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2007年09月29日

ひょっとこ乱舞『トラビシャ』09/23-10/03こまばアゴラ劇場

 広田淳一さんが作・演出されるひょっとこ乱舞(過去レビュー⇒)。やっぱり何度読んでも面白い劇団名ですよね。

 上演中に携帯にメールが届いたり、観客からも送ったり(!)、ラジオで放送を聴いたり、チャレンジングな趣向がいっぱい!上演時間は約1時間30分。この短さも気持ちいい!終演後のトークはおまけ要素がいっぱいで(笑)楽しかった~。

 ⇒CoRich舞台芸術!『トラビシャ

 ≪あらすじ≫ 少々ネタバレあり。でも読んでから観に行っても問題ない程度だと思います。
 床に女の子が転がってる。どうやら死んでるっぽい。たぶん殺したのはその娘の母親ピンチ(草野たかこ)。ピンチはどうしようか迷って、頼れる誰かに電話するんだけど、どうにもこうにも、何もかもが面倒くさい。そこで、ネット上の掲示板『トラビシャ』に相談を投げかけてみることにした。
 ≪ここまで≫

 白いすべすべした床。装置は何もありません。客席が2方向から舞台を挟みます。完全に対面式なので、向かい側のお客様の様子もよくわかる状態。そこで携帯メールを送るのってちょっと恥ずかしいんですが、やってみると結構目立ってないみたい。送ると本当に反映されるので楽しいですよ♪

 チラシに「テキは面倒くさいにあり」というキャッチコピーがありましたので、それをヒントに観劇しました。面倒くさいと思う事柄から逃げたり、むしろ没頭したり、色んな人々のそれぞれに個性的な嗜好(人生)を眺めて楽しみました。

 ダンスというか群舞というか、あ、乱舞か(笑)。それが見ごたえがありました。同じ動きをしているようで、それぞれがすごく個性的。全く手抜きをしていないのが清々しい。じっくり眺めて色んな想像ができました。
 衣装とヘアメイクもこだわりが感じられました。シンプルな美術にカラフルな色あわせが映えます。

 ただ、ストーリーや構造についてはまだまだ、もっともっと面白くなるんじゃないかな~と思いました。新しいチャレンジもいっぱいされてますしね。また次回に期待したいと思います。

 終演後のトークでは、作・演出・主宰の広田さんが単独で舞台に出てこられるのですが、ラジオからキャストの方々がチャチャを入れ続けるのすごく可笑しいです。副音声(の人々)が強烈すぎて、肝心のトークを聞いてられないほど(笑)。本末転倒な気もしつつ、それはそれでとても楽しかったです。おまけライブだと思って参加すると良いのではないでしょうか。質問もその場でメールで送れますよ。挙手するのが恥ずかしい人には絶好の機会!(でも毎回終演後にトークがあるのかしら?それは公式サイトにも載ってないみたいですが)

 ここからネタバレします。

 ナジミ(チョウソンハ)とイチゲン(伊東沙保)が劇の外側に存在し、ピンチおよびその周りの人々についての物語を解説しながら、観客をナビゲートしていきます。ナジミとイチゲンの位置づけは、目的によってもっと細かく分けて、洗練させていけるのではないでしょうか。また、彼らの世界を肉付けする方向にも進んで欲しい気もしました。せっかくの看板俳優2人なのに、活躍が少なかったように思います。

 死んだアカネ(中村早香)がなぜかカップヌードルの卵(中に入ってる具)になって復活するシーンは面白かったです。ゴスロリ・ルックの中村早香さんが、卵役の伊東沙保さんとエビ役のチョウソンハさんが掛け合うセリフに合わせて、無言で機敏に動きます。ちょっと歌舞伎みたい。“面倒くさい”ってことがテーマなのに、カップヌードルの中身なんていうどーでもいーことについて、あんなに真剣に楽しそうにやっちゃうっていう矛盾が面白かった。

 全員で乱舞するシーンは、一人ずつが定位置でほぼ同じような振付で踊ります。繰り返しも多いです。退屈だとか面倒くさいとか色々悩みながら生きている私達ですが、結局やってることはあまり代わり映えしないもので、みんな一緒に同じことを繰り返しているんですよね。でも、その人なりに本気で生きている人生だから、同じこと(踊り)をやっててもどうしても個性が出てきてしまう。だからやっぱり人間って可愛いんだよね・・・な~んて、役者さん全員が全力で踊り続ける姿を見て、そんなことを想像しました。女性の露出した肩から背中が美しかった。

出演=チョウソンハ、伊東沙保、中村早香、橋本仁、高橋恵、西光カイ、笠井里美、草野たかこ、松下仁、根岸絵美、西川康太郎(劇団コーヒー牛乳) ※コスゲヒロシは怪我で降板。
作・演出:広田淳一 舞台監督・美術:森貴裕(猫ノ手) 音響:角張正雄(SoundCube) 照明:三浦あさ子(賽【sai】) 照明補:大谷友香 ヘアメイク:増田加奈 宣伝美術:山代政一 内藤真代 web:遠藤径至 写真:大倉英揮 制作:柏戸綾 制作補:すなだまりこ 清水建志 田中沙織 国分譜美子 澄井葵  演出助手:北川大輔
【発売日】2007/08/01[前売] 一般2800円 学生2000円 高校生以下1000円 ☆平日昼間2300円 ペア 5000円 [当日]一般3000円 学生2300円 高校生以下1300円 ☆平日昼間2500円
http://hyottoko.sub.jp/

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Posted by shinobu at 00:57 | TrackBack

2007年09月27日

【レポート】セルゲイ・チェルカスキイ氏講演会「ロシア演劇教育の精髄(スピリット)―彼らは何をどう教えているのか?―」09/27みらい館大明JOKO演劇学校206号室

 昨年夏のワークショップでお会いした、ロシア国立サンクト・ペテルブルグ演劇大学・国際担当副学長セルゲイ・チェルカスキイさんの講演会を拝聴してきました。JOKO演劇学校での講義(約3週間)のために来日されているそうです。

 みらい館大明(みらいかん・たいめい)に初めて行ったのですが、行きも帰りも、もれなく迷いました・・・。事務室の人も不親切で、悲しかった(JOKO演劇学校のことではないです)。

 チェルカスキイさんは論理的にわかりやすく、ものすごく熱心に話してくださいます。そしてとっても優しい方。聞いてるだけで元気をもらえました。もちろん貴重な知識もあふれんばかりに教えていただきました。


 ■ロシア国立サンクト・ペテルブルグ演劇大学のシステムについて

 チェルカスキイ「1学年を25~30人のスタジオ(というクラス組)に分けると、1学年に3~4のスタジオが出来ます。1つのスタジオに1人の芸術監督(担任)がいて、芸術監督はムービング、アクティング、スピーチ、ダンスなどの科目について、専門の教師を任命する権限を持ちます。担当が決まったら、先生たちは自分の生徒たちが卒業するまで(4年間)、ずっと面倒をみます。芸術監督になるのは、サンクト・ペテルブルグの劇場の第一線で働いている俳優か演出家です。なのでアメリカの演劇学校と違うのは、学術的演劇人と現場の演劇人とが袂を分かつということがないことです。」

 チェルカスキイ「アメリカには州ごとに劇場や演劇学校がありますが、ロシアではモスクワとサンクトペテルブルグの演劇大学が主なので、2つの大学の卒業生が全国各地に散らばっていくことになります。だから6~7月の受験シーズンには、何千もの学生がモスクワとサンクトペテルブルグに押し寄せるのです。」

 チェルカスキイ「私が芸術監督をしていたスタジオを例に、スタジオシステムについてお話します。2006年卒業のスタジオでは4年間に4本の作品を作り、計80回上演しました。2002年卒業組みでは、7演目をレパートリーシステムで作り、120回上演しました。つまり作品や上演の回数に決まりはなく、芸術監督が自由に戦略を決められます。」


 ■俳優に絶対に不可欠なのは、自然(nature)との結びつき

 チェルカスキイ「バイカル湖近くのブリアチア(?)からの生徒を12人受け入れた時の話。村もしくは森(!)から来た者もいました。対してロシアの生徒達はほとんどが都市から来た者ばかりだったので、ものすごい違いがありましたね。最初はブリアチアの生徒をバカにしたように見ていたロシアの生徒たちも、同じ授業を受けるうちにどんどん変わってきたんです。というのも、ブリアチアの生徒は日々の生活が自然に密着したものなので、誠実さや有機的であることが当然のごとく身についていたから。彼らは俳優に絶対に不可欠な“自然との結びつき“を持ち続けていました。だからアニマル・エクササイズの発表の時などには、大勢の生徒が彼らの発表を観に集まったんですよ、もちろん、それがとても面白かったから。」

 チェルカスキイ「俳優を教えるのは教師だけではなく、経験であり、観客なのだと、彼らのおかげで再度学ぶことができました。実際、そのクラスはとても進度が早く、1年生の時に作品作りができたのです(通常は2年生の中間時期)。」


 ■俳優志望の生徒と演出家志望の生徒

 チェルカスキイ「1960~1990年代までは、俳優志望の生徒と演出家志望の生徒に別々の教育をしていました。でもこの10年で、同じ授業も受けさせるように変わりました。演出家にも俳優としての経験が必要だというのは、もういわば常識になっています。」


 ■前期スタニスラフスキーと後期スタニスラフスキーの違いについて

 チェルカスキイ「1909年にはじめてスタニスラフスキーが“システム”という言葉を使いました。ここでは“有機的生命の法則”という意味です。それはつまり“生きるということ”、“生きているものの法則”ですね。“人間のやることを素直に見て分析する。その結果を記号化して人間理解に役立てる”のです。」

 チェルカスキイ「スタニスラフスキー・システムは、今、自分の持ってる血肉がどう機能するかを学ぶところから始まります。舞台という不自然な場において、人間がどういうふうに機能するのかを知るのです。それは客観的な人間存在に対する理解を深めること。その法則のシステムには終わりがないのが大前提です。1950年代は、“スタニスラフスキー・システムは完成しており、一文字一句変えてはいけない”というような風潮がありましたが、それは間違いです。その時期にモスクワ芸術座の観客が激減して存続の危機が訪れたのは、偶然ではないかもしれません。」

 チェルカスキイ「スタニスラフスキーははじめ、演技方法を感情記憶(affective memory)から始まると考えていましたが、次第に※行動(action)から始まると方向も考え出し、1930年代からは、心的要素と身体的要素を分けるのは危険だと考えるようになりました。」
 ※日本語では「目的」「課題」と訳されることも多いそうです。ここでは「行動」としました。

 チェルカスキイ「1917年のロシア革命の後に、モスクワ芸術座のアメリカ公演がありました。そこでロシア人俳優の演技方法が有名になり、アメリカの演劇人が当時のロシアの演技方法を学んでいったのです。たとえばリー・ストラスバーグはフロイトの理論を用いてスタニスラフスキー・システムを発展させました。しかしながら、それは1917年頃のスタニスラフスキー・システムなので、1930年の頃とは違うものなのです。ですから、アメリカではよく“メソッド”と呼ばれますように、ロシアでは“システム”という風に、呼び方を変えています。」

 例:「亡くなった子供のことを思い出して、母親が泣く」という演技について
 スタニスラフスキー・システム(露):子供がなぜ、どんな状況で亡くなったかなど、深く掘下げて考えることから始める。
 リー・ストラスバーグのメソッド(米):自分のペットの犬が死んだ時のことなど、実際に自分が経験したことを思い出して泣いてもいい。でも本当に泣いていなければいけない。

 チェルカスキイ「スタニスラフスキー・システムとは、与えられた状況で、障害を乗り越え、心的・身体的に目的を達成すること。行動分析もあって、感情もそれに伴っていることが必要です。でも、これは舞台の演技には向いているけれど、映画には向いていないかもしれません。映画では全体を仕切るのは監督と編集者であって、俳優はストーリーさえ知らないかもしれないから(脚本が未完成だったりするから!)。だから映画では『とにかく5分間泣いて』と言われて、即座にそれを実践する技術は必要ですよね。それにはリー・ストラスバーグのメソッドが役に立つでしょう。つまり、2つは違う方法論であり、どちらが良いというわけではないのです。」


 ■日本人俳優について

 チェルカスキイ「日本の演劇人の方々からよく言われるのは、日本には演技を学ぶ機関がとても少ないということ。でも私が幼い頃に見た黒澤明監督の映画では、日本人俳優は素晴らしい演技をしています。もしあれが、教育を受けずにできたものなのだとすれば、日本人の中には豊かな芸術的側面が残っているのではないかと思います。」

 チェルカスキイ「日本人俳優や(JOKO演劇学校などの)生徒のクラスでは、私自身とても勉強になります。まだ短い期間しか日本に居ないのですが、私が感じているのは、日本人はとても感情が強いということ。でも日本は社会的制約が多いですよね。豊かな感情性を出せない状態にある。その障壁をやぶって、内側から外側へ爆発することができれば、とても面白くなるんじゃないかと思います。」


 ■芸術の創造は、苦しみとつながっている

 チェルカスキイ「芸術の創造は、苦しみとつながっているものだと思います。だからロシアには、歴史と繋がってできた偉大な芸術が存在しており、ロシアの演劇は娯楽ではないものになった。人生が抱えている一番差し迫った問題を扱っているのです。」

 チェルカスキイ「ロシアでは長きに渡って、演劇だけが言論の自由を保持してきました。19世紀の帝政時代も20世紀のソビエト時代も、いわば演劇が新聞の代わりでした。自由にものが言えるのは劇場ぐらいだった。人間の魂の永続性について語るのも、舞台でしかなかった。日本もそういうことに心を煩わせていた時代があったのだから、良い芸術が生まれる土壌があるのではないでしょうか。」


2007年9月27日(木) 午後6時~8時(講演は英語。通訳:松本永実子) 受講料1500円 参加者:12名(チェルカスキイ氏、通訳を除く)
「ロシア演劇教育の精髄(スピリット)」―彼らは何をどう教えているのか?― by ロシア国立サンクト・ペテルブルグ演劇大学・セルゲイ・チェルカスキイ教授
JOKO演劇学校(元劇団昴演劇学校):http://www.joko-acting.com/flashsite/
みらい館大明:http://www.toshima.ne.jp/~taimei/

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Posted by shinobu at 23:46 | TrackBack

【情報】扉座『ドリル魂』犬飼淳治さん緊急降板につき、岡森諦さん、茅野イサムさん、田島幸さんが出演決定

 扉座『ドリル魂(再演)』ツアーに出演中の犬飼淳治さんが急な事故に遭われて入院し、今週末にせまった東京・サンシャイン劇場公演を降板されました。代役として岡森諦さん、茅野イサムさん、田島幸さんが出演されるそうです。

 YouTubeで座長・横内謙介さんの「ご挨拶」動画が観られます。
 ⇒「犬飼淳治緊急降板につきまして 座長挨拶(YouTube)」

 『ドリル魂』は初演の評判がよく、次は観に行きたいな~と思っていたところなんです。残念ながら私は行けなさそうなのですが(涙)、ご興味の沸いた方はぜひ!まだ残席があるようです。

 扉座『ドリル魂-ガ・ガ・ガ・ガ・ガ-東京建築ショー・劇場編(火花は散るが、裸火厳禁!)』09/29-30サンシャイン劇場
 9月29日(土)19:00開演
 9月30日(日)13:00開演/18:00開演

Posted by shinobu at 13:54 | TrackBack

2007年09月26日

遊園地再生事業団『ニュータウン入口(本公演)』09/21-30シアタートラム

 宮沢章夫さんが作・演出される遊園地再生事業団の新作です。といってもリーディング公演、準備公演を経ての本公演。私は本公演のみ伺いました。

 宮沢さんの作品は何度か拝見しておりまして、「私にはわからないものなのよね~」という、半ばあきらめたような、開き直ったような(笑)気持ちで観に行くことにしています。

 上演時間は約2時間20分。私は前から2列目で空調がすごく寒かったです。後方だとそれほどでもないようですので、前方の席の方は寒さ対策をされると良いと思います。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ニュータウン入口(本公演)

 ≪あらすじ≫ というか、キャッチコピー。
 ニュータウン入口。または私はいかにして心配するのをやめニュータウンを愛し土地の購入をきめたか。
 ≪ここまで≫

 白い鉄骨の額縁の前に、区画された分譲地(ミニチュア)。鉄骨の後ろにも演技スペースがあり、そこでの演技はビデオカメラで撮影され、舞台中央の大きなスクリーンに生中継されます。きれいな正方形に分けられた床には土が敷いてあるスペースも。

 役者さんの立ち姿を観て、長い時間をかけて創作されたことがよくわかりました。役柄、というよりは作品が身体にすっかりしみこんでいるような、すごくしっくりくる佇まい。言葉も声も動きにも迷い(を含んだ大げささ)がなく、意味がわからなくても役者さんを観ているだけで退屈しない状態でした。

 ただ、とにかく私は寒くって・・・(涙)。2時間20分という上演時間にも萎え気味。でも最後まで観てよかったです。最後に東京(首都圏のニュータウン)と世界とが並列になって、地球の外からいろんな国や町を眺める視点を持つことができました。

 ここからネタバレします。

 ギリシア悲劇の名前をもった人物が登場します。最後にアンティゴネ(鎮西猛)がニュータウンの舗装された道を歩いている映像は、昔観た映画の「オイディプス王」を思い出しました。
 エンディングは映像でした。ニュータウン、森林(殺されたと思っていたハト〔二反田幸平〕が泳いでた)、そしてパレスチナの風景。

 建てて、壊して、埋める。それを繰り返してどんどん塗り替えられていく都市の暮らし。何を拠り所にして生きるのかを曖昧にしたままでいると、自分がふわふわと浮いた状態で落ち着かないんですよね。どうにか近場に居る人々と徒党を組むことで足場を固めようとする。でもその徒党っていう集合体はものすごく頼りないし、結局一緒になって揺れ動いて流れ続けるだけかもしれない。
 この作品に登場した人物(の一部)は“日本ダンス普及会”の仲間入りをすることで安定しようとしたみたいです。まあ私も似たことやってるのかもしれないですね。

 “日本ダンス普及会”に居たポリュネイケス(南波典子)が、最後の(直前の)シーンではその団体を去っていました。アンティゴネ(鎮西猛)の愛が彼女を支える柱になって、彼女は一人で生きていけるようになったのかしら。
 ※ポリュネイケスは戦死してるので、自立したのではなく、心安らかに成仏できた(だから消えた)のかもしれませんね(2007/09/27加筆)。


 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ メモったことのみ。
 出演=宮沢章夫・内野儀

 宮沢「東京で演劇をやることの困難を感じています。内野さんはそのことについてどうお考えですか?」
 内野「今の東京で何が起こっているのか(を描いてた作品だと思う)。歴史や記憶がないんですね。歴史と記憶がないと演劇は成立しないんです。例えばギリシア悲劇は過去のことをあーだこーだと言う記憶の劇だし、演劇自体が歴史の再現だったりします(それが今の東京にはない)。でも身体には記憶が残っているからダンスをやる(それが作品に登場する日本ダンス普及会につながる?)。いわば東京は、歴史や記憶がないことを忘却して、演劇をやっている状態なんですね。」
 
 内野「私は今日の客席に若い人が多いことに勇気付けられてるんですが(笑)。」
 内野「文化産業として演劇が成立したのはわりと最近のことで、これからもそれは続くと思うんだけど。産業としての演劇ではあきたらない人も出てくると思うし、いいものは残っていくとも思います。時間をかけて発明してきたものを観客はわかってくれると思う。」

 宮沢「そう思っていながらも、惑わされる。大きな劇場でやらなければいけないのか、とか。私は今50歳なんですが、80歳までアゴラ劇場でやっててもいいんですけど、それがダメなような空気を感じる。」
 宮沢「太田省吾さんがある一定の仕事をしてこられたのに、突然に亡くなられて・・・(とてもショック)。先行してやってくれていた人がいなくなって、僕がつかまっている場所がどんどんなくなっている気がしてならない。」

 内野「(私は宮沢さんに)アゴラでもやるけど、もう少し開かれたところでもできることを期待したいです。太田さん的な側面も持ちつつ、そんなにストイックに自分に禁止しなくても良いと思う。自分もちょっと前までは中間管理職のような仕事だったんですが、もう今はそういうわけにはいかなくて。ベタな話ですみません(笑)。だから(えらそうですが)宮沢さんの責任としてやるべきなんじゃないかと。ぜひやっていただきたいと思います。どちらもきちんとキャパシティがあるのは、これを言ったら怒られるかもしれないけど、宮沢さんだけじゃないかと思いますし。」
 宮沢「いつも内野さんに励まされてるんですよね(笑)。」

 宮沢「2001年の『TOKYO BODY』からずっとカメラで生中継をする演出をやってるんですが、観る人(観客)はもうこれは期待していないんじゃないかという不安に駆られます(同じ演出を続けているから)。」
 内野「太田省吾さんはずっと同じ方法(無言劇)を使っていて、見巧者ばかりが観客になると『なぜしゃべらないの?』と言いだす客がいなくなる(笑)。難しいところだと思います。消費されて先細りしていく。でも『どうしたら観客に笑ってもらえるか』を考えるようになったら、宮沢さんの良いところがなくなると思う。」

 内野「観客が自分で舞台を手繰り寄せることが演劇だと思います。今の(東京の)お客さんはそうでもないのかな。」
 宮沢「観ている人が、わりと積極的にこちら側を解釈・想像してくれるかを、(その可能性を)できるだけ広げようと思っています。」

