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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年02月04日

クロカミショウネン18『NINPU妊×××婦SANJO』01/30-02/04駅前劇場

 クロカミショウネン18は野坂実さんが作・演出される劇団です。劇団名の“18”は「ジュウハチ」と発音します。タイトルの読み方は「ニンプサンジョー」。

 当日パンフレットによると“レイ・クーニーの『Run for your wife』にオマージュを捧げる”作品ということでした。確かにレイ・クーニー作品のようにとても巧く出来たどたばたコメディでした。上演時間は約2時間弱。

 ⇒CoRich舞台芸術!『NINPU妊×××婦SANJO

 レイ・クーニー作品は『ラン・フォー・ユア・ワイフ』(2001年・出演:村上弘明、細川ふみえ、ルー・大柴ほか)。『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』(2004年・出演:上川隆也ほか)を観たことがあります。今の日本だと三谷幸喜さんの作品がたぶん近いですよね。

 まず、舞台にドアが10枚も並んでいる時点でちょっとわくわく(笑)。でも『Noises Off』のようにドアを使った笑いばかりが核になるわけではなく、演劇ならではの見ごたえのある演出が用意されていました。

 パンフには「ストーリーらしいストーリーの無い、カラっとしたコメディを上演する」とも書かれていまして、まさにそれに徹した作品だったと思います。私はもっとジメっとしていたりグサっと響いたりする演劇が好きなので(笑)、どっぷりハマって楽しめたわけではありませんが、意図どおりにしっかり組み立てつつ、さまざまな工夫も盛り込んだサービス満点の脚本だったように思いました。

 ここからネタバレします。

 嘘が嘘を呼び、事態がさらに悪化するタイプの王道のコメディです。結婚するかどうかを迷っているカップル(吉川アダム、加藤裕)が互いに浮気をしており、嘘が重なるうちに、最後は浮気相手ともども全員が勢ぞろいして挨拶するハメになります。“あーきた流”のお焼香には笑いました。

 幼稚園の園児のためにかぶりもの人形劇を上演する若者達が面白かったです。「桃太郎」をやるはずが「三匹のこぶた」の衣裳しかなくて・・・というところから、しっちゃかめっちゃかな「桃太郎」が上演されることになります。たしか「ももブタ太郎」。
 桃太郎の誕生を卵子と精子のダンスで表現するとか、園児たちを全員サル役にするとか、「ゴドーを待ちながら」的な展開にするとか、鬼をサッカーの試合で退治するとか、もうめちゃくちゃ。だけど子供たちは盛り上がっちゃっている・・・というのが、ナンセンスでありながらも起こり得そうな気がして楽しかったです。
 「実はここが鬼が島だったんだ~っ!」

出演=吉川アダム、加藤裕、渡辺裕也、久米靖馬、ワダ・タワー、日ヶ久保香、太田鷹史(スターダス・21)、佐藤正和(ブラボーカンパニー)、岡田梨那、松岡努、古賀亜矢子、米田弥央(カムカムミニキーナ)、有馬光貴
作・演出=野坂実 音楽:北原慎治/照明:黒尾芳昭/美術:袴田長武<鴉屋>/音響:平井隆史<末広寿司>/衣裳・メイク:中西瑞美/舞台監督:大友圭一郎/演出助手:岸宗太郎・鳥養友美/宣伝美術:宝田朝(office regina)/舞台撮影:鏡田伸幸/撮影:トリックスターフィルム/制作:大谷美有希/プロデューサー:樺澤良/企画・製作:クロカミショウネン18
【発売日】2007/12/13 前売り3,200円/当日3,500円
http://www.ks-18.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。

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Posted by shinobu at 2008年02月04日 00:27 | TrackBack (0)