東京ノーヴイ・レパートリーシアター、『ワーニャ伯父さん』に続いて『かもめ』を拝見してきました。素晴らしかったっ!!ゲラゲラ笑いながら、ぼっろぼろ涙を流しました。来週の『曽根崎心中』『どん底で』で今シーズンは終了だそうです。『どん底で』を観に行くことにしました。
上演時間は約3時間15分(途中15分の休憩を含む)・・・だったと思います。
⇒CoRich舞台芸術!『かもめ、他』
≪あらすじ≫ パンフレットより
湖のほとりの別荘地に女優が恋人の有名作家を伴い帰って来た。田舎に暮らす息子は作家を志し、彼が恋する少女は女優を夢見ていたが、都会からやってきた大人達の狭間で翻弄され、予期せぬ結末へと突き進む。
≪ここまで≫
チェーホフの『かもめ』・・・めっちゃくちゃ大好きな作品です。もー好きすぎるのであまり観ないようにしているぐらい(笑)。NHK芸術劇場で観たマールイ劇場の『かもめ』(ビデオで鑑賞)が今のところのマイベストです(過去レビュー⇒1、2、3、4、5、6、7)。
ごく自然に役柄として存在する役者さんを、至近距離で覗き続ける時間でした。でも緊張がずっと張り詰めているのではなく、客席とふんわりつながっているので、一緒に呼吸するように笑って、泣いて、笑って、泣いて・・・。
今までとはちょっと違う感覚で演劇を味わったような気がしました。セリフ(ことば)の意味とは違う意味を受け取って、起こっている出来事の裏側(なのか表側なのか)が見えてくるんです。
たとえばトレープレフに報われない恋心を抱くマーシャを観ていてると、笑いがこみ上げてきて仕方なくなるんです。悲しくて苦しくて、ウォッカをがぶ飲みして涙ぐんでいる彼女を見ながら、どうしても吹き出しちゃうんですよね。「悲劇にヒロインのハマってるわ、あの娘ったら!」みたいに。我ながらものすごく残酷な感情だと思うんですが、そうなっちゃうからしょうがないんですよね。悲しいシーンで爆笑して、おどけるシーンで胸が痛くなって涙がこぼれてしまったり・・・。あぁ、これがチェーホフがいう「喜劇」なのかもしれないって思いました。
ここからネタバレします。
オープニング(マーシャとメドベジェンコ)で笑えるとは予想外でした。そして、ソーリンと一緒にニーナを待っているトレープレフのセリフでも笑えました。「えらそうな能書き並べてるけど、マザコンの困ったチャンなんだな~」とか(笑)。
壁とカーテンが良かったですね~。ニーナの一人芝居は幕の向こうに観客がいる状態なので、芝居が始まるまでアルカージナの姿が見えないんですよね。
出演=アルカージナ:天祭揚子 トレープレフ:上世博及 ソーリン:上原雄志 ニーナ:湯本はるな シャムラーエフ:稲田栄二 ポリーナ:山下智寿子 マーシャ:名児耶玲子 トリゴーリン:金沢英俊 ドールン:天満谷龍生 メドヴェージェンコ:八巻圭一朗 ヤーコフ:和田裕貴 小間使い:池之上真理
作・アントン・チェーホフ 演出=レオニード・アニシモフ
前売り3500円 当日3800円 学生2000円 シーズン通し券10,000円
http://www.tokyo-novyi.com/
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