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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年11月22日

桜美林大学パフォーミングアーツプログラム(OPAP/オパップ)『ゴーストユース』11/20-25 PURNUS HALL

 桜美林大学の企画です。チェルフィッチュ主宰・桜美林大学非常勤講師の岡田利規さんが作・演出される新作で、出演者19人はすべて学生。
 上演時間はたしか1時間25分ほど。本当に“ここでしかできない”作品でした。

 ⇒CINRA.NET
 ⇒CoRich舞台芸術!『ゴーストユース

 ≪あらすじ≫
 ユミは35歳の専業主婦。夫はサラリーマン。幼稚園児の息子がいる。自分が大学生(20歳)だった頃を思い出す。
 ≪ここまで≫ ※「ユミ」だったかどうか不明。

 演技方法はチェルフィッチュらしい感じ。若者が若者ならではの現代口語をとぼとぼと話します。チェルフィッチュの本公演に出演してる役者さんと比べるのは酷なので、そういう思考はせずに、大学生が目の前に居るんだと思って見つめました。みんな、すごく、個性的。

 私は岡田さんと世代が同じなのもあって、舞台にいるありのままの姿(に見える)の学生さんを見ながら、自分の学生時代を思い出しました。と同時に、10歳以上年下の今の大学生のことをじっくり観察して考えました。彼らのことを彼らの立場になってこんなに考えたのは初めて。

 果たして彼らは結婚したいと思ってるのかしら?結婚して子供をつくって育てて・・・というライフスタイルももう常識ではないのかもしれない・・・などなど、現在20歳の人たち(目の前の役者さんたち)の今と10年後を想像しながら、同時に自分の20歳の頃と今の自分をも見つめなおすことになりました。
 大勢の大学生、大勢の夫婦を目の前に見ながら、自分の10年と他人の10年を行ったり来たり。それらがぴったりと同じ空間で重なり合ったように感じた瞬間に、ほろりと涙がこぼれました。

 初日ということで役者さんの演技や作品全体のクオリティは最高の状態ではなかったかもしれません。途中でちょっと眠くなっちゃったんですよね。これから良くなることと思います。
 大学生が学校内で発表する作品がこんなに芸術的なんて。参加者の友人や家族がこれを観に来るなんて。・・・凄いです。演劇界は激変する気がします。

 ここからネタバレします。

 背の高い壁に閉ざされた空間や、ビデオカメラでの中継などもすごく面白かったです。
 面白いポーズをした男の子達にスポットライトが当たるシーンが良かった。

 「私たちは20歳の頃の幽霊です」というような言葉が携帯のメール作成画面に出てきた時、ぬぼーっと立っている男の子や、ぽつんとよりどころなく立っている女の子が、人間ではないものに見えました。

出演:青柳いづみ/明石伶子/安藤理樹/飯沼玲美/石川佳澄/内田貴史/江野澤雄一/上村梓/郡司直樹/清水美峰子/武田祐美子/田中美希恵/辻田暁/寺田千晶/冨山歩/宮崎央子/本橋若子/吉田彩乃/若林里枝
作・演出:岡田利規(チェルフィッチュ主宰/桜美林大学非常勤講師) 舞台美術:中村友美 舞台美術アドバイザー:杉山至(青年団・舞台芸術研究工房 六尺堂) 照明:内山唯美 音響:角田里枝 音響アドバイザー:林あきの 舞台監督:木村光晴 演出部:古澤理紗 宣伝美術:本橋若子 制作:松岳祥
【発売日】2007/10/09 《ご予約》 一般 1,000円/学生 800円/高校生以下 500円 《当日》 一般 1,200円/学生 1,000円/高校生以下 700円
http://ghost-youth.jugem.jp/
http://obirin-committee.com/opap/opap.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 2007年11月22日 00:20 | TrackBack (0)