 宮沢「もう新しいものは何もないとあきらめるのはつまらない。あきらめることから自由なのが演劇なんじゃないかと思います。」

 宮沢「なんだか人生相談みたいなトークになってしまいましたが(笑)。⇒終わりの言葉」

出演=齊藤庸介、佐藤拓道、鎮西猛、鄭亜美、時田光洋、南波典子、二反田幸平、橋本和歌子、三科喜代、山縣太一、杉浦千鶴子、上村聡(遊園地再生事業団)、田中夢(遊園地再生事業団)/若松武史 (本公演のみ)
作・演出=宮沢章夫 舞台監督=海老沢栄 照明=齋藤茂雄 音響=半田充(MMS) 美術=大泉七奈子 衣裳=岩倉めぐみ 映像=岸建太郎 今野裕一郎 井上真喜 舞台監督助手=鈴木拓 照明オペ=横原由祐 衣裳助手=三枝理恵 演出助手=大地泰仁 白井勇太 宣伝美術=斉藤いづみ 宣伝写真=有賀傑 Web制作=有馬称 制作=永井有子 製作=遊園地再生事業団・ウクレレ
チケット発売:2007年3月3日(土)10:00~ プレビュー (1)・(2) 整理番号付自由席(前売・当日共)各¥1,800/プレビュー (1)・(2) +本公演7500円/プレビューどちらか1公演+本公演6000円/本公演(全席指定)一般4500円・学生4200円
※本公演のチケットは引換券。7/21の一般発売日以降にチケット発券して発送。
※同時購入でなくても、プレチケットの半券持参でキャッシュバック。
http://www.u-ench.com/

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Posted by shinobu at 23:09 | TrackBack

劇26.25団『博愛』09/12-17王子小劇場

 杉田鮎味さんが作・演出される劇26.25団(ゲキニジュウロクテンニーゴーダン)は、ENBUゼミナールの赤堀雅秋(THE SHAMPOO HAT)クラスの受講生が集まって、2004年に旗揚げした劇団です。王子小劇場(およびその支援会員)のお薦めがあったので伺いました。

 とっても面白かったです。次回は3月に下北沢OFF OFFシアター。

 ⇒杉田鮎味さんインタビュー(Orlin)
 ⇒ワークインプログレス・レポート(Orlin)
 ⇒CoRich舞台芸術!『博愛
 レビューはアップできるかどうか不明。

出演=赤荻純瞬/長尾長幸/杉元秀透/高橋美保(タンク)/山本真沙代(ピリドキシン)/小嶋ユーリ/須藤真澄/森口美樹(ロスリスバーガー)/芳野ナマエ/林佳代/利斗流t.k.o (Oi-SCALE)/中川幸子(五反田団)
作・演出 :杉田鮎味 舞台監督:弘光哲也 舞台美術:袴田長武+鴉屋 音響 :島貫聡 照明 :井関直美 演出助手:メトロ=サスケ (ポリタン煉瓦亭) 宣伝美術:小向美実 宣伝写真・舞台撮影:鵜戸庚司 制作 :つがわん 広報 :長尾長幸・杉元秀透 企画・製作:劇26.25団
早割 1,800円 / 前売・予約・当日共 2,000円(日時指定・全席自由)
http://25dan.com/

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Posted by shinobu at 10:24 | TrackBack

ピチチ5『吐くな!飲み込め!甦れ!』09/14-18駅前劇場

 福原充則さんが作・演出されるピチチ5(クインテット)。大好きな劇団です(過去レビュー⇒)。千秋楽にやっとかけつけられました。

 これまでよりも悲しさがアップしてるな~と感じつつ、やっぱり笑って、最後はじんわり感動。

 ⇒CoRich舞台芸術!『吐くな!飲み込め!甦れ!

 ここからネタバレします。

■第1話『フォークの神様』
 1発屋だったフォークソング歌手とその妻。夫は売れない歌を歌い、妻は総菜屋の裏側(?)のようなところでパート。

 床の下から悪魔(山下純)が出てきてびっくり(笑)。こういう爆発が必ずあるのがたまらなく好き。
 でも最後は普通のしんみりになっちゃったように感じて物足りなかったかも。毎回紅一点の女優さんの印象にもよるのかもしれません。

■第2話『俺よ、さらば』
 ダサい職場仲間に彼女ができた。でもその女はこないだ助けた鳩だった。

 同じようなシーンを3度ぐらい繰り返すというコントの王道的な構成が新鮮。しゃべってる時よりだまってる瞬間が笑えて嬉しい。遠い目をする竹井亮介さんの表情が良かった。おむつをはいた子供(碓井清喜)が大迫力。

■第3話『2007年霧中の旅』
 零細工場の経営者とその娘。娘は重い病に倒れて・・・。

 これもまた驚くほどの王道悲劇。ステレオタイプなキャラクターをピチチらしくくずしているので笑えます。働かない見習い、日本語が流暢なブラジル人など。

■第4話『独裁ミー!』
 飲食系バイト風景。30代後半になった男たちの戦い。

 自転車の神様(大西智子)が出てきてきちゃったよ(笑)。アホみたいに光ってて嬉しかった。
 最後の大仕掛けには涙出ちゃいましたね。「自分が何をやりたいのかとか、人生の目標とか、自己実現とか、そんなのはもう考えたくない!俺は自転車が好きだ!自転車になる!」的なことを叫んで、本当に自転車になっちゃうんだもの。巨大な自転車(の廃材)につつまれた男(オマンサタバサ)が、客席までせり出していくなんて、あぁ、最前列の人がうらやましかったよ(笑)。

出演=植田裕一(蜜)/碓井清喜/オマンサタバサ(ゴキブリコンビナート)/竹井亮介(親族代表)/中西広和(温泉きのこ)/三浦竜一/三土幸敏(くねくねし)/吉見匡雄/山下純(こどもとあそぶ)/大西智子(あなざーわーくす)
脚本・演出:福原充則 舞台監督:中西隆雄 舞台美術:稲田美智子 照明:河上賢一 音響:中村嘉宏 劇伴:西山宏幸 大道具:岩田暁 小道具:笹野茂之 宣伝美術:岡屋出海 演出助手:新野彩子 写真:斎藤ジン  制作:三村里奈(MRco.) 企画製作:ピチチ5
全席自由席・日時指定・整理番号付 2,700円(当日3000円)★学生割引2,000円(学生証をご提示頂きます)/大人割引2,000円(40才以上、身分証をご提示頂きます)
上記、割引券は劇団予約、または当日券のみでの取り扱いです。
http://www.ne.jp/asahi/de/do/five3.html

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Posted by shinobu at 09:58 | TrackBack

2007年09月25日

【つぶやき】たざわこ芸術村でわらび座ミュージカル『小野小町』を観てきました!

20070924_tazawako.JPG
青く澄んだ田沢湖

 名前だけは知っていて観たことがなかったわらび座を、秋田県の角館(かくのだて)まで観に行ってきました!

 でも目的はミュージカル鑑賞だけじゃなかったのです。地ビールで名高いたざわこ芸術村のホテルに宿泊して、日本一深い美しいカルデラ湖・田沢湖も満喫♪

 10月に写真入りレポートをアップしますので、どうぞお楽しみに~♪

Posted by shinobu at 10:14 | TrackBack

2007年09月22日

ミクニヤナイハラプロジェクト『青ノ鳥』09/21-24吉祥寺シアター

 Nibrollの矢内原美邦さんが劇作・演出・振付されるミクニヤナイハラプロジェクト(過去レビュー⇒)。
 ダンサーがセリフをしゃべって会話をするのが新鮮で、映像演出もかっこいいです。でもなぜか今回は私にはあまり楽しめなかったな~。体調が絶好調じゃなかったせいかもしれませんが。上演時間は約1時間40分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『青ノ鳥

 オープニングの演技&ダンスに映像が加わっていくのがかっこ良くって、ゾクっと来ました。白衣の研究者が踊るっていうのもちょっと面白いです。

 セリフは意味を伝えることよりも声と行動がまっすぐ伸びてることが重要視されていたような気がしました(よくわかってないですが)。昆虫とかイルカとか鳥カゴとか、研究内容とか、境界線(border)について語ってるのかな~と、思いながら集中しようとしたんですが、セリフは早口で叫ぶ類が多く、聞き取れないし意味わからないし、「だったら意味なんて気にしないで、身体で感じることを受け取ろう」って思ったんだけど、私にとっては見とれるほどの動き(ダンス)ではなく・・・。

 私はダンスには詳しくないので、どうしても辛口の感想になってしまいます。「好みが分かれる」というのではなくて、「知らないからよくわからない」ということです。何に関しても言えることだと思いますが、詳しくない分野について深く考察するのって難しいですよね。あまり参考にならないレビューですね、すみません。

 ここからネタバレします。

 カゴに入ったらペットなのか、ペットになったら野生動物とは違うのか、音楽は音楽家のものなのか、ダンサーのしゃべるセリフは俳優のセリフとは違うのか、などなど。当たり前だと思って受け入れている分類の境目(ボーダー)を疑うことが刺激的。

 マイクにささやくようにしゃべるのが面白かった。全員がギター持って演奏して歌ったのは笑ったな~(演奏してない人もいたけど)。舞台奥には映像が映される薄い幕があって、その奥にも演技スペースがありました。奥で踊る人が映像をさえぎって、幕に影が映るのが良かった。たしかほとんど最後のシーンだったと思うけど。その時も何らかのボーダーを越えるイメージがありました。

出演=足立智充、直坂大志、稲毛礼子、柴山美保、鈴木将一朗、高山玲子、長谷川寧、渕野修平、光瀬指絵、矢沢誠、山本圭祐
劇作・演出・振付=矢内原美邦 映像=松本力/高橋啓祐 音楽=桜井圭介/スカンク 衣裳=安食真(irishcream) 宣伝美術=石田直久 イラスト=河井克夫 舞台監督=鈴木康郎 照明=森規幸(balance, Inc.DESIGN) 音響=牛川紀政 制作=中村茜・戸田史子 記録写真=飯田研紀 撮影協力=須藤崇規 主催=ミクニヤナイハラプロジェクト/(財)武蔵野文化事業団 協力=急な坂スタジオ/STスポット企画・制作=precog
前売3200円/当日3600円/学生2800円
http://www.nibroll.com/

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Posted by shinobu at 18:53 | TrackBack

2007年09月21日

中野成樹+フランケンズ『遊び半分』09/20-24赤坂RED/THEATER

 横浜を拠点に活動されている中野成樹+フランケンズが東京にやってきてくれました(過去レビュー⇒)。
 赤坂レッドシアターという新しくてきれいな劇場にぴったりの、おしゃれでピリっと風刺の効いた翻訳劇。言葉や演技の細やかさをゆったりと味わいながら、クスッと何度も笑わせていただきました。会社帰りのサラリーマンのデートにぴったりなんじゃないかしら~。上演時間は約1時間45分。

 “フランケンズ”とよく呼ばれるこの劇団ですが、今回から“ナカフラ”と呼ばれたいそうです(終演後のトークより)。よし、これからはナカフラって呼びましょうか(笑)。

 ⇒「映画芸術」に中野成樹さんの充実のインタビューあり!
 ⇒CoRich舞台芸術!『遊び半分』 

 ≪あらすじ≫
 アイルランドの酒場。知人の通夜で一晩中飲み明かそうと思っている父親(福田毅)は、一人娘(石橋志保)に店の留守番を頼むが、娘は夜に1人になるのは怖いと嫌がる。そこに見知らぬ不気味な男(村上聡一)がやって来て・・・。
 ≪ここまで≫

 原作はJ.M.シング(John Millington Synge)の『西の国のプレイボーイ(The Playboy of the Western World)』です。中野さん独自の誤意訳で、ふんわり柔らかい日本語のコメディになっています。「原作を壊して得意げな顔をすることなく、原作に恋してほんの少し先走る程度」と劇団紹介に書かれていますが、まさにその通り。

 衣裳がいつもながらすっごくおしゃれで、音楽も粋!クールってこういうことなんじゃないかなって思います。今回は装置がシンプルながらダイナミックに転換し、色んな表情を見せてくれました。演劇ファンだけが楽しむのはもったいないと思います。ファッションや音楽に敏感な人にもぜひお薦めしたいですね。

 役者さんは箱庭の中の人形みたいに見えることもありますし、感情を吐露したり交換したりする、色んなヴァリエーションの演技もされていて、一人一人に見ごたえがありました。
 娘の婚約者役の松崎史也さん(アフロ隊)。『QUO VADIS』『西遊記~Psych-you-kick~』『小さなお茶会』で拝見していたので、ナカフラに出てらっしゃってびっくり(だってジャンルが違う・・・?)。超ハマリ役でした。今ドキの若者の身体で可哀想げなボケをとばしながら、「こいつムカつく奴だな~」とか「あは、可愛い♪」とか思っちゃって、いっぱい笑わせていただきました(笑)。

 ここからネタバレします。

 バロック風弦楽曲、ピアノ、テクノ、ラップなど、色んなジャンルの音楽がスパイシー。良い服をプレゼントすると言って持ってきたのがUNITED ARROWSの紙袋。三角の壁で出来た小さな家がパタパタと開いて平面になったかと思ったら、グイっと持ち上げられて高くそびえる大きな家になったり。壁のせい見えなかったり、壁の穴(ドアの枠部分)から奥をのぞいたりする効果も奥行きがあって面白いです。

 不気味な男とは、斧で父親を殺して11日間(?)も逃げ回っていた若者でした。村の人々は勇敢な異邦人を最初はちやほやするのですが、本当は殺していなかったとわかった途端に、サっとその熱を冷ましてしまいます。がっかりされたと思った若者は、自分を追って来た父親を今度こそ本当に殺してしまったところ、村の人々は全員そっぽを向いてしまいました。「人殺しは縄にかけて縛り首にすればいい」と。
 ですが、それもまた若者の芝居で、また父親が生きて帰って来てしまうのです。
 若者が最後に言い残した言葉が胸にべったりと残ります。
 「一時の感情に流されて人をくたくたにするのは、お互いこれで終わりにしたいですね。」

 若者は野球のユニフォーム(上着のみ)を着ていました。背中には背番号「7」とNISHIという名前のアルファベット。「西の国のプレイボーイ」を意味してるんですね。父親(ゴウタケヒロ)も野球帽を被っていて可笑しかった。


 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ メモしたことの覚書です。
 出演=中野成樹/藤崎周平(日本大学芸術学部演劇学科教授)

 藤崎「原作は100年前の近代劇。演技を意識(および感情)と言葉と身体に分けるとすると、中野くんはそれを分解して組みなおしている。細かい作業がなされていると思った。」
 中野「今まで以上に細かくなってます。役者への負担は増えているかも。日常の身体をキープして翻訳劇のセリフをきちんとしゃべるのは、簡単そうでいてけっこう難しい。僕はそれが面白いなと思う。」

 中野「『遊び半分』というタイトルを考えたところで、見え隠れする感じが思い浮かんだ。最初は黒だけどだんだん白になって、今度は白の中の黒を覗くような。嘘と本当を行ったり来たりして。あるものに集中してもすぐに冷めたりする。そして冷めたことに未練があったりする。」
 中野「工作で、牛乳パックを斜めに切るとかっこよかったりする。美術はそのイメージから。」

 藤崎「世間には『お互いに気持ちよくなろう!』と観客に呼びかけるような、カラオケ的芝居も多いよね。」
 中野「純粋に演劇を考えてやっているけど、それは必ずしも優しいことではない。観客がいなければ演劇は成立しないし、観客がいるその場で生まれるものが演劇だから。そこ(お互いに気持ちよくなろうと呼びかけるかどうか)は迷うところです。でも喜ばせるためだけには、やりたくない。演劇がやるべきじゃない。卑怯なことなんじゃないかと思うから。」

出演=村上聡一、福田毅、野島真理、石橋志保、ゴウタケヒロ、松崎史也、藤達成、竹田英司、大澤夏美、斎藤淳子
原作=J.M.シング作「西の国のプレイボーイ」 誤意訳・演出=中野成樹 舞台美術=大平勝弘+細川浩伸(急な坂アトリエ) 照明=大迫浩二 音響=竹下亮(OFFICE MY ON) 舞台監督=山口英峰 演出助手=門田純(背番号零) 制作=コ・フランケンズ 特別協力=急な坂スタジオ 協力=STスポット横浜 提携=赤坂RED THEATER 主催=中野成樹+フランケンズ
前売3,500円/当日3,800円 (全席指定) ★プレビュー(9/20)のみ2,500円均一
http://www.frankens.jp/

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Posted by shinobu at 23:51 | TrackBack

新国立劇場演劇『アルゴス坂の白い家-クリュタイメストラ-』09/20-10/07新国立劇場 中劇場

 鵜山仁さんが新国立劇場の新・芸術監督になられた2007/2008シーズンの最初の作品です。ギリシャ悲劇を題材にした「三つの悲劇」三部作の第1弾。

 めっちゃくちゃ面白かったですっ!!ギリシア悲劇の物語をそのまま現代日本に置き換えるような、スタンダードな脚色ものではありません!それどころか、それどころか~っ!うーん素晴らしい!最後がちょっと腑に落ちなかったのでメルマガ号外を出すのは控えますが、それくらい興奮しちゃった初日でした。

 ロビーにはこれまでの公演の全チラシが展示され、美術模型や衣裳なども並んでいてとっても楽しかったです。上演時間は2時間50分(途中休憩20分を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『アルゴス坂の白い家-クリュタイメストラ-
 レビューをアップしました(2007/09/21)。

 終演後に一緒に観ていた演劇関係者の方々とお話したところ、「新芸術監督ならではの色が出たのではないか」「鵜山さんは関西の方だから、笑えるところを堂々と出してますよね」「でもちょっとシャイなところもありますよね~」「そして何よりロマンティストだよね」等など、愛のある感想がいっぱいでした。

 私は新芸術監督による新シーズンがこの冒険的な大作で幕開けしたことを、すごく嬉しく思いました。難解かもしれませんが、それが楽しいです。次に続く「たとえば野に咲く花のように」「異人の唄」も俄然楽しみになりました!

 ≪ものがたり≫ 公式サイトより
 夫アガメムノンへの憎悪を抱く妻クリュタイメストラは愛人のアイギストスと計って、夫を殺害するが、息子のオレステスと娘エレクトラに復讐の機会を狙われる・・・。『アルゴス坂の白い家』は、この「ギリシャ悲劇」を題材にした現代演劇を上演しようとしている現代日本人の物語。「女優」「映画監督」「シナリオライター」「新進作家」が家族として住む「アルゴス坂の白い家」におこる悲劇を軸に、原作の作家であるエウリピデスを劇中に登場させ、現代の劇作家の悩みにこたえるシーンも盛り込みながら「ギリシャ悲劇」の構造を分かり易く立体化。実の子供たちに命を狙われる母クリュタイメストラの行きつく先は?
 ≪ここまで≫

 公式サイトのあらすじを読んでもちょっとわからないかもしれないぐらい、複雑な構造の脚本でした。ロビーに人物相関図のパネルが置いてありますので、しっかり頭に入れておいた方が良いかも。
 んん~、何を書いてもネタバレしちゃう気がするな~(笑)。前知識なしで観たい方は、どうぞこの先は読まないで下さいね。

 “アトレウス家の悲劇”を現代に置き換えた物語として書こうとする劇作家(中村彰男)が、エウリピデス(小林勝也)に悲劇の書き方を相談します。劇作家が書いた戯曲が上演される場にエウリピデスが入っていって、オレステス(山中崇)に「早く母親を殺しに行きなさいよ」と話しかけたりしちゃうんです(笑)。※セリフは正確ではありません。

 中劇場の“ありのままの魅力”を大々的に利用したシンプルかつ大胆な美術と照明でした(座席によって印象は異なるかもしれませんが。私は真ん中ブロックほぼ中央で、客席後方でした)。10列目が最前列で、そのまま舞台へとつながっていますので、かなりせり出していますね。『INTO THE WOODS』みたい。
 豪華キャストの劇画タッチの演技も遊び心があって面白かった~!衣裳も役柄の個性をわかりやすく表現していておしゃれ。

 ここからネタバレします。

 とりあえず、オープニングのミュージカル的開幕にはビビりました。だって歌がヘンだし動きもダサイし、もーどうしようかしらって(苦笑)。でもそれがネタだったんですよね~。「ギリシア悲劇はミュージカルには合わないよ!」と、演出家(有薗芳記)がツー・ステップ踏みながらダメ出しして爆笑でした。

 「悲劇を量産するのは戦争だ。戦争を知らない劇作家に悲劇が書けるわけがない」(by エウリピデス)という論理から、劇作家は戦場になった東京(新宿で突然テロが起きる)を経験します。「トロイの木馬」事件(Wikipedia)をテロと位置づけ、ギリシア時代のアルゴスと現代の新宿とが重なるという仕掛けでした。

 戯曲の中でも同様にテロが起き、映画監督および女優、作家が揃ったスター一家も“戦争”に巻き込まれますが(戦争を美化する映画を作る等)、“アトレウス家の悲劇”のように家族内で殺しの連鎖が起こらないのがすごく面白かったです。
 弱々しい夫・アガメムノンを殺す気になれないクリュタイメストラ。実は性的不能(なんて理由!笑)でクリュタイメストラの愛人ではなかったアイギストス。父が死ななかったから、敵討ちのために母・クリュタイメストラを殺すことができないエレクトラとオレステス。「いったいこの先どうなるの!?」とわくわくドキドキしながら見守りました。

 「高尚な(?)悲劇を完成させるために(だったかな)、自分達の名前に運命付けられた殺しは実行しなければならない」と考えたクリュタイメストラは、みんなで「殺し、殺される振りをする」ことを提案します。舞台上で呪われた家族を演じる登場人物(=役者)が、茶番とわかっていながらおおげさな殺人の応酬を演じたことで生まれたのは、心をあるがままに開放した対話でした。その結果、それぞれが全く新しい人生を生き始めることになります。

