太田善也さんが作・演出される散歩道楽。太田さんの作・演出作品は青年座公演で拝見し、役者さんとしては何度か舞台でお見かけしています。でも劇団公演は初見です。
上演時間は約2時間5分。
⇒CoRich舞台芸術!『西国分寺物語』
舞台は2005年。西国分寺に平和に暮らす息吹家の居間。ふすまの外に縁側がある純和風のリアルな美術です。
息吹家は父、母、長男&長男の嫁、長女、次男、次女、そして父方の祖母という7人家族。アパートを経営しているので、アパートの住人や近所の人なども登場して、わいわいと平和でにぎにぎしいムード。
始まってから人物紹介・状況説明などなどが一通りある内(約30分ほど)は、わざとドタバタなコメディーにしあげているように感じて話の中に入っていけなかったんですが、ある意外な出来事が起こり、前のめりになりました。いわゆるアットホームなお茶の間ファミリー・ドラマかと思いきや、どす黒い落とし穴が隙を突くように待っていたというか(笑)。「一筋縄ではいかないよん」と言われたように感じ、(不謹慎なんだけど)楽しくなりました。
笑いも多いし全体的に楽しげな会話劇なのですが、裏にどす黒いものが常にあるように感じます。それが散歩道楽の独特の世界なのかもしれません。でも、役者さんの演技やドタバタ具合の演出も含めて、あまりバランスが良くないように思いました。
ここからネタバレします。
頑固な父は、ぬぼーっと家に侵入してきたニートっぽい若者に殴り殺されます。倒れた時に父の手が机からぬるっと落ちるのがすごく良かったです。不謹慎なんですが「キた!」って思いました。
父亡き後、母が狂ったようにマンション建設反対運動を繰り広げるのですが、わざと面白おかしく大げさに演出しているのが、うまく機能したりしなかったり。
父親の事件の判決がきちんと出るまで結婚はしないと誓った長女とその恋人でしたが、2年も経つとさすがに早く結婚したいと思い始めます。でも兄をはじめとする家族全員(次女を除く)が、(結果的に)長女に結婚を思いとどまらせるように持って行きました。これは腑に落ちなかったですね。だって長女は35歳だし(2年後だったら37歳か)。出産のことを考えたら延期なんて勧めないと思うんですが・・・。そういえば兄夫婦も子供をつくることに興味がなさそうでした。家族団らんもののお芝居で子供についての言及がないのは、ちょっとおかしい気がしました。
出演=名取幸政(青年座) 山本与志恵(青年座) 前田こうしん(道学先生) ザンヨウコ(貴婦人) 郷志郎(散歩道楽) 石川美帆 辻川幸代(ニュアンサー) 竹原千恵(散歩道楽) 斉藤佑介(サワズカムパニー) 坂口候一(81プロデュース/一の会) 藤本樹子 椎名茸ノ介 キムユス 菊池美里(トリコ劇場) 山本珠乃 いしいせつこ(散歩道楽) 蘭胡蝶(散歩道楽) 天野幹也 鉄炮塚雅代 植木まなぶ
作・演出/太田善也 舞台監督/赤坂有紀子 舞台美術/田中敏恵 照明/柳本友紀 音響/志水れいこ 音楽/高田泰介(PLECTRUM)・野口耕一郎 写真/相川博昭 宣伝美術/海老澤光子 演出助手/橋場ふみえ 助手/フレミング BIRD's(神馬ゆかり 久保文子 蛭田真知子) 制作/散歩道楽 制作協力/ケアレ*スミス 企画・製作/散歩道楽・アップフロントワークス 主催/散歩道楽・オデッセー
[前売]3,000円 [当日]3,200円 /日時指定・全席自由 11/1(木)14:00のみ [前売]2,500円 [当日]3,200円
http://www.sanpodouraku.com/
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