長塚圭史さんが作・演出される阿佐ヶ谷スパイダースの新作です。『日本の女』『はたらくおとこ』に続く“暴走する男たちシリーズ”の第三弾。立見も出て超満員の初日でした。当日券の販売方法はこちら。平日マチネにシリーズ過去2作品の上映会が開催されます。
ザ・スズナリが装飾されていました。入り口からワクワクです。公演公式ブログに写真が載っていいます。パンフレットは下北沢のムード満載で、帰りの電車で「あぁこれはあの場所の写真だ!」などと探して楽しかった♪(←ヲタク)
⇒CoRich舞台芸術!『少女とガソリン』
レビューをアップしました(2007/06/15)。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。
かつては清酒の産地として栄えたとある街。
しかし今はどの工場も閉鎖されてしまった。
再開発の波に抗いながら生きる酒を愛する男たち。
彼らが唯一の救いとして慕うのが、人気アイドルSであった。
そんなある日、街の再開発のイベントにアイドルSがやって来るらしいという情報が舞い込み…。
愛する街と酒のため、アイドルソングに乗せて男たちの暴走がはじまる!
≪ここまで≫
ものすごく洗練された、ザ・スズナリの空間でした。美術、照明、音響に格の違いを感じましたね。特に音響が素晴らしかったです。『日本の女』って2001年だったんですね~(遠い目)。6年も経つと人間は変わりますね。あの頃の阿佐ヶ谷スパイダースを思って自分を省みると・・・うん、がんばろ(汗)。
櫛田という町のサビれすぎた居酒屋で、いわば少々偏った考えを持った男達が起こす事件。人種差別、共産主義、テロ、たてこもりなどのテーマが題材になっているようです。アサスパらしいスプラッター・ホラーあり、毒々しくも奇妙な暖かさのある友情関係あり、長塚テイスト盛りだくさんな作品でした。
演劇だとか小劇場だとかのジャンルは重要ではなく、「阿佐ヶ谷スパイダース」というイベントを、観客も確信犯的に楽しむ1ヶ月なのではないでしょうか。面白いとか面白くないとか、そんな基準さえも今やどうでもいいな~と思っている私がいます。彼らと一緒に、おバカだけど熱い衝動を共にした。それだけでイイんだと満足しています。
ここからネタバレします。詳細にわたるネタバレ・レビュー⇒「踊る芝居好きのダメ人間日記 」
誘拐してきたアイドルのリポリン(下宮里穂子)は、丸代(犬山イヌコ)と玉島(中村まこと)の間に生まれた娘でした。でっかいことを言ってクシダァ・ソウル(櫛田を愛する男達の魂)運動のリーダーとなっていた玉島ですが、リポリンが自分の娘だとわかった途端、逃がしてもとに戻そうとします。親心ですよね。
それにしても犬山さんと中村さんの娘が下宮里穂子さん、っていうのは背の高さ的に無理があるような(笑)。
スプラッターな暴力シーンの後におまぬけな笑いが用意されているのが巧妙で独特だなぁと思います。初日は「何をやってもやらなくても笑うんじゃないかしら?」と思うぐらい暖かい客席でしたが、私も思いっきり笑わせていただいたところが2ヵ所あったので満足。
最初は、お買い得焼酎“大五郎”を加工して清酒“真実(まこと)”に似た味に変えるところで爆笑。池鉄さんの度を越したいいかげん具合が素晴らしい。中盤で、伊達さんが池鉄さんにチェーンソーで右腕を切り落とされた直後、松村さんが「(この惨劇を)見ちゃだめだ!」と言って自分の右肩に乗った水子(目には見えない)の目を両手でふさぐのも可笑しかった。
手を切られたばかりの伊達さんが、みんなと一緒に元気かつ朗らかに酒を飲むシーンは長塚さんならではのテイストですよね。あきれながらプっと吹き出しました。
最後はみんなで歌を歌って赤い紙吹雪が客席にも舞いました。入り口の階段やロビーも赤く染められており、劇場全体でこの作品の世界を作り上げていました。贅沢ですよね、こういう体験。普段なら演劇というのはチケットを買って劇場に観に行くだけのことなんですが、それをスペシャルなエンターテインメントにしてくださっていました。
≪東京、大阪、札幌≫
出演=中村まこと/松村武/池田鉄洋/中山祐一朗/伊達暁/長塚圭史/富岡晃一郎/大林勝/下宮里穂子/犬山イヌコ
作・演出=長塚圭史 美術=加藤ちか 照明=佐藤啓 音響=加藤温 音楽=伊藤ヨタロウ 衣裳=伊賀大介 振付=八反田リコ ヘアメイク=河村陽子 映像=上田大樹 演出助手=山田美紀(至福団) 舞台監督=福澤諭志+至福団 制作=伊藤達哉 企画・製作=ゴーチ・ブラザーズ
【前売り発売日】東京:2007年4月21日(土) 指定席6,300円 自由席5,000円(前列ベンチシート・整理番号付)
http://asagayaspiders.net/
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