桑原裕子さんが作・演出・出演されるKAKUTAの新作です。桑原さんは『甘い丘』で2007年度の岸田國士戯曲賞にノミネートされています。『甘い丘』もシアタートラムで上演されたんですよね。
前半はちょっとぎくしゃくしていましたが、KAKUTAならではの柔らかな悲しみを、全力投球の優しさから生まれる笑いとともに味わいました。何度か涙しました。上演時間は約2時間10分。
⇒CoRich舞台芸術!『目を見て嘘をつけ』
KAKUTAのお芝居を観に行くと、劇団員の皆さんの素直な歓待の気持ちが伝わってきて、まず嬉しさが込み上げます。なんというか、とても初々しい感覚が自分の中に戻ってくるんですよね。
そして開幕すると、ちょっと照れたような人の良い笑顔の中に、ひたひたと波打つ悲しみが見えてくるように感じるのです。悲しみを湛えた控えめな笑顔・・・素敵じゃないですかっ!
劇団員の方々の演技がとても良いので、客演の方の毛色の違いが気になってしまいました。私は声優さんの演技が苦手なので、ちょっと集中しづらかったですね。
ここからネタバレします。
筒井真理子さんがおそらく性同一障害であろう男(見かけは女)を演じるというのは、とても面白いアイデアだと思いました。そう思って筒井さんを見れば、そう見えるから演技って怖いですね(笑)。
舞台は海が見える田舎町のそば屋。エセ占い師の父親(内海賢二)と店を継いだ次男(若狭勝也)とその妻(大枝佳織)、自分探しでふらふらしている三男(松田昌樹)という家族構成です。そこに、外見はすっかり女性になった長男(筒井真理子)が帰省してきて、傷害事件を起こした次男の友人(成清正紀)も居候を始めます。
長男に死んだ母親の面影があることで、男家族の中に心にひっかかるものが生まれるのですが、母親の存在がよく見えなかったためか、あまりピンと来ませんでした。
シアタートラム ニューイヤーステージ
出演:筒井真理子、成清正紀、若狭勝也、原扶貴子、佐藤滋、川本裕之、松田昌樹、大枝佳織、高山奈央子、横山真二、馬場恒行、桑原裕子、内海賢二、大塚あかね、高橋里枝、ヨウラマキ
作・演出:桑原裕子 舞台監督:野口毅 舞台美術:横田修(タテヨコ企画)/袴田長武+鴉屋 照明:西本彩(青年団) 音響:島貫聡 選曲:真生 衣装:山崎留里子 宣伝美術:川本裕之 宣伝写真:相川博昭 演出助手:田村友佳・野澤爽子 制作助手:宮崎由 制作:前川裕作 企画・製作:K.K.T. 主催:財団法人せたがや文化財団 フリーステージ実行委員会
【発売日】2007/12/02 一般3,200円/当日3,500円 ★平日サービス公演2,700円 ※学生2,500円(KAKUTAのみ取扱い)友の会会員割引 3,000円 世田谷区民割引 3,100円
※柿喰う客、KAKUTA、冨士山アネット、reset-Nの4公演セット券9,700円(4公演各1枚同時購入、劇場チケットセンター電話予約&店頭にて前売のみ取扱い)
http://www.kakuta.tv/
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2008/01/post_96.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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