 「殺し合いではなく対話を」はまさに今、人類に求められていることです。「演じる」ことで人が変化し、新たな関係が生み出されるという結末は、“演劇ができること”を強く示しています。丸裸の劇場を使った劇中劇構造の演劇が、古代と現代をつなぎ、作り手と観客が今を共有していました。それこそ“劇場”の存在意義だと思います。新国立劇場の新しい宣言だと受け取り、感動しました。

 ただ、最後が思いっきり母親(女性)賛美になっちゃったことには疑問が残りました。考えてみたらサブタイトルが「クリュタイメストラ」なんですね。しかも公式サイトに「母・妻・娘という女性の3つの側面を異なる作家・演出家が三様に表現。」と書かれています。最初からテーマが「母」と決まっていたってことですね。それは仕方ないな~と思いながらも、やっぱりちょっと腑に落ちなかったです。クリュタイメストラが白いシャツに黒いパンツの男らしい衣裳になっていたのは、現代の“働く女”かな?私には幸せのイメージにつながらないんですよね。

 戦場になった新宿でクリュタイメストラ(佐久間良子)がシチューを作りながら独白するシーンは、古代から現代、未来へと時空を超える母の像を見たように思いました。舞台全体に文字(ギリシャ文字など)が映写されてうごめくのがかっこ良かった。
 
 心に残ったセリフは下記(完全に正確ではありません)。
 「なぜテロの死者が戦死者と呼ばれないのか」
 「現代において、もはや神の光臨は喜劇にしかならない」
 「“先のことなど考えない無責任な男らしい夢”のおかげで高度成長をとげた日本(でもその時代はもう終わった)。」

「三つの悲劇」ギリシャからVol.1
出演=佐久間良子、小島聖、李丹、山田里奈、篠崎はるく、磯部勉、有薗芳記、山中崇、松本博之、中村彰男、石田圭祐、小林勝也
作=川村毅 演出=鵜山仁 美術=島次郎 照明=服部基 音楽=久米大作 音響=上田好生 衣裳=原まさみ ヘアメイク=宮内宏明 演出助手=上村聡史 舞台監督=北条孝 総合舞台監督=矢野森一
【発売日】2007/07/21 S席7,350円 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円 ※料金は消費税込み Z席=1,500円/当日学生券=50%割引※「三つの悲劇」3作品特別割引通し券あり
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000032.html

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Posted by shinobu at 00:20 | TrackBack

2007年09月19日

小指値『[get] an apple on westside / R時のはなし』09/15-17 STスポット

 小指値(こゆびち)は今よく話題にのぼる若手パフォーマンス団体です。横浜の2つの劇場で上演される今回の公演は、過去作品の再演と新作の2本立て(途中休憩は5分)。

 最近の数公演(レビュー⇒)が私にとって大ヒットの連続だったので、それと比べると小粒な感じでしたが、初日ソワレ後のおまけライブが強烈に楽しかった(笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『[get] an apple on westside / R時のはなし
 ⇒T★1演劇グランプリ・第一次審査通過団体です。

 ここからネタバレします。

 ■「[get] an apple on westside」(上演時間は30分ぐらいだったような)
 「狼に育てられた犬の話」。犬の生涯についての独白を身体表現で立体的に補足していくようでした。例えば犬を大切にしたオルガという女性だとか、犬以外の登場人物(狼も)の姿が思い浮かべづらく、するっと始まってするっと終わってしまった印象。上品過ぎたんじゃないかな~。もっと獣の体温や匂いを感じたかった。

 ■「R時のはなし」(上演時間1時間ぐらいだったような)
 ザムザ阿佐ヶ谷で観た時は、学童保育のおにーさん(山崎皓司)が語る「りゅーじという小学生の男の子の話」でしたが、今回はおにーさんと女教師(中林舞)のお話にも広がっていました。15分版の時は「りゅーじに“北海道”と(嘘を)言わせてしまった何か」というセリフから、個人の世界が一般社会へとググっと広がって感動したんですよね。でも今回は、都会に住む大人の群像劇のような側面が前面に出て、横に伸びたけど奥に深くなってないように感じました。
 バービー人形や映像など、おもちゃを使った遊び心のある演出は楽しいですね。でもそればかりが中心だったのは物足りなかったです。

 ■コミックカラオケバンド「Hebereke☆女学院」のプチレビュー
 初日ソワレのゆる目のおまけ。これが最高に面白かった(笑)。楽器を弾けない女の子たちが陶酔系アニメ風キャラ全開で歌って踊ります。下着姿(てゆーかお尻見えてるよ!)で客席まで出ていくんですから必見。しかも写メール可!ぜひまたSTスポットで(笑)。

≪横浜2箇所≫ 小指値番外公演 横浜シリーズ
出演=篠田千明 竹田靖 大道寺梨乃 中林舞 野上絹代 山崎皓司 高橋紗也佳 友情出演:小沢な哲人(oOLOm)
Hebereke☆女学院=K-YO!/森林舞花/梅毒寺淋病/藤谷キョコン/モニカ/夢子/鉄人・小沢
『[get] an apple on westside』=作:北川陽子 演出:野上絹代 『R時のはなし』=作:北川陽子  演出:篠田千明 アニメーション=天野史朗 映像=大内伸悟 ジオラマ=山本ゆい(mon) 人形=藤谷香子 振付=野上絹代
衣装:藤谷香子 オブジェ・照明:上田剛 音響:柳川しおり 宣伝美術:鶴松理恵 舞台監督:山本ゆい(mon) 主催:小指値 共催:STスポット/Bankart1929
当日/前売:1500円(全席自由)
http://www.koyubichi.com/

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Posted by shinobu at 23:17 | TrackBack

ランカウイ倶楽部Present's グワィニャオン+岩山T★Threeプロデュース公演『Oji~ヘンテコリンなわんぱくおじさん~』09/15-16前進座劇場

 グワィニャオンの西村太佑さんが作・演出・出演される作品ですが、ランカウイ島のランカウイ倶楽部のことを紹介することを目的とした公演だったようです(パンフレットに「ランカウイ倶楽部 DVD制作記念イベント」と記載あり)。スペシャルゲストはうつみ宮土理さん。

 上演時間は2時間10分+休憩時間とロビーの張り紙に書かれていましたが、実際は2時間45分(途中7分の休憩を含む)でした。そりゃないよ(苦笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『Oji~ヘンテコリンなわんぱくおじさん~
 ⇒T★1演劇グランプリ・第一次審査通過団体です。

 工事現場で働く若い大工が、母(うつみ宮土理)と一緒に行ったランカウイ島の素晴らしさを職場の先輩に語ります。タイトルになっているOji(オジ)とはランカウイ倶楽部の尾島圭吾さんのこと。ご本人も最後に舞台に登場されました。

 オジらランカウイ倶楽部のメンバーの案内で、ランカウイ島の自然を満喫する日本人旅行者たち。島に生息する動物も役者さんが演じます。セリフは伝えたいことを説明するための言葉の羅列が多く、演劇的な奥行きは感じられませんでした。ダンスや曲芸、歌には演出上の必然性は特になく、次々と観客サービスのネタを披露しているようでした。

 ランカウイ島を撮影した大自然の映像は素敵。ランカウイ島の魅力を伝えるという目的は達成されたのでしょう。

 ここからネタバレします。

 自然の偉大さとともに食物連鎖についても表現されていましたが、『ブンナよ、木からおりてこい』とは全く違いました。大トカゲが「ごめん」って泣いて謝りながら小鳥を食べてた・・・。

 途中休憩の7分間、舞台上で役者さんがフリーズしてました。それは面白かった。

※クレジットは公式サイトよりコピー&ペイストしました。
出演=西村太佑/酒巻静/渡辺利江子/小林幹/平塚純子/遠藤敏幸/可児奈穂子/すわいつ郎/尾形雅宏/田中めぐみ/水野裕子/藤原寿之(オープンロード)/矢部知子/新井菜穂/松田愛子/高梨知美/菊池康弘(アドバンスプロモーション)/野村勇/竹田茂生/大川ミサ/朝倉丈夫(enji)/海月たか子(ハグハグ共和国)/井前直樹(オープンロード)/深雪杏(グローバルリンクプロモーション)/岩田康照(グローバルリンクプロモーション)/飯田賢治(グローバルリンクプロモーション)/晴海明香(グローバルリンクプロモーション)/桜咲ちよ(トリトリオフィス)/山本美智子/渡邊純子/鈴木真由美/小手沙織/渡辺瞳(オフィスニグンニイバ)/羽里早紀子(オープンロード)/関田豊枝(歓伝―KANDENDO―堂)/咲野俊介(青年座映画放送) スペシャルゲスト:うつみ宮土理
作・演出/西村太佑 舞台監督・美術/潔友誼 舞台監督補佐/片山史雄 振り付け・エアリアル指導/KAERU 振り付け補/渡邊純子 殺陣指導/西村太佑 関田豊枝(歓伝―KANDENDO―堂) 照明・オペレーター/桜かおり 音楽・音響/TAISHI イラスト/アカツカモリオ 舞台撮影/REC WEB/浜川利恵子・すわいつ 制作/高橋雄二 制作協力/(有)オフィスニグンニイバ/(株)オープンロード DVD制作/DIGITAL STATION ディレクター:三浦照樹  カメラマン:矢口信男 ラインプロデュース/藤原寿之(オープンロード) 特別公演プロデュース/松下葉子(おじぷろ) 総合プロデュース/尾島圭吾(ランカウイ倶楽部) 松永貴之(おじぷろ)
【製作】グワィニャオン 岩山T★Three 【企画・主催】ランカウイ倶楽部 おじぷろ
前売5000円 当日5500円(日時・座席指定)
http://www.guwalinyaon.com

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Posted by shinobu at 22:26 | TrackBack

2007年09月16日

【ワークショップ】「Robert Allan Ackerman Work Shop 2007」11/12-23都内某所

 ロバート・アラン・アッカーマンさん率いるthe company(ザ・カンパニー)の公式ウェブサイトがオープンし、11月に行われる10日間のワークショップ情報が公開されました!⇒詳細

 the companyとはtptワークショップから始まった、アッカーマンさんと作品作りをするシアター・カンパニーです(過去レビュー⇒)。2008年~2009年シーズンに3つの新作を発表することも決定しているようですね。観客としても嬉しい限り♪

 今回のワークショップは新しいメンバー募集も兼ねています。年齢・性別・経験不問というのも驚き!1日2時間×10日間で10万円というのは安くはないですが、我こそは!と思う俳優さん、どうぞチャレンジしてください!

 【期間】2007年11月12日(月)~23日(金)
  ※17日(土)、18日(日)の両日は休み。時間帯別に2クラス開講。
  Class.1 : 13:00~15:00 (11/12~11/23)
  Class.2 : 17:00~19:00 (11/12~11/23)
 【締切】 10月31日(水)必着 ※ただし、定員に達し次第〆切。

Posted by shinobu at 17:35 | TrackBack

2007年09月15日

サンプル『カロリーの消費』09/14-24三鷹市芸術文化センター 星のホール

 サンプルは松井周さんが作・演出される劇団です。青年団リンクから独立して初の公演は、三鷹市芸術文化センター・星のホールでの2週間公演。第3回にしていきなり大規模ですね。ポストパフォーマンストークのゲストが超豪華!私は初日の岩井秀人さん(ハイバイ主宰)の会でした。

 『地下室』『シフト』に続いて今回もまた強烈な世界でした。驚いて、爆笑して、考えて、また裏切られて驚いて、爆笑して・・・。終わった時には「なんじゃコレ・・・」としばらく静止しました。上演時間は約1時間40分。私はめちゃくちゃ面白いと思います。でもほんとに強烈なので好みは分かれるかも(笑)。大人向けです。

 ⇒「映画芸術」に松井周さんの充実のインタビューあり!『カロリーの消費』を観る前に読むと良いかも。
 ⇒CoRich舞台芸術!『カロリーの消費
 レビューをアップしました(2007/09/21)。

 ≪あらすじ≫
 老人介護施設エバーグリーンにあずけていた寝たきりの母親が誘拐された。息子夫婦と刑事は母を捜して町を徘徊する。
 ≪ここまで≫

 ガランと黒い空間に、横に広い白い壁。同じ抽象舞台でも『シフト』とは違って、「これはお芝居ですよ」と観客に伝えることが意図されたものでした。

 登場人物のとんでもない行動の連続に吹き出して笑ったら、となりの人はクスリとも笑っていないんです。でも私が真剣に観入っているところで、後ろの方から大きな笑い声が響いたりしました。観る人によって解釈が変わるので自由に受け取ってOKな、というか、それぞれが自由に受け取るしかない(笑)、大人の演劇だと思います。
 全部観終わってから、関係ないようでいて実はつながっている(のであろう)1つひとつの事柄を、ゆっくりつなげて考えて、味わえばいいのではないでしょうか。

 『カロリー』を基準にするという非常にドライな視点から、こつこつと人間の在りようを例証していきます。その例が過激で・・・笑えます(笑)。人によって信じるものが違うこと、人の気持ちは時間が経つと変わること、物事は突き詰めれば自ずと過剰になっていくことなど、人間が生きる社会で当たり前に起こっていることを、凝縮して舞台に乗せているように思いました。
 遅ればせながら今、平田オリザさんの「芸術立国論」(2001年初版)を読んでいまして、芸術活動が資本主義社会の尺度であるお金に自動的に換算されることに似てるようにも感じました。

 スロウライダー、チェルフィッチュ、ポツドール(あいうおえ順)という今注目の劇団の役者さんが、青年団の役者さんに混ざって自由に存在しているように見えました。それぞれの“個性対決!”みたいな楽しみがありましたが(笑)、できれば感情のぶつかり合いのような、濃い関係性も観たかったですね。でもそれは作品の意図からずれるのかも。

 ここからネタバレします。

 「歌を探している」チャコという女性の回想という構造でした。んー、でもそれさえも嘘っぽいような、何を頼りに鑑賞すればいいのかわからない感覚でしたね。松井さんはインタビューで「ロードムービー」とおっしゃっていますけど、そんな匂いさえしなかった(笑)。

 ガウン着て手にはブランデーグラス&葉巻の院長(古屋隆太)が、ロッキングチェアーに座ってせり上がって登場するシーンは爆笑だったな~(笑)。院長と介護師(米村亮太朗)の鍛えられた肉体が、ものすごくムダに見えたり。いや、マッチョであることは全然ムダじゃないんですけど、使い方が・・・(笑)。

 最後に全員が登場して"You're my sunshine"(だったかな)をヘナチョコに歌い演奏するところは、刑事がネコのように四つんばいになっていて、院長と介護師もベッドを引いてトナカイのように四つんばいで、ほぼ裸で(笑)、舞台に居る人間全員が動物に見えました。皆が自分勝手で考えなしに行動するし、しでかすことが卑劣なので「お前らみたいな奴ら、人間じゃねーよ!」と罵声を飛ばしたくなる意味でも、「カロリーを消費するのは人間も動物も同じだよね」と冷静に見る意味でも。
 そうやって、何が人間らしくて何が人間らしくないのかを、考えるきっかけにすればいいんじゃないかと思います。「カロリーの消費」という科学的な尺度で人間をとらえることで、その逆側が見えてくるような気がします。


 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演=松井周/岩井秀人(ハイバイ)
 同じ小金井市出身というつながりのあるお2人でした。おぼえていることだけ下記に。

 岩井「(登場人物が)それぞれの世界を持っていて、すれ違ったり一緒に移動したりするけれど、やっぱりズレてたり。そのズレを修正しようとする人が追いつかなくて、さらにおかしくなっちゃう(みたいな)。」
 岩井「(普通の人・観客視点の登場人物がいないから)誰の視点でも観られなくなる。視点がどこにも定められない。」
 岩井「(松井さんは)笑いにしないのが、底抜けに怖い。」

 松井「小学校、中学校の頃の思い出(など)をベースに書きました。」
 松井「人の行動の善悪は置いといて、視点も置いといて、カロリーという基準で考えて書いてみた。カロリーをどれだけ消費したか、どれだけ蓄えたかという視点だけで。」
 松井「痛みとズレとかに悩んだりするけれど、そんなのはあまりカロリーを消費していない。ベッドを運んで歩く方がよっぽど消費してる(笑)。」

 観客「毎回キャストが変わるようですが、松井さんはどういう役者さんに出てもらいたいと思っていらっしゃるのでしょうか?」
 松井「舞台上で反応する能力が高い人。ピンボールみたいに誰かに反応して、どっかに飛んでいくような。」

出演=辻美奈子、古舘寛治、古屋隆太、大竹直、渡辺香奈、山崎ルキノ(チェルフィッチュ)、米村亮太朗(ポツドール)、山中隆次郎(スロウライダー)、羽場睦子
作・演出=松井周 舞台美術=杉山至+鴉屋 照明=西本彩 音響=野村政之 衣裳=小松陽佳留(une chrysantheme) 舞台監督=小林智 宣伝美術=京 宣伝写真=momoko japan 記録写真=青木司 記録映像=深田晃司 WEB運営=牧内彰 制作補佐=有田真代(背番号零) 制作=三好佐智子、(有)quinada
ポストパフォーマンストークのゲスト=14(金) 岩井秀人(ハイバイ主宰)/ 16(日) 佐々木敦(評論家) 20(木)/松田正隆(劇作家・演出家)/21(金) 山下敦弘(映画監督)
※上演時間は1時間45分を予定しております。途中休憩はありません。
【発売日】2007/08/02 一般前売/2,500円 一般当日/2,800円 財団友の会会員 前売/2,200円 当日/2,500円(全席指定) 高校生以下 前売・当日ともに/1,000円
http://www.samplenet.org

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Posted by shinobu at 11:59 | TrackBack

2007年09月13日

ウォーキング・スタッフ プロデュース『STONES』09/08-16 THEATER/TOPS

 和田憲明さんが作・演出されるウォーキング・スタッフ(過去レビュー⇒)。緊張がはりつめた、高密度のリアルな劇空間は独特です。

 今回もどっぷり大人の時間を味わわせていただきました。上演時間は約2時間15分休憩なし。

 ⇒CoRich舞台芸術!『STONES

 ≪あらすじ≫
 舞台は元シェルターだった薄暗い部屋。闇を生きる逃げ場のないやつらの七転八倒。
 ≪ここまで≫

 息が詰まりそうな密室で、臨場感のある生々しい展開を堪能しました。人物描写もいつもどおりの緻密さで、セリフのひとつひとつが聞き逃せません。
 リアルな装置とスタッフワークも見どころですよね。カラカラと回る換気扇(?)の向こうから射す明かりがかっこいいです。壊れたラジカセから鳴るROLLING STONESも味があります。
 
 思惑通りに進まない上に全てがより悪い方向へと回っていくのは、ちょっと笑えちゃうぐらいです。ことごとく失敗して、それでもどん底でジタバタと生きていこうとする、大人。そういう人間を描いているという意味では面白いと思えるのですが、ヤクザの世界の覚せい剤売買、売春、殺人などの話になると、観ていてつらくなっちゃいます。私は苦手だな~。

 村木(鈴木省吾)が自分のことを「俺」じゃなくて「僕」と言うのが、役柄にぴったり合っていたように思います。
 自称14歳の不良少女ナオ役は山口奈緒子さん。目立ちすぎない小さな存在感がかえってリアルに感じられました。叫び声のかすれ方が好き。

 ここからネタバレします。

 ヤク中のナオが「(セックス)しよう」と神野(津田健次郎)を誘い、2人が遠く離れたまま見つめあう時間が素敵だった。

出演=鈴木省吾、飯田基祐、八代進一、津田健次郎、斉藤佑介、山口奈緒子、蘭香レア
作・演出=和田憲明 照明=佐藤公穂 音響=長柄篤弘(ステージオフィス) 舞台美術=塚本祐介 舞台監督=西川也寸志+箱馬研究所 演出助手=山崎総司(Playing unit 4989) 衣裳=福田千亜紀(Playing unit 4989) 照明オペ=竹野健三郎 小道具=藤田かおる 千葉豪 特殊効果=Vanity Factory  宣伝美術=樺島知彦 宣伝写真=二石トモキ 制作=石井久美子 馬場順子 制作アシスタント=下条昌恵 安田みさと(7の椅子) 制作協力=石井光三オフィス 企画製作=ウォーキング・スタッフ
3,800円(全席指定)
http://www.ishii-mitsuzo.com/info/a95/a.html

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Posted by shinobu at 22:13 | TrackBack

FICTION『石のうら』09/06-10新宿シアターモリエール

 FICTIONは山下澄人さんが作・演出・出演される劇団です。山下さんが富良野塾出身だからか、いつも北海道公演があるんですね。私は2度目(⇒過去レビュー)。

 DMに「このDMを書いている時点では何も決まってません」と書いてあると、行くのを躊躇しますよね、ありのままを見せてくださっているのはよくわかりますが(笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『石のうら

 ≪あらすじ≫
 いつも罵り合っている老夫婦が暮らすボロアパート。ある朝早く大地震が起こって・・・。
 ≪ここまで≫

 トタンや廃材らしき素材で組み立てられた装置。口の悪い“役立たず”なおじいさん、前科者、知的障害者、小児麻痺(おそらく)の症状のある人など、現代社会においてマイノリティとして扱われがちな人々が登場します。

 汚いしにくたらしいけど、愛らしい人間の姿。目も当てられない惨状を、不謹慎だとはわかっていながらプっと吹き出して笑ってしまいます。あけすけな言葉にスカっとしたりもしました。FICTION独特の世界なんだろうと思いますが、今作はおじいさん役の山下澄人さんに重点が置かれ過ぎているように感じて、ちょっと飽きが来ちゃったりも。

 ここからネタバレします。

 阪神大震災のお話でした。「今はこんな時だからみんな優しいけど、何もかもなくなって新しいものが建てられたら、絶対相手にしてくれなくなる(邪魔者扱いされる)」という言葉に、すごく説得力があります。

