前川知大さんが作・演出されるイキウメの本公演です。先月末から開幕してまして、ひなまつりにやっと観にいけました。あ~面白かった♪
身近な生活と隣り合わせのSF世界にぐっと引き込まれて、「この先、どうなるのかしら??」とのめり込んだまま、最後まで楽しく拝見しました。こんな風に物語自体の面白さを満喫できる小劇場演劇って珍しいと思います。赤坂レッドシアターという場所も魅力ですね。
上演時間は約1時間45分。今日は追加公演で補助席もいっぱい出ていました。平日はまだ空席あるようです。3/9(日)まで。
⇒CoRich舞台芸術!『眠りのともだち』
≪あらすじ≫ 当日パンフレットより。(役者名)を追加。
早坂水穂(小島聖)は夫の郁夫(浜田信也)と別居中。半年前友人の寺越(岩本幸子)宅へ引越し、ルームシェアをしている。郁夫は諸事情により、三日前からその部屋に厄介になっている。寺越は数日前から行方がわからず、水穂は警察に電話をした。水穂が郁夫に夢の話をすると、二人は同じ夢を見ていることに気がつく。
≪ここまで≫
前川さんの脚本の中では筋道がスっとまっすぐ通っていて、わかりやすい方なのかもしれません。複雑・高度なSFも好きですが、今作のようにロマンスがしっかり生まれるお話も大好き!SFでもホラーでも、人間の心が描かれているお芝居に惹かれます。
行方不明になった寺越のエピソードは探偵が登場する推理小説のよう。そんな要素もしっかり組み込まれていて巧いな~と思います。
照明効果を駆使した演出でした。舞台美術はあるシンプルな“部屋”で、特に大道具の移動などの大々的な転換はありません。でも場面は夢の中や他の部屋など色んな場所に変わりますので、それを照明で表現するのです。薄いオレンジに水色、赤、青、黄緑など色彩鮮やかで、ビジュアル面でも意味づけの面でも大活躍でした。
ここからネタバレします。
水穂は夢を見ている時に「ここは夢だ」と気づきます。それが“明晰夢(めいせきむ)”という状態。水穂はその状態からさらに眠ってしまい、“夢のまた夢”の世界に行ってしまいます。夢にいくつものレイヤー(層)があるという設定が面白いです。
水穂に目覚めてもらおうと、郁夫は病室で昏々と眠り続ける彼女に向かって懸命に語りかけます。ここで郁夫の本音がスルスルと出てきてしまうのが良いんですよね~。水穂も夢の中で郁夫と会えた時は、素直な気持ちを伝えることができていました。人間って、何か大きなものを失った時に、心の底の本当の気持ちが飛び出てきてしまうんですよね。これも脚本の巧妙な仕組みだと思います。
現実に戻ってこられるかどうか・・・のぎりぎりのところでの、車椅子に座った小島さんの演技が良かったな~。首が動いたのかどうか、あまりに小さな動きでなかなかわからなかったんです。それが美しかった。
水穂がレイアー4(無意識の世界)に堕ちるのを、暗転中の大音量の音響で表現したのも効果的だったと思います。最後はカラスの鳴き声みたいなのも聞こえたような。不気味で良かったです。
出演:浜田信也、盛隆二、森下創、緒方健児、宇井タカシ、岩本幸子、日下部そう、奥瀬繁、小島聖
作・演出:前川知大 舞台美術:土岐研一 照明:松本大介(enjin-light) 音響:鏑木知宏 楽曲提供:安東克人(MARS NEON) 衣裳:今村あずさ(SING KEN KEN) ヘアメイク:前原大祐 演出助手:矢本翼子 舞台監督:谷澤拓巳 棚瀬巧 宣伝美術:末吉亮(図工ファイブ) web:渡邊由布 宣伝写真:taro 宣伝スタイリスト:古池慶次郎 宣伝ヘアメイク:高橋まゆみ 運営協力:サンライズプロモーション東京 制作協力:エッチビイ 制作:中島隆裕(HB) 吉田直美 後援:TOKYO FM 提携:赤坂RED/THEATER 助成:平成19年度文化庁創造活動重点支援事業 企画製作:イキウメ
【発売日】2008/01/12 前売3,200円 当日3,500円(消費税込・全席指定)*未就学児童入場不可
http://www.ikiume.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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