小栗旬さんが主演される『カリギュラ』。演出は蜷川幸雄さんです。
過激な(?)チラシがネットオークションにかかってたり、開幕前にすでに小栗さんの人気の高さはわかっていたつもりだったのですが、劇場でさらに見せ付けられました。
⇒イープラス「小栗旬インタビュー&動画コメント」
⇒CoRich舞台芸術!『カリギュラ』
初日から3階まで立見席がぎっしりだし、パンフレットの販売冊数を制限する事態(1人2冊)!パンフレットを買うためにあんなに長い列が出来ているのをシアターコクーンで初めて観ました。開演前のグッズ売り場なんて、何が売ってるのか見えないぐらいの人だかり。慣れているはずのシアターコクーンのロビーで、ちょっと戸惑いました。「あれ、ここってどこだっけ?」みたいに(笑)。
で、どうだったかというと・・・人気があって当然だと思いました、小栗さん!あれだけ1人で魅せきってくださって、凄い。上演時間は3時間20分(20分の休憩を含む)。
≪あらすじ≫ イープラスより。
ローマ帝国の若き皇帝カリギュラは恋人で妹の突然の死により、「人は死ぬ。そして人は幸福ではない」という真理に行き着く。この耐え難い不条理に戦いを挑み、不可能なものを手に入れようと決心する。「運命が不可能なものであるならば自らが運命になる」と、権力を行使し、残虐非道な行為を繰り返し暴君となり、人民を恐怖に陥れていくのだが……。
≪ここまで≫
パンクなカリギュラにパンクな美術。ギラギラと派手な装置で圧迫感さえあるのですが、小栗さん1人の存在に満足している自分がいました。
『カリギュラ』は初めて観たんですが、かっこいい戯曲ですね~。言葉をがんばって聞いて、理解しようとつとめました(追いつかなかったことも多々ありましたが・・・)。
「論理を追求したら・・・」「愛情だけでは満足しないと決めたら・・・」。カリギュラが究極の理性を働かせて命懸けでやりきる姿を見つめながら、自分が曖昧なところで欲望をあきらめていること、暗黙の了解、常識などに甘えていること等に気づかされました。月を手に入れようとする(不可能を追求する)ことは偉大だと思います。
ここからネタバレします。
鏡の壁にぐるりと囲まれた舞台。壁はネオン管で縁取るように装飾され、赤、青、黄色、緑、紫など、色とりどりの配色です。ちょっと下品なぐらい。カリギュラの衣裳も過剰に体を露出しているように感じましたが、パンクだと思えたので平気でした。舞台は鏡の部屋だけでなく何度も転換してとても贅沢。
小栗さんはしっかり理解してセリフを話されているなと思いました(えらそうな言い方ですみません)。量が膨大なだけでなく難解な言葉も多いのに、立派な若者だな~(年寄りかよ私)。無理やり気持ちを熱く盛り上げて、叫ぶように早口でセリフを言う時は、理解しづらかったですが。
カリギュラと対立する聡明なケレア役の長谷川博己さんのセリフが、最も聞こえやすかったです。役柄にぴったり合っているなと思いました。
貴族たちがまとまって演技をすることが多く、型どおりに驚きの表情をしたり声を出したり、動きが段取りっぽく見えるのには閉口。
≪東京、大阪≫
出演:小栗旬 若村麻由美 横田栄司 勝地涼 長谷川博己 月川悠貴 塾一久 青山達三 磯部勉 廣田高志 新川將人 宅嶋渓 冨岡弘 今村俊一 田村真 栗田愛巳 鍛冶直人 大富士 福田潔 井面猛志 KAI 野辺富三 石田佳央 明石伸一
作:アルベール・カミュ 翻訳:岩切正一郎 演出:蜷川幸雄 音楽:朝比奈尚行 美術:中越司 照明:大島祐夫 音響:鹿野英之 衣裳:小峰リリー ヘアメイク:佐藤裕子 ファイトコレオグラファー:國井正廣 振付:青木美保 演出補:井上尊晶 演出助手:石丸さち子 大場雅子 藤田俊太郎 舞台監督:芳谷研 宣伝美術:永石勝(triple-O) 劇場舞台技術:伊集院正則 野中昭二 営業:加藤雅広 票券:小瀧香 制作助手:金子紘子 唐澤まどか 制作:松井珠美 プロデューサー:加藤真規 企画・製作:Bunkamura 東京公演主催:Bunkamura 大阪公演主催:関西テレビ放送・キョードー大阪
一般発売日:2007年9月9日(日) 料金:S¥9,000 A¥7,500 コクーンシート¥5,000 2階立見券¥3,000
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_07_caligula.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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