フランスのティヨンヴィル=ロレーヌ国立演劇センターからの依頼で平田オリザさんが新作を書かれました。それをフランス人のロラン・グットマンさんが演出し、フランス人、日本人の両方が出演します。
恋人や同僚、友人、家族と一緒に週末に劇場に行くことが日本人の習慣になるとしたら、こういう作品がきっかけになるんじゃないかと思います。どなたにもお薦めしたい、本当の国際文化交流が体験できる作品です。4/8(日)は空席がいっぱいあるそうです(初日時点の情報です)。ぜひ三軒茶屋の、フランスと日本が混ざった世界にお運び下さい!
⇒CoRich舞台芸術!『別れの唄』
⇒舞台写真(CGじゃないですよ~)
レビューをアップしました(2007/05/05)。
≪あらすじ≫ 公式サイトより
国際結婚をして、長く日本に暮らしていたフランス人の妻が亡くなった。
フランスから葬儀に駆けつけた妻の家族たち。
日本の葬式の様々なしきたりを懸命に説明しようとする日本人の夫(太田宏)と妹(角舘玲奈)。
文化の違いに戸惑いながら、やがて愛する者の死を受け入れていく二つの家族。
≪ここまで≫
日本のお葬式にやってきたフランス人と、それをもてなす日本人。大切な人を失った悲しみを異国人同士がじんわりと共有していく過程で、文化の違いによるぎくしゃくしたコミュニケーションが笑いを誘います。
何が驚きだったかというと、フランス人演出家とフランス人キャストによって青年団らしいお芝居が作られていたこと、そして笑いに重点が置かれていたことです。青年団のお芝居を観るような気持ちになりながら、大きく広がる笑いを味わい、日本人とフランス人の観客がいっぱいの会場で、これこそが“平和”なのではないかと思いました。
葬儀屋さん(山内健司)はかなり大げさなお笑い担当にされていた気もしましたが(笑)、それもまたこの作品の良さだったように思います。
CoRichにも書き込みましたが、ポスト・パフォーマンス・トークで平田オリザさんと演出家のロラン・グットマンさんが話されたことです。
平田「人間は死にます。それは人間誰しも逃れられないことで、そこには悲しみがあります。この悲しみは誰もが共有できることだと思います。でも死んだ後に行うことは(このお芝居でご覧になったように)、フランス人と日本人でこんなにも違うわけです。文化の違いによって、ひどい場合は戦争や紛争になることもある。でも、フランスの文化と日本の文化はこんなに共有できるんだってことを、今日、お客様は目撃されました。・・・(作るのは)大変だったんですけどね(笑)。」
グットマン「人が共有できるのは、悲しみだけじゃないと思います。フランス人がこのお芝居を観て、『日本人の芝居を観ると思っていた。』『お葬式の芝居だと思っていた。』と言っていました。なのにこんなに笑うなんて、想像していたでしょうか(いいえ、誰も想像していなかった)。だから人は笑いも共有できると思います。」
≪ティヨンヴィル、ブザンソン、ストラスブール、東京、パリ≫
フランス語上演/日本語字幕付き(字幕は東京公演のみ)
出演=山内健司(Kenji Yamauchi)/角舘玲奈(Reina Kakudate)/太田宏(Hiroshi Ota)以上青年団/アドリアン・コシュティエ(Adrien Cauchetier)/ブルーノ・フォルジェ(Bruno Forget)/アニー・メルシエ(Annie Mercier)/イヴ・ピニョー(Yves Pignot)/カトリーヌ・ヴィナティエ(Catherine Vinatier)
作:平田オリザ 演出:ロラン・グットマン 舞台監督:熊谷祐子 舞台美術:播間愛子 装置:鈴木健介 照明:ジル・ジャントネー 西本彩 音響:マダム・ミニアチュール 薮公美子 衣裳:アクセル・アウスト カミーユ・ポナジェ 字幕操作:岩城保 通訳:原真理子 浅井宏美 宣伝美術:京 宣伝写真:山本尚明 制作:西山葉子 ヴァンサン・アドゥリュス 総合プロデューサー:平田オリザ 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 提携:世田谷パブリックシアター 企画制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共同制作:ティヨンヴィル=ロレーヌ国立演劇センター 助成:国際交流基金 後援:東京日仏学院
チケット発売開始 2007年2月10日(土) 全席指定/前売・予約・当日共 一般:3,500円/学生・シニア:2,500円/高校生以下:1,500円 世田谷区民:3,300円/SePT倶楽部:3,200円
http://www.seinendan.org/
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