 地震でも火事でもなく、おじいさんに頭を蹴られたせいで死んだおばあさんが、天国からちらっと出てくるシーンは、笑っていいのか泣いていいのか、とても複雑な気持ちになりました。

 妻を失った若い男性役と工場で働くまっさん役(小児麻痺?)を1人で演じられていたのには驚き(笑)。

≪東京、富良野、旭川、札幌≫
出演=山下澄人、山田一雄、井上唯我、荻田忠利、大西康雄、竹内裕介
作・演出=山下澄人 照明=高橋秀彰 音響=別所ちふゆ 舞台監督=バタヤン 宣伝美術=西山昭彦 その他全部=FICTION 企画・制作=OFFICE FICTION プロデューサー=白迫久美子 制作協力=井上淳司
前売り 指定席3,300円/自由席3,000円 当日(指定自由とも)3,500円 学割2,500円/複数回割引2,000円 *学割、複数回割引きは自由席で劇団のみの販売
http://www.fiction.gr.jp/

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Posted by shinobu at 20:26 | TrackBack

流山児★事務所『観世榮夫「新劇」セレクション vol.1 流山児★ザ新劇「オッペケペ」』09/04-17ベニサン・ピット

 今年6月に亡くなられた観世榮夫(かんぜ・ひでお)さん(Wikipedia)が企画された公演です。「新劇を《現代劇》として読み直す」試みの第1弾で、取り上げたのは44年前の戯曲「オッペケペ」。作者である福田善之さんご自身が、この公演のための改訂をされています。

 上演時間は約2時間30分休憩なし。長かったですが、今を生きている演劇人の身体を通じて、半世紀前の躍動を受け取れたように感じられて良かったです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『オッペケペ
 ⇒流山児さん、読んでくださってありがとうございます(2007/09/16加筆)。

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
【壮士劇を演じる新劇団という趣向の、虚実交えた福田善之の傑作群像劇!】
 緋の陣羽織で、自由民権を時の権力風刺と共にうたって一世を風靡した川上音二郎の「オッペケペ節」。戯曲『オッペケペ』は川上音二郎や貞奴、伊藤博文、幸徳秋水と言った人物を想起させるが、実録モノではなく作者のオリジナルな人物像で書かれた60年安保闘争時の敗北と挫折を活写した名作『真田風雲録』と並ぶ福田善之の傑作群像劇。
 自由、民権といった志で始まった「壮士劇」が、権力にとりまかれ「戦争高揚劇」へと至る流れを、様々な役者や政治家の思惑、男女の恋模様も交えて描く歴史群像劇。「壮士劇を上演する劇団の舞台稽古」という多重劇(メタ・シアター)構造で福田善之が「自由とは何か」を問う戦後演劇の代表作。原戯曲では「演出家」が登場するという構造を、2007年版は「作家」が登場して『オッペケペ』の世界を語るという改訂版上演となる。
 ≪ここまで≫

 日清戦争(Wikipedia)開戦前後の明治時代。袴や着物、軍服姿の役者さんが元気に走り回ります。オープニングの疾走感がかっこ良かった~。でも2時間半はさすがに観客も疲れますね。
 舞台は芝居小屋。あらすじにありますように劇団の稽古場を描くメタ・シアターです。舞台上を通って客席に行くようになっていたのも気の利いた演出でした(装置の構造上そうなっただけかもしれませんが)。

 作家(さとうこうじ)が「作者です」と言って登場し、俯瞰する立場で発言してくれることで、ちょっと知的な観客でいられた気がします。「あの時の観客はどこへ行ったんだ?」と、観客にも強く問いかけるお芝居なので、キュっと気を引き締める思いもありました。

 ここからネタバレします。

 ある志をもって活動していた集団が、有名になって規模が拡大する内に、初心とは違う方向へと進んで全く別のものに変わり果てる姿は、身近なところでもよく目にすることです。
 数年前に「壮士劇」で謳っていたオッペケペ節(“心に自由の種をまけ~”)を、「戦争高揚劇」終演後に1人で舞うシーンでは涙がしぼり出されました。「時代が変わったんだ」「戦争はもう始まったんだ」「今、観客が求めているのは戦争劇だ」と、目的がすりかわって行く様にはゾっとします。人事ではないです。

 保村大和さん演じる文士が語った「虚は実ではないけれど云々」のお話が良かったな~。現実になりえない空想(虚)こそ、現実と対等に向き合えるのではないかという視点・・・だったかな。もう曖昧です。すみません。

出演=河原崎國太郎(劇団前進座) 町田マリー(毛皮族) 塩野谷正幸 さとうこうじ 保村大和 奈佐健臣(快飛行家スミス) 沖田乱 加地竜也 伊藤弘子 栗原茂 上田和弘 里美和彦 冨澤力 柏倉太郎 木暮拓矢 阪本篤 坂井香奈美 武田智弘 石井澄 諏訪創 熊谷清正 阿萬由美
【企画】観世榮夫 【作】福田善之(作者自身による2007年改訂版) 【演出】流山児祥 【音楽】本田実 【美術】水谷雄司(王様美術) 【照明】沖野隆一(RYU CONNECTION) 【音響】島猛(ステージオフィス) 【振付】北村真実 【殺陣】岡本隆 【映像】濱島将裕 【舞台監督】吉木均 【衣裳】大野典子 【演出助手】畝部七歩 【大道具製作】王様美術 【宣伝美術】アマノテンガイ 【制作】岡島哲也 青山恵理子 米山恭子 【制作協力】ネルケプランニング 【主催】流山児★事務所
全席指定 前売り:4,800円 当日:5,000円 学生割引:3,500円 プレビュー割引:4,000円 ※学生割引、プレビュー割引のチケットは流山児★事務所のみの予約
http://www.ryuzanji.com/

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Posted by shinobu at 19:47 | TrackBack

イキウメ『散歩する侵略者』09/12-16青山円形劇場

 イキウメは前川知大さんが作・演出される劇団です。『散歩する侵略者』は劇団による初めての再演で、初演にすごく感動したのでメルマガ9月号で1番にお薦めしていました。初演の感動ふたたび。やはり同じシーンで涙がこぼれました。上演時間は約2時間。

 『散歩する侵略者』はこれで3度観たことになりますが(⇒初演G-up版)、3種類それぞれが全く違う作品になっていたように思います。今回はしっとりとした会話劇で構成され、“侵略者”が登場する見た目のSFらしさの奥に、文学的な広がりを感じました。

 残席は今のところまだあるようです。初日は満席のようでした。ご予約はお早めに。大阪公演もありますよ!

 ⇒雑誌「ダ・ヴィンチ」で『散歩する侵略者』小説版が連載中!
 ⇒CoRich舞台芸術!『散歩する侵略者
 レビューをアップしました(2007/09/14)。

 ※あらすじは初演のレビューでどうぞ。ネタバレ部分にどうぞ気をつけて!

 円形劇場をほぼ円形に使った抽象的な舞台美術。方向性は初演と似ていますが、全体の印象はすっかり変化したように感じました。初演はストーリーを正確に伝えるために、若い俳優が強く、太く、一直線にがんばっていましたが、今回は2~3人の少人数の会話を丁寧に成立させることで、じわじわと虚構の世界に現実味を帯びさせていくような、演劇空間を味わう醍醐味が増した演出でした。空間が広くなったのもあるでしょうが、透明感とさわやかさがあって良かったです。衣裳が豪華になっていたのも印象に残りました。靴が素敵♪

 私が観た回は笑いがいっぱい起こっていて、ちょっと驚きながらも自分も笑わせてもらって楽しみました。笑いを狙いに行っているわけではなく、舞台上の人物の素直な反応が可笑しさを生んでいたのだと思います。
 そして、やはり、あのシーンで、涙がポロポロ~・・・!円形劇場なので困りましたよ、正面に舞台だけじゃなくって客席もあるんだもの!恥ずかしっ!なのにハンカチ忘れたから(汗)はなかみで涙を拭いつつの鑑賞でした(情けない)。

 青山円形劇場という広い立派な中劇場で、会話劇中心の演出になったせいもあると思いますが、役者さんの演技の技術の差が気になりました。サンモールスタジオでは大丈夫だったけれど、中劇場で演出も大人っぽくなると、どうしても小劇場っぽさが目に付いてしまうんですね。私は初日に拝見しましたので徐々に良くなっているのだろうと思います。

 20歳のアマノ役の日下部そうさんの登場シーンにはゾクゾクしました。語尾が面白い。
 はしゃぐ若者2人(浜田信也&瀧川英次)のシーンは見ごたえがありました。役者さん2人ががっぷり四つに組んで空間の奪い合い(演技合戦とも言う?)をしているように見えて、そういう楽しみがありました(笑)。2人とも衣裳が可愛かった~。

 ここからネタバレします。

 “概念を奪う宇宙人”というアイデアはやっぱり凄いですね(宇宙人が意図的に奪っていないのもミソ)。知的好奇心をくすぐりつつ、今生きている世界を違った視点から見つめるよう導いてくれます。殺人事件の犯人探しのサスペンスであり、夫婦のせつないラブ・ストーリーであり、いつの間にか突然始まる戦争に問題提起をする社会派であり、「スターウォーズ」や「スタートレック」などのように見た目に明らかではありませんが、ちゃんと宇宙人が登場するSFです。

 ラストは初演と同じく「人間からどんな概念を奪えば、戦争はなくなるの?」と問いかけるシーンがありました。でも演出は全然違っていて、私は今回の方が受け入れやすかったです。宇宙人という事件に遭遇し、何か大切なものを奪われたことを自覚した人間が、とうとう本気で動き出すという希望的な未来が、薄くですが見えたように思いました。

 動きがぎくしゃくしていて、言葉の嘘っぽさで人間離れした風体をかもし出していた、宇宙人3人組(安井順平、日下部そう、内田慈)の存在が面白かったです。ただ、ナルミ(岩本幸子)から“愛の概念”をもらった後のしんちゃん(安井順平)は、もうちょっと大きく変化してもいいんじゃないかと思いました。

≪東京、大阪≫
出演=岩本幸子、浜田信也、盛隆二、國重直也、宇井タカシ、安井順平、瀧川英次、内田慈、日下部そう、町田晶子
作・演出=前川知大 舞台監督=谷澤拓巳+至福団 美術=土岐研一 音響=鏑木知宏(soundgimmick) 照明=松本大介(enjin-light) 衣裳=今村あずさ(SING KEN KNE) ヘアメイク=前原大祐(BRIDGE) 楽曲提供=安東克人(MARS NEON) 演出助手=矢本翼子 舞台監督=谷澤拓巳+至福団 演出部=棚瀬巧 大道具=(有)C-COM舞台装置 輸送=マイド 宣伝美術=末吉亮(図工ファイブ) 宣伝写真=田中亜紀 運営協力=サンライズプロモーション東京 制作協力=エッチビイ(株) 中島隆裕 制作=吉田直美
【発売日】2007/07/21 前売3,200円 当日3,500円 (全席指定・税込み) *未就学児入場不可
http://www.ikiume.jp

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Posted by shinobu at 11:14 | TrackBack

2007年09月12日

劇団☆新感線2007年夏休みチャンピオン祭り『犬顔家の一族の陰謀~金田真一耕助之介の事件です。ノート』08/11-09/09サンシャイン劇場

 劇団☆新感線のお笑い一直線系は久しぶり。『レッツゴー!忍法帖』以来?ちょー楽しかったです。もー何の文句もありません。ただただ満足。本当に、本当に、ありがとうございました!

 ※この日、台風に濡れて帰って風邪引いたんですよね・・・。情けない限りです。皆さん、どうぞお気をつけて。おかしな気候が続いています。

 ⇒CoRich舞台芸術!『犬顔家の一族の陰謀

 タイトルからわかりますように『犬神家の一族』(Wikipedia)のパロディーですよね。他にも色んなパロディがいっぱい。これまでに培った技術を余すところなく、くだらないことに使い切ってくださって(笑)、至れり尽くせりなプロのおバカ芝居でした。

 勝地亮さん。映画『幸福な食卓』『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』で素敵だなって思ってたら、舞台で観てちょー好きになっちったよ。あ、『KITCHEN』にも出演してらしたんですね。
 中谷さとみさんが大活躍で、なんだか嬉しかったです。

 ここからネタバレします。

 タイトルがよくわかんなかったんだけど、『金田真一耕助之介(かねだ・しんいち・こうずけのすけ)が「事件です。」と書き込むノート』という意味だったのね。デスノートが出てくるとは(笑)。

 露天風呂で「のぼせちゃう」と歌うシーンが凄かった。真面目にやればやるほど笑ってしまう。

≪大阪、東京≫
出演=古田新太、宮藤官九郎、勝地亮、池田成志、木野花、橋本じゅん、高田聖子、小松和重、粟根まこと、逆木圭一郎、右近健一、河野まさと、村木よし子、インディ高橋、山本カナコ、磯野慎吾、吉田メタル、中谷さとみ、村木仁、川原正嗣、前田悟
作・演出=いのうえひでのり 美術=池田ともゆき 照明=飯泉淳 振付=川崎悦子 殺陣指導=田尻茂一 川原正嗣 前田悟 アクション監督=川原正嗣 音楽=岡崎司 音響=井上哲司 音効=末谷あずさ 大木裕介 歌唱監督=右近健一 衣裳=竹田団吾 ヘア&メイク=宮内宏明 小道具=高橋岳蔵 特殊効果=南義明 映像=上田大樹 大道具=俳優座劇場舞台美術部 演出助手=山崎総司 舞台監督=芳谷研 宣伝=ディップス・プラネット 制作協力=サンライズ・プロモーション東京(東京公演) 票券・広報=脇本好美 制作助手=川辺美代 制作補=小池映子 制作=柴原智子 エグゼクティブプロデューサー=細川展裕 企画製作:劇団☆新感線 ヴィレッヂ 主催:ヴィレッヂ(東京公演)/関西テレビ放送・キョードー大阪(大阪公演)
【発売日】2007/06/16 S席9500円 A席8000円
http://www.vi-shinkansen.co.jp/

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Posted by shinobu at 12:13 | TrackBack

【レポート】俳優指導者アソシエーション「ニコラス・バーター氏(RADA前校長)にお話を伺う会」09/10芸能花伝舎3階2号室

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Mr. Nicholas Barter

 俳優指導者アソシエーションが主催する、イギリス王立演劇アカデミーRADA・前校長(1993-2007)のニコラス・バーター(Nicholas Barter)氏にお話を伺う会に参加させていただきました。少人数で超~充実の時間でした。
 RADA(ラダ):Royal Academy of Dramatic Art/1904年創設
 聞き手・通訳:池内美奈子さん新国立劇場演劇研修所ヘッドコーチ)

 俳優指導に携わる方々が俳優養成の現状や問題などについて、先輩に直接聞ける時間を持とうという目的で始まったこの会合は、今回が5回目になるそうです(ゲスト=第1回:なし 第2回:ローナ・マーシャルさん/第3回:木村早智さん/第4回:ジェレミー・ストックウェルさん)。

 2005年から幾人かの俳優指導の先生方にお会いしてきましたが、皆さんの共通点はとても穏やかで優しいことです。決して他人の意見を否定しないんですよね。じっくり話を聞いてくださって、ゆっくり的確なお返事をしてくださいます。そして相手への提案も忘れない。ニコラス・バーターさん(ニックさん)もすごくえらい人なのに全然気取らない、エレガントな英国紳士でした。ユーモアを交えてお話をしながら、その場にいる一人ひとりに細かい気配りもしてくださいました。

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少人数で密度の濃いお話ができました

■俳優学校について ⇒RADAについてはこちらのインタビューが詳しいです。

 ニック「RADAの入試は4段階あり、1人につきおよそ9時間かけて審査しています。また、色んな人にアドバイスを求めて決定します。32人の枠に約2000人の応募があります。」
 ニック「英国には22校の演劇学校があり、その他にも私塾のようなものがいっぱいあります。22校の中でもトップクラスは5~6校と言われています。」

 ニック「RADAで卒業を認められない(退学?)の理由はおもに2つだけです。1つは欠席が多いこと。もう1つは他の俳優を何らかの理由で下に見ていること。1人でも皮肉な目で見てる俳優がいると、他の俳優がその場で(自分をさらけ出す)リスクを負えなくなってしまうから。」
 ニック「俳優は見せないと決めたもの(自分の内側)を『見せてください』と言われて、見せなければいけない職業。リスクを持ってやるから、拍手をもらえるのです。」

 ニック「どんな俳優が望まれるのか。それは俳優学校の入試においても舞台のキャスティングにおいても、人のtaste(好み・嗜好)に影響されることです。ピーター・ブルックは“どんなに才能があっても心を開かない人とは仕事をしたくない”と言っていました。それが彼の好みなんですね。彼は観客の前で無垢になれる俳優を好みます。だから俳優学校でも劇団でも、選ぶ基準に個性が出てくるのは当然のことです。新国立劇場演劇研修所はまだできたばかりですが、何年も経つ内にカラーが出てくるでしょう。」


■日本人俳優について

 ニック「1993年に日本で初めてワークショップをしました。日本人は英国人とは違う観点から演劇を見ていたように思います。その頃の日本人俳優は演技の指導を受けることにすごくハングリーでしたね。」
 ニック「日本人俳優は英国人俳優よりも集中力がありますね。とても良い生徒です。また、皮肉な(シニカルな)見方をしない。そして日本人は形容詞でものごとを考える傾向にあると思います。“悲しい”“寂しい”“美しい”など。英国人は動詞でもって物語を回転させていく。日本人は形容詞で雰囲気を作る傾向があり、相手に影響を与えることをしない。だから(日本人俳優の稽古場では)『オファー(提案)してください』というようにしている。相手に影響を及ぼすようにと。」

 ニック「日本人俳優はものすごい勢い(早さ)でセリフをしゃべりますよね。言葉を見ていない。シェイクスピアのセリフなどでは『ここの言葉の意味はわかっていますか?』と止めることが多いです。(自分の)時間を持つ自信を持ってほしい。」

 質問「日本人俳優は正解を求めたがったり、間違いたくないと思っている人が多い気がします。『いっぱい間違えて!』と言うんですが、なかなかうまくいかない。どうすればいいでしょうか。」
 ニック「それはkey(鍵)になる言葉だと思います。俳優が質問した時に、講師は俳優に『わかりません』とこたえ、そして『一緒に探求しましょう』と言うのです。そうすれば俳優は『あ、正解がないのだな』と気づいて、自信を持って探っていくことができるでしょう。」

 ニック「これはインド人の知り合いに教えてもらった言葉です。『いつも自分が知ってるところから始めると、世界狭いから可能性が制限される。知らないところから作業をした方がいい。可能性が無限だから』。」
 ニック「いつも同じ結果を期待してはいけない。期待するとある枠組みにとらわれてしまう。最初は規範から始めるけれど、どこまで広がるのかはわからないと思っていた方がいい。」

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Mr. Nicholas Barter

■日本演劇界について

 ニック「日本は能・狂言、歌舞伎、新派、新劇、小劇場などが、同時に存在していることが素晴らしいですね。対して英国では、1642年(?)にそれまでの舞台製作方法が禁止されて、その直後の数年間のうちに大きな変化が起こりました(例:女優の誕生など)。1950年代は演劇祭復興の時代でした、その頃の三大俳優といわれた人たちでさえも、作品が変化したために自分の演技のやり方を変えたほどの変革でした。だから例えば1920年代の演劇がどんなものだったのかは誰も覚えていないし、わからないのです。英国ではシェイクスピアでもチェーホフでも、毎回新しく誕生します。いつもどうやったら新しい演劇が出てくるのかを考え、刺激しあうべきです。そして俳優ともども演劇界全体で、新しいお客様を探しに行くべきです。」

 ニック「下北沢に連れて行ってもらったんですが、あそこは面白いですね。劇場もあるけれど、レストランやブティックなど雑多にいろいろな店があって。新しいものが生まれる場所のような気がします。」


■その他

 質問「英国の俳優も日本と同じように皆が裕福ではないようですが、英国では演劇人の社会的地位は高いと聞きました。そうなのですか?」
 ニック「そうかもしれませんね。でもロシアよりは低いですよ(笑)。なんといってもロシアの演劇学校には200年以上の歴史があるんですから。新国立劇場演劇研修所も200年経てば、卒業生の地位がロシア人俳優みたいに高くなるかもね(笑)。」

 ニック「ここまで話してきて、日本も英国も同じ問題を抱えているような気がしました。」


【感想】

 俳優指導というのは1人の人間から始まるんですね。「Acting(演技)の先生のほとんどが1人の女性教師に師事していた」というお話や、個人のお名前を聞く度に感じました。1人から1人ずつにつながっていくものであって、“学校”とか“方法論”などといった枠組みやブランド名で語れるものではないことがわかりました。

 参加者のほぼ全員が英語が堪能な方々で(汗)、私もたどたどしい英語で奮闘しましたデスよ。

主催:俳優指導者アソシエーション 日時:9/10(月)18:00~22:00
参加者(順不同・敬称略):小森創介(俳優・演劇集団円所属・玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科非常勤講師)/山田佳紀(俳優・演劇研究所「品川ファクトリー」所属・俳優指導者)/鍬田かおる(英国アレクサンダー・テクニーク教師協会認定教師・新国立劇場演劇研修所講師)/黒澤世莉(演出家・時間堂堂主・新国立劇場演劇研修所講師)/明樹由佳(俳優・La Compagnie An主宰・俳優指導者)/川南恵(舞台芸術コーディネーター・新国立劇場演劇研修所カリキュラム・コーディネーター)/池内美奈子(ヴォイストレーナー・新国立劇場演劇研修所ヘッドコーチ)/高野しのぶ(現代演劇ウォッチャー/「しのぶの演劇レビュー」主宰)

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Posted by shinobu at 11:18 | TrackBack

