ダンダンブエノは近藤芳正さんを中心に結成された劇団です(過去レビュー⇒1、2、3)。
脚本:本谷有希子、演出:倉持裕という組み合わせに、主演が坂東三津五郎さんという豪華公演。びっちり満員のスパイラルホールでした。上演時間は約2時間10分(休憩なし)。
⇒CoRich舞台芸術!『砂利』
≪あらすじ≫
北の地方のとある民家。男2人兄弟(坂東三津五郎&近藤芳正)が一緒に暮らしている。兄の身重の妻(田中美里)と肺病持ちの居候(山西惇)も同居していて、質素ながらも平和な生活が営まれている・・・ように見えるが、実は父親が死んでから、兄は“空っぽ”になってしまっていたのだ。
≪ここまで≫
前半は「坂東三津五郎がこんなこと、あんなことヤっちゃうから面白い」みたいなムードを盛り上げているような気がして、ちょっと入って行きづらかったんですが、片桐はいりさんが登場して坂東さんと対話する頃からグっと面白くなりました。
本谷有希子さんの脚本はやっぱり狂ってて面白いな~と思い、その脚本をイイ大人がはしゃぐエンタメ作品に仕上げた倉持さんも素敵だな~と思いました。ただ、私の好みの作風ではなかったですが。
ここからネタバレします。
心が空っぽの男(坂東三津五郎)とか、痛いと思った気持ちを箱の中にいれる男(酒井敏也)とか、誰かをダシにして暇を潰さないと生きていけない男(山西惇)とか、それぞれにおかしな性質をもった登場人物ばかりでしたね。でも深刻になりすぎず愛嬌があるので、好きになれるキャラクターばかりでした。
「空しい!」とさけびながら砂利の上で地団太踏むのがすっごく良かったな~・・・。「全く何もない」と感じた時、そこから「空しい」っていう感情が生まれちゃうんだから、人間って可愛いですよね。
必死で隠そうとしていた(酒井敏也さん演じる男の)箱の中身が実は“空っぽ”でした。ラストは箱の中に入っていたさまざまな“感情”が一気に外に飛び出して、男(坂東三津五郎)がそれを全身で味わっているように見えました。
面白くなったり、怖くなったり、可愛くなったり、色んな存在に変化していらした、片桐はいりさんが素晴らしいなと思いました。
≪亀有、水戸、岐阜、愛知、山口、東京≫
出演=坂東三津五郎、田中美里、片桐はいり、酒井敏也、山西惇、近藤芳正
脚本=本谷有希子 演出=倉持裕 美術=松岡泉 照明=清水利恭(日高舞台照明) 音響=高塩顕 衣裳=今村あずさ 演出助手=山田美紀 舞台監督=村岡晋 宣伝美術=タカハシデザイン室 宣伝写真=清水博孝 宣伝=吉田由紀子 制作=藤野和美 制作協力=トータルステージプロデュース、トップシーン プロデューサー=近藤芳正 企画=劇団ダンダンブエノ 『砂利』オリジナル・サウンド・トラック=ハンバート ハンバート
【発売日】2007/05/06 前売6500円 当日6800円(未就学児童の入場不可)
http://www.dandanbueno.com/
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