫
出演:長沼久美子(劇団八時半)/中嶋康喜/稲田真理(伏兵コード)/大木湖南/安田一平/日詰千栄/藤原大介(劇団飛び道具)/筒井彰浩/高原綾子/ごまのはえ/朝平陽子/門脇俊輔/井口和巳/葛原清二/澤村喜一郎/ ※朝倉詩・森本奈津子(WANDERING PARTY)は、東京・愛知・福岡公演では都合により出演いたしません。
作・演出:ごまのはえ 舞台美術・舞台監督:西田聖 照明:葛西健一(GEKKEN Staff room) 音楽監督:横田悠馬 音響:三橋琢 映像:竹崎博人 映像操作:松下隆(デス電所) 映像用写真:柳沼昭徳(烏丸ストロークロック) 衣裳:筒井彰浩 森本奈津子(WANDERING PARTY) 小道具:井口和巳 葛原清二 舞台助手:丸山朋貴 演出助手:安田一平 絵:三上まりの 劇団ロゴデザイン:坂田朋美 宣伝美術:清水俊洋 制作:高原綾子 澤村喜一郎 松村綾子 奥村マキ
プロデューサー:門脇俊輔 制作協力:金田明子 サポート:板橋薔薇之介 谷口康裕 中村みどり 真野絵里
2007年1月24日(水)より一般前売開始 前売2,800円 当日3,000円(日時指定券・自由席・税込) 学生前売2,000円(大学生以下・劇団でのみ取扱・当日要証明)
公式=http://knitcap.jp/

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Posted by shinobu at 23:21 | TrackBack

花柳流日本舞踊『第57回八千代会「たのしい日本舞踊の会」』04/01東京芸術劇場中ホール

20070401_nihonbuyo.JPG
八千代会ポスター

 新国立劇場演劇研修所の第1期生が出演されるとのことで、チラっと覗きに行かせていただきました。有志10人(男5人・女5人)が出演され、お稽古の様子も拝見できたのが面白かったです。日本舞踊って・・・やっぱり美しいですね。

 はじめはお子様方が出演し(遅れたので見られず)、男性一人の舞いを数人拝見したところで、二期会オペラの女性3人の舞がありました。う、う・・・美しい!「女」ってなんてきれいな生き物なのっ?!って、あらためてうっとり。ビバ!日本舞踊!!

 その次に新国立劇場演劇研修所第1期生の方々が登場。女性は清楚で可憐。男性はみずみずしくてパワフル!皆さんはつらつとしていました。気持ちがいい若者だわ~。
 そして声が良かったんですよね。一人ずつ名前を言ったのですが、その声がとてもよく通るんです。男性がずーっと声を出しながら(独特の掛け声をかけながら)舞ったのも凄かった。日本舞踊をやる男性がかっこ良く見えました。

20070401_sakura.JPG
池袋で歩きながらお花見

 帰りは暖かで満開の桜が目に嬉しい池袋駅周辺をルンルン気分で闊歩。ま、普通に池袋なんですけど。今年は公園とか川べりにお花見に行く予定がないので(涙)、1本の桜も貴重でありがたいです。

女役の身体づくりより入り「長唄『藤娘』」(出演:岡野真那美/小泉真希/高島令子/二木咲子/眞中幸子)
男役の身体づくりより入り「長唄『七福神』」(出演:北川響/野口俊丞/前田一世/三原秀俊/山本悠生)

Posted by shinobu at 20:48 | TrackBack

メルマガ 2007年04月のお薦め舞台

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お薦めお芝居をご紹介しています

 2007年4月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 35     2007.4.1  1,094部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp/

   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎電車から川の土手沿いに咲く満開の桜を眺めて、一人お花見を満喫♪
  3月は話題作が多くて目まいがしましたが(笑)、4月は落ち着いた様です。

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
     http://blog.mag2.com/m/log/0000134861


○○ 今回のもくじ
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 ◆1【今月のお薦め10本+α】
   
   ◎No.1→新国立劇場演劇『CLEANSKINS/きれいな肌』
       04/18-28新国立劇場 小劇場
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000121.html

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→tpt『Angels in America』第1部&第2部連続上演
       03/20-04/08ベニサン・ピット
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0325134802.html

 ◆3【“CoRich舞台芸術まつり!2007春”開催中!】

   ◎4月は4作品を鑑賞します。クロスレビューが楽しみ!

