青年団リンク・青☆組(あおぐみ)は吉田小夏さんが作・演出されるユニットです。私は初見。アトリエ春風舎に凝った日本家屋が出現していました。
渡辺源四郎商店『小泊の長い夏』とチラシビジュアルが重なっているため(夕日の写真)、『サンセット“半券”割引』が実施されています。
⇒CoRich舞台芸術!『おやすみ、枇杷の木』
≪あらすじ≫ 公式サイトより。改行を変更。
木下家の庭には、大きな枇杷の木がある。
二十数年前の初夏に、家族で食べた枇杷の実の種を、父と娘達が植えたのだ。
種はあっという間に芽吹き、葉を茂らせ、今では庭に大きな影を落としている。
二十数年の間に、父は他界し、娘達は少女ではなくなった。
二十数年と少したったある日、その男はやってきた。
枇杷の木は、未だ実をつけたことがない。
濡れた緑の枝先は、あの日の記憶を置き去りにしたまま、
遠い空に向かって、にょきにょきと伸びてゆく・・。
≪ここまで≫
客席に対して少し斜めに建てこまれた、少々年季の入った日本家屋。かなりリアルに丁寧に作られていましたが、ところどころ抽象的な部分もあってとても良い雰囲気です。特に格子のデザインが牢獄に見えたりして面白かったです。
女性が作ったのがよくわかる、非常に女性らしいお芝居でした。前半までは胸がムカムカするほど女の匂いがたちこめており(笑)、気分的にも少々困り気味に見物していたのですが、中盤以降に女たちの裏側がほろり、ほろりとほどけて見えてきてホっとしました。
終演後に何人かの知り合いと感想を話し合ったら、ストーリーの解釈がいろいろに分かれていて驚きました。そういえば「わかる人にしかわからない」ぐらい、おぼろげな演出が多かったかもしれません。
でも私には、物事を説明するためのセリフや演出が、いかにもさりげなさそうに準備されていたように感じ、残念な気持ちもありました。たぶん装置がリアルに作られていたので、細かい部分まで気になってしまったのでしょう。もっと抽象な部分が前面に出てきても良かったのではないかと思います。
お誕生日のケーキのシーンが幻想的でした。言葉を使わずして関係性や背景をはっきりと示すことができていて素晴らしいなと思いました。
ここからネタバレします。
いい年をして結婚していない(子供が生まれる気配がない)三姉妹と、その母親のお話でした。おそらく都会で一人暮らしをしていたのであろう次女が、仕事をやめて実家に帰ってきます。そこに母の新しい恋人がやってきて、平穏なはずだった女家族の生活にあからさまな波風が立ちます。
長女はお隣りの奥さんと仲良くしながら、その夫と不倫をしている。次女は小学校の頃に露出魔(下半身を露出して「愛してください」と言う)に遭遇し、今もトラウマになっている。三女はフリーターの彼氏とのプチSM関係にハマっている。料理ができない母親は元教え子と恋に落ちて、娘たちのことなど二の次になっている、などなど・・・。後半はダメなムードが蔓延してきます。
実ができない枇杷は、子供を生まない姉妹のことを示しているのかなと思いました。この「不毛」が、方向は違いますが『小泊の長い夏』と重なったように感じました。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:吉田小夏/岩井秀人(ハイバイ・主宰/青年団演出部)
ハイバイの岩井秀人さんがのっけからトばしてくれて、笑いの絶えない楽しいトークでした。
吉田「女性が強いことを見せたかった。」「でも、動物的には(男性よりも)弱いということも。」
タイトルの意味について観客から質問がありました。吉田さんは「受け取ってもらったままで結構です」とおっしゃって、ご自身がどういう意図でそのタイトルにしたのかはお話されませんでした。「答えを言うようなことになるのは良くない気がする」という理由からのようでした。
それに対して岩井さんが「作家の意図は言ってもいいと思う」という意見をおっしゃいました。私も岩井さんと同意見です。観客が受け取ったままで良いのなら、作家の意図は“答え”ではないのですから、ネタバレしても問題もないと思います。
出演:足立誠 天明留理子 髙橋智子 熊谷祐子 二反田幸平 山口ゆかり(フリー) 羽場睦子(フリー)
作・演出:吉田小夏 舞台美術:濱崎賢二 照明:伊藤泰行 音響:薮公美子 宣伝美術:空 宣伝写真:浜田綾 制作:青☆組制作班+宮永琢生 総合プロデューサー:平田オリザ 企画制作:青☆組/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
トークのゲスト→7/10:岩井秀人(ハイバイ・主宰/青年団演出部)/7/11:多田淳之介(青年団リンク 東京デスロック・主宰)
日時指定・全席自由・整理番号付 予約2,300円 当日2,500円
青年団リンク・青☆組×渡辺源四郎商店 共同企画『サンセット"半券"割引』
http://aogumi.org/05-biwanoki07/nabegen.html
http://www.komaba-agora.com/line_up/2007_07/aogumi.html
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