2007年09月11日

らくだ工務店『戦争にはいきたくない』09/11-17「劇」小劇場

 石曽根有也さんが作・演出されるらくだ工務店(過去レビュー⇒)。味のあるオジサマ(お兄様?)キャストが揃って、ふんわか笑わせてくれました。
 上演時間は約1時間40分。次回公演は3月@THEATER/TOPSです。

 ⇒堤広志さん(演劇・舞踊ジャーナリスト)のらくだ工務店「幸せのタネ」についての劇評(
 ⇒CoRich舞台芸術!『戦争にはいきたくない

 ≪あらすじ≫
 小さなネジ工場の事務所。社長(林和義)の奥さんが入院中で、姪(瓜田尚美)が手伝いに来ている。従業員はいつも通り軽口をたたきながら地味な作業。
 ≪ここまで≫

 柔らかい、暖かい、たわいない、笑い。これがあれば人間は幸せだよねって思える一瞬間がありました。らくだ工務店に初めて出演するオジサマたちが、らくだ工務店らしい空気を作っていたのが、なんだか嬉しかったです。いっぱい笑ったな~。
 開演前に「上演中に2分間の暗転があります」とのアナウンスがありました。その“暗い時間”が楽しかった。

 ただ、終盤からラストにかけては、収束する方向が奇抜で急すぎたんじゃないかと思いました。

 ここからネタバレします。

 プチ天然(笑)のレオさん(高木尚三)は戦争中の母国へ帰り、リストラされていた3人の子持ちの日枝(工藤潤矢)はまたサラリーマンに(戻ってくるけど)、元ヤクザの金子(古川悦史)は再び闇の世界へ。姪は保険の外交員(岡本考史)と付き合っていて、社長は若年アルツハイマーの奥様を自宅に引き取って介護の毎日。いつまでも続きそうだった平凡な日々が、突然に様変わり。世界一の技術で作っていたネジは、もう作れなくなったのかなー。

 ラストに「うわー・・・なんか、残念だぁ・・・」と思ったから、前半の笑いが際立って楽しい思い出になったかも。

出演=林和義、古川悦史(文学座)、工藤潤矢、岡本考史(東京タンバリン)、今村裕次郎、瓜田尚美、石曽根有也、高木尚三(サモ・アリナンズ)
作・演出=石曽根有也 舞台美術=福田暢秀(F.A.T STUDIO) 音響=筧良太(SoundCube) 照明=山口久隆(S-B-S) 宣伝美術=石曽根有也 道具=志村健一 舞台写真=村上裕也 演出助手=高嶋伶奈 制作=山内三知 伊藤理絵 企画製作=らくだ工務店
【発売日】2007/08/01 前売3,000円 当日3,300円[全席指定・税込] ※9月13日(木)14:00の回は前売2,500円 当日2,800円
http://www.rakuda-komuten.com

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Posted by shinobu at 22:31 | TrackBack

【お知らせ】9月8日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演しました

 FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたします。毎月第一土曜日のレギュラーです。

 今回は田上パル『アルカトラズ合宿』についてお話し、9月に観られるお薦めお芝居を3本ご紹介します。

 西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
 9月8日(土)21:30~22:00(の内の約10分間)
 FM 84.2MHz

 ⇒PodCastingあり!放送終了後にアップされます(数日後だったりも)。
 ⇒アップされました(2007/09/15)。

 ★しばらく風邪で動けなくて、お知らせが遅れました。ごめんなさい。

Posted by shinobu at 22:20 | TrackBack

2007年09月07日

【ワークショップ】『第3回TOKYOSCAPE東京ワークショップ+シンポジウム』10/01-14森下スタジオ

 TOKYOSCAPE東京ワークショップの第3段です(⇒詳細)。最終日には恒例の発表会(過去レビュー⇒)に加え、昨年夏に行われたTOKYOSCAPEのメンバーが一同に集まったシンポジウムもあります。

 ワークショップは基礎と共通テクストを使用するものの2本だて。テクストは岸田國士・作『紙風船』!私も大好きな戯曲です。ちょうどポかリン記憶舎が上演したばかりですね。

 第2回の紹介記事にも書きましたが、なるべく多くのクラスを受講することをお薦めします。このワークショップを受講して劇団員になった方もいらっしゃるんですよ♪

 ★応募開始日=9/8(土)/締切=9/25(火) ※定員に達し次第、締切。

こちらよりそのまま引用します≫

【TOKYOSCAPEとは?】
2006年夏、東京の多彩な個性の6つのカンパニーが、京都下鴨のアトリエ劇研を中心に市内一円の4つの会場で同時多発公演を行ったフェスティバルの名称です。

【TOKYOSCAPE東京ワークショップ】
フェスティバルの周知と参加カンパニーの方法論を明確にしていくことを目的に2回に渡り開催され、延べ150名以上の方が受講。好評を博しました。3回目の今回は3つの基礎ワークショップと、共通テクストとして岸田國士の『紙風船』が使われる4つのワークショップを行います。

【TOKYOSCAPEシンポジウム】・・・14日(日)成果発表後19時30分頃より開催TOKYOSCAPEはカンパニーを中心とした実行委員会形式で行われました。地域間交流、そしてフェスティバルの新しい可能性として、きちんとした総括が必要である、とわたしたちは考えました。具体的には詳細な記録誌の編纂、そして、シンポジウム形式による報告を行います。
【パネリスト】 
<プロデューサー> 杉山準(アトリエ劇研プロデューサー)
<企画> 荻野達也(fringeプロデューサー)
<アートディレクター> 京(デザイナー)
<京都制作> 井神達也(ヨーロッパ企画制作)
6主宰者

【こんなワークショップになります】
《基礎ワークショップ》
●詩森ろば(風琴工房) 「俳優を続けるための最初の段階はそのひとの可能性のすべてを所有しなおすこと。その方法のひとつを提示し、このワークショップの幕開けに相応しい体験を約束します。」
●山田裕幸(ユニークポイント) 「演劇の台詞は、普段話す言葉とは違うのか?違うなら、どうすれば不自然にならずに演じられるかを考えるワークショップです。いろいろな劇作家の台詞を声に出して読み、演劇の言葉について考えてみたいと思っています。」
●長谷基弘(劇団桃唄309)「舞台作品づくりにおいて演出とはどのような「過程」なのでしょうか。このワークショプは、「演出家の視点」を理論と体感の双方から探り、俳優の表現の幅を拡げていくことを目的としています。岸田國士の戯曲を題材として用います。」

《「紙風船」ワークショップ(成果発表付)》
●内藤達也(bird’s-eye view)「『魅力的な俳優』とはどんな俳優ですか?発声の上手い俳優ですか?演技の技術に優れている俳優ですか?僕はそんな俳優にはちっとも魅力を感じません。そんな、ただの俳優にならないためのワークショップです。」
●詩森ろば(風琴工房)「身体と言葉を論理的につなげる方法を俳優たちとシェアします。それを体感するのにベストの脚本を使い明日からあなたが俳優を続けていくための助けとなる体験にします。」
●明神慈(ポかリン記憶舎)「夫婦のたくましい想像力と赤裸々な台詞の数々を体現するには、重心を自覚的に操作する事も重要です。豊かな沈黙=闇を体現するには、身体言語と深層言語を軸に、体内に言葉や仕草の余韻を響かせる事が大事です。二つの課題に取り組み、小作品を構築してゆきます。」
●夏井孝裕(reset-N)「フランスの俳優たちが上演する演劇作品を見続けているうちに浮かび上がってきたキーワードは「観客への語りかけ」でした。私たちはリアルな手触りを追求するなかで観客と向かい合う姿勢をなくしかけてはいないか、と考えたわけです。観客との対峙に取り組みましょう。「どう見えるか」から「どう語るか」へのシフト。そのためのワークショップです。」

日 程  2007年10月1日(月)~10月14日(日)
成果発表 10月14日(日) 18:00~
■基礎WS
【詩森①】 1(月)、2(火) 18:00-22:00
【山田】  2(火)、3(水) 13:00-17:00
【長谷】  8(月・祝)    13:00-22:00

■紙風船WS(成果発表付き)
【明神】 4(木)、5(金)、11(木)、12(金) 13:00-17:00
【夏井】 3(水)、4(木)、5(金)、12(金) 18:00-22:00
【詩森②】 6(土)、9(火)、10(水)、11(木) 18:00-22:00
【内藤】 7(日)、13(土)  13:00-22:00

基本的に1演出家のクラスを通しで受講していただきます。単回受講は承っておりません。成果発表参加者は14日(日)は一日拘束となります。

<定 員> 
●基礎WS 20名
●「紙風船」WS16名
<締 切>  9/25(火)  定員に達し次第、締切
<問合先>  tokyoscape@windyharp.org

<受講料> 複数受講はオトクな料金設定となっています。
■基礎WS(4時間×2コマ) 6,000円
■紙風船WS 1演出家(4時間×4コマ+成果発表) 15,000円
■紙風船WS 2演出家(4時間×8コマ+成果発表) 25,000円
■紙風船WS 3演出家(4時間×12コマ+成果発表) 33,000円
■紙風船WS 4演出家(4時間×16コマ+成果発表) 40,000円
※紙風船WSを受講する方は基礎WSを3000円で受講できます。
※お申込み後、お支払い方法はご連絡いたします

<応募方法>
本チラシの応募用紙に必要事項を記入の上、下記までメールまたはFAX。公式サイトの応募フォームからも応募可能(9/8~)。郵送での申し込みは受け付けておりません。
【FAX】 03-6809-8933
【e-mail】 tokyoscape@windyharp.org
【ウェブ】 http://www.tokyoscape.org/

<会場>
森下スタジオ 〒135-0004江東区森下3-5-6
地下鉄都営新宿線・都営大江戸線「森下駅」
A6出口 徒歩5分
03-5624-5954(10/1~14のみ)

≪以上≫

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Posted by shinobu at 11:50 | TrackBack

2007年09月06日

空間ゼリー『穢(けが)れ知らず』08/31-09/09ザムザ阿佐谷

 空間ゼリーは坪田文(つぼた・ふみ)さんの戯曲を深寅芥(みとら・あくた)さんが演出するスタイルを続けている劇団のようです。出演者の平均年齢はなんと20歳。若いですね~。日本大学芸術学部演劇学科の女性中心に結成され、主宰・作家の坪田さんは現在も大学院に在学中とのこと。

 ダブルキャスト公演で、私が観たのは蜜柑バージョンです。上演時間は約1時間50分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『穢れ知らず

 ≪あらすじ≫
 故郷と家族を捨てて上京していた長女(岡田あがさ)が、6年ぶりに帰省した。でも家族全員が彼女を歓迎しているわけではなかった。それどころか・・・。
 ≪ここまで≫

 舞台は古い日本家屋の居間。ザムザ阿佐ヶ谷のムードをよく利用しています。作品の内容もそんな感じに染まっていました。アングラっぽくって私の好みではなかったです。「アングラ」の定義は人に因ると思いますが。

 脚本は重複が多いように思いました。役者さんの演技はおぼつかなかったですね。
 誰もがざぶとんを踏みまくってることに違和感。誰にも見える場所に金庫が置いてるのもヘンだと思いました。

 ここからネタバレします。

 金庫が盗まれてその犯人もわかったなら、まず警察に電話すると思います。盗まれたとわかった途端、その場で家族全員を集めて家族会議を開き、「我が家は困窮しているんだ」と報告をするのはおかしいと思いました。

 「知ってしまったら忘れることはできない」とか、「汚れは洗い落とせない(インターネットという網にかかって、過去のことも常に明るみに出てしまう)」とか、そういう現実を悲劇的に描いていました。
 AV女優になってしまっていた長女を、長男(長女と両思い)が殺してしまうという結末でした。悲劇のヒーロー・ヒロインの自己陶酔で終わってしまったように感じました。どうせなら「それでも人間は生きていかなければいけない」ところの悲劇が観たいです。

出演(一部ダブルキャスト)=岡田あがさ/下山夏子/佐藤けいこ/河野真衣/榎本万里子/細田喜加/冬月ちき/猿田瑛/豊永純子/大内結(FLOS)/篁薫/水谷一人/鈴木雄三/尾浜義男/宮原将護(Mademoiselle)
作=坪田文 演出=深寅芥 舞台美術=塚本好宏 舞台監督=笹浦暢大(うなぎ計画) 照明=稲崎愛歩 音響=筧良太(SoundCube) 竹下ヨシユキ(Lotus.) 宣伝美術=寺尾匠 宣伝写真=小峰あいか 照明監修=北寄崎嵩 制作=金沢仁(Artbiz) 製作=空間ゼリー/(株)アップフロントワークス 主催=空間ゼリー/(株)オデッセー
【発売日】2007/07/15 日時指定・全席自由 前売3000円 当日3500円
http://www.kuuze.com/

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Posted by shinobu at 23:45 | TrackBack

田上パル『アルカトラズ合宿』09/05-11アトリエ春風舎

 田上(たのうえ)パルは田上豊さんが作・演出される劇団です(⇒過去レビュー)。劇団の特色についてはこちらをどうぞ。「熊本弁体育会系青春群像劇三部作完結編!!」だそうです。

 暑苦しい体育会系クラブの地獄の夏合宿風景。若い男の子が、走る!飛ぶ!殴る!叫ぶ!取っ組み合う!「静かな演劇」の構造なんだけど全く「静か」じゃない(笑)、新しいジャンルなのかもって思いました。20代中盤までの若い作家・演出家の面白い作品に、最近よく出会います。上演時間は約1時間45分。

 ※アルカトラズ島:脱出不可能と言われたアルカトラズ連邦刑務所がある島。現在では観光名所(Wikipedia)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『アルカトラズ合宿
 レビューは後ほどアップ予定。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 真夏の東京。九州の猛者達が、ハンドボール部界隈では有名屈指の地獄の合同合宿にやってきた。
 練習試合で負ければ愛の鞭が待っている、勝利がすべての灼熱の現場である。
 しかし、選手達が執拗に勝ちにこだわる理由は意外なところにあった。
 舞台は、宿舎の晩。
 勝敗の結果で、高校別にカースト制が敷かれるこの寝床は、常に狂気が渦巻く一触即発状態。
 ここでは、他校を威嚇し、豪腕をふるい、一発芸が強い奴がNo.1である。
 さぁ、夜の合宿を始めよう。
 体育会系三泊四日の物語。
 ≪ここまで≫

出演=星野秀介、坂田尚樹、金田拓磨、安村典久(蜻蛉玉)、熊木進、堀善雄(ザ・プレイボーイズ)、中村崇人、平岩久資(楽々一座)、萬洲通拡、松高義幸、菅原直樹、佐藤誠(青年団)
脚本・演出=田上豊  舞台美術=松村知慧 照明=伊藤泰行 宣伝美術=ドラゴン・ヤー 制作=尾形典子
【発売日】2007/07/20 前売 ¥1,800 当日 ¥2,000 平日マチネ割引 ¥1500(前売・当日共) (全席自由・整理番号付)
http://tanouepal.com/

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Posted by shinobu at 10:53 | TrackBack

2007年09月05日

柿喰う客『性癖優秀』08/29-09/04新宿シアターモリエール

 柿喰う客(かきくうきゃく)は中屋敷法仁(なかやしき・のりひと)さんが作・演出される、旗揚げから3年の若手劇団です。私が観に行った回が通算100ステージ目だったそうで、年間30ステージ強のペースで公演を打ってこられたんですね。

 がっつり下ネタ路線全開のチラシに躊躇していたのですが、チラシ通りでありつつ(笑)、ものっすごく面白かったです。私の尺度ではR18。でも実際はR15でもいいのかな。
 私はノリが悪い目の観客なのですが(一緒に歌ったり手拍子するのは苦手)、あの歌のシーンでは、恐る恐るですが手拍子しちゃいましたね。この劇団の魅力にヤられちゃいました。高天原が出てくるのが最もツボ。

 ⇒CoRich舞台芸術!『性癖優秀
 ⇒T★1演劇グランプリ・第一次審査通過団体です。

20070904_seihekiyushu_T1.JPG
ロビーの壁に「T★1演劇グランプリ」情報

 受付の制作さんが劇団マスコット「めこちゃん」と同じネコ耳のメイド服姿で歓迎。シアターモリエールの劇場入り口に小さなクーラーが置いてあって親切!そのクーラーやトイレットペーパー・ホルダーの上にちょこんと「めこちゃん」が乗ってます(チラシを切ったもの?)。「T★1演劇グランプリ」情報もロビーに大きく貼り出して下さってました。

 当日パンフレットには似顔絵付きの登場人物紹介と人物相関図が載っているのも嬉しいです。あの役者さん良かったな~と思っても、後から誰なのかがわからないことが多いんですよね。開演前と終演後、そしてトーク終了後に昼ギャザの説明もしっかりされていました。600円のキャッシュバックだったようです。

 ≪あらすじ≫
 12歳の有之介(伊藤淳二)は両親が離婚したため、母と一緒に母の実家の国津神村へ引っ越すことに。古くからの独特のしきたりがあって過疎が深刻な国津神村は、進歩的な考えを持つ人々が暮らす天津神ニュータウンと合併されて高天原市となるが、国津神村の村民と天津神ニュータウンの住民はあからさまに対立する。両方の町の子供が通う高天原市立まんなんか中学校では、性教育に重点を置いた教育へと大転換した。そこには大きな陰謀(?)が・・・。
 ≪ここまで≫

 いわゆる元気な小劇場演劇ですね。客席に向かって大きな声で早口でセリフをしゃべりまくり、大人数(29名)がところ狭しと舞台を走り・飛び回り、歌うし踊るし脱ぐし(笑)。そして下ネタ炸裂です。何の躊躇もなく、男も女も年齢も関係なく、明るくセックスセックス言いまくり。レビューに書けない言葉ばっかりだよ(笑)。そんな言葉が頻繁に出て来すぎて、観てる方が麻痺しちゃうぐらい。ここまで開けっぴろげだと、いい意味で洗脳されます。劇場の魔法のひとつ。

 大胆に場面転換するし登場人物も多いですが、混乱することなく物語について行けました。風習・信仰の違いから始まる戦争とか、保身のために理想を捨てて私欲に走るとか(老後の心配をして市長に負ける校長)、「生殖のためだけのセックス」と「快楽のためだけのセックス」の対立とか、実は社会的なテーマに深く切り込んでいて、自分なりの主張もしていたように思います。最後のセリフ(忘れちゃったけど)が良かった。はず。

 笑わせる仕掛けもいっぱい。これでもか!これでもか!!と責めれられる気分(敢えて「責」という漢字で・笑)。少年ジャンプ(「ドラゴンボール」)、少年マガジン(「はじめの一歩」)、テレビゲーム(「スト2」)など、男の子が大好きなホビー・ネタとか、TVコマーシャルのことも言ってたかな。軽薄そうでいてシェイクスピアの引用まで出てくるから驚きの面白さです。

 80年代風のまっすぐ叫ぶような演技だけでなく、生っぽくおしゃべりするのもあって、演出には色んなジャンルの手法が組み合わされていました。中屋敷さんは青森県の高校演劇を経て、ただいま桜美林大学に在学中。平田オリザさんに教えてもらった世代なんですね。次回公演もとても楽しみです。

 ここからネタバレします。

 『古事記』でイザナギとイザナミが出会って子供をつくるくだりは、ものすごくあからさまな描写なんです。「高天原」が出てきたことで、日本の神話のむき出しの性とばっちり重なりました。

 最初に本気で笑えたのは出来本泰史さんの「イ●ポの何が悪いんだよっ!」。新劇みたいな演技でこのセリフなんだもの(汗)。ボールペンが頭に刺さった時の叫び声も良かった。
 緑色の髪の弁護士役の玉置玲央さん。Tバックの下着一丁で走りまくり。目のやり場に困りましたが(笑)、子供の無邪気ないたずらみたいだし、可愛いです。さらけ出すだけでなく、ちゃんと笑う対象になっているのも良いですね。
 巫女(実は山の精?)とセックスして童貞を捨てる12歳の有之介役の伊藤淳二さん。力を抜いた演技が良かった。TOKIOの『LOVE YOU ONLY』の熱唱、いい声でお上手でした。
 性教育を乱暴に施す金八先生役の七味まゆ味さん。猫背椿さんみたい。素敵でした。

 「数国社理(すうこくしゃーりー)教育」から「ほほーいほほほーい教育」に方針転換。「ほほーい」って保健体育の「保(ほ)」はわかるけど、「い」は何?(笑)
 ※「ほほほ~い」はお笑い(ココリコの遠藤章造さん)のギャグかも、とのこと(2007/09/06加筆)。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ 全公演で実施。備忘録。※←以降は私のつっこみ。
 出演=中屋敷法仁(作・演出)、玉置玲央(緑色の髪の弁護士役)

 玉置「今回のテーマは?」
 中屋敷「柿喰う客では公演ごとにテーマを決めています。今回は自分(中屋敷法仁)です。」
 玉置「いつものことなんですが、なぜこんなに性的なことが前面に出ているのでしょうか?」
 中屋敷「それはたぶん“童貞”という言葉を知った時に、既に自分が童貞じゃなかったからかもしれません。“Hしたいけどできない”みたいな悶々とした時期っていうのが、僕にはなかったんですよね。」←いいのか、そんな赤裸々な(笑)。

 玉置「今回で記念すべき100ステージを達成しました。3年で100回なので1年に30回ペースですね。」
 中屋敷「(こんなハイペースでやってきたのは→)演劇がやりたくて上京したんだけど、才能がないなら早く辞めて就職したいのもあって、嫌われるなら早く嫌われたいってことで(笑)、ドンドンやってるんだと思います。」
 玉置「まあ、もうちょっと(続けて)がんばろうよっ。」
 
 観客1「方言はどこの方言ですか?」
 中屋敷「高天原市は東海地方という設定ですが、国津神村の言葉は僕の出身地の青森県南部地方の南部弁です。標準語をちょっとなまらせたぐらいの言葉なので、テレビでもよく使われています。」

 観客2「高天原市はなぜ東海地方なのですか?」
 中屋敷「僕のお芝居には必ずと言っていいほど高天原という場所が出てくるんですが、高天原は『古事記』に出てくる“神様がいる場所”です。神に近い(高い)場所ってことで、僕にとっては富士山のある静岡県富士市ってことになってます(だから東海地方)。富士市出身の人には怒られましたけど。富士はそんな場所じゃないって(笑)。」
 中屋敷「僕の作品はいわばギリシア神話の世界みたいなもので、出てくる人はみんな神様なんです。みんな変態なんですけど(笑)。神様たちが高い場所でわーわーやってる感じ。」

 観客3「玉置さんの髪はなぜ緑色なんですか?」
 中屋敷「玉置くんは・・・黒髪だと男前すぎるからでしょうね。僕の黒髪もかっこいいって評判だったんですが、彼が出るようになってから誰にも言われなくなっちゃって。だから僕のジェラシーが生み出した髪形ですっ(笑)。」
 玉置「役は決まってないのに髪の色だけ先に決まってたり(笑)。」

出演:浅見臣樹、出来本泰史、古里美穂、花戸祐介、大石憲、目崎剛、高橋洋平、土井貴之、丸山彩智恵(劇団アルターエゴ)、武藤心平(7%竹)、堀越涼(花組芝居)、高木エルム(柿喰う客)、七味まゆ味(柿喰う客)、玉置玲央(柿喰う客)、コロ(柿喰う客)、本郷剛史(柿喰う客)、中屋敷法仁(柿喰う客)、斗澤康秋、大森茉利子、石橋宙男、目黒茂、石黒淳士、村上誠基、伊藤淳二、本田けい、小西綾香、加藤槙梨子、太田望海、伊佐美由紀
脚本・演出=中屋敷法仁 舞台監督:佐藤恵 舞台美術:濱崎賢二(青年団) 音響:上野雅(SoundCube) 照明:富山貴之 演出助手:寺田千晶 前園あかり 映像:高橋希望 映像記録:山川淳平 宣伝美術:山下浩介 票券管理:清水美峰子 制作:田中沙織 OTHER MEMBER:半澤敦史 深谷由梨香
※日時指定・全席自由 前売券2,200円 学生券2,000円(要予約・要学生証提示) 団体券5,400円(要予約・3名でご来場のお客様対象) 当日券2,500円 昼ギャザあり。
http://kaki-kuu-kyaku.com/

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ホリプロ『ヴェニスの商人』08/17-09/30天王洲銀河劇場

 市村正親さん、藤原竜也さん、寺島しのぶさんというスターを揃え、RSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)のグレゴリー・ドーランさんを演出に迎えた本格的なシェイクスピア、なはず。

 上演時間は約3時間15分(15分の休憩を含む)。長かったな~。開場時間に仮面の人々がロビーを練り歩きます。写真撮影もOK!

