クロカミショウネン18は野坂実さんが作・演出される劇団です。「18」は発音しないようですね。シチュエーション・コメディを作る団体だと耳にしておりまして、私は今回が初見です。
よくもまあ細かく仕込んであるなぁ~と感心しましたが、そこまでやらなくても・・・と思った約2時間強でした。
⇒CoRich舞台芸術!『ノモレスワ。 』
レビューをアップしました(2007/06/24)。
≪あらすじ≫ 冒頭部分が少しネタバレしています。読んでから観に行っても問題ないと思います。
男は、自分の浮気のせいで精神を患った妻を、毎年利用しているリゾート・ホテルに連れてきた。自分のことを思い出してもらおうと必死で語りかけるが、妻は反応しない。絶望した男は5階のベランダから飛び降りた!・・・が、たどり着いたのは5年前の同じ場所、ホテルの501号室だった。
≪ここまで≫
舞台はホテルの一室。エレベーターや廊下のダストシュートなど、部屋の装飾も含めてがんばって作りこまれた美術でした。個人的には天井部分の壁もあったことに好感がもてました。ただ、ドアを挟んでの演技などは、座席によっては見えづらかったのではないでしょうか。私はありがたいことに問題なく拝見することができました。
ネタになるセリフや大げさな演技が敢えて散りばめられており、しっかり計算して書かれていることが、後から後からわかってきます。タイムマシンもののドタバタコメディーとしては、きっとお好きな方がいらっしゃるだろうなと思いました。でも最後までに、恋愛もの、冒険もの、そして深刻な人間ドラマまで入ってきたので、いったい何を伝えたいのかしらと考えちゃいました。
役者さんは・・・おぼつかない感じでしたね。脚本の筋道を伝えるだけの存在になってしまっている人が多かったです(全員ではないです)。
ここからネタバレします。
夫(とその兄)は過去に戻って、自分の犯した過ちをなかったことにしようと試行錯誤します。そのドタバタに笑いがいっぱい仕込まれています。
オープニングでは妻が心の病を持っているように描かれますが、実は夫の方が若年性認知症だったとわかります。その仕組みを示したところで終わっててくれたらな~・・・。CoRichの公演詳細に書かれている“若年性認知症の介護に疲れた夫婦がいた”というのがねっとり描かれてびっくりしました。あれは余計だと思いました。
カーテンコールは、おんおん泣いて“介護に疲れた夫婦”を演じていた2人の役者さんが、涙を拭きつつ挨拶されていました・・・。う~ん、それってどうかしら。2人とも拍手待ちをされたので驚きました。クロカミショウネン18って暖かいお客様が多いんでしょうね。
『ノモレスワ。』って、反対から読んで『忘れ物』だったんですね。
出演=渡辺裕也/吉田亜貴代 /加藤裕/久米靖馬/和田良/青木十三雄(ヒューマンスカイ)/日ヶ久保香/阪上善樹/柴田みゆき/太田鷹史/楢原拓(チャリT企画)/米田弥央(カムカムミニキーナ)/笹野鈴々音(風琴工房)
作・演出:野坂実 舞台美術:袴田長武(鴉屋) 音楽:北原慎治(ダムダム弾団) 照明:菊地謙一 音響:平井隆史(末広寿司) 舞台監督:大友圭一郎 演出助手:北川翔子 宣伝美術:オクマタモツ WEB制作:久保文子 映像撮影:トリックスターフィルム 制作:大谷美有希 プロデューサー:樺澤良 企画製作:クロカミショウネン18/劇団制作社
チケット(全席指定)
前売り:2800円 当日券:3200円 中高校生割引:2000円(※当日受付にて要学生証提示)
http://www.ks-18.com/
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