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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年10月20日

時間堂『月並みなはなし』10/19-29王子小劇場

 黒澤世莉さんが脚本・演出を手がける時間堂。俳優指導者としての黒澤さんの活動にも注目しています。2004年初演の作品の再演で、脚本は今回のために改訂されています。

 ボッロボロ涙を流して、アハっと笑って、でもどうしようもなくムカムカ来ることもあって・・・。目の前の舞台にすっかり没頭した100分でした。ダブルキャスト公演なので、もう1回行けたら行きたいな。

 <cinema price theater project>と銘打ってチケット代は前売・当日ともに1800円!
 ポスト・パフォーマンス・トークが4回あります。
 コレ↓に行きたいっ!(たぶん行けない・涙)
 ●22日(月)20:00の回 終演後
  「ワークインプログレスって実際どうなの」
  出演:杉田鮎味(劇26.25団)×中屋敷法仁(柿喰う客)×黒澤世莉
  司会:谷賢一(DULL-COLORED POP)

 ⇒CoRich舞台芸術!『月並みなはなし
 チラシの情報に変更がありました⇒【休演日】10月24日(水)、25日(木)の2日間

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより 
 今より少し未来の秋の昼下がり、地球の温暖化が進み、ひとが月への移民をはじめたころの話。
 郊外のとあるレストランの、テラスのある一室では、移民候補者たちの残念会が催されていた。厳しい選考試験の中で最終選考まで残った優秀なひとびとだが、結果は落選。の、はずだった。けれど、管理官と呼ばれるひとの一言によって、状況は一変する。
 「補欠がでたので、一名の代表者を選んでください。制限時間は60分」
 信頼しあい、助け合ってきた仲間たち。
 だからこそ一人は月へと送ろうと、お互いを労りあい、傷つけあいながら話しあう。恋人たちは、月と地球の距離をおそれ、気持ちがすれ違っていく。
 36,000キロの恋人たち、選ばれるのは一人。
 ≪ここまで≫

 シンプルな舞台美術。音楽もなし。普段着の若い役者さんが、相手を感じながらコミュニケーション。そこで起こる感情がそのまま、そこにあります。

 月に行きたい人たちの集まりの中で、1人だけ月に行ける人を彼ら自身が選ぶのは試練です。優しくスマートに振舞おうとしても本音を出さざるを得ません。目の前で起こるのは気軽なおしゃべりだけど、言葉の意味や身体の動きから沸き立つように見えてくるのは、血は出ないけど心は張り裂ける、地獄。

 面白かったです。とっても。演劇をよく観る人にも、全然観ない人にも、ぜひ観に行ってもらいたいなと思います。でも、このお芝居って一体どういう種類のものなのか、今の私にはしっくりくる言葉が見つかりません・・・。時系列に進み、始まりがあって終わりがある現代口語演劇で、「自然な演技」「リラックスした演技」が特徴・・・というように平たい言葉でいいのかもしれないけど、それだけじゃ伝えたりない気がしています。

 客席はL字型。私は幅が広い方の最前列ほぼ中央で観劇。「タバコを吸うシーンがあります」と丁寧な説明がありました。ハンカチを忘れたのでティッシュを使うしかなく、ちょー恥ずかしーと思いながらもびょーびょー泣いてたナリよ(汗)。 

 初日は終演後に誰でも参加可能なレセプションが開かれました。飲み物と簡単な食べ物が用意されていて、演出家、出演者の皆さんとお話できました。

 ここからネタバレします。

 フリーター(池田ヒロユキ)が天文学者の妻(雨森スウ)の懇願も省みずに、「帰る場所があるから(君が地球で待っていてくれるから)、遠く(月)に行きたい」などとほざいたり・・・もー胸が悪くなった。男と女の絶望的な関係。これは乗り越えられない。

 「何が何でも俺は月に行きたい」と言いきったインテリ(中田顕史郎)が、最後に皆から選ばれて「月に行ける1人」になります。でもこの試練は、「選ばれた人以外の5人を月に行かせる」ためのものでした。彼の恋人(木村美月)が妊娠していたのは、作家からのロマンティックなプレゼントだなと思いました。

 リノリウムのステージに白いテープで間取りを表現するのは映画「ドッグヴィル」みたい。

【休演日】10月24日(水)、25日(木)の2日間
出演=雨森スウ、河合咲、木村美月(クロムモリブデン)、こいけけいこ(リュカ.)、境宏子(リュカ.)、池田ヒロユキ(リュカ.)、鈴木浩司、中田顕史郎 ダブルキャスト:足立由夏/大塚秀記 ※初日は足立さんでした。
脚本・演出:黒澤世莉 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 宣伝美術:村山泰子(時間堂) 宣伝・舞台写真:松本幸夫 ビデオ撮影:大澤大介(大澤大介事務所) $堂 演出助手:菊池佳南/佐伯風土/谷賢一(DULL-CORORED POP) 制作:田中沙織(柿喰う客) 提携:王子小劇場 主催:時間堂
http://www.seriseri.com/jikando/
http://blog.livedoor.jp/jtc2007/

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。ご了承下さい。
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Posted by shinobu at 2007年10月20日 11:33 | TrackBack (0)