 ⇒CoRich舞台芸術!『ヴェニスの商人

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 舞台は、貿易都市として栄えた16世紀末のヴェニス。アントーニオ(西岡徳馬)は、この街で貿易商を営む裕福な紳士。ある日、彼の元に、年下の親友バサーニオ(藤原竜也)が借金の申し込みにやって来ます。ベルモントに住む才色兼備の令嬢ポーシャ(寺島しのぶ)にプロポーズをするために。が、あいにく全財産が海を渡る船の上にあったアントーニオは、自らが保証人となり、バサーニオにユダヤ人の高利貸しシャイロック(市村正親)を紹介します。そんなふたりにシャイロックが出した条件は、「もしも3カ月の期限までに借金が返せなかったら、アントーニオの肉1ポンドをもらう」というもの。常軌を逸した申し出にアントーニオはたじろぎますが、期限内に船が帰還すると信じる彼は、この条件を承諾。おかげで、金を手にベルモントへ旅立ったバサーニオは、難しい結婚の条件をクリアしてポーシャと結ばれます。そんなとき、アントーニオの輸入品を積んだ船が難破。借金返済の目処が立たなくなった彼と、約束どおり1ポンドの肉を要求するシャイロックの闘いは、法廷の場に持ち込まれることに……。
 ≪ここまで≫

 ドーランさんっぽい空間だな~と思いました(過去レビュー⇒『夏の夜の夢』『オセロー』)。役者さんがしゃなりしゃなりと歩いてきてハタと立ち止まったら、そこはその役者さんの世界。場面転換のための大掛かりな美術の移動や暗転などはほぼありません。

 んー・・・フツーに不愉快な話ですよね、『ヴェニスの商人』て。思いっきり人種差別肯定してますから(笑)。原作に忠実なのでしょうけど。
 日本人が日本語でやってることの違和感が大きかったな~。ドーランさんがRSCでやることをそのまま輸入してきただけなんじゃないでしょうか。それだと無理が出て当然ですよね。メインキャストが長いセリフを言っている時に、まわりの人々が笑うんですが(面白いことを言っているから)、明らかに嘘っぽい笑いなので妙な空気でした。

 衣裳がきれいだった。ポーシャ(寺島しのぶ)をはじめ女優さんのドレスが特に。藤原竜也さんのクリーム色のスーツ姿は新鮮。でも美術や照明も含んだ全体の調和はあんまり。
 生演奏は耳に心地よかったですが、当たり障りのないBGMの域を超えていなかったようで、ちょっと物足りなかったです。

 役者さんの演技は・・・それぞれバラバラで、どう感じていいのやら。一辺倒に怒鳴るのは聞いてられなかったな~。
 市村正親さんは差別されるユダヤ人として思いっきり孤立されているのが良かった。本当に別世界の人みたいだった。
 寺島しのぶさんは緻密な演技でしっかり説明してくださるのが、いつもながら素晴らしいと思います。でも賢すぎるのはあまり可愛くないような。まあ、ポーシャは才女なのでしょうけど。
 藤原竜也さんは力を抜いて笑ったり困ったりする、普通の若い男の子らしい演技が可愛かった。劇画調なのはちょっと・・・。
 道化役の大川浩樹さん(ですよね?)は、1人でしっかりとムードを作ってくださったので、ダジャレもダジャレとしての楽しみがありました。

 ここからネタバレします。

 ポーシャが男に変装して法廷で活躍し、バサーニオの指輪(ポーシャがあげたもの)をまんまと奪います。そして自宅に戻ってきてから、指輪を誰かにあげてしまったバサーニオを責めるという、商業演劇っぽいわかりやす~い喜劇部分が良かったです。

 シャイロックの娘(京野ことみ)とその恋人はいったい・・・・。衝撃を受けるほど通じ合ってなかったです。

出演=市村正親、藤原竜也、寺島しのぶ、京野ことみ、廣田高志、大川浩樹、小林正寛、横田栄司、樋浦勉、加門良、椿真由美、鈴村近雄、遠藤好、今奈良孝行、菅原さおり、樋口浩二、佐川和正、藤沼剛、豊田茂、佐藤仁美、団時朗、西岡徳馬
作=ウィリアム・シェイクスピア 演出=グレゴリー・ドーラン 翻訳=河合祥一郎 美術=マイケル・ヴェイル 照明=隅尾良一 衣裳=小峰リリー 音響=高橋巖 ヘアメイク=武田千巻 演出助手= 技術監督=堀内真人 舞台監督=森下紀彦 宣伝美術=永瀬祐一(BAT DESIGN) 宣伝写真=設楽光徳 主催=ホリプロ・天王洲 銀河劇場 共同制作=Thelma Holt Ltd.
【発売日】2007/06/09 S席10,500円 A席8,400円 立見券(2階客席 最後列両サイド)5,000円
http://www.gingeki.jp/index.html

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Posted by shinobu at 10:28 | TrackBack

2007年09月03日

シアターナインス『シェイクスピア・ソナタ』08/30-09/26パルコ劇場

 松本幸四郎さんが1997年から始められた現代演劇の企画の第6回です。今回の作・演出は第4回『夏ホテル』に続いて岩松了さん。

 あぁ、私もやっと岩松さんの世界を少しはわかるようになったんだな~・・・としみじみ。初めて「めちゃくちゃ面白い!」って思ったのは、たぶん2005年の岩松了3本連続公演(⇒)の時です。あれは貴重な体験でした。

 前半はひっそりしてるところで1人でガハガハ笑い、休憩前のシーンではボロボロ泣いていました。でも後半はやっぱりよくわかんなくなっちゃった・・・(笑)。上演時間は約2時間45分(20分の休憩を含む)。ちょっと空調が寒かったですね。東京はもう秋になったかも。

 ⇒CoRich舞台芸術!『シェイクスピア・ソナタ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。※読んでから観に行く方がわかりやすいかもしれません。
 沢村時充(松本幸四郎)はシェイクスピア役者との異名をとっている。『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロー』の四大悲劇を演目に旅廻りを中心とした活動をして、演劇界でも独自の地位を築いている。彼の率いる一座は彼の先妻との結婚を機に、成長したといえるだろう。長年連れ添った先妻は八ケ月前に亡くなったのだが、女優としても、それぞれの劇で重要な役を務めていた。
 一座の成長の裏には、先妻の父たる菱川宗徳の財力があった。菱川家は、石川県能登市で、造り酒屋をして財をなす資産家で、娘婿である沢村時充のため経済的援助を惜しまなかったのだ。
 一座は、年に一度の旅廻りの最後には必ず石川県能登市を訪れ、菱川家の広い庭先で,四大悲劇を演じることを常としていた。それは地元民の楽しみであり、菱川宗徳の誇りとするところでもあった。そのために菱川家では、毎年その時期になると、庭に私設の劇場を設置して、一座を待っていたのだ。
 が、今年の公演には、沢村時充の妻が、すなわち菱川宗徳の娘がいない。しかも沢村は、妻が亡くなって一年にもならないのに、一座の二番手女優だった松宮美鈴(緒川たまき)と結婚し、言ってみれば、先妻の後釜に座らせていたのだ。
 沢村時充にとって、この度の能登行き、そして菱川家公演は、少なからぬ緊張を強いられるものではあった。沢村たちを一見暖かく迎えた菱川家ではあったが、沢村の先妻の妹である夢子(伊藤蘭)や、菱川家の入り婿として、夢子とともに造り酒屋<能登舞>を副社長として切り盛りする友彦(高橋克実)の心中が穏やかなはずはなかった。
 それは沢村時充と先妻との息子である一座の若手男優・沢村美介(長谷川博己)にとっても複雑であり、一座の中堅俳優・二ツ木 進(豊原功補)、山田隆行(岩松了)、横山 晶(松本紀保)たちの思いもそれぞれである。
 菱川家の客間の正面にはテラスに出る開き戸があり、そのテラスは、広い庭に面している。その庭にある仮設劇場で公演は行われる。
 かくして、表向き平静を装って公演は幕を開けたが、菱川家の長たる菱川宗徳が座るための客席中央の席だけがぽっかり空いたままであった。沢村はもちろん一座の面々は、この段になっても宗徳が現れないことが来ないことが気が気でならない。

 果たして一座は、毎年恒例のこの地での公演を無事終ることが出来るのか、そして一座は例年のように幸せな夏の終わりを迎えられるのであろうか・・・。
 ≪ここまで≫

 誰もが知っていることを前提に登場人物が劇中の人物の名前を呼ぶので、観客には名前を判別するまでにかなり時間がかかります。てゆーかよくわからないまま話が進んでしまいます(笑)。私は探りながら見るのが好きなので前知識無しで観に行くタイプですが、登場人物のバックグラウンドなどをしっかりわかって味わいたい方は、あらすじを読んでから行かれると良いと思います。読んでも全くネタバレにはなりません。何しろわかりづらいですから(笑)。

 やっぱりダメダメな人たちが出てきて、ダメダメなことばかり起こります。不意に出る言葉や行動が突飛で脈絡がないように見えますが、実は人間ってそんなもんですよね。自分1人の中では筋道が通ってるつもりだけど、端から見たらてんでバラバラで、意味不明なことばかりやっちゃってるのだと思います。

 岩松さんの世界で起こることは、私には予想できないことばかり。突然発せられた言葉にハっと魅せられたり、さりげない動きに爆笑したり、走り去る姿とその人が見えなくなった景色に、ドキドキするほどの恋のトキメキを感じたり。今作では着替える小部屋の中や引き戸の後ろなど、人が隠れられる場所に相当わくわくしました。

 「わおっ、なんて素敵な・・・!」と思う言葉がいっぱいありました。でもほとんど忘れちゃった(笑)。私にはいつものことなんですよね、岩松さんの作品では。それぐらい微妙な空気なのが、かっこいいと思ってます。
 今回、思わず書きとめたのはこの言葉。沢村時充(松本幸四郎)が亡き妻・加代子に向けて言ったセリフです。※完全に正確ではありません。
 「愛することは願うことだ。」「(お前は)愛することの代わりに俺に絶望を負わせたんだ。」

 終盤で、松本幸四郎さんの語り口にどうしても入っていけず、ラストがよくわかりませんでした。んー、私が苦手なだけかも。
 豊原功補さん。“不実”な(笑)二ツ木役。10年以上前にテレビドラマで見て好きだった俳優さんです。舞台でお見かけするのは『LOVE LETTERS』(1999/8/24。お相手は岩崎ひろみさん)以来?嬉しかったです。

 歌舞伎のお客様であろうお着物姿のマダムが、上演中によくおしゃべりをされるんですよね・・・。「あれが岩松さんよ!ご自分も出る方なのよね~!」「あらま~、そうですの~」とか。まあ仕方ないですかね。隣りの席ではなかったので注意できず。

 ここからネタバレします。

 夢子(伊藤蘭)を間に挟んだ三角関係にある副社長(友彦=高橋克実)と二ツ木(豊原功補)が、なぜか2人っきりになるシーンが多く、ものすごい気まずい空気の中で一緒に居なきゃいけないのが可笑しくてたまらなかった。
 他にもいっぱい笑っちゃうところがあったんですが、すごく細かいところばっかりなので(笑)、ここまでで。

 美介(長谷川博己)が最後に会長(美介の祖父)を刺そうとした理由がよくわかんなかったな~。色んな感情があふれちゃったのだろうとは思いますが。祖父が父(時充=松本幸四郎)とその新しい妻(美鈴=緒川たまき)との結婚を認めたのがいやだったのかな~・・・。あぁ、こうやって書いてしまうと陳腐だな。すみません。

8/30(木)はプレビューオープニング
出演=松本幸四郎 高橋克実 緒川たまき 松本紀保 長谷川博己 豊原功補 岩松了 伊藤蘭
作・演出=岩松了 美術=磯沼陽子 照明=沢田祐二 衣裳=前岡直子 音響=藤田赤目 ヘアメイク=河村陽子 舞台監督=藤原秀明 藤崎遊 企画=寺川知男 企画=シアターナインス 制作協力=松竹株式会社 企画・製作=株式会社パルコ
【発売日】2007/07/07 9,000円(全席指定・税込)〈プレヴュー料金/8,500円(全席指定・税込)〉上演時間 約2時間30分(休憩含む)
http://www.parco-play.com/web/play/shakespeare/
http://www.parco-play.com/web/page/information/shakespeare/

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Posted by shinobu at 23:02 | TrackBack

Bunkamura『ドラクル GOD FEARING DRACUL』09/01-26シアターコクーン

 長塚圭史さんが劇作家・演出家として初めてシアターコクーンに進出!主役に市川海老蔵さん、宮沢りえさんを迎えた話題の公演です。初日に伺いました。

 シアターコクーンで上演される演劇公演というと、蜷川幸雄さんの演出作品や野田秀樹さんの作・演出作品が思い浮かびます。今作はちょっと違いました。こんなにストイックで緻密な会話劇になるとは・・・!長塚さんの勇気ある挑戦だと思いました。

 前半は装置の転換がまだこなれていない様子。後半で濃密な対話をじっくりと見せてくださいました。宮沢りえさんが素晴らしかった。何度も涙しました。上演時間は約3時間20分(途中休憩15分を含む)。

 ⇒「文學界」2007年10月号に戯曲掲載(9/7発売)
 ⇒CoRich舞台芸術!『ドラクル

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 18世紀終わりのフランス西部。
 人目を避けるように森の奥に建つ小さな屋敷で、信心深く暮らすレイ(市川海老蔵)とリリス(宮沢りえ)。リリスはレイと離れることを何よりも恐れ、病身でありながら病院へ行くことすら拒む。
 だがある日、「自分の街を救って欲しい」と一人の使者がリリスを訪ねて来る。そこは、かつて彼女が領主の妻として過ごした街だった。その領主(勝村政信)と現在の妻(永作博美)の願いを断ったリリスは強引に誘拐され、それを知ったレイはリリスを救うため旅立つ。
 それは、リリスとの誓いを破り、封印した自分の暗黒の力を解き放つことを意味していた。
 ≪ここまで≫

 どっしりとした重量感のある、会話劇でした。笑いはほぼ無し。前半でじわじわとバックグラウンドを積み上げて行き、後半で核心に迫ります。若い俳優さんが多いキャスティングなので、ついアクション・エンタメな作風を予想していたのですが、良い意味で裏切られました。
 長塚さんらしいホラー・テイストは、いつもより少々控えめながら顕在。典型的な吸血鬼(山本亨、明星真由美)が出てきたのもちょっと楽しかった。

 美術(島次郎)は大掛かりでしたね~!前半は深い闇と(レイとリリスの)孤独がはっきりと表現されていて、特に舞台奥へとまっすぐ伸びる細い道が効果的でした。照明は蜷川さんのお芝居でよく見る雰囲気でした(原田保さんですから当然ですね)。スモークを利用して光の線を際立たせたり、空間全体を一色に染めてしまうものは、ちょっと大味な気もします。

 私にもっとも響いたテーマは“告解(Wikipedia)”と“赦し”でした(もちろんテーマはそれだけではないと思います)。今、世界中で起こっていることや、自分自身にも重ね合わせて、涙しました。
 執筆時は翻訳調の言葉づかいを心がけたそうです(パンフレットより)。後半は長い独白と少人数の対話で構成されており、特に1対1の対話に力が注がれているように感じました。この戯曲はぜひ他の演出家にも手がけてもらいたいな~。シンプルに抽象化したものも観てみたい。

 宮沢りえさん。か細いはかなさの中にダイヤモンドのように硬く美しいものがあるような。言葉が丁寧で、ひとつひとつに心が乗っています。後半の長い独白が素晴らしかった。
 市川海老蔵さん。冷酷無比な怪物なのに、なぜあんなに可愛らしく見えるのかしら・・・♪
 永作博美さん。適役だった気がします。宮沢さんと2人で話すシーンの心の揺れにリアリティが感じられました。

 ここからネタバレします。

 前半はレイとリリスが暮らす粗末な家、後半は昔リリスが暮らしていた宮殿が舞台。はっきりと2部に分かれた構造です。

 かつて愛した女(※ジャンヌ・ダルク)を奪われ神に失望していたレイは、数百年の時を経てリリスと出会ったことで再び神を信じ、許しを請うようになります。しかしながらリリスもまた虐待(毒を盛られる)・誘拐されたため、レイは神を信じることをやめて悪魔と化すことを選びます。後半、悪魔に戻った海老蔵さんは本領発揮のご様子。華がありますね~。
 ※レイのモデルはジル・ド・レ男爵。ジャンヌ・ダルクを聖女としてあがめていました(パンフレットより)。

 レイは死ぬ前も死んだ(吸血鬼になった)後も、数え切れないほどの人を殺しています。リリスもまた自分が生んだ子を殺すという罪を犯していました(夫ではない男との交わりから生まれたから)。
 我ながらホントに単純だな~と思いつつも、この作品で描かれる罪(レイの大量虐殺・リリスの子殺しなど)が、今、数多く起こっている自爆テロと重なりました。信仰を汚されたり、容赦なく奪い取られたことを恨み、人間は復讐をすることで失われたもの(こと・人)に報いたり、自分の心を鎮めようとします。でも、それは決して解決(幸福)には結びつきません。
 延々と続く悪循環を断ち切ることができるのは、自分が感じていること(怒りや悲しみ)を知り、それを認めること、そしてどうしても許せない相手(敵)のことも赦すことなんじゃないかと思いました。実行するのはこの上なく困難なことですが。

 リリスの里のニュイラクーペの城で牢に閉じ込められたレイに向かって、リリスは子供を殺したこと、自分が救われることだけを考えてレイに近づいたこと告白し、懺悔します。そしてレイは、彼女のことを赦します。お互いを赦しあった2人に白い太陽光が降り注いで終幕。レイの手が温かくなるという奇跡も起き、まさに神の光臨でした。

出演:市川海老蔵、宮沢りえ、永作博美、渡辺哲、山崎一、手塚とおる、山本亨、市川しんぺー、明星真由美、中山祐一朗、勝村政信、堀川政信(子役)、窪田壮史(新国立劇場演劇研修所1期生)、古川龍太(新国立劇場演劇研修所1期生)
演奏:DRACUL QUARTET:保科由貴(ヴァイオリン) 塚本弥生(ヴァイオリン) 深谷由紀子(ヴィオラ) 橋本歩(チェロ)
作・演出:長塚圭史  美術:島次郎 照明:原田保 衣裳:前田文子 音楽:上野耕路、今堀恒雄 音響:加藤温 ヘアメイク:鎌田直樹 アクション:渥美博 映像:上田大樹 音楽監修:澤井宏始 演出助手:坂本聖子 舞台監督:福澤諭志 宣伝美術:東學 宣伝写真:谷敦志 宣伝ヘアメイク:宮内宏明、黒田啓蔵 宣伝衣裳:矢野恵美子 営業:加藤雅広 票券:岡野昌恵 制作=橋本芳孝(松竹) 大宮夏子(Bunkamura) プロデューサー:加藤真規 制作:松竹/Bunkamura 主催:Bunkamura
【発売日】2007/07/08 S¥11000 A¥9000 B¥7500 コクーンシート¥5000
http://www.bunkamura.co.jp/

