大橋可也&ダンサーズの公演を拝見するのは初めてです。“現代社会における身体の問題を追求し、ダンスの必然性を問う”スタイルに興味を持ちました。
チケット代も話題になっています(⇒fringeTOPIC)。理想論かもしれませんが、私は芸術がインフラであって欲しいと願っていますので、「お金のある人は払うし、お金のない人は払わない」ということがあっても良いと思います(平田オリザ著「芸術立国論」の影響もあって)。チケットAもチケットCも売れた(?)そうですよ。
⇒CoRich舞台芸術!『明晰の鎖』
「よくわからなかった」というのが全体の感想です。ただ、最近ワークショップを見学してよく感じることなのですが、客席でじーっと何かを見つめている時間は、豊かな思索の時間だと思います。そんな時間を持つことができました。でも眠くなっちゃうことも多かった・・・。
演劇だとセリフや意味がストレートに言葉(音声)で伝わってくるので、“思索”といえるほど深い心理に入り込むことって少ないんですよね。ダンス(モダン・ダンスとかコンテンポラリー・ダンスとか)だと自然とその方向に連れて行かれて、気づかないまま自分の心の奥に浸かれる気がします。
第一部:通行人たち(出演:皆木正純、中川敬文)
吉祥寺シアターの大きな搬入口が開いたまま。通行人や車がガンガン通るのが見えるままのパフォーマンスです。祭日のお昼間だから人通りも多くて楽しい。
出演者は男性ダンサー2人。彼らも“通行人”で、生きることに疲れていたたり、困難があるようです。でも劇場の外の通行人は当然のことながら彼らのことなんか全く気にかけていません。それどころか見つけることさえできない。
第ニ部:ダウンワードスパイラル(出演:江夏令奈、古舘奈津子、宮尾安紀乃、多田汐里)
薄い灰色の衣裳の女たちのダンス。静かで緩やか。時々激しく。鬱っぽい。テキスト「死ねばいいのに」。繰り返しが多くて、意味が読み取りづらかったです。スノビッシュな感じ。
第一部の通行人ダンサー2人がずっと下手で客席を見つめていました。見られているような気がして、むずむず。コートにひざ掛け、カイロも持って、花粉避けのマスクもしている状態での鑑賞なので、それも妙な気分。
第三部:ドッグ(出演:垣内友香里、前田尚子、とまるながこ、いとうみえ)
踊る(座る)女をビデオカメラで撮影し、それを劇場内のパネルにオンタイムで映写します。かなりエロティックなムード。でも感情はマイナス方向のよう。どうやら娼婦?でも服は普段着っぽい。
最後は女たちが劇場の外に出て、その姿を劇場内に中継します。劇場の中の出来事と現実とがつながっているのがヴィヴィッドに伝わります。でも、こういう演出は演劇でも最近はよく見るので、それほど衝撃は受けなかったですね。
"Chain of Clarity"
出演:江夏令奈、垣内友香里、皆木正純、古舘奈津子、前田尚子、宮尾安紀乃、とまるながこ、中川敬文、いとうみえ、多田汐里
振付:大橋可也 音楽:舩橋陽 映像:岡崎文生(NEO VISION) 衣装:ROCCA WORKS 照明:遠藤清敏(ライトシップ) 音響:牛川紀政 舞台監督:原口佳子(office モリブデン) 演出助手:山田歩 宣伝写真:野村佐紀子 宣伝美術:佐藤寛之 記録写真:GO 映像版制作:古屋和臣 制作:三五さやか、ビーグル・インク株式会社 協力:村山季美、大橋めぐみ 主催:大橋可也&ダンサーズ
チケットA:20,000円(お金に余裕があるので作品に貢献したい) チケットB:5,000円(とにかく作品を体験したい) チケットC:0円(お金はないが自分には作品を見る必要がある) ※料金の差は席の違いを表すものではありません。※チケットAにはお土産が付きます。※チケットCは枚数に限りがあります。チケットCの当日発売はありません。※詳細は大橋可也&ダンサーズWEBサイトをごらんください。
http://dancehardcore.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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