詩森ろばさんが作・演出される風琴工房。「CoRich舞台芸術まつり!2007春」グランプリ受賞団体です。
前田司郎さん(五反田団)の戯曲「おやすまなさい」、野木萌葱さん(パラドックス定数)の戯曲「5 seconds」の2本立てで、演出は詩森さん。初日前日のリハーサルを2本連続で拝見しました。
劇団員の訓練も兼ねた小空間の企画ですよね。観客の息遣いが聞こえそうなほどの近さで2人芝居を見せるのですから、充実の経験になることと思います。
⇒CoRich舞台芸術!『crossing』
ここからネタバレします。
■Aプロ「おやすまなさい」
五反田団で何度か再演されているようですが、私は全くの初見でした。簡単に言うと眠い人(松岡洋子)と、相手を眠らせないようにする人(宮嶋美子)の2人芝居。
もしかしたら眠い人は死んじゃう/死んじゃってるのかも?と匂わせるのが面白いですね。ただ、作品全体としてはアイデアを形にしてみた段階で止まっているように感じました。
松岡さんが白い悩殺スリップ姿でゴロゴロ寝転がり、「あぁ、ふとももが!胸元がっ!!」とビクビクしていると、さらに宮嶋さんがTシャツを脱いじゃって・・・目のやり場に困る、贅沢な環境でした(笑)。
うさぎの形をした照明が可愛らしかったです。
■Bプロ「5 seconds」
パラドックス定数版で2004年に拝見しました。大好きです、この戯曲。飛行機の墜落事故を起こした機長(浅倉洋介)と彼の弁護人(山ノ井史)との2人芝居。サンモールスタジオの『Nf3 Nf6』でも野木さんの作品を観たばかりで、いろいろ比べながら観られて楽しかったです。
感情をそのままに出していこうとする血の通った演技で、意味も流れもわかりやすく仕上がっていたように思います。機長自ら飛行機を墜落させる方向へ舵を切った理由、そしてそれが彼の精神の病いのためだったことが、ストンと腑に落ちるほど気持ちよく伝わってきました。
弁護人は自分が信じる正義のために、必死で周りの環境や目の前の手ごわい相手(機長)に向かって挑んでいきます。機長は機長でかよわい神経でふらふらしながらも、自分のプライドを守ろうと必死です。そんな男の子同士が強情で負けず嫌いな気持ちをぶつけ合うのは、スリリングでとても面白いです。「んもうっ!可愛いゼ!」って思って、にやにや笑いながら興奮しちゃうところもありました。
Aプロ 「おやすまなさい」作=前田司郎(五反田団) 演出=詩森ろば
出演=松岡洋子・宮嶋美子
Bプロ 「5 seconds」作=野木萌葱(パラドックス定数) 演出=詩森ろば
出演=浅倉洋介・山ノ井史
単独券1800円 共通券3000円(Aプロ・Bプロを1回ずつ)
劇団:http://www.windyharp.org/
会場:http://www.la-grotte.com/
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