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Posted by shinobu at 11:26 | TrackBack

Mrs.fictions『15 minutes made vol.1』08/21-23ザムザ阿佐ヶ谷

 7団体による各15分間の短編を一気に観られる企画の第1回。企画自体が面白そうだし、小指値タカハ劇団が出演するので観に行きました。

 終演後に行われるトークのような、ただの雑談のような、よくわからない「おわりの会」というのは、形式をもっと練る必要があると思います。

 ⇒CoRich舞台芸術!『15 minutes made vol.1

 ネタバレします。

■劇団コーヒー牛乳 「102回目のプロポーズ」
作・演出:柿ノ木タケヲ
出演:阪本浩之 石黒圭一郎 伊藤今人 中山貴裕 鈴木ハルニ 柿ノ木タケヲor制作A 二瓶恵 高橋悠(Func A ScamperS 009)

 「金八先生が殺人鬼」的なネタ。思いっきり、堂々と、ベタでした。私は苦手。
 開演前に劇場の外で、衣裳に着替えた役者さんがお客様に「殺人犯を見かけませんでしたか?」などと話しかけたりしてましたね。サービス精神は素敵だと思います。私は怖くて避けましたが(笑)。

■劇団掘出者「お父さんといっしょ」
作・演出:田川啓介
出演:澤田慎司 板橋俊也 北川麗

 人事部長がリストラ対象の中間管理職社員を呼び出す。人事部長は30代の若者。リストラされるのは50代のおじさん。実はこのおじさんの娘と人事部長は、結婚を前提につきあってるカップルだった。

 設定もキャラクターも結構面白いと思ったのですが、役者さんの演技がおぼつかなくて(演出のせいかもしれませんが)、脚本の意図する世界が作られていなかったように思います。

■小沢哲人(oOLOm) 「わたしのクラスのゆーちゃん、むねがどんどんデカくなる奇病、ありえない ~または意味のある宿命」
作・演出:小沢哲人(oOLOm)
出演:立蔵葉子(青年団) 海津忠(青年団) 木引優子(青年団) 市村美恵

 王子小劇場の「筆におぼえあり!」企画でリーディング上演された『夕鶴』の作家さんですね。青年団の役者さんが3人も出演。
 卒業式の保健室にたまる高校生たち。さりげなさが生きている演技は面白かったですが、淡々と進んでたまに嫌みだったり、尖がってたり、滑稽だったりするストーリーは、私には思わせぶり過ぎて退屈だったかな。

■圧力団体イクチヲステガ 「『希望』THE PLATONIC SUICIDE」
作・演出:放蕩詩源
出演:豊田可奈子 ヨロレイヒ~ 珍竹 8

 はしごと綱を使ってザムザ阿佐ヶ谷の高さをしっかり使っていたのには好感が持てました。でも内容は、インテリさんが作る頭でっかちな抽象芝居の典型な気もしました。

 ≪休憩5分≫ 5分は短すぎますよね・・・。

■タカハ劇団「エスパーさん」
作・演出:高羽彩 演出助手・音響:上田亮大 小道具協力:田畑美穂 装置協力:八重樫慶(てあとろ50') 制作:安田裕美
出演(日替わり):21日=高羽彩・高木健/22日=吉成生子(おぼんろ)・花小路男D(劇団上田)/23日=斎藤加奈子・西尾友樹 ※私が拝見したのは22日です。

 バイト先で店長を殺してしまったアルバイター2人が、店長の死体を冷蔵庫に入れた。とりあえずバラバラに切断して処分しようとするが・・・。

 逃げ場のない密室なムードがしっかり出来ていて、「この先どうなるの!?」という気持ちで楽しめました。エスパーになりたくて仕方がなかった店長は、果たして本当に死んでいたのかどうか。誰も触っていないのに机の上のスプーンがぐにゃっと曲がり、そのまま終幕したのもかっこ良かったです。

 次回公演は『もう一度スプーンを曲げよ。』10/05-08早稲田どらま館。

■小指値 「R時のはなし ver.0」
作:北川陽子 演出:篠田千明
出演:山崎皓司 上田剛

 いわば山崎皓司さんの1人芝居。かんしゃく玉をパン!と弾けさせて気持ちを表現したり、可動式照明器具で人を囲んだり。すっごく面白かった!涙出ちゃったよ~。

 授業終了後の学童保育で子供の面倒を見ている若者(山崎皓司)。いつも夜遅くまでいた小学生のリュージ(R時)が引越しすることになった。親に迎えに来てもらって全員が帰った後に、初めて彼がいなくなったことに気づく。
 『リュージに(本当は孤児をあずかる施設に戻るのに)「北海道に行く」と言わせた何か』でグっと来た。

 9月の小指値公演でも『R時のはなし』が上演されます。楽しみ!

■Mrs.fictions「紙の上の話し」
作:岡野康弘 演出:生駒英徳
出演:宮嶋みほい 夏見隆太 松本寛子 岡野康弘

 あるカップルが結婚して将来を空想。・・・この“理想の家族像”って、20年ぐらい前の考え方じゃないでしょうか?娘が出戻ってくるのと息子がひきこもるのは今風だけど、夫婦は自分たちの問題だと思ってないし。私はシラけちゃいました。
 ステージ全体に広げた白い紙に、家の間取りを書くのは可愛いです。衣裳もメルヘンチック。


★「おわりの会」
出演=小指値(篠田千明)、圧力団体イクチヲステガ(放蕩詩源)、Mrs.fictions(作家さん?が司会)

 出て行く観客、出演者としゃべる観客、トークを聞く観客がまざったザムザの客席。それを前に、何事も起こっていないかのように話す3人。そのあまりの話のかみ合わなさに、爆笑。

出演団体=劇団コーヒー牛乳、小指値、タカハ劇団、圧力団体イクチヲステガ、劇団掘出物、小沢哲人(oOLOm)、Mrs.fictions
照明:南香織+岡田章子 音響:星野大輔 舞台監督:佐藤恵 宣伝美術:関田浩平 宣伝写真:柳澤舞 制作:Mrs.fictions(今村+中嶋) 企画協力:株式会社cinra 主宰:Mrs.fictions
【発売日】2007/07/01 前売り 1,500円 当日 1,800円 (全席自由・日時指定)※22、23日の14時の回では昼ギャザを実施します。最大で500円までのキャッシュバック、動員数50名以上で底値の1000円となります。
http://www.mrsfictions.com/15mm.html

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Posted by shinobu at 00:12 | TrackBack

2007年09月02日

劇団毛利と米山『銭に向け叫ぶ』08/23-26シアタートラム

 劇団毛利と米山は、少年社中とホチキスが組んだ期間限定劇団です。愛知県ゆかりの劇団(および劇団員)だそうで、東京の後に愛知公演もあります。あ、ちょうど今日終わっちゃったんだな~。

 ⇒CoRich舞台芸術!『銭に向け叫ぶ

 少年社中の公演は、もうシアタートラムが広く感じないんですよね。今作でも役者さんが元気に走り回ってましたし、もうすっかり空間を自分のものにされているように思います。堀池直毅さんの前説(というか前座?)のリラックス感が良かった。

 色んな人がいっぱい出てきて、何がなんだかわからないまま、それぞれのエピソードが上演されて、あれよあれよという間に最後はグニャっと全部がつながっていました・・・。うーん、ついていけず。でも、登場人物はみんな関係のある人たちになっていましたね。不思議な感覚だったな~。

 役者さんによっては、怒鳴ってるのに言葉が聞こえてこない人などもいて、演技の技術の差は少々気になりました。
 間にはさまれるギャグがちょっと楽しかったです。井俣太良さんが演じていたザリ神教の教祖(かな?ザリガニの被りものを被ってます)は、なぜかメイクがギトギトしていて(笑)、終盤のくずれ具合が笑えました。

 カーテンコールで物販の案内をされました。役者さんがお薦めDVDを言うのがいいですね。あれだけDVDのラインアップが増えたら、何を買えばいいのか迷いますから。ちょっとでもヒントがあるのは良いと思います。私が観た回は井俣さんでした。お薦めは『フィルムスター』。理由は「自分がかっこいいから。今回はこんなだけど(笑)」とのこと(笑)。

≪東京、愛知≫ 少年社中×ホチキス期間限定劇団/劇団毛利と米山
[出演]井俣太良/加藤敦/大竹えり/橋本哲臣/堀池直毅/小玉久仁子/廿浦裕介/船戸健太郎/森大/山崎雅志/加藤良子/齋藤美和子/長谷川太郎/中川智咲子/杉山未央/江本和広/山川ありそ/山本洋輔/村上直子
作=米山和仁(ホチキス) 演出=毛利亘宏(少年社中) 舞台監督=杣谷昌洋 照明=伊藤孝(ART CORE design) 音響=鏑木知宏 音楽=YODA Kenichi 舞台美術=秋山光洋 衣裳=村瀬夏夜/有藤加奈子/谷野留美子 作曲=北方寛丈 演出助手=露木友子 宣伝美術=大澤悟郎 写真=佐藤孝仁(BEAM×10) イラスト=児玉久仁子 公演記録=(株)カラーズイマジネーション 制作協力=東海シアタープロジェクト 制作助手=中出はるか 制作=吉野礼/藤田真以 製作=少年社中×ホチキス
【発売日】2007/07/21 一般3,300円/当日3,500円 ★平日マチネ割引3,000円/当日3,300円
(会員・区民割引はありません) 高校生以下1,500円(少年社中のみ取扱い、要学生証提示)友の会会員割引 2,800円 世田谷区民割引 3,000円
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2007/08/post_11.html
http://www.psychic8.com/moriyone/

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ENBUゼミナール短期集中サマースクール『合同ミニ発表会』8/26(日)19:00~20:00 ENBUゼミナール内スタジオ

 ENBUゼミナール内の発表会に初めて伺いました。多田淳之介(東京デスロック)講座、田辺茂範(ロリータ男爵)講座、高井浩子(東京タンバリン)講座の順番に3作品が上演されます。時間の都合で多田さんの講座の発表(ゲネプロ)のみ拝見。

 多田淳之介さんのブログにワークショップおよび作品の解説あり!⇒
 ⇒CoRich舞台芸術!にタロウさんの詳しい感想も。

 喪服を着た男女が15人ぐらい。1人ずつ(おそらく自分の)母親の話をします。ちょっとヘンな体勢でつらそう。でもつらいまま、しゃべり言葉で淡々と母親の話。喪服なので母親が死んだ後の回想(お通夜での会話)にも聞こえます。
 まわりの人たちは、1人が話す言葉に笑ったり、単語を繰り返したり。話されていることに何らかの反応をします。次々と話す人が変わっていき、色んな母親のエピソードが紹介される中、それに対するリアクションも色々に。

 多田さんが上演の前に挨拶された時に話されていました。
 「ワークショップの極意というものがあって、自分(=多田)が経験したことをそのままみんなにやってもらうんです。」
 だから出演者の皆さんの存在の仕方に無理が少なかったんですね。現代口語劇とはいえ、「静かな演劇」のような普通の会話ではないんですが、声も存在もしっかりしていて、劇世界を作ることができていました。

 中盤でなぜか泣けてきたんだよな~。なんでだったかな。忘れちゃった。たぶん、母と子という関係のリアリティが本物になって、生と死が見えたからじゃないかな。
 後半は一部の役者さんの演技にちょっと雑念が入ったように感じて、集中できなくなりました。たとえば客席をガン見しながら意味を伝えようとして話す人が気になっちゃったかも。

ENBUゼミナール短期集中サマースクール『合同ミニ発表会』
多田淳之介(東京デスロック)講座『unlock#2.5「mother」』、田辺茂範(ロリータ男爵)講座、高井浩子(東京タンバリン)講座
入場無料・予約必須 03-5282-1341
http://enbu.co.jp/zemi/

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Posted by shinobu at 22:26 | TrackBack

Theatre Sol:Tokyo Project『Living on Stone Rice(石の米をかてに)』08/29-09/02こまばアゴラ劇場

 パク・ソヒさんと広田豹さんが出演されていて、終演後に平田オリザさんが出席されるシンポジウムがあったので、伺いました。

 劇場に着いてみたらソヒさんと広田さんは降板、シンポジウムは別会計(公演を観た人は500円)という・・・。非常に残念でした。

 ⇒CoRich舞台芸術!『Living on Stone Rice

 ≪作品紹介≫ 劇場サイトより。
 オーストラリア出身の演出家・シンベリン・ビューラーと、日本人俳優による共同創作プロジェクト。これは2005年にビューラーが講師を務めた日本演出者協会主催のワークショップから立案された企画であり、今後彼女が世界各国で継続していく戦争プロジェクトの第一弾となる。
 実体験に焦点をあてるところから創作を行うビューラーが、オーディションで出会った気鋭の俳優たちと、演劇を通じて戦争の残滓を見つめていく。
 ≪ここまで≫

 ≪「Stone Riceとは?」≫ 公式サイトより
 Stone Riceとは、おびえながら食べる米。Stone Riceとは、私たちの内部に生きている歴史を探すとき、森の中に転々と続く小石のようにたどる道しるべ。"Living on Stone Rice" (石の米をかてに) は、第二次世界大戦から現代まで、日本社会の深層に脈々と流れる物語たちに声を与える試みである。
 ≪ここまで≫

 黒いキューブ数個(イスになったり机になったり)と数本の柱(ポール)だけのシンプルな空間。、1人の老女の回想の中で役者さんが何人もの人物を演じながら、戦中の日本の風景(息子を戦地に送る矛盾、疎開先での苦労、満州からの引き上げの悲劇など)を描きます。目の前で生きている役者さんに演じられることで、文字や記号としてではなく、感情と実感をともなった知識を得られた気がしました。

 でもあまりに普通な、というか、意外性のない作品だったので、なぜ今、外国人の演出家がわざわざ日本にやって来て、日本の役者さんを集めてワークショップからこの作品を作ったのか、よくわかりませんでした。

 また、果たして上演されたことが真実なのかどうか、すべてを信じることはできませんでした。軽い噂話のようにも感じられたんですよね。創作かもしれない、とか。ソヒさんと広田さんが降板された理由もそういうところじゃないのかしら。

 シンポジウムはポスト・パフォーマンス・トークみたいに始まるものだと思っていたんですが、主催者が別で、全く別個のイベントだったようです。参加せずに帰りました。

Theatre Sol:Tokyo Project(シアター・ソル:トウキョウプロジェクト)
出演=鯨エマ/田畑ゆかり(劇団民藝)/千葉亮平/前嶋のの/桝橋朋典(文学座)/山下夕佳(劇団一跡ニ跳)※出演予定だったパク・ソヒと広田豹は都合により降板。
作・演出=Cymbeline Buhler(シンベリン・ビューラー) 稽古場通訳・翻訳:家田淳 舞台監督:川崎耕平 照明=千田実(CHIDA OFFICE) 音響=高橋秀雄(Sound Cube) 舞台美術=中根聡子 サウンドデザイン=油井誠志 衣裳=久保薗美鈴 宣伝美術=前嶋のの 制作=山田規古(beyond) 演出助手=佐々木治己 芸術監督=和田喜夫(楽天団・日本演出者協会事務局長)
前売 3,500円 当日 3,800円
http://www.agora-summit.com/2007s/05j.html
http://www.geocities.jp/theatre_sol2007/


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Posted by shinobu at 21:18 | TrackBack

innerchild『アメノクニ/ヤマトブミ~Children of The Sun~』08/31-09/09吉祥寺シアター

 小手伸也さんが作・演出・出演されるinnerchild(インナーチャイルド)。『アメノクニ/フルコトフミ~八雲立つユーレンシア~』の続編です。前作を観ていなくても大丈夫かと思います。上演時間は約2時間10分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『アメノクニ/ヤマトブミ~Children of The Sun~

 ≪あらすじ≫ CoRichより
 過去・現在・未来を同時通訳的にイメージした架空の世界を描く「〈連作〉アメノクニ」
 ヤスマールの手によって完成した国史(神話)「フルコトフミ」。切られた戦争の火蓋。しかし、「アメノクニ」の巨大な力によって戦争が終結した時、裁かれるべきこの国は、新国家に相応しい新たな「神話」の編纂を迫られた。
 日本神話の世界観を通じて「日本人の心性」を探ってきたinnerchildが今度は「神話を書いた側」に視点を移し、神話という物語の新たな深遠に迫る。
 「神話」は決して「神」のみずから書かれた物ではない。そう…全ての「物語」は物語るため、「人」よって創られる――
 ≪ここまで≫

 吉祥寺シアターの大きな空間を、すっきりとした開放感を保ちつつ、きちんと使いきった美術だったと思います。舞台中央には大きな丸いスクリーンがあり、文字映像や回想(前回公演のシーン)が映されます。前回同様、オープニングの人物紹介がかっこ良かったです。

 言葉できっちり説明していくことに面白みを感じると同時に、言葉ばかりに重点が置かれている状態に退屈したりもして、集中できる時とできない時との差が大きかったです。役者さんの演技にもよるのだと思います。

 小手さんのパンフレットの文章より、一部抜粋して引用↓。
 『生きてるってことはそれだけで「物語」の最先端を記してるってことで、「物語る」ってことは、いつだってその相手がいるってことだ。だから、語る口と聞く耳を持つ限り、孤独なんてありえない。』

 ここからネタバレします。

 人名や史実の呼び方は変えられていますが、ポツダム宣言受託、終戦、GHQ設置、東京裁判・・・という終戦直後の日本の出来事になぞらえ、物語は進行します。
 大昔のような、遠い未来のような、それでいて1945年のような、時代設定のミクスチャーが面白かったです。

 神話だって憲法だって人間が書き残したもの。その裏には色んなドラマ(物語)があったことでしょう。それを読み取ろうとする、聞こうとする耳を持つことが大事だなって思いました。

 高山奈央子さん(KAKUTA)。GHQ総督(?)役。凛としてらして、とてもかっこ良かったです。

出演=小田篤史(東京コメディストアj)、狩野和馬(InnocentSphere)、金順香(劇団アラン・サムセ)、高見靖二(チャリT企画)、松崎映子(マシンガンデニーロ)、三原一太(はらぺこペンギン)、石橋晋二郎、菊岡理紗、古澤龍児、土屋雄、三宅法仁、宍倉靖二、石川カナエ、小手伸也、進藤健太郎(無名塾)、久保田芳之(reset-N)、前田剛(BQMAP)、高山奈央子(KAKUTA)、春名舞、山森信太郎、善澄真記
脚本・演出:小手伸也 舞台監督:筒井昭善 舞台美術:筒井昭善・小手伸也 照明:榊美香((有)アイズ) 音響:尾林真理 衣装:渡辺まり 映像:荒川浩輝(ミヤコハンター) メイク:荻原麻弥 小道具:桜井徹 宣伝美術:土谷朋子(Citron Works) 写真撮影:引地信彦 演出助手:三嶋義信(innerchild) 制作:田中絵美(J-stage Navi) インナーチャイルド制作部 企画・制作:innerchild
【発売日】2007/07/31 全席指定 土日3,800円/平日3,500円 (☆上映会=前売当日共通/500円)  (☆上映会=全席自由)
http://www.innerchild-web.com/

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Posted by shinobu at 18:56 | TrackBack

劇団ひろぽん企画公演『SWEET REVENGE and around the world』08/30-09/01早稲田大学学生会館B203

 劇団ひろぽんは吉田武寛さんが作・演出される早稲田大学の学生劇団です。CoRich舞台芸術!を活発に利用する宣伝活動には目を見張るものがあります。

 上演時間は約1時間強。前売300円・当日500円というのは、学生劇団ならではのチケット価格帯よりもかなり安い目のようです。今年の2月に学生会館で上演されたタカハ劇団『モロトフカクテル』は前売り1200円で、3年前ですがコマツ企画『戦いの今日』は前売り1,000円でした。

 ⇒CoRich舞台芸術!『SWEET REVENGE and around the world
 ⇒T★1演劇グランプリ・第一次審査通過団体です。
 レビューをアップしました。

 私は学生が学校内で上演するお芝居はなるべく観に行かないようにしています(よっぽど好評な場合を除く)。学生演劇はサークル活動の1つである場合も多く、その劇団・劇団員が卒業後も演劇に携わっていくかどうかは未知数ですし、また、創作・発表の環境にかなり恵まれており(例:劇場使用料が無料など)、一般の公演と比較しづらいからです。学内で評判だった団体は、社会に出て劇場を借りた自主公演の時に伺うようにしています。

 今作は学生劇団が学生会館で上演する前売300円の企画公演(本公演ではない)で、新入り劇団員のお披露目の回でもあったようです。だから劇団ひろぽんの実力が発揮できていないかもしれません。でも「T★1演劇グランプリ」に応募され、一次審査を通過されていますから、審査対象作品として拝見しました。レビューもその視点から書かせていただきます。

 ≪あらすじ≫
 大学生の孝一は、高校時代に友人が起こした殺人事件を止めたいと思い、2007年から2003年へとタイムスリップする。
 ≪ここまで≫

 残念ながら整合性ゼロのタイムマシンものでした。セリフはありきたりなフレーズと説明のためのわざとらしい言葉の連続。2007年現在を生きる現役大学生を主人公にした物語なのに、「こういう人、いるよね」と思える人物も、「こういうこと、あるよね」と思えるエピソードも皆無でした。
 歩くでもなく踊るでもない、歌謡曲の振付のようなダンスがあり、人物が登場するタイミングにも理由にも説得力がありません。ムービング照明の使い方もステレオタイプ。

