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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年06月14日

サンモールスタジオ・プロデュース特別公演『Nf3 Nf6』06/13-17サンモールスタジオ

 パラドックス定数(作・演出:野木萌葱さん)の男2人芝居『Nf3 Nf6』を、サンモールスタジオ代表の佐山泰三さんが演出されます。キャストがA(江戸川卍丸/加藤敦)、B(寺十吾/今里真)の2バージョンあり、私は初日にBバージョンを拝見しました。上演時間は約1時間20分。

 席によって見えづらさに差が出ます。一番前の席か、もしくは客席後方・ひな壇の上の方の席をお薦めします。私は3列目(はじめての段差がある列)だったんですが、床に座った状態での演技はほとんど見えなかったです・・・。
 ⇒CoRich舞台芸術!『Nf3 Nf6

 今週はパラドックス定数の作品がもう1本、風琴工房で上演されます。ちょっとしたフェスティバルですね。
 ⇒CoRich舞台芸術!『crossing』(「おやすまなさい」「5 seconds」2本立て)

 当日パンフレットの演出家の文章に、
 「時間と場所(1945年2月15日早朝 ドイツ・ザクセンハウゼン強制収容所)だけは頭に入れておいてください。」
 とありました。劇場に入ると壁にナチス軍や当時のドイツの街並みなどの白黒映像が流されていましたので、初演のパラドックス定数版よりずっとわかりやすい導入でした。
 開演前に演出の佐山さんがタイトルを「ナイト・エフ・さん・ナイト・エフ・ろく」と言ってらっしゃいました。てっきり「ナイト・エフ・スリー・ナイト・エフ・シックス」と読むと思ってたな~(笑)。日本語上演ですものね、日本語でいいんですね。

 ≪あらすじ≫ パンフレットより。
 白のナイトをfの3へ。黒のナイトをfの6へ。
 これはもっとも難解な展開となるチェスの初手である。
 945年2月15日早朝。ドイツのユダヤ人強制収容所。
 看守は将校。囚人は数学者。
 チェス盤を間に展開する壮絶な頭脳戦。
 さあ、私とチェスをしましょう。
 ≪ここまで≫

 パラドックス定数の野木萌葱さんの戯曲を、野木さん以外の方の演出で観たのは初めてでした。脚本にも変更が加えられているようです。非常に緻密で複雑なお話なので、2回目だけれどもストーリーを初めて追うような気分で楽しめました。

 演出と演技についてはちょっと残念な仕上がりでした。役者さんのかつ舌がはっきりしないのでセリフが聞こえづらかったり、床に座った状態での演技が見えなかったり・・・ん~、もったいないですよね。また、「このシーンではこういう感情が出てくるはずじゃないのかな」と、違和感を感じることもありました。

 開幕してすぐ、寺十吾さんが床を向いて力なく立っている姿にはゾクっと来ました。

 ここからネタバレします。

 ユダヤ人強制収容所の看守と囚人という関係から、数学者同士の暗号解読の戦い、そして互いの兄弟殺しにもつながっていきます。スリリングでドラマティック!

 野木さんの戯曲を野木さんが演出される作品ばかりを観て来たので、違う方が演出されるのを観て、いろいろ気づくことがありました。野木さんの演出、かなり個性的だったんですね。
 2人がチョークで壁に数式を書くところは、昔の友人関係に戻ったような、無邪気で楽しい時間になるはずじゃないのかしら。

 最後の銃声は初演ではなかった気がします。オープニングも前日(かな?)のシーンがあって、わかりやすくなっていたような。うろ覚えですが。

【出演】Aバージョン:江戸川卍丸(劇団上田)/加藤敦(ホチキス) Bバージョン:寺十吾(tsumazuki no ishi)/今里真
作=野木萌葱(パラドックス定数) 演出=佐山泰三 照明=長沢宏明 宣伝美術=山本百合美 協力=日本チェス協会 企画・製作=(株)サンモールスタジオ
【発売日】2007/04/21 日時指定/全席自由(前売・当日共)一般/2500円 2バージョンチケット/3000円(前売のみ)※サンモールスタジオにて取扱い
http://www.sun-mallstudio.com/nf3nf6tirashi.html

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Posted by shinobu at 2007年06月14日 22:53 | TrackBack (0)