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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年10月08日

彩の国シェイクスピア・シリーズ第18弾『オセロー』10/04-21彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

 蜷川幸雄さんが演出されるシェイクスピア。毎回さいたまの与野本町まで行くのに大分慣れました。私は帰り道が寂しいので必ずマチネに伺うようにしています。

 蒼井優さんのデズデモーナを楽しみに伺いました。上演時間は約4時間(15分の休憩を含む)。ソワレをご覧になる方は終電のチェックが必要かも!

 ⇒CoRich舞台芸術!『オセロー

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより (役者名)を追加。
 ヴェニス公に仕えるムーア人の将軍オセロー(吉田鋼太郎)は、若きデズデモーナ(蒼井優)を妻とし、二人は深く愛し合っている。旗手イアゴー(高橋洋)は、自分ではなく同輩キャシオー(山口馬木也)を副官に昇進させたことで、オセローに深い恨みを抱いている。イアゴーは忠実な部下を装いながら、オセローを罠にはめるべく、デズデモーナがキャシオーと通じているとうそぶく。誠実なオセローはその策略にはまり、深く愛するがゆえにデズデモーナへの疑いを募らせ、その抑え切れない嫉妬心は妻の真実の言葉さえ信じることができなり・・・。
 ≪ここまで≫

 予想していたよりもかなりシンプルな演出でした。もっと装置が変化するかな~と思ったんですけど、それほど大掛かりな転換はなく。役者さんの言葉で伝えていくことが中心だったようです。

 タイトルロールの吉田鋼太郎さんの声がかすれていて、それがすごく心配で集中しづらかったです・・・。あと、やっぱり私は『オセロー』という戯曲自体があまり好きじゃないのかもと思いました(過去レビュー⇒)。

 ものすごく乱暴に物語をはしょってしまうと、最愛の妻が浮気をしていると信じ込まされた立派な男が、嫉妬に狂って身を滅ぼしてしまうという悲劇です。そのストーリーの奥深くや、枠組みの外側へと想像を広げていければ良かったのかもしれませんが、残念ながらそういう探検や飛翔はできず。

 イアゴー(高橋洋)にまんまと騙されるオセロー(吉田鋼太郎)の慌てぶりが、たまに大げさなギャグをやってるかのように見えたのは、演出意図どおりなのか私の思い込みなのか、微妙な感じでした。
 じっくりと無言で見せるシーンは前のめりに味わえました。イアゴーの独白は特にゆったりと時間が取られていたような。オセローについても、怒りに任せて大声で叫んだ後の、呆然とした表情などがかっこ良かったです。

 蒼井優さん。細かった~。宮沢りえさんよりも折れそうだった。まゆ毛が「八」の字になって困ったような表情をされることが多く、もっと違う顔も見たかったですね。オセローの気持ちが変わった後、1人で舞台中央に座り込んでいたシーンが美しかったです。
 馬渕英俚可さんが演じられたイアゴーの妻エミリアは、馬渕さんならではの解釈で自信を持って堂々と演じられているようで、見ごたえがありました。

 ここからネタバレします。

 3階分ぐらいを一気に上れる銀色の金属製の階段が5つ出てきます。舞台上手と下手、そして舞台奥の壁に向かって3つ並んでいます。空間上部には細いキャットウォークがつり橋のように舞台を横断していました(建物をつなぐ連絡通路のようにも見えます)。役者さんが階段を上ったり下りたり通路を走ったり、何度も何度も。大変そうだな~と思って眺めつつ、ちょっと飽きちゃったりも。

 デズデモーナがオセローに「売女!」と呼ばれ、殴られたりした後で、デズデモーナとエミリアが2人で寄り添うシーンがあります。その後すぐに死んでしまう2人が、最後にしっかりと心を通わせたんだな~と思い、『オセロー』に登場する2人の女の関係についての新たな発見にもなりました。

≪東京、富山、名古屋、大阪≫
出演=吉田鋼太郎、蒼井優、高橋洋、馬渕英俚可 山口馬木也 壤晴彦 清水幹生 手塚秀彰 小田豊 山野史人 鈴木豊 妹尾正文 高瀬哲朗 清家栄一 飯田邦博 塚本幸男 髙山春夫 坪井里奈 並川倖大 関戸将志 高松潤 原暢宏 清水圭吾 中村大輔 今野太郎 倉澤誠一 渡部純二
脚本=W. シェイクスピア 翻訳=松岡和子 演出=蜷川幸雄 美術=中越司 照明=原田保(違う方に変わったそうです) 衣裳=小峰リリー 音響=井上正弘 ヘアメイク=宮内宏明 ファイトコレオグラフィー=國井正廣 演出助手=井上尊晶 大河内なおこ 舞台監督=白石英輔、八須賀俊恵 宣伝美術=服部浩臣 宣伝写真=川田洋司 宣伝ヘアメイク=石川智恵 宣伝スタイリスト=村上杏奈 主催=(財)彩の国さいたま芸術文化振興財団/朝日新聞社/テレビ朝日 制作=(財)彩の国さいたま芸術文化振興財団/ホリプロ 企画=彩の国さいたま芸術劇場シェイクスピア企画委員会
【発売日】2007/06/16 S席9,000円 A席7,000円 B席5,000円 学生席2,000円 メンバーズ割引などあり。
http://www.saf.or.jp

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありませんので、ご了承下さい。
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Posted by shinobu at 2007年10月08日 21:25 | TrackBack (0)