 役者さんの演技は正視できるレベルではありませんでした。役者さんには「舞台ではこういう言葉をこういう風に話すものだ」という自分達の思い込みを疑って欲しいですね。自分が普段どんな話し方をしているのかを、冷静に見つめ直して欲しいです。

 殺人事件の真犯人が誰なのかがわからなくなってくる展開には面白みがありました。ただ、それもまたわざとらしい言葉で説明してしまうのがもったいなかったです。

 今の大学生にとっての携帯電話ってものの感覚が、私のと違うのはよくわかっていました。でもここまでとは・・・。まるで肌の一部ですね。危ないな~と思いました。

 ここからネタバレします。セリフは完全に正確ではありません。

 若い記者が孝一の携帯電話の番号を、知り合いの後輩(女)に勝手に教えてしまいます。「同じ悩みを持ってる奴だから話してみたら」という勝手極まりない、軽率な理由で。教えてもらった女はいきなりその番号にかけちゃって、電話に出た孝一は全く知らないその女に「今からタイムスリップします!」みたいに告白しちゃう・・・。あ、あ、ありえない・・・(汗)。

 タイムスリップしたら、いきなり高校生の自分になっていた孝一。目の前に夏休みの宿題をやっている友達が居ます。だったらその場に居た高校生の孝一は?未来の孝一に乗り移られて消滅したのでしょうか?タイムパラドックスを語る前の段階での不整合だと思います。

 孝一が「(殺人)事件が起こるまで後30分しかない!」とあせって叫んでるのに、電話の相手(未来で待っている女)はゆっくりと説教くさい話をし、それに孝一がほだされたりします。しかもその後、違う人物(記者)とも電話を代わってゆったり話までしちゃいます。言動と行動が完全に不一致。なのにそのせいでトラブルは起こりません。

 そもそも「不良にさらわれた妹を救おうとして、兄がその不良を殺してしまった」という事件をなかったことにしたいなら、兄に妹を見張るように助言するのは間違いです。「しっかり見守れよ!」とか無責任なこと言ってないで、孝一自身がべったりと妹のそばにいたら済む話ですよね。

 事件は起こらず、真犯人(妹がエスパーだった)もわかり、なぜかタイミングよく未来へと帰ることができる孝一。未来で待っている女の「過去を変えたら未来も変わっちゃうわよ!それでもいいの?」という言葉に対して、「自分の未来が変わっても、今(戻った過去)を生きられればいい!」と、かっこ良さげに酔いしれながら言い放った孝一でしたが、未来に帰ってからのエピソードがありませんでした・・・。「未来に帰るよ~」で終幕・・・。大風呂敷ひろげておいて、そのまま放置しています。

 タイムマシンもの、バックステージものは、落とし穴が多いのでリスクが高いです。慎重に創作してもらいたいですね。

出演:大竹絵梨、矢花勇治、スズキヨウヘイ、茶木嵩文、鈴木大歩、藤野将文、松井聡弥、鳥枝明弘、堀口法尚、三輪友実
脚本・演出:吉田武寛  照明:石井紀之(Hikari Honpo) / 照明操作:高橋かおり(Hikari Honpo) / 音響:田中亮大(H2Sound) 美術:原真理子 G(ボイヤーチーム) / 舞台監督:G(ボイヤーチーム) / 小道具 高橋美紀 原真理子 / 衣装:Kashico(劇団TipTap) ダンス振付:茶木嵩文 / 宣伝美術:(仮)原真理子 (本)横内翼がみなぎる / 看板製作:原真理子 高橋美紀 Web:吉田武寛 / 当日制作:伊藤静(こども機関) 遠藤友香理/ 制作 大竹絵梨 / 制作助手 鈴木大歩 製作:劇団ひろぽん
【発売日】2007/08/01 前売300円、当日500円
http://hiropone.fc2web.com/

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Posted by shinobu at 03:14 | TrackBack

2007年09月01日

【オーディション】蜷川幸雄演出『音楽劇「ガラスの仮面」』(北島マヤ役、姫川亜弓役)女優オーディション

 とうとう美内すずえ作『ガラスの仮面』が舞台化されるようです。演出は蜷川幸雄さん。脚本は青木豪さん(グリング)。

 【募集終了日】2007年9月21日
 【年齢】16~25歳
 【性別】女性
 【応募資格】演劇経験不問・歌唱力に自信のある方・など
 【お問い合わせ】
  (財)埼玉県芸術文化振興財団(彩の国さいたま芸術劇場内)
  「ガラスの仮面」オーディション係
  TEL:048-858-9647(火曜-金曜 13:00-18:00)

 下記は美内すずえ公式サイトからの引用です。
 埼玉県芸術文化振興財団サイトにも情報あり。 履歴書がダウンロードできます。

■蜷川幸雄演出、『ガラスの仮面』(美内すずえ原作)オーディション
 (財)埼玉県芸術文化振興財団では、2008年8月彩の国さいたま芸術劇場公演予定の音楽劇『ガラスの仮面』の主役を募集いたします。
 美内すずえ原作の、この作品は演劇を題材にした漫画の金字塔として、1976年の連載開始以来、演劇を志す若者だけでなく幅広い読者に愛され、30年の歳月を経た現在もなお書き続けられている、まさに国民的作品です。過去にも舞台化、テレビドラマ化、アニメーション化されておりますが、この度音楽劇として当財団芸術監督、蜷川幸雄の演出により新たな命が吹き込まれることとなりました。
 主人公、北島マヤとそのライバル、姫川亜弓の二人は、実人生の経験とともに、劇中劇の様々な役を演じながら人間として、そして女優として成長してゆきます。この度の上演にあたり、蜷川幸雄はその二人の登場人物を、未知の才能と可能性をもった人材から選び、また出会うことを目的として広くオーディションすることといたしました。

1、定員 2名(北島マヤ役、姫川亜弓役)
2、応募資格
 ①年齢16歳から25歳(2008年8月1日現在)までの女性(プロアマ問わず)
 ②歌唱力に自信のある方
 ③演劇経験不問
 ④2008年6月からの稽古、2008年9月中旬(予定)までの公演に参加できること。
 以上①から④をすべて満たす方
3、募集期間 2007年9月1日から9月21日(消印有効)まで
4、応募方法 ①履歴書(市販のもの)もしくは別添応募用紙(当財団ホームページよりダウンロード可 )
 L版カラー写真2枚(3ヶ月以内に撮影した全身、バストアップ各1枚、裏面に氏名明記)添付
 歌唱経験者は芸歴、出身校など明記
 ②歌唱を録音したもの(テープ、CD、MD、ビデオ、DVDなど)
 選曲は自由、カラオケ、ア・カペラ両方可(1分程度)
 ③上記二点を、書類選考結果通知用A4封筒に住所氏名を記入、120円切手を添付したものと同封のうえ、郵送にて申し込み
5、応募先 〒338-8506
 埼玉県さいたま市中央区上峰3-15-1
 (財)埼玉県芸術文化振興財団「ガラスの仮面」オーディション係
6、選考方法 書類審査  結果は書面にて通知(9月末日まで)
 予選:面接及び歌唱実技(10月上旬予定)
 本選:面接及び歌唱実技(10月下旬予定)
 予選・本選とも彩の国さいたま芸術劇場にて行なう予定です。
7、選考者 蜷川幸雄 ほか
8、最終選考結果 11月以降に書面にて通知
9、お問い合わせ
  (財)埼玉県芸術文化振興財団(彩の国さいたま芸術劇場内)
 「ガラスの仮面」オーディション係
 TEL048-858-9647(火曜-金曜 13:00-18:00)
 ※ 応募資料の返却はいたしません。また、いただいた個人情報は本オーディションの目的にのみ使用し、主催者が責任を持って管理いたします。外部に流出することはありません。

■音楽劇『ガラスの仮面』公演概要
 原作:美内すずえ  脚本:青木豪  演出:蜷川幸雄
 2008年8月 彩の国さいたま芸術劇場
 同年9月中旬まで地方公演予定
 主催:(財)埼玉県芸術文化振興財団
 6月中旬より稽古予定

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Posted by shinobu at 17:17 | TrackBack

メルマガ 2007年09月のお薦め舞台

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お薦めお芝居をご紹介しています

 2007年9月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 40     2007.9.1  1,164部 発行

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   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎今年の夏は暑かったですね~!!
  夏休みは涼しい所に行かれた方が多かったんじゃないでしょうか。
  私は福岡と北九州で濃ゆ~い劇場体験をしてまいりました♪

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
     http://blog.mag2.com/m/log/0000134861


○○ 今回のもくじ
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 ◆1【今月のお薦め10本+α】
   
   ◎No.1→イキウメ『散歩する侵略者』
       09/12-16青山円形劇場
       http://www.ikiume.jp/

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→(財)埼玉県芸術文化振興財団/ホリプロ『エレンディラ』
       08/09-09/02彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0811201306.html

 ◆3【T★1(ティー・ワン)演劇グランプリ開催中!】

   ◎20団体の審査中!第2次審査の発表は10月9日(火)です!
    http://stage.corich.jp/t1/net_judge.html

 ◆4【編集後記】

   ◎8月は福岡と北九州に行ってきました!
   ◎9月は秋田のたざわこ芸術村に行きます♪
   ◎9月8日夜にFM西東京『たけがき2』に出演します。
   ◎風琴工房・100万円スポンサード公演のチケプレ実施中!

 ◆5【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪


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 ◆1 【今月のお薦め10本+α】
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 ▽★印がいちおし公演です(3本)。
 ▽初日の早い順に並べています。
 ▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・価格・URL・コメント
 ▽座種の記述がない公演は全席指定。


★1.Bunkamura『ドラクル GOD FEARING DRACUL』
  09/01-26シアターコクーン
  ☆出演:市川海老蔵、宮沢りえ、永作博美、渡辺哲、山崎一、山本亨、
   手塚とおる、市川しんぺー、明星真由美、中山祐一朗、勝村政信
   作・演出:長塚圭史
   S¥11000 A¥9000 B¥7500 コクーンシート¥5000
    http://www.bunkamura.co.jp/
   長塚圭史さんが劇作家・演出家としてシアターコクーン進出!
   海老蔵さんが吸血鬼というだけで、も~ドキドキです。


2.ウォーキング・スタッフ プロデュース『STONES』
  09/08-16 THEATER/TOPS
  ☆出演=鈴木省吾、飯田基祐、八代進一、津田健次郎、蘭香レア、ほか
   作・演出=和田憲明
   3,800円(全席指定)
    http://www.ishii-mitsuzo.com/info/a95/a.html
   和田憲明さんの新作。密度の高い演劇空間を味わえそう。


★3.イキウメ『散歩する侵略者』
  09/12-16青山円形劇場
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演=岩本幸子、浜田信也、盛隆二、國重直也、宇井タカシ、ほか
   作・演出=前川知大
   前売3,200円 当日3,500円 ※未就学児入場不可
    http://www.ikiume.jp/
   
   ●お薦めポイント●
   前川知大さんが作・演出される人気上昇中の劇団イキウメ。
   今回はメルマガ号外まであと一歩だった作品の再演です。
   新キャストを加え、円形劇場でどんな空間になるのかも見どころ。
   劇団初の大阪公演もあります。
   イキウメ初演
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1029231739.html
   G-upプロデュース
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0609015846.html
   雑誌「ダ・ヴィンチ」で『散歩する侵略者』小説版が連載中!
    http://fringe.jp/blog/archives/2007/07/23180139.html


4.流山児★事務所『観世栄夫「新劇」セレクション
  流山児★ザ新劇「オッペケペ」』09/04-17ベニサン・ピット
  ☆出演=河原崎國太郎、町田マリー、塩野谷正幸、保村大和、ほか
   企画=観世榮夫 作=福田善之 演出=流山児祥 
   前売り4,800円 当日5,000円 学生3,500円 プレビュー4,000円
    http://www.ryuzanji.com/
   亡くなられたばかりの観世榮夫さんが企画されていた公演ですね。
   豪華キャストで、汗が飛んで来そうな(笑)躍動感が味わえそう。


5.新国立劇場演劇「三つの悲劇」ギリシャからVol.1
  『アルゴス坂の白い家-クリュタイメストラ-』
  09/20-10/07新国立劇場 中劇場
  ☆出演=佐久間良子、小島聖、李丹、山田里奈、石田圭祐、小林勝也、ほか
   作=川村毅 演出=鵜山仁
   S席7,350円 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
   ※「三つの悲劇」3作品特別割引通し券あり
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000032.html
   鵜山仁さんが新国立劇場演劇部門の芸術監督に就任されて、
   初めてのシーズンの第1作目です。


6.ミクニヤナイハラプロジェクト『青ノ鳥』
  09/21-24吉祥寺シアター
  ☆出演=足立智充、稲毛礼子、鈴木将一朗、渕野修平、光瀬指絵、ほか
   劇作・演出・振付=矢内原美邦
   前売3200円/当日3600円/学生2800円
    http://www.nibroll.com/
   演劇とダンス、映像の融合。舞台芸術のジャンルの壁って何なのか、
   考えるきっかけをくれるかも。パワフルで美しい作品を期待。
   過去レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0716001108.html


7.中野成樹+フランケンズ『遊び半分』
  09/20-24赤坂レッドシアター
  ☆出演=村上聡一、福田毅、野島真理、石橋志保、ゴウタケヒロ、ほか
   原作=J.M.シング作「西の国のプレイボーイ」 誤意訳・演出=中野成樹
   前売3,500円/当日3,800円 プレビュー(9/20)のみ2,500円均一
    http://www.frankens.jp/
   中野成樹さんの劇世界って・・・
   “ちょっとおしゃれな大人の、クールでキュートないたずら”な感じ?
   赤坂の新しい小劇場にフィットするような気がします。過去レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0912010647.html


8.遊園地再生事業団『ニュータウン入口(本公演)』
  09/21-30シアタートラム
  ☆出演=上村聡、田中夢、若松武史 (本公演のみ)、ほか
   作・演出=宮沢章夫
   一般4500円・学生4200円
    http://www.u-ench.com/
   リーディング公演、準備公演を経た本公演です。
   宮沢章夫さんの新しい試みに触れられることと期待して。


9.tpt『Jun Anna is PIAF.』
  09/24-10/08ベニサン・ピット
  ☆出演=安奈淳、ほか
   作=パム・ジェムス 訳=常田景子 演出=亘理裕子
   一般6,000円 学生3,000円
    http://www.tpt.co.jp/
   エディット・ピアフの半生を描くtptの新製作。


10.THE SHAMPOO HAT『その夜の侍』
  09/29-10/08ザ・スズナリ
  ☆野中隆光 日比大介 児玉貴志 多門勝 黒田大輔 滝沢恵 ほか
   作・演出・出演=赤堀雅秋
   指定:前売¥3,500 当日¥3,700 自由:前売¥3,200 当日¥3,400 
   ※平日マチネ(10/4 15:00)は割引価格
    http://www33.ocn.ne.jp/%7Eshampoohat/
   大手の公演にも引っ張りだこの赤堀雅秋さんの新作。


 ★★★―――――――――――――――――――――――――――――― 
  前売2000円台以下の気になる作品を4本ご紹介します。
 ――――――――――――――――――――――――――――――★★★ 

【1】サンプル『カロリーの消費』
 09/14-24三鷹市芸術文化センター 星のホール
 ☆作・演出=松井周
  前売2,500円 当日2,800円 劇場会員割引などあり
   http://www.samplenet.org


【2】ピチチ5『吐くな!飲み込め!甦れ!』
 09/14-18駅前劇場
 ☆脚本・演出=福原充則
  全席自由席・日時指定・整理番号付 2,700円(当日3000円)
  学生割引2,000円(学生証提示) 大人割引2,000円(40才以上、身分証提示)
   http://www.ne.jp/asahi/de/do/five3.html


★【3】小指値『[get] an apple on westside / R時のはなし』
 09/15-17 STスポット
 ≪横浜2箇所≫ 小指値番外公演 横浜シリーズ
 ☆『[get] an apple on westside』=作:北川陽子 演出:野上絹代
  『R時のはなし』=作:北川陽子 演出:篠田千明
  当日/前売:1500円(全席自由)
   http://www.koyubichi.com/


【4】青年団リンク・東京デスロック『演劇LOVE~愛の三本立て~』
 09/30-10/09リトルモア地下
 「社会」「3人いる!」「LOVE(新作)」3本ランダム上演
 ☆演出・脚本=多田淳之介
  [日時指定 整理番号付自由席]各演目 予約2000円 当日2500円
  3演目共通券5000円 (各演目1回観劇可能・電話予約のみ)
  ※愛の演劇ワークショップ開催【10月3日[水]15:00~定員20名】1500円
   http://www.specters.net/deathlock/


≪てっきり9月公演だと勘違いしていたお薦め作品のご紹介!≫

◎ウジェーヌ・イヨネスコ劇場『授業-La Leson-』
 ≪神楽坂、横浜、富士見≫
 08/29-09/02@theatre iwato ←公演中!
 09/04-05@相鉄本多劇場
 09/08@富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ マルチホール
 ☆出演:ゲオルゲ・ピエトゥラル、マイヤ・グロス、マリーナ・マダン
  作:ウジェーヌ・イヨネスコ 演出:ヴィタリエ・ドルチェック
  前売3,000円 当日3,500円
   http://www.k-kikaku1996.com/ionesco_1.html
   http://eastern-theatre.blogspot.com/
  野田秀樹さんは初日にいらしていたそうです。
  知り合いの演劇記者さんからも強くお薦めがありました。
  私はキラリ☆ふじみ公演にお邪魔する予定です。


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 ◆2 【先月のベスト3】
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1.(財)埼玉県芸術文化振興財団/ホリプロ『エレンディラ』
  ≪埼玉、大阪、愛知≫
  08/09-09/02彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
  ☆上演時間が長くて疲労困憊しましたが、果てしない闇の向こうから
   やってくる幻想的なカーニバルのことは忘れないでしょう。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0811201306.html


2.La Compagnie An『御母堂伝説(ごぼどうでんせつ)』
  08/03-08シアターイワト
  ☆セクシーに快活に、歌って踊る女たちが伝える「Body is Theatre」。
   時代と国境を越えて、身体と心がつながるライブ空間でした。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0811220710.html


3.こまつ座&シス・カンパニー共同プロデュース『ロマンス』
  08/03-09/30世田谷パブリックシアター
  ☆歌と笑いに乗せたチェーホフの人生。井上ひさしさんの言葉にやはり感涙。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0823231917.html

 
 青年団リンク・東京デスロック『ソラリス』、
 横濱・リーディング・コレクション #3『岸田國士を読む!Bプログラム』、
 小指値『R時のはなし』(「15 minutes made」内)も心に残っています。
 おとな500円のANJ『オズの魔法使い』は豊島区主催の画期的な舞台でした。

 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  2007年8月(観劇数33作品)は残念ながら発行しませんでした。


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 ◆3 【T★1(ティー・ワン)演劇グランプリ開催中!】
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 ◎フジテレビ、TOKYO★1週間、こりっちによる
  「T★1(ティー・ワン)演劇グランプリ」が開催中です!
   http://stage.corich.jp/t1/

  第1次・第2次審査を通過した約10団体が、
  決勝大会「お台場SHOW-GEKI城」(2007年12月~2008年1月)に進出します。 

  79団体の中から第1次を通過したのは20団体。
  ただいま第2次審査中(観劇審査9団体、脚本審査11団体)!!
   http://stage.corich.jp/t1/net_judge.html

  第2次審査の発表は10月9日(火)です!

  こりっちメンバー(登録無料)のクチコミも審査の対象になりますので
  観客の皆さんもぜひ参加してくださいね♪

  CoRich舞台芸術!⇒ http://stage.corich.jp/
  メンバー登録⇒ http://www.corich.jp/stage/user_register.php
  携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s


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 ◆4 【編集後記】
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 ◎8月は福岡と北九州に行ってまいりました!
  浮かれ気味の写真入りレポート↓です♪
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0822093552.html
  コリッチ福岡オフ会の様子はCoRich掲示板で!写真もありますよ~。
   http://stage.corich.jp/bbs/detail.php?sure_id=4&sv=


 ◎9月23~24日は秋田のたざわこ芸術村に行きます♪
   http://www.warabi.or.jp/
  わらび座『ミュージカル「小野小町」』を鑑賞して温泉・観光も♪


 ◎9月8日夜にFM西東京『たけがき2』に出演します。
   http://takegaki.k-free.net/
  ※PodCastingブログに↓アップされます(放送終了数日後)。
   http://www.voiceblog.jp/takegaki842/


 ◎“CoRich舞台芸術まつり!2007春”グランプリは風琴工房!
   http://stage.corich.jp/html/fes_grand_prix.html
  100万円スポンサード公演特設サイトがオープンしています。
   http://stage.corich.jp/html/grand_prix_sponsored.html
  『砂漠の音階』は北海道公演を経て、10月に東京で上演されます。
  CoRichによるチケット・プレゼント実施中!(10/21締め切り)


 ◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
  2007年8月は下記の4作品を拝見しました。
  ・「バッテリー」←天海祐希さんが「女王の教室」バリ。
   http://www.bt-movie.jp/
  ・「となり町戦争」←動物電気の辻修さんが面白い役で登場。
   http://www.kadokawa-pictures.co.jp/official/tonarimachi/
  ・「パッチギ!ラブ&ピース」←逃げても生き抜く勇気。
   http://www.pacchigi.jp/loveandpeace/
  ・「恋しくて」←沖縄在住キャストが素朴でステキ。
   http://www.koishikute2007.jp/


 ◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0331235959.html
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
  いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
  感想も書き込めますよ♪
   http://stage.corich.jp/
  メンバー登録はこちら↓
   http://www.corich.jp/stage/user_register.php
  携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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Posted by shinobu at 00:05 | TrackBack