岩井秀人さんが作・演出・出演されるハイバイの『再演とプレビュー』2連発公演(ハイバイおよび岩井さん関連記事⇒1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11)です。
まずは再演「ポンポンお前の自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン」を拝見しました。上演時間は約1時間45分。
客席が舞台をL字型に囲みます。私は側面の席で拝見しましたが、たぶん正面の席の方がいいんじゃないかな~。
⇒CoRich舞台芸術!『再演とプレビュー』
≪あらすじ≫ CoRichより
ファミコン好きの少年が、恐ろしいファミコン屋で騙された(違うカセットをつかまされる)ことから、おしっこをもらしたり兵隊さん達の妄想に襲われたりといった超常体験を経て、家族や友人のありがたみを知る。お母さんは町内新聞の記者として、品川カンパニーという市民劇団に行き、演劇のおそろしさを知る。地味ながらも、ハイバイが「年齢ギミック」「トラウマ遊び」という、一つの方向を見いだした記念碑的作品の再演!
≪ここまで≫
劇場に入るとすでに舞台では演技が始まっていました。アトリエヘリコプターには何度かお邪魔しているので、仲間が集まる隠れ家的なムードを味わって「いつもの場所に帰ってきた」ような気分にもなりました(あつかましくてすみません)。でも同時に、あまりにリラックス・ムードが漂いすぎているようにも感じました。「これ、本番だよね?」ってちょっと不安になったりも。
2つの家族が描かれるシーンでは勝手にいろいろ悩んでしまって、楽しむよりも考える状態だったのですが、“品川カンパニーという市民劇団”の稽古場シーンで悩みも何もかも吹っ飛びました。ヘナチョコ稽古はものすごくシュールで何度も苦笑・失笑しつつ、人間観察をするようにじっくり深く拝見できました。舞台の外で待機する役者さんとの関係も、劇中劇の入れ子構造がさらに広がったものとして効果的に感じました。
岩井さん演じる演出家・品川(私は初見)は受け入れづらい人物ではあるのですが(苦笑)、「そんな信条があるなら、そう考えるのは当然だよね」と共感(っていうか納得?)できるところが何度もありました。これは新しい発見だったし、すごく面白かったです。
元祖ファミコン関連グッズがいっぱい登場しました。しかもちゃんと動いてるし(笑)。私は世代的にど真ん中ですけど、10代の人は見たことないのかも。スーパーファミコンも今となっては懐かしいですものね。
ここからネタバレします。
最初に目に入ったのは懐かしいファミコン(GOONIES)をする小学生らしき男の子2人(黒田大輔&浜田信也)と、落ち着いた女の人(大久保亜美)でした。女の人が姉なのか妹なのか母なのかわからなかったんですが、セリフを聞くと母親役でした。
若い女性に若々しいまま母親を演じさせるという「年齢ギミック」かと思ったら、次のシーンでは存在そのものがお母さんらしい女性(市子嶋しのぶ)と、ちょっとお父さんには見えづらい若い男性(金子岳憲)が登場して、夫婦を演じられました。ここで演出の意図がわからなくなって、どのように受け取ればいいのかを迷ってしまいました。私の考えすぎなのでしょうけど。
劇団(品川カンパニー)のお稽古シーンで、私は初めて岩井さん演じる“品川さん”を見ることができました。岩井さんの品川役は負けずぎらいの暴君というキャラクターをわかりやすく表現するだけでなく、色んなものを背負って数十年生きてきた人物として味わうことができる演技を見せてくださいました。感情の触れ具合や(彼の信じる論理的)思考の方向などを追うことができ、結果、そのシーンで演技する全員について一人一人の人間像を観察できることになりました。
吾郎(黒田大輔)をいじめているとしか思えないサディスティックな態度をとっていた欽一(浜田信也)が、最後はファミコンの道具を持って吾郎の家に行き、吾郎がやってしまったのと同じように自分もおしっこをもらして「一緒に遊ぼうよ」と言います(セリフは正確ではありません)。わかりやすくてちょっと微笑ましいエンディングで、現在のハイバイの作風とは少し違うように思いました。劇団の変遷を感じられて良かったです。
劇団員の山田(師岡広明)が偽のタバコを吸ったり握ったりするのが超おもしろかった(笑)。あと、ガオウ役を演じる劇団員・米田(永井若葉)の、あの付け鼻と言葉も強烈ですよね(笑)。あきらかに日本語じゃないのに通じてるし。とにかく劇団の稽古場シーンはツボに入ることが多かったです。
出演=黒田大輔(THE SHAMPOO HAT)、浜田信也(イキウメ)、大久保亜美(mon)、金子岳憲、市子嶋しのぶ(カムカムミニキーナ)、岩井秀人、三浦俊輔、師岡広明(豚肉3カイキ)、永井若葉
脚本・演出:岩井秀人 照明協力:松本大介(enjin-light) 音響協力:荒木まや(ステージ・オフィス) 特殊衣裳:坂東智代(Chacotto) 本番撮影:TRICKSTER FILM 舞台写真:岩井泉 票券管理:有田真代(背番号零) 当日運営:田辺恵瑠 制作協力:原田瞳(tsumazuki no ishi) 制作:三好佐智子
【発売日】2007/06/15 前半期間(7/24~30)前売り2000円 当日2500円 後半期間(8/1~5) 前売り2500円 当日3000円 ※プレ公演「兄弟舟」では終演後にお客様からアンケートを500円で買い取るキャッシュバックつき!
http://hi-bye.hp.infoseek.co.jp/
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