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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年10月18日

tpt『スペインの芝居』10/13-28ベニサン・ピット

 ヤスミナ・レザさんの脚本を映画監督の天願大介さんが演出されています。5人芝居で上演時間は約2時間45分(途中15分の休憩を含む)。

 天願さんの映画は『暗いところで待ち合わせ』がすっごく面白かったんですよね。初日の客席は明らかに映画関係の方も見受けられて、いつもと少し違うムードでした。

 ⇒Club Silencio「スペインの芝居」
 ⇒CoRich舞台芸術!『スペインの芝居
 レビューをアップしました(2007/10/21)。

 そういえば劇場入口もいつもと違いました。舞台を通って席につき、そのイスも緑色(草模様)に塗られていて、「わーお、何が始まるのかな~」とわくわくしましたね。
 tptブログでイイ味だしまくってるウッチャリこと内田亜希子さん(新国立劇場演劇研修所1期生)が、前説でもオモシロな女の子で笑いました(笑)。観客の息をつかんでいます。

 ≪簡単な構造解説≫
 5人の俳優が「スペインの芝居」というの芝居のリハーサルをしている。役柄を演じたり、俳優そのものとしての独白もする。
 「スペインの芝居」は女優の姉妹・アウレリア(毬谷友子)とヌリア(月船さらら)、その母親ピラール(鰐淵晴子)、ピラールの恋人(中嶋しゅう)、アウレリアの夫(村上淳)が登場する会話劇。アウレリアが「ブルガリアの芝居」に登場するピアノ教師の演技もするので、劇中劇の中にさらに劇がある入れ子構造になっている。
 ≪ここまで≫

 出演者が5人という少人数で上演時間が長く、独白も多いので、役者さん1人ずつにかかる負荷(っていうのかな)が大きいんじゃないでしょうか。さらに、俳優に焦点を当ててシンプルに、ストイックに見せていく演出だったため、俳優重視の最近の私には演技のあらが気になってしまいました。中嶋しゅうさん、毬谷友子さんに魅せられるシーンが多くありました。

 ここからネタバレします。

 パンフレットに掲載された阿部崇さん(東京大学教養学部教務補佐員。地域文化研究(フランス)、哲学専攻)の文章より。
 「・・・そうした声部を変えながらの主題の変奏・反復が、音楽的な構造を模範にしていることは明らかだ。」
 なるほど~っ!と納得。そっか、この戯曲自体が音楽なんですね。なんだか腑に落ちました。最後にピアノの生演奏(メンデルスゾーンの曲を毬谷さんが演奏)があるのも素敵だと思います。でも、初日だったのもあると思いますが、私には作品の進む方向がわかりづらく、作品全体を受けとめづらかったですね。

 「ワーニャ伯父さん」を思い出させる要素がちらほら。地味な不動産管理者、呑んだくれの数学教師、セリフの引用などもありましたよね、確か。
 劇中劇に出てくるピアノ教師のセリフが心に残りました。たしか「すべてはプロセス。終わりに向かわない。」というような意味だったように思います。2回繰り返されたのも良かった。

出演=鰐淵晴子 毬谷友子 月船さらら 中嶋しゅう 村上淳
作=ヤスミナ・レザ 演出=天願大介 訳=阿部崇・宮川知子 美術=加藤ちか 衣裳=原まさみ ヘア&メイクアップ=鎌田直樹 照明=大野道乃 舞台監督=笠井隆行
9月14日(木)前売り開始 全席指定7,000円 学生3,000円(TPTのみ取扱い)
http://www.tpt.co.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。ご了承下さい。
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Posted by shinobu at 2007年10月18日 17:21 | TrackBack (0)