障害のある人と健常者が一緒に創作する演劇公演です。エイブル・アート・ジャパンの活動は「ジェニー・シーレイ ワークショップ」で初めて知りました。私にとっては人生が変わるぐらい衝撃的な出会いでした。
劇団こふく劇場プロデュース・みやざき◎まあるい劇場の『隣の町』の上演時間は約1時間10分。ポスト・パフォーマンス・トークで創作現場のお話が聞けたのが大きな収穫でした。
⇒CoRich舞台芸術!『コラボ・シアター・フェスティバル』
ジェニー・シーレイさんが演出された『血の婚礼』があまりに素晴らしかったので、かなり期待して観に行きました。でも、そもそもジェニーさんと比べるのが間違いでした。みやざき◎まあるい劇場は昨年始まったばかり。障害のある人との共同創作自体が初めてだったのです。ジェニーさんは1998年からグレイアイ・シアター・カンパニーで芸術監督をされている大ベテランですものね。
上演された作品自体はあまり私好みではなかったのですが、障害のある方が舞台に居ると、どうしてもその人ばかりに目が行くということを、改めて確認しました。不規則な動き、予想外の声色。そして、これは私の想像に過ぎませんが、生きてこられた人生が圧倒的な厚み、重みとして、その身体から表れているのではないかと思います。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ 言葉はかなり省略しています。
出演:永山智行(劇団こふく劇場)、山内健司(青年団)、太田好泰(エイブル・アート・ジャパン事務局長)
山内「稽古場の休憩時間、(自分で)食べられない人に、食べられる人が、おやつを食べさせていた。(そういうことが行われていると)聞いてはいたし、わかっているつもりだったが、その場を目撃してたじろいだ。参加して初めてわかったことです。」
永山「別に、普通のことなんです。休憩の時に『食べたい』って言われたら食べさせてあげる。トイレに行きたいなら手伝う。目の前で起こったことに対応した。それだけです。」
永山「手伝うことがえらいわけじゃない。『食べたい』『トイレに行きたい』と言うことの方が、よっぽど勇気がいると思う。」
ここからネタバレします。
初めの方の、“隣の町”の住人(死者)がカラフルな衣裳で登場し、舞台を横切って去っていくシーンがとても幻想的で楽しかったです。
エイブルアート・オンステージ
■Aプログラム<ステージ>劇団こふく劇場プロデュース・みやざき◎まあるい劇場『隣の町』を上演
出演:和田祥吾 山室曹俉 上元千春 森菜都子 あべゆう 深井けい子 笠舞子 檜山明子 濱砂崇浩 山内健司 谷修 平野今朝市 上田政子 鬼束雄人 河内哲ニ郎 坂東勝典 中武悟 吉野由夏 佐藤祐香
作・演出:永山智行(劇団こふく劇場) 舞台監督:河内哲ニ郎 音楽:上元千春 照明:工藤真一(ユニークブレーン) 音響:日高充美 美術:濱砂崇浩 吉國浩二 衣裳:仮屋美千子 阿部由 宣伝美術:京 制作:上田政子 都丸俊介 天神林友梨 米内山陽子(トリコ劇場)
■Bプログラム<シンポジウム>パネラー:大谷燠(DANCE BOX エグゼクティブディレクター)/楫屋一之(世田谷パブリックシアター・チーフプロデューサー)/永山智行(劇作家・演出家)/吉野さつき(ワークショップ・コーディネーター) コーディネーター:太田好泰(エイブル・アート・ジャパン事務局長)主催:明治安田生命保険相互会社 エイブル・アート・ジャパン 共催:みやざき◎まあるい劇場 協力:劇団こふく劇場
一般 前売:1500円 当日:1800円 割引 前売:1000円 当日:1200円 ※割り引き対象は、ユース(25歳以下)、シニア(65歳以上)、障害のある方及び介助の方(1名)※料金はAプログラムにのみかかります
http://www.ableart.org/AAonstage/2007fes.top.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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