すぐれた舞台芸術作品をその再演と放送を通して広く紹介する「NHKシアター・コレクション'08」のトップバッターです。今月発行のメルマガでもご紹介しました。
『AWAKE AND SING!』は1935年にニューヨークで初演、2006年トニー賞最優秀リバイバル賞を受賞した作品で、日本では約70年ぶりの上演だったそうです(⇒2006年文学座アトリエの会公演)。上演時間は約2時間弱。
CoRich舞台芸術!『AWAKE AND SING!-目覚めて歌え!-』
≪あらすじ≫ 文学座公式サイトより
1930年代のアメリカ大恐慌。舞台は、ニューヨーク市ブロンクスにあるユダヤ人のバーガー家。一家の家長、父(マイロン)は、若き日の思い出に浸っては今の自分を憂いている気弱な男。母(ベッシー)は、息子(ラルフ)や娘(へニー)に口うるさい。ベッシーは、家庭の品位と威信をかけて、ラルフの恋人の電話を盗聴したり、ヘニーを無垢な外国人(サム)に押しつけたりしている。戦争で片足を奪われた友人(モウ)は、へニーに惚れ込んでいる。祖父(ジェイコブ)は、カルーソーの「夢の国」を説きながら社会主義変革を夢見ている。そして主人公のラルフは、真面目でロマンチストであるがゆえ、自分の現状に苛立っている。そんなバーガー家にも徐々に大恐慌の波は、打ち寄せてくる・・・。不況下のアメリカで意味のある人生を求めて苦闘する家族を描く。
≪ここまで≫
非常にオーソドックスなスタイルの翻訳劇。色んな伏線が最後の事件につながるのですが、厚みが感じられなかったな~。私には退屈でした。
拝金主義に侵される家庭という視点は現代日本と重なりますし、自分や自分の家族のことを振り返って考える時間が得られたのは良かったです。
ベッシー(母)とベッシーの弟モーティが、実の父親(祖父ジェイコブ)をなじり、馬鹿にするシーンは観ていて胸が傷みました。そういうシーンがもっとあればなぁと思いました。
ここからネタバレします。
しんしんと雪が降り注ぐラストシーンで、わざわざ舞台中央にスポットライトまで当てて、そこに登場人物(息子ラルフ)を歩み進ませるのは、あまりかっこ良くない気がしました。
【出演(初演と同じ)】ベッシー(母):寺田路恵 マイロン(夫):塾一久 ヘニー(娘):松岡依都美 ラルフ(息子):田中宏樹 ジェイコブ(祖父):林秀樹 モーティ(アメリカ商人):田村勝彦 モー(戦争で片足になった男):高橋克明 サム(外国人):中村彰男 管理人:鵜澤秀行
作:クリフォード・オデッツ 翻訳:黒田絵美子 演出:上村聡史 美術:石井強司 照明:金英秀 音響効果:藤田赤目 衣裳:伊藤早苗 舞台監督:加瀬幸恵 制作:伊藤正道 主催:NHK、NHKプロモーション
全席指定¥2.500
http://www.nhk-p.co.jp/event/theater_collection/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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