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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2007年06月05日

劇団劇作家『劇読み!』05/29-06/03新宿Miracle

 劇団劇作家は劇作家だけで構成された劇団だそうです。珍しいですね。公式サイトによると世界初だとか。日本劇作家協会の戯曲セミナー卒業生を中心に結成され(2006年5月)、今回が旗揚げ公演です。代表は劇作家の篠原久美子さん。

 ポスト・パフォーマンス・トークのゲストが豪華!私は永井愛さんが出演される日のマチネ『在り処』(作:相馬杜宇)に伺いました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『劇読み!

 ≪あらすじ≫
 一軒家に空き巣(板倉哲)が入る。誰も居ないと思っていたら、こたつの中におばあさん(藤あゆみ)が!
 ≪ここまで≫

 「戯曲を読む」といってもただイスに座って戯曲を読むのではなく、装置もありますし、役者さんはちゃんと動いて演技もされます。リーディング公演は何度か拝見してきましたが、あまり得意じゃないんですよね・・・。本を持って読む状態から、動きながら、演技しながら、時には本も手放して・・・という風に、戯曲を味わうだけでなく突飛な演出と遭遇することにもなるのです。だったら本公演で観たいなって思っちゃうのが私の観客心理(笑)。これは単に好みの問題です。

 パンフレットに代表の篠原さんが書かれています。
 「『劇作家は書いてるだけじゃダメですか?」というのはチラシのキャッチコピーでしたが、このリーディングに際して、演出助手、制作、舞台製作と奔走し、当たり前ですが「やっぱり書いてるだけじゃダメじゃん…』と笑い合いました。」
 公演についてもおっしゃるとおりだと思いますし、戯曲というものはやはり役者さんによって読まれてこそ、その本領を発揮するのでしょうね。

 約1週間の公演中に8本の戯曲に出会えます。リーディング好きなお客様はもちろん、作り手の方々がご覧になると良いのではないでしょうか。役者さん、演出家さんや、戯曲を探している劇団の制作さんなどにお得なショウケースだと思います。

 ここからネタバレします。

 空き巣を息子だと信じてしまうおばあさんと福祉職員(唐沢大介)。印鑑を発見した空き巣は、必死で通帳を探そうとします。おばあさんは息子(空き巣)を引き止めたいがために、通帳をポケットにしまって隠しますが、結局は奪われてしまいます。

 普通のドラマだったら、「おばあさんは本当は空き巣だとわかっていて、彼に罪を犯させないように振舞っていた」とか、「空き巣が改心する」とか、そういうハッピーエンドが待っていそうなものなのですが、ちょっとボケが始まったおばあさんはまんまと通帳を盗まれ、そのまま佇みます。このしんみりした感じが良かったです。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫

 出演:永井愛/相馬杜宇/篠原久美子(司会)

 作者の相馬杜宇(あいば・もりたか)さんは若干21歳(もうすぐ22歳、だったかしら)。
 司会の篠原さんが「こんなに若い人が書くとは思えない題材で、とても完成度が高いと思う。しかしこういうタイプの戯曲はおそらく戯曲賞などは取れない(奇抜ではないから)。だからといって、若者が自分で劇団を旗揚げして上演しても、達者な役者や演出家がいなければ成立させられない。注目されるまで10年ぐらいかかってしまうだろう。それを克服しようとしたのが劇団劇作家。」という風におっしゃいました。ご指摘のとおりだなと思いました。

 ゲストの永井愛さんが“説明ゼリフ”についてお話されたことに、ものすごく納得しました。下記は覚書です。
 永井「説明ゼリフが好きではないという若い作家の方が多いですが、実は人間は、いつも情報ばかり話しています。日常では感じたことを話すのではなく、説明することばかりなんです。だから“説明ゼリフ”を毛嫌いするのはおかしいと思います。説明を排除するのではなく、“説明をしていること”を面白く見せればいいと思います。」
 永井「この劇団で恋が生まれるといいですね。そうすれば名作が生まれます(笑)。」

『在り処』出演:藤あゆみ/板倉哲/唐沢大介 演出:関根信一
※本公演では、8人の劇作家の戯曲8作品を『劇読み!』。平日の全公演にアフタートークが付くほか、土日公演はフェスティバル形式で、各日4本を連続上演します。
A 『佳子のさくら』作=佐藤喜久子/B 『親シラズ』作=福山啓子/C 『白狐』作=白井美佐子/D 『ドールハウス』作=錦織伊代/E 『在り処』作=相馬杜宇/F 『フォルモサ!』作=石原燃/G 『正しい海賊の作り方』作=坂本鈴/H 『円山町幻花』作=三井快
演出=関根信一(劇団フライングステージ)、山本健翔(演劇集団円) 舞台監督=小野八着 美術=南志保 音響=石井隆 照明=瀬戸あずさ 衣装・小道具=青年劇場 制作=劇団制作社 宣伝デザイン=長谷川智史 企画・製作=劇団劇作家 Webデザイン=市角壮玄
全席自由席2,000円 全日程フリーパス4,000円 【前売り開始】2007年4月1日(日)
http://www.gekisakka.net/

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Posted by shinobu at 2007年06月05日 15:00 | TrackBack (0)