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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年01月03日

ナイロン100℃『わが闇』12/08-30本多劇場

 ケラリーノ・サンドロヴィッチさんがナイロン100℃に新作を書き下ろすのは、2004年12月の『消失』以来、3年ぶりになるそうです。

 上演時間は約3時間30分(途中休憩10分間を含む)。長いのはいつものことだから(笑)、覚悟は充分できていましたし、それほど苦にもなりませんでした。
 通路ざぶとん席までいっぱいでした。当日券でも大勢入れるから本多劇場って素敵。

 ⇒CoRich舞台芸術!『わが闇

 ≪あらすじ(とは言えないですが)≫ ※少々ネタバレあり。読んでから観ても問題ないと思います。
 作家(廣川三憲)の3人姉妹。長女(犬山イヌコ)は父親の血を濃く継いだのか、作家になり、次女(峯村リエ)は結婚して一児の母に。三女(坂井真紀)は上京してタレント業にいそしんでいる、はずだったが・・・。
 ≪ここまで≫

 私にとってはプロローグから『わが闇』のオープニングにかけてが最高の盛り上がり部分でした(部分と呼ぶには長いしもったいないですが)。映像と演技がマッチした演出に背筋がぞくぞくしましたし、パラパラと紙芝居のようにエピソードが繰り出されるのも心地よかったです。断片的であることで、より一層その奥にある物語の厚みを想像できました。

 深刻な状況に陥ったかと思うと軽いナンセンス・ギャグが挟まれます。だから長時間でも飽きずに前のめりになって観ていられるんですね。悩み、悲しみなどと軽薄とも言える笑いが同列に並んでいるように感じるのも面白いです。
 でも私は『消失』の方が好みだったかも。比べる必要なんてないんですけどね。ナイロン100℃の本公演でシリアス・タッチという点で、どうしても重なってしまいました。

 ここからネタバレします。

 『わが闇』とは作家・柏木立子(犬山イヌコ)の私小説のタイトルで、その内容が舞台で上演される構成でした。立子が失明するのも“わが闇”ですね。救いがない。

 立子らの父・柏木伸彦(廣川三憲)のドキュメンタリー映画を撮影しようとする監督役で、語り部の役割も果たしていた岡田義徳さんが、最後に「それでもこの後も彼らは生きていく」と話されたのにじんわり感動。

NYLON100℃ 31st SESSION
≪東京、大阪、札幌、広島、北九州、新潟≫
出演:犬山イヌコ、峯村リエ、坂井真紀、岡田義徳、大倉孝二、長谷川朝晴、三宅弘城、みのすけ、廣川三憲、松永玲子、長田奈麻、吉増裕士、喜安浩平、皆戸麻衣
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 舞台監督:福澤諭志+至福団 美術:中根聡子 音響:水越佳一(モックサウンド) 照明:関口裕二(balance,inc.DESIGN) 映像:上田大樹(INSTANT wife) スタイリスト=久保奈緒美 ヘアメイク=安澤千草 演出助手:山田美紀(至福団) 大道具:唐浩輝(smile stage) 記録スチール:引地信彦 大道具製作:C-COM舞台装置 テルミック 美術工房拓人 小道具:高津映画装飾 特殊効果:特効 運搬:マイド 宣伝美術:C2デザイン(坂村健次、樋口大、鈴木健朗、岡崎智子) 宣伝写真:江隅麗志 宣伝ヘアメイク:山下まきえ、山本絵里子 宣伝衣裳協力:NAKED Traumen 宣伝物進行:石井美幸 制作助手:市川美紀/土井さや佳/寺地友子/松田美緒 制作:花澤理恵 企画・製作:(株)シリーウォーク
【発売日】2007/11/03 前売り:6,000円(全席指定)/ 当日:6,500円
http://www.sillywalk.com/nylon/

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 2008年01月03日 15:11 | TrackBack (0)