和田憲明さんが作・演出されるウォーキング・スタッフ(過去レビュー⇒1、2、3、4、5)。緊張がはりつめた、高密度のリアルな劇空間は独特です。
今回もどっぷり大人の時間を味わわせていただきました。上演時間は約2時間15分休憩なし。
⇒CoRich舞台芸術!『STONES』
≪あらすじ≫
舞台は元シェルターだった薄暗い部屋。闇を生きる逃げ場のないやつらの七転八倒。
≪ここまで≫
息が詰まりそうな密室で、臨場感のある生々しい展開を堪能しました。人物描写もいつもどおりの緻密さで、セリフのひとつひとつが聞き逃せません。
リアルな装置とスタッフワークも見どころですよね。カラカラと回る換気扇(?)の向こうから射す明かりがかっこいいです。壊れたラジカセから鳴るROLLING STONESも味があります。
思惑通りに進まない上に全てがより悪い方向へと回っていくのは、ちょっと笑えちゃうぐらいです。ことごとく失敗して、それでもどん底でジタバタと生きていこうとする、大人。そういう人間を描いているという意味では面白いと思えるのですが、ヤクザの世界の覚せい剤売買、売春、殺人などの話になると、観ていてつらくなっちゃいます。私は苦手だな~。
村木(鈴木省吾)が自分のことを「俺」じゃなくて「僕」と言うのが、役柄にぴったり合っていたように思います。
自称14歳の不良少女ナオ役は山口奈緒子さん。目立ちすぎない小さな存在感がかえってリアルに感じられました。叫び声のかすれ方が好き。
ここからネタバレします。
ヤク中のナオが「(セックス)しよう」と神野(津田健次郎)を誘い、2人が遠く離れたまま見つめあう時間が素敵だった。
出演=鈴木省吾、飯田基祐、八代進一、津田健次郎、斉藤佑介、山口奈緒子、蘭香レア
作・演出=和田憲明 照明=佐藤公穂 音響=長柄篤弘(ステージオフィス) 舞台美術=塚本祐介 舞台監督=西川也寸志+箱馬研究所 演出助手=山崎総司(Playing unit 4989) 衣裳=福田千亜紀(Playing unit 4989) 照明オペ=竹野健三郎 小道具=藤田かおる 千葉豪 特殊効果=Vanity Factory 宣伝美術=樺島知彦 宣伝写真=二石トモキ 制作=石井久美子 馬場順子 制作アシスタント=下条昌恵 安田みさと(7の椅子) 制作協力=石井光三オフィス 企画製作=ウォーキング・スタッフ
3,800円(全席指定)
http://www.ishii-mitsuzo.com/info/a95/a.html
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