BeSeTo演劇祭の目玉演目です。日本、中国、韓国の俳優が競演しています。上演時間は約1時間35分。
恥ずかしながら鈴木忠志さんが演出される作品を初めてちゃんと観たのが、昨年の『シラノ・ド・ベルジュラック』でした。それでめちゃくちゃ感動したので、今年も楽しみにクリスマスのイルミネーションが豪華な初台へ伺いました。
⇒CoRich舞台芸術!『廃車長屋の異人さん』
※全然関係ない話なんですが、つい先日のゴシップ記事で堤真一さんと噂になった鶴水ルイさんは、『シラノ・・・』のロクサーヌ役でしたね、そういえば。広島公演に出演されなかったと聞いて驚いたんだな~(代役は内藤千恵子さんだったそうです)。
≪作品紹介≫ 公式サイトより。
打ち捨てられた廃車の群れ。
そこに棲む人々。
車界(しゃかい)主義社会が生み出した格差に、
敗者復活戦に向けた美空ひばりの歌が重なる。
帝政ロシア末期の貧民窟を描いた世界的名作ゴーリキーの『どん底』と、戦後の日本人の心を支えた演歌の女王美空ひばりの歌謡曲を重ね合わせ、荒廃した近未来社会に生きる人間の姿を絶望と哀切とたくましさの中に描く。
折り重なる廃車群が圧倒的な重量感で迫り来る。
日本・中国・韓国の合意により実現した3カ国俳優の競演による合同公演の日本初演。
≪ここまで≫
最初の暗転から静かに劇が始まる演出がとても好き。厚みというのか深みというのか、神々しい空間に連れて行ってくれるからです。しかしながら今日は、体調のせいもあるのですが、全体的にあまり集中できず・・・。
ゴーリキー作『どん底』は、ほぼノーカットであろうものを観たことがあったので(しかも面白かったのでラッキー)、無料配布されるパンフレットで配役を確認しつつ拝見しました。役者さんたちが『どん底』のどの役を演じているのかがほぼわかる状態だったので、準備はそれなりに出来ていたつもりだったんだですけどね~・・・。まだまだ私にはわからない世界のなかも。感受性を磨かなきゃなのです、たぶん。
日本人は日本語、中国人は中国語、韓国人は韓国語でセリフを話し、中国語と韓国語は劇場上下の電光掲示板に日本語字幕が表示されます。全編日本語に比べて演出的にはどういう効果になったのかな~。日中韓の俳優が一緒に出演しているだけでも感動的ではありますが。
それにしても鈴木忠志さんの公演の客層は独特ですね。年配の方や演劇関係者が多いし、公の機関(役所関係)の方も多そうです。スーツのオジサマが多いのかな。
ここからネタバレします。
廃車の中で暮らす人々。1~2人が1つの車の中にいるので、それぞれが国や民族のようにも見えました。
美空ひばりの歌が何度も流れます。カラオケ状態で歌う人々の中、1人だけ歌詞を野太い声で語る人がいて、「あぁ三条会みたい」って思ったんですが、逆ですね、SPACが先で三条会が後なんだから(笑)。
体の動きや声の出し方が同じでも、感じたことは全く別物でした。三条会は笑えたりワケわかんなくなって涙がこぼれたり、私の体に直接的な変化をもたらしたけれど、この作品では私を含んだ大多数の人間たちを見下ろす、異次元の世界が存在しているような(それを私が見上げているような)心持ちになりました。
第14回BeSeTo演劇祭 日中韓俳優出演・3ヶ国語版
出演:蔦森晧祐、竹森陽一、加藤雅治、三島景太、貴島豪、高橋等、奥野晃士、武石守正、吉見亮、植田大介、内藤千恵子、常玉紅(中国)、趙瑞(中国)、李星遠(韓国)、張利朱(韓国)、柳津(韓国)
原作:マクシム・ゴーリキー「どん底」より 演出:鈴木忠志 翻訳:神西清(日本語) 芳信(中国語) 石川樹里(韓国語) 舞台監督=塩原充知 演出助手:久保庭尚子 高野綾 舞台監督助手:藤原栄作 照明:丹波誠 川島幸子 吉見亮 音響:小林淳哉 内野彰子 衣裳:満田年水 字幕:丹治陽 通訳:石川樹里 王美芳 制作:重政良恵 成島洋子 上野知里 中国語台本監修:飯塚容 主催:第14回BeSeTo演劇祭実行委員会
【発売日】2007/11/15 全席指定 S席 5,000円 A席 3,000円
http://beseto.org/
※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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