ご縁があってものすごく久しぶりに三越劇場にお邪魔しました。2002年以来!やっぱり内装がゴージャスで素晴らしいわ~。
休憩25分を挟む人情もの(?)の現代劇でした。上演時間は3時間ぐらいあったんじゃないかな・・・って、うろ覚えです。最後はやっぱり主役の男優さんの歌がありました。参っちゃうな(笑)。
≪ストーリー≫ 公式サイトより。 (役者名)を追加。
開発の波に乗り遅れてしまったと在る都会の片隅。主人公太一(石橋正次)はエリート銀行マンであったが、銀行側の命令で自宅謹慎を仰せつかっている。過去、仕事一筋に生きてきた太一の身の上に様々な災難が降りかかります。今の世の中の忘れ去られた戦後の人間愛・家族愛がここにあります。
≪ここまで≫
主人公はバブル時代のツケがまわって来たエリート・サラリーマン。会社のために身を粉にして働いてきたのに、会社は都合が悪くなると簡単にクビを切ろうとする・・・。新劇や小劇場演劇でもよくテーマになってきましたが、三越劇場みたいなところでも上演されるんですから、それぐらい日常的な、当たり前のことになっちゃったってことなのでしょうか。
予想(覚悟)はしていましたけど実際に体験すると強烈な客席でしたね。まず年齢層がものすごく高いです(劇団民藝よりも)。マダムは上演中も客席で思いっきりおしゃべりしてますし、サンドイッチも召し上がります。場面転換で暗転する時、びっくりするほとシーンに合っていない大団円な音楽がかかります。そしてなぜか観客が拍手。うー。
演出といえるものは作用していなかったですね。集中して見る必要を感じませんでした。一緒に観に行った方が「テレビの再現ドラマみたい」とおっしゃって、まさにその通りだなと思いました。
ここからネタバレします。
元エリート銀行マン・太一とその妻と娘、太一の弟(叔父)と妹(叔母)・・・という家族に加えて、太一と因縁がある(と後からわかる)小料理屋の女、そして元船頭だった老人らが登場します。
汽車の運転手だった(かな?)父親の幽霊が、仏壇の裏から登場するのは可愛かった。「誇りを持て」という幽霊の言葉はありきたりではあるけれど正しいし、私もがんばろうと思えました。
女子高生の娘の描き方に納得がいきませんでした。ダンスを勉強するためにアメリカに留学したいと思っていて、いつも携帯を肌身離さず持っているような17歳の若い女の子が、「弟と起業するから留学を1年待って欲しい」という父の奇想天外な願いをあんなにすんなり受け入れるのか。そして鶏ビジネス(?)をやるために田舎に引っ越して「すっかりあの土地の生活に慣れる」のか。しかも父と母は2人で伊豆に住むんでしょ?じゃあ娘は叔父と2人で田舎暮らし!?あんなチャランポランな叔父が真面目に働くなんて・・・ありえないよな~。
脚本家の方は基本的に、子供は大人よりもバカで親に従順なものだ(そうあるべきだ)という考えを持っていらっしゃるんじゃないかと思いました。会社に「都合が良すぎるゾ」と物申しておきながら、子供に対してやってることは企業と同じなんじゃないのかな。
出演:石橋正次/吉沢京子/西崎緑/小宮健吾/佐々木剛/亜蘭美香 /田村元治/柴崎まり子/鶴見卓三/大本麻鈴/根岸光太郎/萌乃智子/小林真二/本倉さつき/摩耶聖子/仲野智美
脚本:阿部照義 演出:吉村忠矩
前売開始 2007年4月1日(日)午前10時~ 6,000円(全席指定・税込)
http://www.elly-pro.com/
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