 ◆4【編集後記】

   ◎『CLEANSKINS/きれいな肌』の稽古場レポート執筆中!
   ◎4月7日夜にFM西東京『たけがき2』に出演します。

 ◆5【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆1 【今月のお薦め10本+α】
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 ▽★印がいちおし公演です(3本)。
 ▽初日の早い順に並べています。
 ▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・コメント・価格・URL
 ▽座種の記述がない公演は全席指定。


1.青年団国際演劇交流プロジェクト2007
  日仏合同公演『別れの唄』04/05-08シアタートラム
  ≪ティヨンヴィル、ブザンソン、ストラスブール、東京、パリ≫
  ☆作:平田オリザ 演出:ロラン・グットマン
   前売・予約・当日共 一般:3,500円
   学生・シニア:2,500円 高校生以下:1,500円 その他割引あり
   フランス語上演/日本語字幕付き(字幕は東京公演のみ)
    http://www.seinendan.org/
   平田オリザさんの戯曲をフランス人演出家が演出。出演者も日仏合同。


★2.パルコ・プロデュース『コンフィダント・絆』
  04/07-05/06パルコ劇場
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演 中井貴一/寺脇康文/相島一之/堀内敬子/生瀬勝久
   作・演出 三谷幸喜
   一般9,000円 4/7(土)プレビュー8,500円
    http://www.parco-play.com/web/page/information/les/
   三谷幸喜さんの新作です。豪華キャスト。


3.俳優座劇場プロデュース・別役実祭り
  『壊れた風景』04/06-15俳優座劇場
  ☆出演:山本郁子、塩屋洋子、伊東達広、佐々木睦、
      関貴昭、津田真澄、岸槌隆至(配役順)
   作:別役実 演出:山下悟
   一般5,600円/ハーフチケット2,800円/
   グリーンチケット(要学生証提示)2,800円
    http://www.haiyuzagekijou.co.jp/
   別役実祭り第2弾。俳優座劇場プロデュースは定評あり。


4.世田谷パブリックシアター『現代能楽集I「AOI/KOMACHI」』
  04/11-15世田谷パブリックシアター
  ≪神奈川、大阪、福岡、北米ツアー、東京≫
  ☆出演:「AOI」麻実れい/長谷川博己/剱持たまき/中村崇
      「KOMACHI」手塚とおる/福士惠二/笠井叡
   作・演出:川村毅
   A席6,000円/B席4,000円、TSSS(学生)A席3,000円/B席2,000円
   その他割引あり。
    http://www.setagaya-ac.or.jp/aoi/
   北米ツアーを経た東京公演。初演↓はシアタートラムでした。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/1125224239.html


5.シス・カンパニー『写楽考』
  04/05-29シアターコクーン
  ☆出演=堤真一/高橋克実/長塚圭史/キムラ緑子/
      七瀬なつみ/西岡徳馬
   作:矢代静一 構成・演出:鈴木勝秀
   S¥8,500 A¥6,500 コクーンシート¥5,000
    http://www.siscompany.com/03produce/17sharaku/
   豪華キャストのシス・カンパニー公演。
   『写楽考』はマキノノゾミさん演出版↓を拝見したことがあります。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0903225026.html


★★6.新国立劇場演劇『CLEANSKINS(クリーンスキンズ)/きれいな肌』
  04/18-28新国立劇場 小劇場
  ☆出演=中嶋朋子、北村有起哉、銀粉蝶
   脚本=シャン・カーン 演出=栗山民也
   A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000121.html

