ハイバイ2連発公演。「ポンポンお前の自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン」に続いて「兄弟舟」を拝見しました。
う~ん、ここまで作風が違うと2本でお腹いっぱいですね(笑)。私は『兄弟舟』の方が好きかも(←変わってるって言われたりも)。
ギリギリ入場だったに今回は運良く(?)正面の席をゲット。上演時間は約1時間50分。「兄弟舟」では終演後にアンケートを提出すると500円で買い取ってくれます。
両演目とも8/1からチケット代が500円高くなるので、早めにご覧になるのがお得。
⇒CoRich舞台芸術!『再演とプレビュー』
レビューは後ほどアップ予定。アップしました(2007/08/09)。
≪あらすじ・作品紹介≫ CoRichより
伝説のヤクザ、若葉はカタギになることを決め、組への恩返しとして、ライバルの親分を暗殺しようと決める。その暗殺作戦のためには、若葉を敬愛する弟分の佐藤の彼女をおとりにしなくちゃいけない。果たして若葉は修羅場を乗り越えて、無事にカタギになることができるのだろうか。謎の若者二人がノンキに事件の渦をかき混ぜ、事態は血で血を洗う凄惨な感じになりそうだ!
≪ここまで≫
どう見てもヤクザらしくない女ヤクザ・若葉(永井若葉)と、彼女を慕って支える、見るからにヤクザな男・山田(田中伸一)。本物のヤクザかと思ったらどうやらちょっと嘘っぽい・・・。
わざとおどけた残酷シーンとか、セリフを少なくした心の葛藤シーンとか、演出内容も盛りだくさんで、ストーリーも込み入ったものでした。戸惑ってしまってついて行けなくなりそうなところもありましたが、思わずハっと驚きの声を漏らしたり、感情が胸にグっと飛び込んで来て涙がこぼれたりもして、豊かな観劇体験になりました。
こういう濃ゆ~い作品は1時間強ぐらいの短時間上演にすれば、より多くの観客に好かれるんじゃないかと思います。
「ポンポン・・・」よりも舞台と舞台の外との境界がはっきりしていて、役者さんもパキっと演技を変化させていたのがカッコ良かったです。特に内田慈さんの酔っ払い登場シーンは素敵でした。
ここからネタバレします。※セリフは正確ではありません。
若葉と山田、そして彼らのライバルとされていた組長(猪股俊明)と殺し屋(坂口辰平)は、実は4人で一緒にヤクザごっこをして生きている仲間でした。ごっこ遊びの方が本当の人生で、食べるためのバイト生活の方がかりそめの姿という、ダメな大人たちだったのです。凝りに凝った設定だな~と関心しましたが、もうちょっと早い内にその仕掛けを知っていれば、もっと楽しめた気がします。
若葉が山田に「ヤクザ(の振りをするこのグループ)から足を洗うかもしれない」と打ち明けるシーンが、一番初めの泣けるポイントでした(ここで泣くのはヘンかもしれないけど)。山田が本気でショックを受けて、(若葉がグループを抜けることを)いやがっているのが伝わってきたからです。山田の若葉への愛情の強さに胸打たれたのではありません。山田の身体から吹き出した本当の気持ちに対して、若葉が(山田が自分を愛しているのだと勘違いして)喜ぶ気持ちを取り繕うようにするという、2人のコミュニケーションが生き生きと伝わってきたからだと思います。
若葉がフリーター2人(師岡広明、岡田昌也)と一緒に幻覚作用のあるキノコをハコぶシーンで、若葉があんなに思いっきりレイプされるとは思いませんでした。「おっぱいが片方ない」とか「化けモンだ(陰毛がちょっとヘンだから?)」とか、セリフも敢えて際どいものを採用していたようですが、私には少々きつかったですね。それはフリーターの2人の存在感がリアルだったからかも・・・。
若葉をレイプして妊娠させた若者(岡田昌也)が、肌に赤い斑点が出てくる病気になって、なぜか奇妙なバットのような形に変化して死んでいたのは可笑しかった。あれは心の奥で笑えました。
若葉から赤ん坊(金子岳憲)が生まれたのにびっくり。大人の男が紙おむつだけ着て出てきちゃったよ(汗)。さらに2人目(黒田大輔)が出てきたのには、びっくりするよりも苦笑するしかなかったですね(笑)。
巨大な双子を生んで瀕死の状態になった若葉は、自分を抱いて支えてくれる山田に、自分が観た夢の話をします。抱き合う2人を観ただけで若葉の切ない片思いの気持ちが痛いほど伝わってきて、じわ~っと泣きそうになったのですが、若葉が語る夢がラブ・シーンにひどくそぐわない内容だったため、すっかりその涙がひいてしまいました(苦笑)。
山田の胸の中で彼への愛を告白したいはずなんだけど、若葉は「(夢の中で)山田さんが呼ぶんだけど、そこには絶対行きたくないの!」などと連呼します。山田もただ無理矢理なだめようとして、全く同意していないのに「そうだね」などと相槌を打ったりするんです。しばらく聞いている内に、あまりの気持ちの通じなさにあきれて、切なくなってしまいました。2人とも伝えたいことは胸の中にちゃんとあるのに(例:若葉「自分はどうなってもいい、報われなくてもいい、ただ、誰よりもあなたを愛してます。」/山田「あなたのことはすごく大切だけど、愛することはできません」)、コミュニケーションが下手すぎてトンチンカンなんですよね。あぁ、こんなに相手のことを思いやって、捨て身で愛しているはずなのに、ことごとく、伝わらない・・・。人間はなんてバカなんだろう、なんて不恰好なんだろう、と、居心地の悪さを通り越して開き直るしかなくなったような感覚で、胸が熱くなりました。
出演=永井若葉、田中伸一(開店花火)、内田慈、猪股俊明、坂口辰平、師岡広明(豚肉3カイキ)、岡田昌也、金子岳憲、黒田大輔(THE SHAMPOO HAT)
脚本・演出:岩井秀人 照明協力:松本大介(enjin-light) 音響協力:荒木まや(ステージ・オフィス) 特殊衣裳:坂東智代(Chacotto) 本番撮影:TRICKSTER FILM 舞台写真:岩井泉 票券管理:有田真代(背番号零) 当日運営:田辺恵瑠 制作協力:原田瞳(tsumazuki no ishi) 制作:三好佐智子
【発売日】2007/06/15 前半期間(7/24~30)前売り2000円 当日2500円 後半期間(8/1~5) 前売り2500円 当日3000円 ※プレ公演「兄弟舟」では終演後にお客様からアンケートを500円で買い取るキャッシュバックつき!
http://hi-bye.hp.infoseek.co.jp/
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