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2008年02月11日

富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ『キラリ☆ふじみで創る芝居「大恋愛」』02/07-11富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ

 キラリ☆ふじみという公共ホールの企画です。現在、芸術監督をつとめるのは生田萬さん。
 オーディションによって選ばれた3人の演出家が、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を演出します(第1幕:菅尾友、第2幕:富永まい、第3、4、5幕:多田淳之介)。出演者も約300人の中からオーディションで選ばれました(合計20人)。

 キョーレツっ!!公共ホールの企画なんて信じられない(笑)。徐々に過激に、抽象化されていく『ロミオとジュリエット』に、泣いたり笑ったりあっけに取られたり・・・大忙しの約2時間15分でした。めっちゃくちゃ面白かったです。

 ⇒東京劇場に舞台写真!
 ⇒CoRich舞台芸術!『キラリ☆ふじみで創る芝居「大恋愛」
  クチコミが熱い!私も5つ星出しちゃいました!

 対面式の客席で舞台は長方形。縦に亀裂が入っていてモンタギュー家(ロミオ)とキャピュレット家(ジュリエット)、および男女の間の溝を示しています。舞台は正方形の赤いクッションが敷き詰められており、青い明かりでギラギラと不気味に光ります。
 客席を囲むようにキャットウォークがあり、白いポールが等間隔に立っています。客席も巻き込んだボクシングのリングみたい。
 入口でくじを引き、ロミオ側とジュリエット側に分かれて着席。私はジュリエット側でした。最前列で堪能しましたデスよ(笑)。

 古典戯曲がそのものらしく上演されても、かしこまって受け入れるばかりになって、あまり身にならない(共感できない)ことも多いんですよね。でも今作については、超アグレッシブな演出のおかげで、『ロミジュリ』って狂気の話だったんだなと思いました。狂気は恐ろしいし醜いけれど、同時にまぶしいほどに美しいです(『マクベス』みたいだな)。

 出演者も魅力的な人がいっぱい。たとえば第2幕の堀井秀子さん&森田匠さんカップルのラブシーンに釘付けでした(笑)。

 ここからネタバレします。

 ■第1幕:菅尾友演出

 ロミオとジュリエットが不在の『ロミオとジュリエット』。現代服をちょっと加工したカラフルな衣裳。プロンプターの男女(田中寿直、中島愛子)がロミオとジュリエットになっていく。語り部(?村上聡一)の注釈が面白い。
 パリス(石橋亜希子)とロザライン(佐藤雪江)が『夏の夜の夢』のディミートリアスとヘレナみたいだったり。


 ■第2幕:富永まい演出

 小学生のロミオとジュリエットが、「ロミオー!」「ジュリエットー!」と愛する人を探し続けます。ここで既に落涙。
 劇場で『ロミオとジュリエット』を上演しようと練習中の大人たち。あまりやる気が無い。でも小さなロミオとジュリエットに取り付かれて、すっかり成りきってしまう。

 白い衣裳で統一した男女が、それぞれペアになってバルコニーのシーンを熱演。抱き合ってキスしてくんずほぐれつ(笑)。
 最初は愛の高まりに感動して涙していたんですが、しつこく愛し合う姿ががだんだんウザく見えてきて、可笑しさまでも感じるようになりました。だってお互いに夢中になってるカップルって、勝手に盛り上がって周りが見えていないんだもの(笑)。あー恋は盲目。
 アホみたいに熱くなるカップルの尻目にを、ちりとりとほうきで散らかった紙を掃除する老人(北澤雅章)、という構図もとても面白いです。


 ■第3、4、5幕:多田淳之介演出

 喪服で死へと突き進む人々。尾崎豊、SPEEDの音楽をバックに「だるまさんがころんだ」。歌手の若さも歌詞も『ロミジュリ』にぴったり(笑)。
 一途で向こう見ずすぎる愛の独白(松田弘子)をミラーボールの輝きが応援。「ナイチンゲール!」「ひばり!」の繰り返し。踊り狂うジュリエットたち。倒れてもまた起き上がり、踊り続けた末に「ロミオーーーーーーー!」とシャウト!(堀井秀子)
 逆流するミラーボールの光が黄泉の国へと誘う。スモークが大量に吹き出してくる天国の入口(?)に消えていく喪服の人々。

キラリ☆ふじみ演劇祭 ~3人の演出家による“ロミオとジュリエット”
出演:田中寿直、村上聡一(中野成樹+フランケンズ)、尾倉ケント(アイサツ)、森田匠(アマネク)、亀田ヨウコ、石橋亜希子(青年団)、村島智之、下平尚輝、コスゲヒロシ、北澤雅章(さいたまゴールド・シアター)、中島愛子、松田弘子(青年団)、竹内萌佳、佐藤雪江、堀井秀子、小橋和之、高田淳、長尾卓磨、夏目慎也(東京デスロック)、小長谷勝彦
[脚本]ウィリアム・シェイクスピア(松岡和子訳による)  [演出]菅尾友、富永まい、多田淳之介(東京デスロック) [総合プロデュース]生田萬 [舞台監督]大澤弘海(キラリ☆ふじみ) [舞台美術・衣裳]中里有 [照明]伊藤泰行(キラリ☆ふじみ) [音響]泉田雄太(キラリ☆ふじみ) [演出助手]大森孝子・三浦まる子  [宣伝美術]京 [制作]中出千尋(キラリ☆ふじみ) 柳田典昭(キラリ☆ふじみ) [企画・製作]富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(財団法人富士見市施設管理公社) [助成]財団法人地域創造
【発売日】2007/12/02[前売・予約・当日]一般2,200円  学生1,200円[グループチケット (3名以上同時購入)] 一般2,000円/1名  学生1,000円/1名 ※前売・予約のみ[団体チケット(10名以上同時購入)] 一般1,800円/1名  学生900円/1名 ※前売・予約のみ
[プレビュー公演(7日)] 一律1,000円 ※2回目以降の観劇は半券をお持ちいただくと1,000円でご覧いただけます。(予約は対象外)
http://www.city.fujimi.saitama.jp/culture/
http://dairenai.blog123.fc2.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年02月11日 20:05 | TrackBack (0)