   ●お薦めポイント●
   海外の気鋭劇作家に書下ろしを依頼する新国立劇場の企画・第三弾。
   ロンドン在住のパキスタン系イギリス人シャン・カーンさんの新作を、
   栗山民也さんが演出されます。豪華キャストの三人芝居で、世界初演!
   “しのぶの演劇レビュー”初の公式稽古場レポートあり!
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0329113805.html
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0329123838.html
 

7.モダンスイマーズ『回転する夜』
  04/18-30 THEATER/TOPS
  ☆出演:古山憲太郎、津村知与支、小椋毅、西條義将、高田聖子、古川悦史
   作・演出:蓬莱竜太
   前売り3300円 当日3500円
   4/18(水)はプレビュー公演:前売り2800円 当日3000円
   4/25(水)は平日マチネ割引料金2800円
    http://www.modernswimmers.com/
   注目の若手劇作家・演出家の蓬莱竜太さんの新作。
   劇団☆新感線の高田聖子さん、文学座の古川悦史さんが客演されます。


★8.青年団第53回公演『東京ノート』
  04/19-05/14こまばアゴラ劇場
  ☆作・演出:平田オリザ
   日時指定・全席自由席・整理番号付き 前売・予約・当日=3,500円
   学生・シニア=2,500円 高校生以下=1,500円
    http://www.seinendan.org/
   第39回岸田國士戯曲賞受賞作品。何度も再演されている傑作戯曲です。
   なんと8カ国語の字幕付き!※公演の7日前までに申し込みが必要
   (英語、フランス語、イタリア語、韓国語、中国語、タイ語、
    マレー語、インドネシア語)


9.クラクラ・プロデュース『恥ずかしながらグッドバイ』
  04/20-28紀伊國屋サザンシアター
  ≪多地域公演あり≫
  ☆出演=佐藤B作/角野卓造/すまけい/他
   作・演出=中島淳彦
   前売¥6000 当日¥6300
    http://www.j-clip.co.jp/JCLIP_HP/onair.html#004
   中島淳彦さんの新作。豪華キャストです。いっぱい笑えそう♪


10.こまつ座『紙屋町さくらホテル』
  04/29-05/05 俳優座劇場
  ≪他地域公演ののち、東京≫
  ☆出演:辻萬長、中川安奈、木場勝己、森奈みはる、久保酎吉、
     河野洋一郎、大原康裕、栗田桃子、前田涼子
   作=井上ひさし 演出=鵜山仁 
   一般5,250円 学生割引3,150円
    http://www.komatsuza.co.jp/
   毎年のように再演されている傑作です。中川安奈さんが初参加。


≪ミュージカル≫

○東宝『ジキル&ハイド』
 04/05-29日生劇場
  S席¥12,000 A席¥6,000 B席¥3,000
   http://www.toho.co.jp/stage/jh07/welcome-j.html
  2001年から上演されてきた鹿賀丈史さん主演版の最終公演。


○フジテレビジョン『ブロードウェイ・ミュージカル
 「モダン・ミリー」』04/16-29新国立劇場 中劇場
  SS席¥11,000 S¥9,000 ※未就学児童の入場不可
   http://www.fujitv.co.jp/events/millie/
  豪華キャストのトニー賞受賞ミュージカル。


○フジテレビジョン『ミュージカル・コメディ
 「ハウ・トゥー・サクシード~努力しないで出世する方法」』
 04/21-05/13東京芸術劇場
 ≪東京、大阪、愛知≫
  S¥11,000 A¥9,000 ※未就学児童の入場不可
   http://www.fujitv.co.jp/events/h2s/index2.html
  西川貴教さん(T.M.Revolution)が出演。


 ◎しのぶの今月の全予定(26本+α)はSCHEDULEに掲載しています。
   http://www.shinobu-review.jp/schedule.html

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 ◆2 【先月のベスト3】
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1.tpt『Angels in America』
  03/20-04/08ベニサン・ピット
  「第1部 ミレニアム」「第2部 ぺレストロイカ」連続上演
  ☆メルマガ号外を出しました!
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0325134802.html
   第1部と第2部のレビュー↓※舞台写真あり!
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0321093005.html
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0325172903.html
   ※4/8(日)まで上演中!ぜひ森下までお運び下さい!!


