LEMON LIVEは斎藤栄作さんが作・演出される作品をプロデュースする団体です(⇒過去レビュー)。
男優中心のキャスティングの中、今回は紅一点の主演に演劇集団キャラメルボックスの岡田さつきさんが登場。全員が2役、しかも男女を演じ分けるコメディーでした。上演時間は約2時間。
⇒CoRich舞台芸術!『WOMAN』
≪あらすじ≫ 少々ネタバレしています。これからご覧になる方はお読みにならないほうがいいかも。
おかまバーの控え室兼更衣室。オーナーのおかま・ヒカル(岡田さつき)は従業員が別の店にどんどん引き抜かれ、窮地に立たされている。そこを友人で常連客のサラリーマンらが力をあわせて助けようとするが…。
ある田舎の旅館の一室。新人女将(岡田さつき)は慣れない接客業に四苦八苦しており、ベテランの仲居(浅野雅博)にいじめられている。初対面同士の主婦たちが部屋に到着してきた。どうやら彼女らはそれぞれの息子たちに何かを頼まれてやってきたらしい。
≪ここまで≫
役者さんが男女2役を演じ、2つの場所で起こる別々のストーリーに登場します。そしてその2つのストーリーがリンクする少々複雑な設定でした。面白いアイデアだと思いました。
達者な役者さんがどんどこ着替えてドタバタと笑わせてくれます。でも、ベタすぎて頭を傾げちゃうような感動ネタが下地にあって、途中で作品の目指す方向がよくわからなりました。いわゆるドタバタコメディーの王道の笑いが成立していたので、もっと笑いに重点を置いてもいいんじゃないかな~。感動ドラマを作るなら、もっと深く掘り下げて欲しいなとも思います。
2つの物語をシンクロさせながら両方とも成立させるのって、ハードルが高いですよね。さらに、たたみかけるような笑いも盛り込むわけですから、大変なチャレンジなのだろうと思います。
ここからネタバレします。
化粧品会社の社長夫人(阿部丈二)とベテラン仲居(浅野雅博)が「アタックNo.1」みたいに卓球勝負するとか(※「エースをねらえ!」が正しいです。教えてくださった方、ありがとうございました!5/27加筆)サラリーマン同士で仲たがいするシーンで本宮ひろし(津村知与支)の心の声が聞こえるとか、笑うためのネタが贅沢に散りばめられています。汗だくで着替えまくってがんばってる役者さんを見るのも結構楽しいです。
笑いの方が充実しているので、“母の愛海より深し”とか、“逆境に打ち勝つ熱い男達のサクセスストーリー”などの感動ドラマが、取って付けたような印象になって残念でした。
出演=岡田さつき(演劇集団キャラメルボックス)/津村知与支(モダンスイマーズ)/有川マコト(絶対王様)/犬飼淳治(扉座)/濱田龍司(ペテカン)/阿部丈二(演劇集団キャラメルボックス)/浅野雅博(文学座)
作・演出:斎藤栄作 照明:高橋英哉 音響:小笠原康雅(OFFICE my on) 衣裳:神場やす江 舞台監督:筒井昭善 写真・宣伝美術:垣内敏秀(コマンドエヌ) 宣伝ヘアメイク:武井優子 演出助手:山神友恵 制作:橋本香苗(コマンドエヌ)・こばちえ(コマンドエヌ) 企画・製作:レモンライブ
【発売日】2007/04/29 全席指定3,800円 ※小学生未満のお子様のご入場はご遠慮ください。
http://www.lemonlive.net/
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