世界からSFファンが集まるというワールドコンは世界的なイベントで、日本で開催されるのは初めてだそうです。演劇企画の初日に4本全部を拝見してまいりました~♪あぁ、1日4本お芝居を見るなんて、いつ振り?いや、もしかしたら初めてかも?
⇒CoRich舞台芸術!『他人の気持ちがわかりません』『アカシア』『ソラリス』『孤独の惑星』
会場にたどり着くまでがけっこう大変です。展示ホールAコンコースで受付を済ませてから、会議センターに移動して4階419号室に行ってください。受付が・・・ものすごく大変そう(私はお友達のおかげでスムーズに入れましたが)。長蛇の列でした。1時間ぐらい並ばなきゃかも。レストランは6階にあります。
ひとことで状況を言ってしまえば「会議室でのお芝居」ですね。劇場ではなかなか見かけることのないお客様(SFファンの外国人)が多数いらして、すべて英語字幕付きで、かなり貴重な体験でした。
演劇がこういうコンベンションで上演されていることがとても楽しかったです。入場料を払えば誰でも自由に出入りできるので、フラリと立ち寄る方もいらっしゃるんです。それが刺激的~♪
だから私にとっては、作品の良し悪しなどはあまり関係なかったかも。パシフィコ横浜のSF大会で日本人が演劇をやってること、それを世界のSFファンの方々が観ていることが、最高に面白かったです。
なぜかG.com東京ファンタスチカ(これ以降はG.comと略します)だけ90分という長い尺でしたが、それ以外は1時間弱~1時間10分ぐらいだったかな。G.comと東京デスロックの2劇団がレム作『惑星ソラリス』を題材にしていますので、観比べると面白いですよ。その場合はG.comを先に観ることをお薦めします。東京デスロックは難解で、原作を知らないとわからないと思います。
ここからネタバレします。
■箱庭円舞曲『他人の気持ちがわかりません』~Silent farce by mind reader.~
刑務所の中で3人の死者が出る。ある受刑者(五十嵐祭旅)が「全員殺した」と自白し、犯罪心理学者(阿部恭子)と捜査員(爺隠才蔵)が彼を問い詰めるが、彼は「俺は人の心が読めるのだ」と言う。
宇宙だとか近未来とかではなく、身近な誰かがエスパーかもしれないというSFなのが面白かったです。役者さんの演技は全体的におぼつかない感じ。
受刑者の首を刑務官(田保圭一)が縄で絞めているのに、捜査員がそれを全く助けようとしないのが、どうしても腑に落ちませんでした。
※字幕:英文が日本語の意味を直訳したようなもので少々ヘンだった。セリフ1つごとにスライドが進むので早すぎた。
■G.O.D.system【ANDROGYNOUS】(アンドロギュノス)『アカシア 2007改訂版』
近未来の東京。密室でクイズに答えて戦う男女。負けた方が死ぬ。
男女2人が天才で、お互いに出題するクイズとその答えが面白すぎ(笑)。膨大なセリフをがんがんしゃべる、たった2人の役者さんのがんばりに乾杯。映像もシンプルながら効果的でした(最後のアニメを除く)。
「これは最初から俺達2人を戦わせるために仕組まれた罠だった」とわかるまでが、少々長くてクドかった気が。最後のアニメは不要かと。せっかく役者さんががんばって作り上げた演劇空間が、ちゃちくなっちゃったような。
※字幕:男「・・・」女「・・・」男「・・・」のように、セリフ数個をまとめて1枚のスライドだったので、読みやすかった。でも字が小さすぎた。
■東京デスロック『ソラリス』
先日のこまばアゴラ劇場での公演とほぼ同じ。もちろんプールはありません(笑)。
開幕時、部屋のカーテンを上げてすぐ下げたのは、いきなり演劇ムードに転換させる、大胆で効果的な演出だったと思います。
役者さんの存在感の確かさは4団体の中でダントツ。特にハリー役の石橋亜希子さんの美しさに目を奪われました。床に寝そべってる時にうっとり眺めてしまった。
