新国立劇場演劇研修所(NNTドラマスタジオ)の第1期生修了公演の稽古場にお邪魔しました。⇒『リハーサルルーム』公演詳細 ⇒試演会1、2
1期生は日本初の国立の演劇学校(2005年開講)のはじめての卒業生になります。演出は前・新国立劇場(演劇)芸術監督で、研修所所長の栗山民也さんです。
⇒個性キラリ 羽ばたく「俳優の卵」 新国立劇場演劇研修所(産経新聞)
⇒CoRich舞台芸術!『リハーサルルーム』※東京公演は完売。福岡、川崎公演もあります。
初日は2/8(金)ですが、2/1(金)の時点でもう通し稽古は6度目!お稽古は早いペースでとても順調に進んでいるそうです。↓稽古場写真
13:00から2時間弱の通し稽古の後、1時間ほどのフィードバック(ダメ出し)をしてから、最後のシーンを3度ほど繰り返してお稽古は終了。短時間でとても充実しているように感じました。空気がキリっと引き締まっていて、皆さんが気持ちを集中させているのが伝わってきます。でも、ムードはあくまでも柔らか。研修生の皆さんはとても仲良しで、お互いを尊重しながらもきちんと自立されているように感じます。若者らしいきらきらした輝きも保ちつつ、内側に熱さを秘めた静けさも身に付けられたように思いました。
『リハーサルルーム』の舞台は東京近郊にある公共施設の稽古場。ゼロからお芝居を作り上げていくワークショップに集まった、15人の一般市民を描きます。“芝居”という嘘を演じていく中から、登場人物それぞれの背景が浮かび上がってくる現代群像劇です。
通し稽古が始まってすぐに、奇妙な心持ちになりました。目の前でセリフをしゃべっている若者(研修生)の演技が、いわゆる“演技”には見えなかったからです。まるでその人物そのものがしゃべっているみたい。でもセリフを話しているのは明らかですから、“演技”には違いないはず・・・。
私は瞬間的に「舞台上に居るのは一体誰なんだろう?」「私は何を(誰を)観てるんだろう?」と、今の自分が何をしているのかがわからなくなりました。でも、そんな不安と同時に体に押し寄せてきたのは、わくわくドキドキの得も言われぬ興奮(笑)でした。おそらく、今までに観たことのないタイプの“演技”が、生まれてぶつかり合うのを観たのだと思います。
演出は「実は、まさに“今”を描いている現代劇を演出するのは初めてかも」とおっしゃる栗山さん。『CLEANSKINS/きれいな肌』『ミュージカル「火の鳥~鳳凰編」』などでも拝見してきましたが、稽古場での俳優への演出はとてもきめ細やかで、簡潔で的確なダメ出しにはいつもユーモアが溢れています。
今作は現代の若者が同じ年頃の現代人を演じる、比較的シンプルな会話劇です。でもいわゆる「静かな演劇」ではなく、栗山さんならではのダイナミックな演劇的演出も観られそうです。
どこまでが本当で、どこまでが嘘(芝居)なのかがわからない。それが演劇の醍醐味の1つですよね。『リハーサルルーム』は芝居作りの裏側を見せる作品なので、舞台上で起こる出来事が事実なのか演技なのかがわからなくなる面白さがあります。研修生の演技がその多重構造をさらに豊かなものにしており、一筋縄ではいかない作品になっていると思いました。
稽古終了後は栗山さんをはじめ照明、音響などのスタッフの方々が打ち合わせをされていました。耳に飛び込んできた言葉をご紹介します。
栗山「彼ら(研修生)だから見事にやるよ。いつもバッチリだもの。」
出演:演劇研修所第1期生(内田亜希子 岡野真那美 河合杏奈 小泉真希 高島令子 二木咲子 眞中幸子 北川響 窪田壮史 野口俊丞 古河耕史 古川龍太 前田一世 三原秀俊 山本悠一)
作:篠原久美子 演出:栗山民也 美術:長田佳代子 照明:田中弘子 音響:河原田健児 衣装:宇野善子 音楽:後藤浩明 演出助手:田中麻衣子 舞台監督:三上司 研修所長:栗山民也 主催:文化庁 新進芸術家育成公演等事業 新国立劇場 演劇研修所の成果 制作:新国立劇場
A席3,000円 B席2,000円 Z席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000051.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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