桜沢エリカさんの人気漫画『サロン』を関根信一さんが演出されます。脚本も舞台用に書き加えられ、関根さんならではの世界を見せていただけました。
上演時間は約2時間30分休憩なし。少々長いですが、使われる音楽がツボだったりもして、私は楽しかったです。
⇒fringe blog『これはいい企画だ』
⇒CoRich舞台芸術!『サロン』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
田舎の温泉宿に育った15歳の少女─直は、いつも夢で“ばらの匂いのするパリ”、そして“エッフェル塔”を見続けている。
「なぜ自分はパリに生まれなかったんだろう」と、退屈な日々を送っている毎日で、しまいには母親の愛人にも手を出されそうになってしまう。「ここには居場所がない」そう思う直は自分の居場所を捜し続けていた。
ある時、電車に乗っている彼女は「この線路がパリまで続いていればいいのに」と思ったまま眠りについてしまう。
ふと目が覚めると、そこは東京。夢の中でのパリのエッフェル塔は東京タワーという形で目の前に現れた。
昔、東京へ出て行った従兄弟を思い出し、彼女は代官山のマンションを訪れてみると、そこには見知らぬ男が出てきて、初対面にも関わらず、直を快く部屋へ招き入れる。しばらくすると、直の従兄弟は帰ってくるが、その見知らぬ男とお帰りのキスをする現場を目撃してしまい、あまりのショックで気を失ってしまう。
それから、彼女とそこに不思議と集まってくるゲイ達の「サロン」の物語が始まる。
≪ここまで≫
原作を読んでから伺ったので(←私にしては珍しい♪)、どういう脚色をされているのか、誰がどの役なのかなども楽しめました。“サロン”が舞台にしっかり存在していて、私は漫画よりも感情移入ができましたね。
関根さんをはじめ、出演者の方々は何度も着替えて楽しませてくださいます。ヒロイン直(なお)役の菜月チョビさんも、もちろんキュートなハスキー・ヴォイスを披露してくださいました。
唯史役の數間(かずま)優一さん。美形なんですよね~。イケメンであることがとても生かされていて、観ていて嬉しかったです。
ここからネタバレします。
『三文オペラ』の「モリタート」(だったよね?)がBGMでかかって、それだけで涙が出そうになっちゃった。「君の瞳に恋してる Can't take my eyes off of you 」(←音が鳴ります)は個人的に好きで好きでたまらない曲で、直(菜月チョビ)が堂々と歌うシーンは聴きごたえがありました。
10年経ってノーマ(関根信一)の「サロン」もなくなり、東京の仲間関係は様変わりしていました。当たり前に目の前に、いつもそばにあったものが、突然消えてなくなるんですよね。そうやって人も世界もどんどんと変わっていくことをサラリと描き、「それでも欲しいなら求めればいいんだよ」と優しく背中を押された気がしました。同じものを求めても決して叶うことはないんだってことも、ちゃんと含みつつ。
女装をしなくなったノーマはノンケの吾郎(伊庭拓哉)と暮らしていました。ノーマが「誰かを激しく求める恋愛ではなく、ただ一緒に居たいと思う気持ち」について語ったのにジーンと来ました。
ファッション・ショー「シンデレラ」のシーンでは、豪華な衣裳と歌を楽しませていただけましたが、歌う人だけじゃなくて観客役の人々も舞台上に居る演出の方が良かったんじゃないかな~と思いました。“関根さん&菜月さん・オン・ステージ”というだけで楽しめる方もいらっしゃると思いますが、できれば劇世界の中のイベントとして受け取りたかったです。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:桜沢エリカ/菜月チョビ/関根信一/樺澤良(プロデューサー)
ゲイの人々を描いた桜沢エリカさんの漫画は、90年代からゲイ・コミュニティーに大きな影響を与えていたんですね。
出演=菜月チョビ/関根信一/數間優一/今井克己/石関準/早瀬知之/野口聖員/森澤友一朗/坂本遼/鈴木綾/安井実生/しいたけを/ますだいっこう/西田夏奈子/伊庭拓哉/羽田真/大門伍朗
原作:桜沢エリカ 【作・演出】関根信一 【美術・衣裳】小池れい 【照明】黒尾芳昭 【音響】中村嘉宏 【舞台監督】中西輝彦 【宣伝美術】武田雲 【撮影】鏡田伸幸/サトウカオル 【ビジュアルレコーディング】宇田誠之 【WEB】有賀純子 【制作】三枝黎/伊藤愛/遠ちあき 【プロデューサー】樺澤良
【発売日】2007/05/24 全席指定席…前売り3,500円 当日3,700円 中高生2,500円 昼ギャザあり
http://seisakusya.jp/stage/stage/index070716.html
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