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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年08月25日

THE フォービーズ『夏海とツバサの離婚★旅行』08/24-26笹塚ファクトリー

 THE フォービーズ吉本興業に所属される方々が旗揚げした劇団のようです。第11回公演ということで、2005年の旗揚げからかなりの本数を上演されているんですね。

 お笑い芸人さんがゲスト出演されたり(配役があって演技もされます)、開演前に芸人さんが前座をつとめたり。上演時間は約2時間。客席はほぼ満員。空調がちょっと寒かったかな。

 ⇒CoRich舞台芸術!『夏海とツバサの離婚★旅行
 ⇒T★1演劇グランプリ・第一次審査通過団体です。
 レビューをアップしました(2007/08/26)。

 ≪あらすじ・作品紹介≫ CoRichより。とても詳しいあらすじです。
 幼馴染の夏海とツバサは、高校時代に付き合い、そのまま結婚。しかし、結婚から10年後・・・夫婦関係は冷め切っていた。仕事が忙しく、妻の夏海に構ってやれないツバサ。会話は朝と夜の挨拶のみ。夜の営みは半年に一回にまで激減。いつまでも新婚のようなラブラブ生活を夢見る夏海は、現在の夫婦関係に不満を抱いていた。そんな2人がひょんなことがキッカケで離婚することになる。二人は夏海の親に離婚の報告をするために故郷へ帰る。しかし、皮肉にも夏海の親は結婚記念の旅行へ行っていた。ボウリング場とショッピングモールくらいしかない田舎町。東京へ帰る電車はなく、二人はしぶしぶ同級生のごっさんが経営するその町、唯一のホテルに泊まることに・・・

 ごっさんはテンションアゲアゲで大歓迎!しかし、ごっさんに離婚したことがバレたくない夏海とツバサは仲のいい夫婦を演じる。が、ごっさんがいなくなった途端、気まずい雰囲気・・・翌日、朝一番の新幹線で町を出ようと決意する2人だが、ロビーにいたのはノリノリごっさん!思い出の地を巡る懐かしツアーを企画したからみんなでまわろう!と、張り切っていた。夏海とツバサは渋々、ごっさんに乗っかることに・・・

 思い出の地を巡りながら、過去の夏海とツバサ、そしてその2人に関係してくる同級生たちのバックボーンを掘り下げていき、夏海とツバサがどういう経緯で付き合うようになり、結婚まで至ったかを現在と過去のカットバックでみせていきます。過去を掘り下げていくうちに次々と新しい事実が明るみになっていき、離婚旅行をすすめる夏海とツバサは、再度互いの愛をみつめなおすのであった。果たして夏海とツバサは離婚旅行を終えたとき、何を感じ、2人の関係はどうなるのか?そのポイントが今回のストーリーの見所でもあります。

 ゲストには、吉本の若手芸人、アップダウンを招き、吉本新喜劇とは一味違う、笑い+感動芝居をお送りします。
 ≪ここまで≫

 「笑っていいとも!」な感じのセットで、役者さんがコスプレっぽい衣裳をどんどこ着替えて登場します。体操みたいなダンスがあったり、とにかく大声で客席に向かって叫んだり、急展開する時に皆がそろって同じポーズで床で足を鳴らしたり。BGMがめちゃくちゃ多かったですね。何か説明するようなメロディアスな音が常に鳴っているような状態。

 離婚を決心した結婚歴10年のカップルの現在と過去(高校時代)とが交差するドタバタ恋愛コメディーで、お笑いのネタのためのシーンが盛り沢山でした。セリフは容易に次の展開が予想できる使い古された言葉の連続で、わかりやすさを狙っている以上のわかりやすさでした。全く何も考えないで観て、脈絡に関係なくその時どきのネタで笑うことを意図しているのかなと思いました。

 「テレビ的」で「キャラクターが個性的」という劇団の特徴を生かすべく、今回は「マンガ」をキーワードにして作品作りをされたそうです(パンフレットより)。私はテレビをあまり見ないので、どこが「テレビ的」なのかははっきりとはわからなかったですが、間髪居れずに何かしらドカドカとやり続ける状態は、バラエティ番組に似ているのかもしれません。だとしたら上演時間が長すぎますよね。再現ドラマの連発のようでもあったので、せめて1時間30分弱であって欲しかったです。

 若い頃の夏海役の岡田亜矢さんはモーニング娘。の安倍なつみさんに似てるな~って思いました(一緒に観た人は「モー娘。なら藤本美貴の方が似てる」って言ってたけど)。可愛らしいんですが、膝が外向きに開くのが気になっちゃいました・・・。

 クスリとも笑えない私をよそに、客席には笑いがいっぱい起こっていました。
 終演後に次回公演の宣伝映像が流されました。タイトルも内容も主役も決まっているようで、そういう観客へのアピールは良く出来ているなと思いました。

 ここからネタバレします。

 例えば白鳥財閥の一人娘・白鳥桜が登場する時は、その手下2人も含めて3人で「オーーっホッホッホッ!」と必ず言います。キャラクターの味付けがくどかったですね。個性的なのではなくステレオタイプなのだと思います。

 設定やセリフにひっかかることが多々あり。結婚して10年も経つカップルが「新婚時代の新鮮さを保ちたい」なんて思わないよな~(せめて結婚して3年とかなら納得できるかも)。10年も経ってるならまず子供が居るでしょう。子供が居ないなら、妻は何より子供について悩んでいるんじゃないかな~。「PTAよりお知らせです」と、PTAが学校放送をするのはありえないよな~。「母子家庭!(笑)」ってセリフは、母子家庭を思いっきり蔑視してるよな~・・・などなど。遊び半分のような状態で差別発言が出てきて、それを観客も笑うっていう状況が恐ろしかったです。

~MAJIで恋するフォービーズ~
出演=青柳佑弥、アッハー小泉、阿山真也、いぐちしおり、伊藤真奈美、今村聡、及川勝、岡田亜矢、高平圭、宮本徳子、一ノ瀬亮太、藤原透、水野以津美、若原富実男、石垣枝里、倉田あすか、藤原玲子、阿部浩貴(アップダウン)、竹森巧(アップダウン)
【脚本】小杉四駆郎 【演出】堀江B面 【企画・制作】吉本興業 【音響】眞澤則子(パーツスタジオ) 【照明】日高勝彦(日高舞台照明) 【映像】関純子 【チラシデザイン】上屋敷拓巳 【イラスト】藤内愛子 【ホームページ】新浦大蔵 【美術】馬場克之(ビーステージ) 【舞台監督】MR. UZAI 【プロデューサー】萩原靖高(吉本興業)
【発売日】2007/07/01 前売り2500円、当日3000円。全席自由。
http://www.the4b.com

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Posted by shinobu at 2007年08月25日 13:32 | TrackBack (0)