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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年07月14日

椿組07年夏・花園神社野外劇『花火、舞い散る』07/13-22新宿花園神社境内特設ステージ

 ラジオでもお薦めしました、椿組の花園神社野外劇(過去レビュー⇒1、)。作・演出はONEOR8の田村孝裕さん。わくわくしながら初日に伺いました。上演時間は約2時間10分。雨もなく、涼しくて快適でした。

 夏にぴったりの花火のお話です。何度か伺っている花園神社野外劇の中で、一番泣いちゃったかも。

 ⇒CoRich舞台芸術!『花火、舞い散る
 レビューをアップしました(2007/07/15)。

 ≪あらすじ≫ CoRichより
 “トンボにハチマキ”という意味のトンパチ。頭の大半が目のトンボがハチマキをすると何も見えなくなることから、後先を考えない危険な人物を指す。そんなトンパチな花火師達が揃う煙火会社「前園火工」。とそれらを取り巻く近隣の人達。競争会社の花火工場の人達・・・・・。・ ・・工場閉鎖を決めた前園火工が、今年最後の花火大会を迎える。花火工場を舞台に、花火師たちの夏を描く群像劇。
 ≪ここまで≫

 花火職人のお話です。花火という華やかさの裏側にいてそれを支える、日の目を見ない人々を徹底的に描き出していました。あぁ、書いててせつない・・・。
 でも終始暗くじめじめしているわけではなく、夏らしいあっけらかんとした、風通しのいい空気が流れている作品でした。

 たまたま一緒の回を観ていた演劇関係のお知り合いが、「30人もの登場人物をちゃんと書けているのが凄い」とおっしゃっていました。確かに印象に残らない人がいなかったかも!(警察の人はちょっと薄い目だったかな・・・)。

 モロ師岡さん(職人・火が怖い八重樫役)と井之上隆志さん(職人・冗談ばっかり言ってる野田役)が大人で素敵でした。

 ここからネタバレします。

 普通のお涙頂戴芝居だったら、父親(外波山文明)は息子(大関真)に「継いでくれ」って言うんですよね。でもこの作品では、「俺の目に狂いはなかった。お前はダメだ」と言い放ち、次女(高橋麻理)に後を継がせます。この命がけの頑固さが運命を狂わせて行きます。父親は、そういう性格だったからこそ奇跡の花火を作ることができたのでしょうし、手術をせずに失明してしまうことにも、悲しいけれど納得です。皮肉なめぐりあわせに説得力があります。

 下手な漫才をするカップル(伊藤俊輔&浜野まどか)が幕間に登場します。ものすごく深刻なシーンの直後に場違いと言いきれるほどおマヌケな空気が流れますが、男の方が「プロポーズ花火」を注文していたという文脈が用意されていました。すごいな~。

 最後は装置が消えて花火の打ち上げ現場が登場します。闇夜に打ちあがる花火自体は全く見えないまま、職人達の頭上には黒い燃えカスがパラパラと舞い落ちる・・・。徹底してますよね。

出演:井之上隆志、恒松敦巳、田渕正博、木下藤次郎、麻乃佳世、中原三千代、内田もも香、井上カオリ、長嶺安奈、犬飼淳治、西條義将、野本光一郎、伊藤俊輔、大関真、星野園美、高橋麻理、和田ひろこ、伊藤新、林英次、平塚真介、宮本翔太、鳥越勇作、根本大介、李峰仙、和泉歩、岡村多加江、浜野まどか、一柳みる、モロ師岡、外波山文明
[脚本・演出] 田村孝裕 [照明]沖野隆一[美術]加藤ちか[音響]青蔭佳代[衣装]小原敏博[振付け]伊藤多恵[殺陣]山田一善[舞台監督]吉木均[宣伝美術]黒田征太郎・長友啓典+K2 [プロデュース]椿組・外波山文明
【発売日】2007/06/05 指定席=前売り4.500円 (毎ステージ限定50席・椿組のみ取り扱い) 前売り4.000円 当日4.300円(日時指定・整理番号付き自由席)
http://homepage2.nifty.com/tubakigumi/hanabi.html

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Posted by shinobu at 2007年07月14日 00:27 | TrackBack (0)