※字幕:論外(笑)。舞台中央の壁のど真ん中に映写される字幕が、パカパカ早く変わるせいで気が散って、終盤まで全く集中できなかった。
セリフ1つごとにスライドが進むので早すぎた。そもそも役者さんが早口でしゃべるので、ほんと早すぎ。ヤバイ。訳もちょっとヘン。
■G.com東京ファンタスチカ『孤独の惑星』
もっとも劇場らしい作品に仕上げていたのがこの劇団です。たぶん「SF演劇が上演される」と聞いて足を運んだSFファンが、素直に満足できるのは4本中だとこの作品なのではないかと思います。
舞台に向かって左側に字幕。中央の壁には青や赤のイメージ映像が写されて、見事な照明効果にもなっています。衣裳も全員がそれらしいものをそろえていて、着替えてくれたりも。配られた冊子も充実していました。
東京デスロック版の直後だったのもありますが、ど真ん中・直球メロドラマで、私には・・・あんまりでした。「愛してる」って何度も言うんだけど、浅い。
※字幕:英語らしい英語に訳されているし、スピードも読みやすい。素晴らしかったです。これなら外国人の方にもお薦めできます。
World Science Fiction Convention(ワールドコン)演劇企画@会議棟419号室。各団体60~80分の作品を連日1ステージずつ上演。すべて英語字幕付き上演。
≪箱庭円舞曲≫出演:阿部恭子 爺隠才蔵 五十嵐祭旅 田保圭一 脚本・演出・前説:古川貴義
≪G.O.D.system【ANDROGYNOUS】≫出演:野口雄介 高橋沙織 スナアセ・演出:森達也 演出助手:増山千花 映像:上理人
≪東京デスロック≫出演:夏目慎也、佐山和泉、石橋亜希子、大竹直、永井秀樹 脚本・演出:多田淳之介
≪G.com 東京ファンタスチカ≫出演:浦河拓海 佐藤晃子 内藤羊吉 星野祐介 田谷淳 水谷渚子 袴塚真実 重盛玲架 脚本・演出:三浦剛 舞台監督:秋吉孝倫 映像:長谷川朋史(OZab) 振付:渡部あや 脚色・アレンジ:岡田久早雄 水牛健太郎 荒川直美 中田智子 小寺悠介 演出助手:大河原準介(LondonPANDA) 制作:中島みゆき 木ノ内優希
製作:新道喜一郎 舞台監督:秋吉孝倫 制作:瀬尾純子 撮影:宮内智徳 大瀧光司 協力:木元太郎 小山与枝乃 浅岡奈緒子 本田あゆみ 増戸香織 田邉恵弥 山本麦子 王子小劇場 駒場アゴラ劇場 Nippon2007実行委員会
【一日参加券】・8月31日(金) 20歳以上15000円/13~19歳10000円 ・9月1日(土)、9月2日(日) 20歳以上20000円/13~19歳16000円
※「SFドラマシアター」のみの料金はございません。ワールドコン参加料金が必要です。 ※その他、5日券(ワールドコン会期8月30日~9月3日有効)あり。
【横浜市民割引】(証明書不要・住所記入あり)
・8月31日(金)20歳以上3000円/13~19歳1500円 ・9月1日(土)、9月2日(日)20歳以上6000円/13~19歳3000円
※横浜市民割引ご利用の場合は、 当日ワールドコン受付にて口頭で申請・確認、証明書は不要です。 ※参加者に比べ、ワールドコン参加特典やサービスに制約がありますが、「SFドラマシアター」観劇には支障ありません。
ワールドコン公式=http://www.nippon2007.org/jpn/index.shtml
サポーター=http://www5b.biglobe.ne.jp/~TOWAIE/2007nen/07SFDT.htm
fringe blog= http://fringe.jp/topics/2007/07/091.html
cinra magazine vol.14【世界の劇団 が参加するイベント】=http://cinra-magazine.net/vol.14/CONTENTS/STAGE/SF.HTM
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