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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年11月16日

アトリエ・ダンカン『欲望という名の電車』11/16-25東京グローブ座

 篠井英介さんが主役のブランチを演じる『欲望という名の電車』は、これで3度目の上演になるんですね(過去レビュー⇒)。

 今回のスタンリーは北村有起哉さん。お父様の北村和夫さんがよく演じられていた役だそうです。上演時間は約2時間50分(途中休憩1回を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『欲望という名の電車

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより (役者名)を追加。
 アルコール中毒で元教師のブランチ(篠井英介)は、妹のステラ(小島聖)が暮らしている街ニューオリンズのフレンチクォーターへ、「欲望」という電車に乗り「墓地」という電車に乗り換え、「極楽」で降りてたどり着いた。
 二人は南部の大農園ベル・リーブで育った、古き良き時代の上流階級の出である。上品に振舞うブランチの態度に、ステラの夫でポーランド系のスタンリー(北村有起哉)は我慢できず、事あるごとにステラとブランチにあたりちらす。
 スタンリーの友人ミッチ(伊達暁)は、清楚なブランチに惹かれてゆき、ブランチはミッチの愛に、最後の望みをかけるのだったが・・・・・。
 ≪ここまで≫

 前回よりも装置はぐっとシックで、具象に近くなっていましたが、壁がうっすらと透けたりドアが枠だけになっていたりして、クールな透明感があります。カジュアルなアメリカン・ミュージックで重々しいテーマに軽さを与える演出だったようです。でも前回よりは軽さ控えめでした。
 
 私はこの戯曲が好きなので、私の中で最初から期待のレベルが高い目に設定されています。だからなかなか満足するものにはめぐり合えないんですよね。今回および前回の鈴木勝秀さんの演出は、あまり私好みの方向ではなかったようです。単に好みの問題ですが。

 あぶら汗が出て来そうな緊張や、胸を刺すような痛みをともなう悲しみ、めらめらと燃える炎が見えてきそうな心の戦いなどを、対話シーンで肌で感じたかったです。
 時刻や気温などがビビッドに感じられなかったのも残念。たとえば「40度の暑さの中、熱い風呂に入る」ということの異常さが、あまり信じられなかったんですよね。暗転してから次のシーンになった時に、どのぐらい時間が経過したのかがよくわからなかったり。できれば舞台の上の世界(生活)の生々しいリアリティがもっと欲しかったです。

 篠井英介さんが1人で語るところで、じっくり聞き入ることができたシーンがありました。篠井さんのブランチ役(およびこの作品)に対する覚悟のようなものが感じられたように思いました。

 ここからネタバレします。

 ずっと喪服だったブランチがラストだけ白いドレスになり、対してステラが喪服になるという演出は踏襲されているんですね。異国の言葉(フランス語?)を話す黒服の男が、幕開けから最後までずっとブランチを導くように何度も登場しますが、あれは死神をイメージしてるのかしら。原作では花売り娘の役で1度しか出て来ない役だったような。両演出とも私の好みではないな~。
 今作でのステラは博愛の心にあふれるキャラクターでしたが、もっとブランチと戦ってもいい気がします。

 ミッチとブランチの2人のシーンで、「16歳の時に恋人を失ったこと」「ホテルはフラミンゴではなくタランチュラ・アームズだったこと」を話すシーンが良かったです。ブランチがスタンリーに襲われる前のシーンも、北村有起哉さんの熱さがあって良かったな~。

≪東京、石川、新潟、大阪、福岡≫
出演=篠井英介、北村有起哉、小島聖、伊達暁、明星真由美、菅原永二、押田健史、Takuya、永島克、鈴木慶一
作=テネシー・ウィリアムズ 翻訳=小田島恒志 演出 鈴木勝秀 美術=二村周作 照明=倉本泰史 音響=井上正弘 衣裳=原まさみ ヘアメイク=宮内宏明 演出助手=長町多寿子 舞台監督=小林清隆 宣伝美術=永瀬祐一 宣伝写真=西村淳 宣伝=吉田由紀子 コーディーネーター=マーチン・ネイラー プロデューサー=鈴木奈緒子 神戸丈志 企画=篠井英介 鈴木勝秀 主催・製作=アトリエ・ダンカン/シーエイティプロデュース  主催=テレビ朝日
S席7,800円 A席(3F)4,800円 ※未就学児童入場不可
http://www.duncan.co.jp/web/stage/desire/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 2007年11月16日 23:40 | TrackBack (0)