2.ハイバイ『「ヒッキー・カンクーントルネード」「おねがい放課後」』
  03/14-18アトリエ・ヘリコプター ※再演とプレビュー公演
  ☆1年に4歳としを取る病気に悩む高校生・志賀くんを主軸に、
   人間の自意識が生み出す可笑しい、恥ずかしい、悲しい世界を
   現実と非現実を大胆に行き来しながら描く「おねがい放課後」。
   笑いが止まらないのに、グサっと傷つけられたりもして、
   無我夢中で拝見しました。劇中劇の構造もしたたか。
    http://hi-bye.hp.infoseek.co.jp/
   CoRich舞台芸術!に感想が寄せられています。
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=1120
   『おねがい放課後』本公演は5月に上演されます。
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=1175


3.該当作品なし


 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  2007年3月(観劇数は25作品)は『Angels in America』で発行!


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 ◆3 【“CoRich舞台芸術まつり!2007春”開催中!】
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 ◎グランプリ受賞団体に次回公演費用として100万円が支援される
  “CoRich舞台芸術まつり!2007春”の審査員になりました。
   http://stage.corich.jp/html/fes_result.html
  ネット審査で選ばれた10作品を3月から5月にかけて鑑賞します。

 ≪既に鑑賞した公演≫

□NEVER LOSE『廃校/366.0【後日譚】』
 http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_main_id=701
 07/18-22に東京公演あり!

□スロウライダー『Adam:ski』
 http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=1053

□KUDAN Project『美藝公(びげいこう)』
 http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=624


 ≪4月に鑑賞する公演≫

■ニットキャップシアター『お彼岸の魚』
 03/30-04/01駅前劇場
 ≪大阪、東京、愛知、福岡≫
 http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_main_id=68

■劇団SKグループ『桜襲~さくらがさね~』
 04/05-08シアターグリーン BIG TREE THEATER
 ≪東京、札幌≫
 http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_main_id=783

■風琴工房『紅(べに)の舞う丘』
 04/04-11ザ・スズナリ
 http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=575

■時間堂『ピンポン、のような』
 04/26-30王子小劇場
 http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=1255


 観に行かれた方は、ぜひ感想をクチコミしてください!
 クロスレビューが実現すれば、ますます観劇が面白くなると思います♪
  CoRich舞台芸術! ⇒ http://stage.corich.jp/
  メンバー登録 ⇒ http://www.corich.jp/stage/user_register.php


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 ◆4 【編集後記】
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 ◎新国立劇場の公演の稽古場レポートを書かせていただいています。
  『CLEANSKINS(クリーンスキンズ)/きれいな肌』
   http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000121.html  公式サイトでもご紹介いただきました。
   http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20000116.html
  あと2回更新する予定です。


 ◎先月は『薔薇の花束の秘密』、今月は『Angels in America』と、
  月間No.1は2ヶ月連続でTPT(ティー・ピー・ティー)作品でした。
   http://www.tpt.co.jp/
  『Angels in America』は4/8(日)まで上演中!


 ◎4月7日夜にFM西東京『たけがき2』に出演します。
   http://takegaki.k-free.net/
  ※PodCastingが始まっています↓
   http://www.voiceblog.jp/takegaki842/


 ◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
  いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
  感想も書き込めますよ♪
   http://stage.corich.jp/
  メンバー登録はこちら↓
   http://www.corich.jp/stage/user_register.php
  携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s


 ◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
  2007年3月は下記の4作品を拝見しました。
  ・「7月24日通りのクリスマス」
   http://www.724-christmas.com/
  ・「幸福(しあわせ)のスイッチ」←とっても良い映画でした。
   http://www.shiawase-switch.com/
  ・「虹の女神」
   http://rainbowsong.jp/start.html
  ・アニメ映画「時をかける少女」
   http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/


 ◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0331235959.html
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
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 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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Posted by shinobu at 18:01 | TrackBack